ローコード開発コラム

ローコード開発の社内導入における注意すべき点

これまで「ローコード開発が注目される理由」や「ローコード開発のメリット」でご紹介してきたように、
ローコード開発プラットフォームには導入・活用のメリットが大きく、今後の普及が見込まれています。

ローコード開発プラットフォームをうまく活用して自社の課題を解決するためには、メリットだけでなく、
注意点も把握した上で、適切に対処する必要があります。

このページでは、ローコード開発プラットフォームの導入に当たり、
あらかじめ知っておきたい注意点をご紹介いたします。

作りたいアプリケーションに向いたローコード開発プラットフォームを選ぶ必要がある

さまざまなローコード開発プラットフォームが提供されていますが、それぞれ、構築を想定したアプリケーションの種類や規模は異なります。スマホアプリの構築が得意なプラットフォームがあれば、大規模なアプリケーションの構築が得意なプラットフォームもあります。
用意された機能単位も異なるため、あるプラットフォームでは実現できるアプリケーションでも、別のプラットフォームでは不可能なことがあります。

このため、自社が求めるアプリケーションを実現するために、どのようなプラットフォームを選定すれば良いかを、慎重に検討する必要があります。

また、プラットフォームによって、施されている情報セキュリティ対策も異なります。高セキュリティであることに越したことはありませんが、まずは、自社のセキュリティポリシー要件を満たすものを選定することが大切です。

ローコード開発におけるセキュリティ対策については、こちらのページもご覧ください。
ローコード開発を行う際に必要となるセキュリティ対策

開発できる内容に制限があり、やりたいことを実現できない可能性がある

ローコード開発は、ノーコード開発に比べれば、コーディングによって機能拡張できる部分がある分、自由度が高い点がメリットです。

ただ、1からプログラムを組むスクラッチ開発に比べれば、構築できる範囲には限りがあります。
ローコード開発とスクラッチ開発を比べた場合、ローコード開発の大きなメリットは、用意された機能単位を組み合わせて大部分を構築できる分、開発期間を短縮でき、開発コストを抑えられる点にあります。

基本的には、構築したいアプリケーションに必要な機能が揃ったプラットフォームを選ぶことが前提となり、コーディングは補足的に利用することになります。
そのような視点で自社の目的に合ったローコード開発プラットフォームを選定する必要があります。


正しいデータベース設計を行っておかないと、収拾がつかなくなる

ローコード開発プラットフォームを活用してアプリケーションを構築した後は、ユーザーが利用する中でアプリケーション内にデータが蓄積されていきます。

アプリケーションの構築時に、正しくデータベース設計を行っておかないと、後からデータの利活用がしづらくなってしまいます。

データモデリングの知識に基づいて、どのような情報をどういった構造でデータベース化するのかを決めておかなければ、データの冗長性や不整合が起きる恐れがあります。その結果、どのデータが信頼できる正しい情報なのか判断がつかなくなったり、余計なデータが含まれていたりして、後から必要なデータを探して活用することが困難になってしまいます。

開発したアプリケーションが、シャドーITになる恐れがある

シャドーITとは、組織の管理者が使用を認めたり把握したりできていないIT機器などのことです。情報漏えいリスクにつながるため、情報システム部門などの管理者にとって悩ましいもの。

ローコード開発プラットフォームは、プログラミングのスキルを持たない現場の担当者の手でもアプリケーションを構築することができる点がメリットの一つですが、その裏返しで、管理者が把握していないアプリケーションが勝手に作られ、利用されてしまう恐れもあります。

これを避けるには、ローコード開発プラットフォームにおけるアプリケーション構築を、管理者側で掌握できるようなルールや業務フローを整備する必要があります。

スパゲッティコードが増えて、メンテナンスができなくなる可能性がある

上でお伝えしたように、プログラミングのスキルを持たない人材でもアプリケーションの構築が可能な点は、ローコード開発のメリットの一つです。ただし、機能拡張などでコーディングを行う部分に関しては、プログラミングの知識が必要です。

もし、プログラミングのスキルがない現場の担当者が、インターネットで検索しながら自己流でコーディングを行った場合に、スパゲッティコードになってしまうことがあります。
スパゲッティコードとは、命令の実行順序が複雑だったり処理の流れや構造が把握しにくかったりするプログラムのことです。

スパゲッティコードは、書いた本人にしか理解できないため、ほかの人が改修することは困難です。時には、書いた本人ですらわからなくなっているケースもあります。不具合が起きた場合は、どの部分が原因なのかを調査することから始めなくてはならないため、時間と労力がかかってしまいます。

保守性や拡張性の低いスパゲッティコードが増えてしまわないよう、ガイドラインを策定してユーザー部門に周知し、必要に応じて研修などを実施する必要があります。

事前に対策してローコード開発プラットフォームを上手に利用しよう

ローコード開発プラットフォームを利用する上で注意すべき点と、その対策についてご紹介しました。

ローコード開発プラットフォームを上手く活用するためには、メリットとデメリットを両方とも把握した上で、メリットを最大限に活かし、デメリットを最小限に抑えるための対策を講じる必要があります。

ここでご紹介した注意点は一般的な内容ですが、組織ごとに構築したいアプリケーションの特性は異なります。自社が求める機能や要件が満たせるのかどうか、プラットフォームを提供するベンダーに相談してみることも大切です。

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