2000人超のエンタープライズ企業が求める「利用者目線」に徹した業務改善システムを
ツールの制約に縛られず、楽しく内製開発

スチール缶用ブリキ製造で知られる東洋鋼鈑株式会社(以下、東洋鋼鈑)は、15年近く使ってきたワークフローシステムとポータルサイトを、intra-martで全面的に刷新した。さらに、intra-martをベースにシングルサインオン、QuickBinder(文書管理)、PDF帳票作成モジュールを組み合わせることで、利便性の高い業務環境を実現すると共に、従来の2倍の生産性で社内開発することに成功。

業務にジャストフィットする業務フローを思うがままに社内開発できるようになったことは、今後の競争力強化、ビジネス加速に大きく貢献していく。

 

目次

1.課題
早くからワークフローシステムを活用してきたが改善したい課題を多数抱えていた

2.導入
機能制限がなく、思うがままに開発できる「Open & Easy」をひしひしと実感

3.効果
「できなかったことができた」、加えて開発生産性が以前の2倍にアップ

4.未来
目指すシステムをスピーディに社内開発して、競争力強化、ビジネス加速を支える

課題

早くからワークフローシステムを活用してきたが改善したい課題を多数抱えていた

東洋鋼鈑は、1934年、業界最大手である東洋製罐株式会社へ缶材料となるブリキを供給するため、国内初の民間ブリキメーカーとして設立された。創立80周年を迎えた今日では、圧延、表面処理などの鉄鋼会社固有の技術を拡大して、ハイテク製品に不可欠な機能材料の開発・製造など、鉄以外の事業でも業績を伸ばしている。
「生産、販売など、ものづくりを支えるシステムは、メインフレームを使って24時間365日動かし続けています。この中核を取り巻くシステムは、利用者の操作性を高め、生産性と利便性を高めるものでなければなりません」と、情報システム部情報システム開発グループリーダーの薮田氏は語る。

東洋鋼鈑株式会社
情報システム部 情報システム開発グループ
情報システム開発グループリーダー
薮田 氏

利用者目線のシステムを作れるのは、利用者に最も近い立場である社内情報システム部門だ。したがって、システムの企画・開発・保守・運用は自分たちで行うのが、東洋鋼鈑の長年の伝統になっている。「わたしが入社したときからこの伝統は厳然としてあり、今日まで大切に継承しています」と薮田氏は語る。

業務効率向上をもたらすワークフローシステムは、15年ほど前にワークフロー専用パッケージを導入し、2000人余りの全社員が、稟議、購買、社内規程など約100フローを活用してきた。 しかし2009年ごろ、クライアントPCのOSとWebブラウザのバージョンアップを計画(以下、Windows7 IE 9対応)したところ、従来のワークフロー製品はそれに対応していなかっただけでなく、今後の明確な対応方針さえも出されていなかった。

さらに「約100フローのワークフローシステムを運用するなかで、利用者からの要望や意見が60項目ほどあがっていたのですが、従来製品では仕様外の内容でした。
そこで、OS に対応するためにワークフロー製品を入れ替えるのなら、60項目の課題・問題点もきちんと解決できる製品を選ぼうと考えました」と薮田氏は語る。

導入

機能制限がなく、思うがままに開発できる「Open & Easy」をひしひしと実感

ワークフロー刷新について、グループの持株会社である東洋製罐グループホールディングス株式会社へ相談したところ、紹介されたのがintra-martだ。「さっそくNTTデータイントラマートにヒアリングしたところ、Windows 7 IE 9 対応に加え、60項目の年来の課題・問題点をすべて解決できる手応えを得ました」と、情報システム開発グループの福井氏。

たとえば、複数の承認者を同時に割り当てる「並列承認」は、承認プロセスをスピーディに回すために何とか利用したい機能だったが、intra-martはすでに標準機能で備えていた。 それでも、全業務のワークフロー共通基盤と新しいポータルサイトにと考えていただけに、失敗は許されない。東洋鋼鈑では2010 年のほぼ1年をかけて、事前検証を入念に行った。

東洋鋼鈑株式会社
情報システム部 情報システム開発グループ
福井 氏

事前検証段階では、メインフレームを含む全社システムのデータ集約をしたデータベース「基幹データベース」や、既存のアプリケーションサーバ製品との連携を確認するとともに、ワークフローの開発標準を定め、intra-martの共通部品化の開発も行った。「同時に、『承認プロセスはすべてシステム化する』を全社のルールに定めました。この基本方針を実現しやすいのが、汎用性の高い基盤製品であるintra-martです。intra-martの導入は、システムの全体最適化はどうするべきかを、根本から見直す契機にもなりました」と薮田氏は語る。

さらに「利用者目線でのシステム全体最適化」という見方を突き詰めていくと、シングルサインオンは必須の機能だという認識に至った。「ワークフロー、ポータル、シングルサインオン、そして、ワークフローで必要となる文書管理システムなど、一般には個別に別製品を買ったり別サーバーを立てたりして組み合わせて導入するところを、intra-martは各機能がシステム基盤として共通的に集約されているため、低コストに実現できます。同一のポータルが入口になって、Web システムもクライアントサーバシステムもメインフレームもそれぞれを意識することなく、実行する業務メニューを選べば自在にアクセスできるという『利用者にとってあるべき姿』を、シンプルなシステム構成で実現することができました」と薮田氏。

事前検証に続くワークフロー開発には、2011年のほぼ1年をかけた。既存の約100フローを、60項目を解決して進化させつつ完全移行したのに加えて、海外出張を含む経費旅費精算システム、マスタメンテナンスフロー、価格改定フローなど、新規システムも約50フロー開発した。基幹データベース、会計システムなど、外部システムとの連携にはWebサービスを用いた。柔軟性の高いSOA接続を採用することで、既存システムに手を入れることなく、オープンテクノロジーで貫かれた新基盤をスムーズに導入することに成功したのだ。業務フローの中の処理の自動化を促進するために、文書管理システムQuickBinderと、PDF ファイル作成ツールIM-PDFDesigner も組み合わせて活用した。

たとえば、ワークフロー利用中のどの時点でも、ボタンをクリックするだけで、内容をPDF化して印刷できる。また、稟議が最終承認されれば、PDF化と文書管理システム保存が自動実行される。同時に、決裁が下りたことを関係者へ通知するメールが自動発信され、決裁内容をPDF化したファイルへのリンクが通知されるのである。
「開発中にひしひしと感じたのは、intra-martは、わたしたちがこれまで経験したことのないレベルまで『Open & Easy』を貫いているということ。同時承認者数はもちろん、1フロー内でのプロセスや承認者の合計数、添付ファイル数など、どの要素についても制限がありません。やりたいと思っていたことが何でも作れます」と薮田氏。さらに福井氏は、「われわれはintra-martの中身にかなり踏み込んでカスタマイズしたのですが、NTTデータイントラマートは、『ここをこう変えるとこうなります』と積極的に教えてくれました。

従来のベンダー製品とは、企業姿勢も根本的に異なるのだと痛感しました」と付け加える。事前検証および社内開発の段階では、NTTデータイントラマートの技術コンサルティングサービスもフルに活用した。「質問に対するレスポンスが速くて助かりました。このサービスがなければ、150フローの開発には、2倍以上の期間が必要だったでしょう」と福井氏は評価する。

効果

「できなかったことができた」、加えて開発生産性が以前の2倍にアップ

2012年4月、稟議システムなどのワークフローを、約2000人の全社員で使い始めた。「作業性や運用性を損なっていた60 の課題を解決でき、『利用者にとって、より良い業務ワークフロー基盤』を整備できました」と薮田氏はにこやかに語る。若手開発者も順調に育った。
20人余りの情報システム部員のうち、サーバー系の担当者は、業界標準の言語であり適用範囲も広いJavaを学ぶ。次にintra-martを学んでスキルアップするしくみだ。「intra-mart はベンダー独自の言語を使っていないので、Javaさえわかっていれば、エンタープライズ企業の要求する要件の開発やメンテナンスはすぐにできます」と、情報システム開発グループの武市氏は言う。

「わたしは、intra-martの開発環境についての説明を1日受けただけで、翌日から開発を始めました。業務で役に立つシステムを、実際の動きを見ながら実感を持って、intra-martを使って開発するのは楽しかった」と、同グループの松延氏。同グループの佐貫氏は、intra-mart 導入に合わせてSAStrutsを学んだのが新鮮だったという。 「SAStruts は内部で自動処理をするフレームワークなので、驚くほど記述を省略することができます。またintra-martはクラス共通化などの機能も使えますから、相乗効果で、単なるJavaのスクラッチ開発と比べて、業務システムの開発生産性が2倍にはね上がったという印象です」と佐貫氏は語る。

未来

目指すシステムをスピーディに社内開発して、競争力強化、ビジネス加速を支える

今後も、「すべての承認業務のシステム化」に向けて、業務ワークフロー開発は続く。全社員の業務の入り口であり見える化を支えるポータルも、より使いやすいものへとブラッシュアップしていく。「社内開発は、社長から現場およびスタッフまで含む『利用者』を、利用者目線で支えるのに適した開発姿勢です。そして、目指すものをスピーディに社内開発でき、さらに、目指す姿やあるべき姿へ限りなく近づけていくことのできるintra-martは、競争力強化に貢献するツールの1つです」と薮田氏は語る。
おりしも東洋鋼鈑は、トルコ共和国に合弁工場を建設して海外展開を本格化するなど、100周年に向けた新たな飛躍を期して大きく動いている。これからのビジネス環境変化への迅速な対応にも、intra-martは威力を発揮していくに違いない。

基本情報

東洋鋼鈑株式会社

本社
東京都千代田区四番町2番地12
創業
1934年4月11日
資本金
50億4,000万円
社員数
連結2,153名、単独1,197名(2014年3月31日現在)
概要
東洋製罐グループの鉄鋼メーカー。飲料缶用ブリキをはじめとする鋼板事業、ハイテク製品に必要不可 欠な機能材料事業、機械器具・部品などのその他事業が経営の3本柱。製品のほぼすべてを山口県の下松(くだまつ)事業所で製造。
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