導入事例
中部国際空港株式会社様
約50社のエアラインが乗り入れ、約1300万人の年間旅客数を誇る中部国際空港は、航空業界の格付で世界最高水準の「5スターエアポート」に認定されるなど、グローバルで高い評価を得ている。同空港では、ERPパッケージの採用によるバックオフィスシステムの更新に合わせて、パッケージでは実現困難な航空系請求管理システムを、「intra-mart」を使って作成。取引先であるエアラインやテナントと空港をつなぐ、新たなB2B基盤「セントレアパートナーポータル」を構築した。新ポータルの稼働によって、請求処理にかかわる業務プロセスがシステム化され、業務が効率化されるとともに、紙の帳票時代に発生していた入力ミスなども排除できるようになった。また、デザイン性にこだわった画面は、エアライン各社からも好評を得ている。
課題
セントレアの愛称で知られる中部国際空港は、2005年に開港し、当初からCS(Customer Satisfaction:お客様満足度)の取り組みに力を入れてきた。SKYTRAX社(航空業界の格付会社)の空港総合評価調査で、世界最高水準の5スターエアポートとして認定され、「世界一の地方空港」にも選出されている。複合商業施設「FLIGHT OF DREAMS」の併設など、ユニークな取り組みでも知られている。
その同空港では、開港時に導入した空港事業の基盤である航空系・不動産系の収益管理を担ってきた基幹システムの再構築が課題となっていた。
「特にアプリケーションについては、これまで細かな改善を図ってきたものの、各種システムの老朽化により、ビジネススピードへの迅速な対応も困難になっていました。そこで、2016年度より新システムの再構築に向け、本格的な検討に入ることになりました」と財務部 経営システム改革室 室長の鈴木 宏幸 氏は背景を説明する。
新システム構築に向けては、2016年11月に専任部署の「経営システム改革室」が発足。改革室では、業務の効率化とコストの圧縮という命題に対応するため、ERPパッケージを導入する方針を決定した。
ただし、航空系請求管理機能については個別開発を選択。新機能として「電子申請」と「請求書電子化」を盛り込み、エアラインおよびテナントと空港とをつなぐ新たなB2B基盤となるポータルの構築を通じて、柔軟で効率的なシステム化を目指した。
課題
経営システム改革室では、2017年3月までに具体的な仕様を決定し、富士通を含む数社に絞り込んで比較を実施した。
「コスト、技術、実績をポイントに提案を評価しました。特に、富士通は基幹系システムをはじめ、当社の多くのシステムを手掛けています。その実績と技術力に加え、当社の業務に対する深い理解を評価しました」と鈴木室長。
富士通がシステム構築に採用したのが「intra-mart」だ。その理由は、仕様の要件に最も合致していたことに加え、B2B向けのポータルでの豊富な実績を持つことであった。ノンプログラミングでユーザー自身が帳票作成などができる点も大きなポイントだった。
経営システム改革室マネジャーの鈴木 貴雄 氏は、「富士通との間でも齟齬がないよう、造りたいシステムをしっかりとイメージしました。電子化のガバナンスなどを考慮して業務自体の見直しも行い、仕様書に落とし込んでいきました」という。
経営システム改革室の児島 亜実 氏は、「以前は紙文化が根強く、紙ベースで請求処理を行っており、やり取りも郵送でした。ですので、ミスがあると大変でした。窓口も担当者に属人化しがちで、その人でないとうまく処理できない案件もありました。ユーザー部門にいた経験から、紙と印鑑がベースの現場の負担を知っていましたし、一方で、現場が使いやすく、メリットを感じられるものでなければ、再び紙に戻ることになりかねないので、システム化に向けては、繰り返し現場を回ってヒアリングし各関係部門との打ち合わせを重ねました」と振り返る。
改革室のメンバーは、自社に加えて全ての就航エアラインを回り、説明と確認を進めていった。エアラインによって業務の手法が異なるので、どうすれば各社の要望に応えられるかが最も難しい課題であった。
「当社とエアラインの双方にとって、業務効率化が実現できるシステムを目指しました。その一方で、ポータルが無機質にならないよう画面デザインにもこだわりました」と鈴木室長。
効果
新たなB2B基盤「セントレアパートナーポータル」は2018年10月に正式にカットオーバーした。
「富士通さんの協力で、スケジュール通りに完成を迎えました。スタートから安定稼働を実現しています。新しいシステムは、改善されて当然と思われがちなのでなかなか評価頂けないのではと考えていましたが、業務が楽になったとお褒めの声をいただいたところもあります」と鈴木室長。
請求処理が紙から電子化された効果は大きい。新ポータルのユーザーは、エアラインのほか、テナントを含めて約200社。
「以前からごく少数のメンバーで処理していたため、ピーク時の業務負荷はかなりのものでした。今はそれが大幅に軽減されています。加えて、入力ミスや判断ミスが排除できることも大きなメリットです」と児島氏。
以前は、紙の帳票からExcelに入力し直して、人の目でダブルチェックを行っていたが、それでもミスをゼロにするのは困難であった。申請内容にミスが見つかり、わざわざ再度書類を届けてもらうケースもあったという。エアラインへの請求で、レアなケースでの申請の正確性をしっかり担保できる点もメリットになっている。例えば、天候の影響でダイバート(当初の目的地ではない空港に着陸)した場合など、イレギュラーなケースへの対応でも、プルダウンメニューから該当項目を選択するだけで済むよう工夫され、誤申請や承認業務の属人化の防止に貢献している。
鈴木マネジャーは、「intra-martによる新ポータルの稼働で、組織変更などに伴う設定の変更などは自分たちでもできるようになりました。いずれは画面開発なども手掛けられるようにしたいと考えています」と語る。
未来
今後について鈴木マネジャーは、ワークフローの活用をテーマにあげる。「稟議システムにも応用することで、ERP側で自動的に処理できるようにする仕組みを構築していきたいと考えています」。また、今はエアラインからの問い合わせを電話やメールで受けることも多いが、これをポータルで一本化できるようにしていきたいという。
「初めてintra-martの画面を見た時は、味気ない画面だと感じましたが、自由につくり込みができるという高い柔軟性を備えていました。また、空港というインフラを担う立場として、非常にセキュアな基盤上に業務システムを構築できたことを高く評価しています。当社のシステムと業務に精通した富士通さんの協力によって、われわれにも、ユーザーの方々にもとても使いやすいポータルが実現できました。これからもサポートをお願いしたいですね」と鈴木室長は抱負を語る。
今回のポータル構築では、アジャイルの手法を採用したことで、早い段階からユーザーの方々に実際に画面を見て、触れて、評価してもらえるだけのプロトタイプを作成することができました。これにより改善に向けて逐次、意見を取り入れていったことで、多くの方々に満足いただけるポータルを構築することができました。構築の途中には、突発的に早急な変更を求められる事態が発生したこともありましたが、即時に対応ができました。これもintra-martだからこそ可能であったと考えています。
特に、世界中のエアラインの方々が利用するシステムですから、ナビゲーションやデザインにはこだわりました。画面デザインにはデザイナーも参画し、intra-mart標準のCSSを変更するなどによって、見栄えのする美しいデザインが実現できたと自負しています。
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