導入事例
Thai AirAsia Co., Ltd様
大手航空会社とは異なるビジネスモデルで新たな市場を創り出したLCC(Low Cost Carrier)。
タイ初のLCCとして、アジアを代表するマレーシアのエアアジアグループの一社であるタイ・エアアジア(Thai AirAsia)は、ドンムアン空港・チェンマイ空港・ウタパオ空港・プーケット空港・クラビー空港・チェンライ空港の6 つの空港間の国内線のほか、主要なアジア各国へ国際線を運航している。2003年設立以来、就航地を増やして着実に事業を拡大する一方、断続的な原油価格の上昇に伴う燃油のコスト増加が事業へ与える影響は決して小さくなく、継続的なコスト削減はLCCとしてサービスの優位性を堅持する上で、必要不可欠な取り組みとなっている。
その一環として、ICT部門ではintra-martを導入し、主に出張旅費精算をはじめとする社内のワークフロー業務に活用。紙の帳票を大幅に削減するだけではなく、組織変更に伴う承認プロセスの新規作成や変更を社内で柔 軟かつ迅速に対応できる体制を実現し、外注コストの低減とともに作業に要する時間を大きく短縮することに成功した。
課題
タイ・エアアジアがワークフローを利用するのは、実はintra-martが初めてではない。2016年から2018年にかけての約3年間、かねて導入していた他のシステムに備わるワークフローの機能を利用し、経費精算や購買業務等の様々な申請承認の処理を行っていた。しかし、目まぐるしく変化するビジネス環境にあって競合他社との熾烈な競争を勝ち抜くために、社内の組織やルールの変更が非常に頻繁に行われ、その結果、単なる承認ルートの変更だけでなく、業務プロセス自体の大幅な見直しに伴う根本的なワークフローの変更作業が常に平行して複数発生していた。
当時のワークフローで抱えていた課題について、ICT部システムスペシャリストのジラット氏は、「システムの仕様上、自社では新規作成も変更も対応が難しく、その都度デベロッパーに外注する必要があり、コストもさることながら、とにかく多大な時間がかかっていた」と振り替える。実際、利用できるまでに簡易な変更で一か月近く、複雑かつ大掛かりな新規作成にあっては半年から一年にも及ぶことがあったという。なおかつ、その作業期間の申請承認は、紙の帳票による処理で代替せざるを得ず、システムを導入していながらも社内は紙で溢れ返っていた。
また、もう一つ、タイ・エアアジアが従前のシステムを十分に活用する上で障壁となっていたのが、その価格体系だ。ワークフローを日常業務でフルに活用するバックオフィスの従業員だけではなく、パイロットや客室乗務員、また空港で勤務する外勤の職員を含め、同社の利用対象者は6,000名にのぼる。intra-mart導入以前のシステムはユーザー単位の課金だったため、その膨大なコストが全社利用の促進を阻む一因となっていたのだ。
導入
2017年12月から当時のシステムをリプレースする本格的な検討を開始した。選考のポイントは3つ。一つはワークフローの作成と変更が容易に可能なこと、二つ目に全社利用を実現できる価格体系、そして最後がスムーズな導入及び構築だ。タイ・エアアジアは実際に比較検討して最終的に3社の製品にまで絞り込んだ。その一つが、intra-martだ。
「正直、名前を聞いたことがない製品だった」と打ち明けるICT部プロジェクトコーディネータのパクプーム氏だが、タイでintra-martの販売を手掛けるNTT DATA(Thailand)から初めて紹介を受け、「ドラッグアンドドロップで一からワークフローのプロセスを作ることができるintra-martの容易さは、他の製品と比較して群を抜いていた」と採用の一番の決め手を説明する。
また、価格体系についても、他の2社の製品が以前のシステム同様にユーザー課金だったのに対し、唯一intra-martだけがインストールするAPサーバのCPU課金によるユーザー数の制限がないライセンス体系を提供していた。もちろん、単純な比較はできないが、利用の用途や頻度が異なるユーザー数が将来的に増え続けることを前提とした検討の結果、価格体系の点でもintramartの優位性が高く認められた。
一方、導入及び構築では各製品に大きな差はなかったものの、「NTT DATA(Thailand)による親身で手厚いサポート体制を非常に評価した」とパクプーム氏は話す。
数か月間に及ぶ検討を経てintra-martの採用を決定し、2018年12月からまずはICT部門によるワークフローの本格運用を開始した。
効果
タイ・エアアジアがintra-martのワークフローを利用する業務は、eDTR(electric Duty Travel Request)と呼ぶ出張旅費精算をはじめ、VPNの利用から購買の申請まで多岐にわたる。導入からわずか7か月間と短くはあるが、すでに以下3つの明らかな効果をもたらしている。
まずは、何よりも時間だ。同社ではブラウザ上で直感的に画面作成が行え、アプリケーションの画面として設定可能な「IM-Forma Designer」を利用。既存の承認ルートといった簡易な変更だけではなく、新たな業務プロセスやそれに伴うワークフロー画面の作成も徹底した内製化を実現している。
その結果、従来のデベロッパーへの委託(仕様の伝達から実際の作業)に要する時間をカットし、社内で利用するユーザーとの直接的なコミュニケーションによって把握した要望に基づき、自社内で柔軟かつ迅速に変更や新規作成が行える体制を実現。大幅な時間短縮に成功している。「1か月かかっていた作業は1週間に、半年から1年かかっていた作業は2か月程度と非常に短い期間で利用を始められるようになった」とジラット氏はその効果を強調する。
また、それに伴って外注コストは従来のシステム利用時の80%削減と、こちらも大きな効果を発揮している。さらに紙の帳票は60%減らすことに成功。「物理的に紛失するリスクを低減し、なおかつ帳票の原紙を保管する場所の確保からも解放された」(ジラット氏)。外出先から申請や承認が可能となったため、業務そのもののスピードが格段に早くなり、社内の利用者からも好評だという。
未来
大手とLCC、また新興エアラインの参入による競争の激化に加え、人材不足から人件費や燃油コストの上昇まで航空業界を取り巻くビジネス環境は決して楽観視できない。そうした中で、「コスト削減は常に意識し続けなければならない課題の一つ」であり、システムの活用によって貢献することはICT部門の重要な役割だという。
「intra-martの活用は今後も着実に全社に拡げていく。紙や外注コストの抑制、またそれに伴う時間の削減効果は、LCCとしての競争力に確実に寄与する」(ジラット氏)。実際、マーケティング部門や法務部門といった他の部門での利用もすでに計画中だ。パクプーム氏は、「マーケティング部門は、大小様々なマーケティング活動を実施し、それに伴う申請業務も多い。intra-martの活用による業務効率の向上やコスト削減の効果は高い」と見込んでいる。
intra-mart以外にタイのベンダーの製品と日系のベンダーの製品の2製品が比較検討の候補でしたが、ユーザー数に制限のないライセンス体系を提供できるのはintra-martだけでした。加えて、弊社はプリセールスの段階でトレーニングとワークショップを通じ、お客様自身がintra-martによるシステムを容易に扱うことができることを十分にご理解頂き、今回の採用に至りました。
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