導入事例
株式会社アンデルセンサービス様
ベーカリービジネスを展開するアンデルセングループにおいて、グループ横断的なITシステム開発・運用を担当する株式会社アンデルセンサービス(以降、アンデルセンサービス)。同社は、Amazon Web Services(AWS)のクラウドサービスを用いて、全システムのクラウド移行を進めている。ここで威力を発揮しているのがintra-martだ。2013年にワークフローの一部を既設データセンターからAWSへ移行した際には、わずか3日で移行を完了した。これは、intra-martが信頼性の高いPaaS基盤として機能しているからこその効果だ。ビジネスの俊敏性を高めるうえで、AWSとintra-martは、最高の相性を持った組み合わせなのである。
課題
直営ベーカリー「アンデルセン」の運営、「リトルマーメイド」「デニッシュバー」などのフランチャイズ展開、スーパーやコンビニエンスストア向けのパンの製造・販売、卸販売など、多様な形態でベーカリービジネスを展開するアンデルセングループ。同グループにおいて、総務・採用、教育・品質保証・購買・環境問題への対応など、アンデルセングループの横断的な専門業務を担当するのが、アンデルセンサービスだ。
「当社の使命は、グループ各社の業務を支援することであり、グループの成長に合わせて、ITも迅速にレベルアップしていかなければなりません。アンデルセングループの挑戦が続くのに応じて、ITも、最新技術を積極的に導入しながら挑戦し続けています」と、執行役員 システムサポート部長の堀尾紀昭氏は語る。
アンデルセングループは、アンデルセンとタカキベーカリーの2社系統をいったん統合し、2003年に持株会社制を導入した。以来、アンデルセンサービスのシステム部門は、2系統の汎用機と多数のクライアント/サーバ・システムを統合・再構築し、オープンシステム化してきた。
「受注から、生産、物流を経て、お客様の手元へ届くまでを、一貫してシステム化し、グループ全体を統合する管理会計を確立することを目指して、ITを進化させてきました」と堀尾氏は語る。
導入
2005年にintra-martを導入したのも、グループ全体を統合するITシステム強化の一環であった。
「intra-martの良いところは、ワークフローで業務システムを組めること。承認を得るだけでなく、業務をやり遂げるところまでシステム化できる点を評価しました」と堀尾氏。
Webベース、Javaベースのオープンなシステムであることも重要なポイントだった。Webブラウザさえ動けば、利用者がどこにいても仕事ができる。拡張性も高い。
「コストの低さも魅力です。当社は、ユーザ数4,000人のシステムを作らなければなりませんが、intra-martならユーザ数無制限ライセンスがあり、ユーザ課金でない分、コストを抑えられました」(堀尾氏)。
まず、スタートパックでグループウェア「A-WALK」を構築し、次いで、intramartWeb Platformを用いて「商品ワークフロー」を開発した。
ベーカリー業界は商品開発が頻繁に行われており、アンデルセングループの場合、半製品を含めて200品目が1カ月で入れ替わる。以前は、商品名と属性を集中入力していたが、作業が重複するうえ、タイムリーではない。そこで、自分が責任を持つ商品の情報はその担当者が入力し、承認過程を記録するワークフローを開発したのだ。最終的に社長承認が得られると、受注・原材料手配・生産がスタートする。
「商品ワークフローを開発したことで、試作から、開発承認、ラインテスト、品質管理、発売承認まで、商品データが一貫して流通できるようになりました。しかも、各工程で必要となるシステムとは確実に連携できるのがintramartの良いところ。他システムが管理している部品表も、必要に応じてintra-martから呼び出し、常に最新データを使って業務を円滑に進めています」と堀尾氏。
ほかにも、稟議、得意先登録、経費精算など、月間8,000本のワークフローがintra-martで動いている。
「今や、intra-martのフレームワークを外して、業務システムは作れません。グループウェアもなくてはならない存在。メール、スケジュール、旅費精算など、すべてがつながっているうえ、ダブレットからの利用も可能です。intra-martは業務のポータルといっていいでしょう」と堀尾氏は言う。
効果
intra-mart導入のもうひとつの、そして、最大の効果は、クラウドへの移行時に発揮された。
アンデルセンサービスは、2010年、すべて内製・社内管理だったシステムを、ベンダーのデータセンターへ、仮想化したうえでホスティングする形態へ一気に転換した。
「例えばグループウェアの利用が定着して資源が不足がちになったのでサーバを増設しようとしたら、半年かかりました。これではビジネスをサポートできません。また、5年に1度発生するハードウェアの入れ替え、つまり『付加価値のない煩雑な仕事』から、われわれが解放されたかった」と堀尾氏。
さらに2012年、アマゾンのAmazonWeb Services( 以降、AWS)と、ベンダーのデータセンターおよびクラウドサービスを組み合わせて信頼性を高めつつ、すべてのシステムをクラウドへ移行する方針を決定した。
クラウドとしてAWSを採用したのは、スケールメリットの大きいグローバルクラウドであること、プライベート領域をユーザ企業が主体的にコントロールできること、そして、hadoopなどの分散処理環境を利用することで原価管理・生産管理が劇的に高速化することなどが理由である。ちなみに、原価管理の計算時間は、従来の25時間から40分(実質20分)に短縮したという。
ここで発揮されたのがPaaSとしてのintra-martの力だ。
2013年、商品ワークフローは、わずか3日でベンダーのデータセンターからAWSへ本番システム移行を完了できたのである。
「もともと、NTTデータイントラマート社がintra-martをAWS上で開発しているという情報を得ていましたから、intra-martは、『AWSに移行したら動かない』という事態が発生する心配がまったくないと判断しました。実際、ハードウェアやネットワークの調達、サイジングなどを一切行うことなく、移行したその時点できちんと性能が出ました。intra-martとAWSは相性が良いのです」と堀尾氏は語る。
最終的には、すべての本番機をAWSへ移行する計画だが、現在は移行期だ。したがって、AWSに移行した商品ワークフローシステムも、業務の途中で何度も、ベンダーのデータセンターにある部品表やデータベースを参照しているのだが、操作はスムーズだ。利用者にはシステムの移行が意識されなかったほどだという。
他のデータセンターで動いているアプリケーションを俊敏にクラウド移行でき、一部のアプリケーションを先行してクラウド移行しても、連携して機能して使い勝手が変わらない。これらは、intra-martが信頼性の高いPaaS基盤として機能しているからこその効果である。今後の業務アプリケーションの開発も、PaaSが含んでいる最新テクノロジーを活用し、しかも、余計なサイジングに頭を悩ますことなくクラウド資源を必要なだけ利用しながら効率よく行い、本番への移行もスムーズに行える体制ができたのである。
未来
拡張性に富んだクラウドにも、「障害」というリスクはつきまとう。24時間365日動くシステムであるだけに、アンデルセンサービスは、クラウドを二重化するディザスタリカバリの構想を進めている。
ベンダーのデータセンターを利用の入り口にして、スケールメリットをバックグラウンドのAWSで出すのだが、バックアップ用のシステムとデータをデータセンター側にも常時用意しておき、万一、AWSに障害が発生した場合には、ベンダーのデータセンターだけでビジネス継続するしくみである。ハイブリッドクラウドの一形態といえるだろう。
まずは2014年5月、intra-martのグループウェアと残りのワークフローをすべてAWSへ移行する。さらに1年かけて、生産管理、原価管理、財務管理、人事給与管理など、全システムの本番機をAWSへ移行する。
クラウドへ移行すると、バージョンアップも格段にやりやすくなる。バージョンアップのテストのときだけ、クラウド上で資源を確保して環境を作ればいいのだ。intramartのバージョンアップを考えている企業には、「まずクラウド移行、それからバージョンアップ」というのもひとつの方策だといえるだろう。
「オンプレミス・システムはもう限界に来ています。ビジネスの要求に応えていくには、システムは丸ごとクラウドにして、物理的にどこに置くかはビジネスの都合次第で、自由に動かし、拡張していきたい。今までは、サーバを構築し、ネットワークを構築し、その上でアプリケーションを開発してから、また時間をかけて本番環境へ移行するシーケンシャルな開発手順でした。しかし、『PaaS+クラウド』で、構築手法も、移行手順も、データセンターのあり方も、みんな大きく変わるのです」と堀尾氏は強調した。
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