導入事例
課題
第二次世界大戦後間もない1946年、「戦後の日本には教育が必要」という理念の元に、クレヨンや絵の具の製造が始まり、今のぺんてるが創業された。最近では、折れない上にワンックで芯が自動で出続けるシャープペンシル「オレンズネロ」や、濃くなめらかに書けて乾きも早いゲルインキボールペン「エナージェル」を始め、大人の画材「ビスタージュ」シリーズなど、様々な表現具を製造販売。これら多様な文具事業を軸に、同事業で培った技術を武器に電子機器や産業機械設備、化成品などの新事業を展開している。新事業への展開や、今ある業務へ注力する上で課題となっているのが経費精算である。
財務本部経理部経理課担当者は次の様に語る。「当社の旅費規定は非常に複雑なんです。中でも複雑なのが日当。例えば同じ場所でも、午後出発であれば2分の1になったり、自分で負担した食事代がなかったら1000円引いたり、20時以降に会社に戻ってきた場合には1000円を加算したりするんです。さらにその合わせ技もあり、例えば午後出発で食事代を負担しなければ、日当からまず1000円を引き、残りを2で割るという計算式になります。出張旅費規定表はデータとして用意されてはいるのですが、先のような複雑なルールはテキストをよく読まないとわからず、本当にややこしいんです」
それだけではない。せっかく申請しても、会計担当者がチェックの末、間違いがあった場合は、申請誤りとなり差し戻すことになる。「差し戻し件数も毎月約50件と多く、繁忙期は時間外労働の要因になることもあり、その件数を減らしたいと思っていました」。 もちろん、経理課だけではなく、経費精算申請をする社員からも、「日当の計算をわかりやすくして、精算の手戻りを少なくして欲しい」という声もあったという。そのほかにもモバイル端末に対応していなかったり、マスタメンテナンス時におけるIT部門の業務負荷が大きかったり、稟議書や領収書の電子化に対応していなかったり、という課題もあった。
これらの課題を解決するため、情報システム部次長をはじめとする情報システム部のメンバーは経費精算システム更改の検討を始めることとなった。
導入
新たな経費精算システムに求めた条件は以下3点。
●申請誤りによる差し戻し工数の削減ができること
●システム共通基盤intra-mart上で稼動すること
●現状の使いやすさを踏襲すること
intra-martを条件に挙げた理由について情報システム部次長は「機能が豊富なこともありますが、従来の経費精算システムや社内の他システムでintra-martを使っていたため、画面や操作に馴染みがあったからです。使い勝手も問題はなかったので、intra-mart上で稼働するシステムという条件を挙げました」と話す。
いくつかのシステムを検討し、最終的に選択したのはNTTデータビジネスシステムズが提供するimforce/経費精算ソリューションである。
「新しいシステムに刷新するにあたり、一番、課題だったのはいかに以前の使い慣れた画面に近づけることができるかでした。
なぜなら、以前のシステムは約10年前に、使いやすさに徹底的にこだわってカスタマイズしたもの。社員も非常に慣れ親しんでいました。だからその使いやすさは踏襲しないといけないなと思いました。imforce/経費精算ソリューションはパッケージでありながらも、画面を比較的自由に設計できます。これは大きな決め手となりましたね。それに加えて、標準機能で経費規定自動チェック機能が提供されていたことです。これを使えば、費用区分などで入力の抜けがあっても、メッセージを表示するなどして不備を入力者に気付かせることができます。このような仕組みにより、差し戻し工数が削減できると考えました」
2017年7月から始まった開発プロジェクトでは、要件の詳細を詰める段階で画面プロトタイプを作成し、実際の画面イメージや操作方法をお互いに確認しながら進めるというアジャイル開発を採用。これが導入プロジェクトをスムーズに進める要因となった。
というのも「これまで私たちは先に要件をきっちり決めてから始めるウォータフォール型の開発手法を採用していたため、要件を決める会議には1回につき2時間以上かけ、それを複数回繰り返すなど多くの時間を必要としていました。しかしこのプロジェクトでは画面のプロトタイプがすでにあるため、『こういう風にして欲しい』という要望を伝えると、すぐに修正され、それが要件に反映されていくのです。要件定義にかける時間が従来の半分で済み、なおかつ私たちが求めているものが作れました。こういうやり方をすれば要件定義も素早くできるんだと気付かされました」と情報システム部次長は高く評価する。
2018年1月5日、年明けと共に新しい経費精算システムが稼働。導入して半年が過ぎ、徐々に効果も見えてきたという。
「各拠点の会計担当者からは、記入漏れが減ったので、その分の差し戻し件数は減ったという声が届いています。本社分を担当している私の実感値としては、差し戻し件数は従来の3分の1になりましたね」と経理課担当者。
経費精算の悩みの種であった日当などの手当計算については、imforce/経費精算ソリューションの標準機能を活用し、ぺんてる独自の手当ナビゲーション機能を実装した。ナビゲーション画面の文言に従って選択肢を選んでいくと、該当する手当が算出されるというものだ。手当規定を確認しながら、申請書作成をするには時間がかかるだけではない。見間違いによる数値の入力間違いを削減できることも狙いだった。
「本来なら時間などを入れると手当規定が自動で入力される仕組みが構築できれば良かったのですが、先にも話したとおり、当社の旅費規定は複雑で、しかもビジネスの状況などによって見直しされる可能性もあります。そこで作り込むことをせず、ナビゲーションで案内するという方法を要件定義の段階で提案されたので、採用しました。この機能を搭載したことで、面倒だった日当などの手当計算も簡単にできるようになり、従来、申請書作成に30分かかっていた作業は3割減となりました」と情報システム部次長。
また経理課担当者は「費用区分がテキストで検索できるようになったなど、効率化を図れています。手当ナビゲーション機能が今後、より使われるようになると、より差し戻し件数の削減につながるでしょう。さらなる生産性向上が図れるのではないかと期待しています」と新システムに期待を込める。
未来
「次の取り組みは紙で回している稟議書のシステム化です。現在、intra-martのワークフローに乗せるプロジェクトが進行しており、2018年度中に完了する予定です。intra-mart基盤を使った文書管理システムの構築も決定しています」と情報システム部次長は意気込みを語る。またモバイルへの対応も検討していく予定だ。
「今はオフィスに戻ってこないと経費精算はできない仕組みとなっていますが、モバイル対応すれば、外出先でも経費精算ができるようになります。すき間時間を活用して申請や承認が可能となるため、生産性の向上につながります。なるべく近い将来に実現できればいいなと思っています」(情報システム部 担当者)
全社の生産性向上に貢献できる仕組みを作っていく。imforce/経費精算ソリューションの導入はその一歩。厳しいビジネス環境の中で戦っていくためにも、ぺんてるはimforceでITの強化を図っていく。
ぺんてる様が今後の目指すべき姿を考慮して、経費精算システムをintra-mart上に実現し、統一シ
ステム基盤上で業務を遂行出来るようになったことは、今後の業容拡大に向けた第一歩になると考えております。
導入規模に対して、短納期のプロジェクトではありましたが、「intra-mart」というNTTデータグループの製品力と当社のシステム構築ノウハウ、ぺんてる様の実行力とリーダーシップを結集できたことが成功の要因であったと感謝しております。
開発基盤としてのintra-mart活用シーン拡大に向けて、今後も業務改革・改善の実績を活かし、ぺんてる様の事業パートナーとして成長をサポートさせて頂きたいと思います。
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