導入事例

株式会社国際協力銀行(以下、国際協力銀行)は、コロナ禍を契機としたテレワーク需要の増加と働き方の変容の加速化等に対応すべく、アナログだった法人文書管理をデジタル化した。公文書等の管理に関する法律(以下、公文書管理法)に則った厳格なライフサイクル管理を実現しつつ、関連業務の利便性向上を目指した新システムでは、ワークフローに強みを持つエンタープライズ・ローコードプラットフォーム「intra-mart」をコアソリューションとして採用した。ウイングアーク1stの文書管理ソリューション「invoiceAgent」と組み合わせ、法人文書の作成、決裁から保管、廃棄までをカバーする一元的な業務基盤を実現。これにより場所を選ばない決裁が可能となり、柔軟な働き方の定着と業務効率化を実現している。
課題
国際協力銀行は、「国際ビジネスの最前線で、日本そして世界の未来を展きます。」を企業理念に掲げる日本の政策金融機関だ。日本にとって重要な資源の海外における開発・取得、日本の産業の国際競争力の維持・向上、地球環境の保全、そして国際金融秩序の混乱防止に関する分野で、融資・保証・出資等の業務を行っている。事業の特性上、融資先は海外事業を展開する日本企業から外国政府、海外の公的機関、海外企業まで多岐にわたり、年間の出融資・保証承諾額は2〜3兆円規模に達する。
2021年度~2023年度を対象とする第4期中期経営計画では、「新常態に対応する効率的な組織運営」に取り組んでおり、そのうちの一つが「電子決定・文書管理システムの導入」だ。同行では、業務上作成するほぼ全ての文書を「法人文書」として公文書管理法に基づき管理しているが、従来は作成から保管まで、一貫して紙媒体で行っていた。
紙の書類による決裁が必要なため、決裁者の海外出張時に社内稟議書の正本決裁に制約が生じるなど、「場所の制約」がスムーズな業務進行の妨げになることがあった。さらに、決裁書類の回付、ステータス管理、原本管理の事務負担が大きい点、過去の文書の検索に手間がかかるといった点は長年の課題だった。その解決に向け、デジタル化に本格的に舵を切るきっかけになったのが、コロナ禍だ。当時、経営企画部総務課で法人文書関連業務のデジタル化を主導した企画部門人事室 給与課・調査役の齋藤 景介 氏は、次のように振り返る。
「コロナ禍をきっかけに、公用携帯電話や在宅勤務用パソコンを配布するなど、テレワーク環境を急ピッチで整備した。働き方が大きく変わる流れは不可逆であるという前提で業務効率化の基盤を整備していく方針を打ち出し、その一環として、法人文書の決裁と管理をシームレスに実行できるシステムを導入することになった。」
導入
新たな法人文書管理システムの実現に向けて、決裁デジタル化の基盤として選んだのが、intra-martだ。intra-martのパートナーである株式会社フォーカスシステムズ(以下、フォーカスシステムズ)が、intra-martと文書管理ソリューション「invoiceAgent 文書管理」(ウイングアーク1stが提供)を組み合わせたシステム構築を提案し、採用された。
システム全体の要件として、「公文書管理法」に準拠した社内ドキュメントの管理ポリシーへの対応は必須だったという。齋藤氏は「国際協力銀行は政府系機関として公文書管理法に基づいて厳格かつ緻密に法人文書の管理を行っている。intra-martとinvoiceAgent 文書管理の組み合わせは、公的機関特有の厳格なライフサイクル管理要件を満たしていた。」と話す。
その上で、選定の決め手になったのは、ワークフローシステムとしての柔軟性だったという。齋藤氏と同じく、導入当時、経営企画部総務課に所属していた産業ファイナンス部門産業投資・貿易部第2ユニット・副調査役の賀数 弘一 氏は、intra-martへの評価について次のように説明する。
「当行の決裁フローは社内規則で厳格に定められており、例えば出融資案件は、出融資金額や環境・社会への影響度合い、プロジェクトの性質などによって、決定権限者や合議が必要な部署が変わる。intra-martは案件の種類に応じて複雑な分岐が発生する承認ルートにも対応できる柔軟性があった」
また、intra-martとinvoiceAgent 文書管理のスムーズな連携により、決裁された法人文書が属性ごとに適切な場所に自動で保管される仕組みを構築できることも重要なポイントだったという。齋藤氏は「以前は紙の書類を回付して決裁を完了し、ファイルに格納するまでが一連の業務の流れだった。これをシステム上で分断することなく、エンドユーザーにシステム間の切れ目を意識させないシームレスな業務環境を構築できる点も、フォーカスシステムズの提案の優れたところだった」と評価する。
製品選定後、2022年8月に導入・開発プロジェクトを開始。開発は2段階に分け、各種文書の登録、決定、閲覧といった基本機能を2024年4月に一次開発としてリリースした。これに先立ち、本店各部署だけでなく海外の駐在員事務所の一部も含めた大規模なUAT(ユーザー受け入れテスト)も行い、そのフィードバックを基に、画面上の注釈やガイド文を分かりやすくするなど、UI/UXの改善に可能な限り取り組んだという。
2025年1月にリリースした二次開発では、法人文書の棚卸し・廃棄機能のほか、UATで強い要望があり、かつ開発に時間がかかる機能についても実装した。
プロジェクト期間を通じて同行を支援したフォーカスシステムズについては、「公的機関ならではの緻密で独特な文書管理ルールを理解してもらうのは難しかったと思うが、デモ機を用意してもらい、実際に動くものを見ながら認識や意図のすり合わせを行うなど、密にコミュニケーションをとりつつプロジェクトを進め、予定した期日にシステムをリリースすることができた」(齋藤氏)としている。
システム概要図
効果
国際協力銀行全体で法人文書管理システムを利用しており、毎月千単位の文書を新たに登録している。保管対象となる既存の紙文書の大部分を電子化し、法人文書を新システムで管理している。当初の最重要課題だった、リモートワークなど多様な働き方への対応という点で、既に大きな成果が出ている。齋藤氏は次のように説明する。
「時期にもよりますが、相当数の職員が出張やテレワークの時もあり、法人文書管理のデジタル化により出張中や在宅でも決裁が可能になったことは、職員の多様な働き方を大きく後押ししている。また、デジタル化によりオフィス内で紙の文書を保管するスペースが空いたため、社内のオフィスレイアウトを一新してグループアドレス化するなど、職員ごとのスタイルや業務の特性に合わせて環境を選べるようになったのも、デジタル化施策が進んだからこそだと考えている」
法人文書の属性検索や全文検索により過去資料の参照が容易になったほか、紙の印刷や物理的な授受プロセスが不要になるなど、業務効率化やコスト削減も進んでいる。職員へのアンケートで特に効果を実感する声が大きかったのは、年に一度の「クリーンキャンペーン」にかかる時間を一定程度短縮できたことだという。
法人文書は種類に応じて保存年限等の区分が定められており、従来、同行では紙の書類を属性ごとにファイリングし、バーコードを付与して台帳システムに登録していた。この書誌管理の仕組みを使って、年に一度、全法人文書の棚卸しを行っており、これをクリーンキャンペーンと呼んでいる。
新システムでは、intra-martとinvoiceAgentとの連携により、電子化された法人文書についても公文書管理法で求められている書誌管理を実現した上で、「クリーンキャンペーン」を含む関連業務を効率化した。例えば廃棄の承認フローが完了すれば、システム上でデータの廃棄処理が自動で完了する仕組みを構築しており、クリーンキャンペーン時に物理的なファイルの廃棄作業が削減されたほか、「誤廃棄」や「廃棄漏れ」といった人為的なミスを防止する体制の強化に繋がっている。
未来
今後の展望としては、ユーザーからの改善要望について、必要性を精査した上で実装を進めていくとともに、生成AIなどの新しい技術を可能な限り活用して、電子化した社内ドキュメントの更なる有効活用方法を検討していきたい、としている。
国際協力銀行では、より多様なキャリアを持つ職員が活躍するようになっている。経験が浅い職員でも、社内規則などが業務のハードルになることなく、本業に集中できる環境を作っていきたいという。

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