導入事例

スイッチやシフター、キー、シートベルトなど自動車用部品を製造・販売する株式会社東海理化(以下、東海理化)。調達部門では、350社以上にのぼる仕入先とのやり取りで紙やメールといったアナログな手法が残存しており、業務の非効率性や進捗管理の属人化といった課題が顕在化していた。同社はその解決策として、仕入先と同社の情報共有やコミュニケーションを一元化する窓口として「仕入先ポータルサイト」を構築。システム基盤として「Accel-Mart」を採用した。同社は既に全社の汎用ワークフロー基盤としてAccel Platformを導入していたが、仕入先ポータル向けの新たなAccel-Mart環境を用意し、両者を連携させる形で、情報セキュリティの要件をクリアしながら社内外をシームレスにつなぐ業務プロセスを構築した。
※本記事に掲載されている所属部署・役職は2025年10月取材当時のものです。
課題
東海理化は、スイッチやシフター、キー、シートベルトなどを中心に製造・販売する自動車部品メーカーだ。近年では、ゲーミングブランド「ZENAIM」や社有車管理システム「Bqey」といった新領域にも事業を展開し、多角的な成長を図っている。
同社のサプライチェーンは350社以上の仕入先に支えられているが、調達部門と仕入先とのコミュニケーションは長年アナログな手法が中心だった。例えば、品質に関する案内書や手引書、各種申請帳票の雛形など、全仕入先共通の規定や業務書類は個別にメールで送っていた。
また、仕入先が東海理化に老朽化した金型などの更新を申請する際も、メールによるPDFファイルのやり取りや、紙の書類での受け付けが主流だった。一部、仕入先とのやり取りをデジタル化していた業務はあったものの、「仕入先から見れば東海理化との接点が業務ごとに分散していることに変わりはなく、どの業務をどの部署の誰に申請すればいいかが分かりにくかった。申請を受け取る我々の業務も、毎日メールと紙に埋もれてしまっていた」と同社サプライチェーン戦略部 調達企画室 主幹の伊藤 亮輔 氏は当時を振り返る。
結果的に、メールの見落としによる申請プロセスの停滞や、紙の書類の紛失などが発生することもあり、案件の進捗管理が困難になっていたという。業務の効率性という観点のみならず、ガバナンス上の課題も深刻化していた。
導入
実はこうした検討に先立ち、東海理化では全社統一の社内申請向け汎用ワークフロー基盤を整備しようという動きも本格化していた経緯がある。社内申請もルールが統一されておらず、メール本文に申請事項を記入して送信する、ExcelやWordで作成した独自の帳票をメールに添付する、社内メール便で紙の書類を送付するなど、申請者ごとに様式や手法が異なっていた。そのため、申請・承認ステータスの管理や承認までのリードタイムの長期化などが長年の課題だったという。
同社はその解決策として、intra-martのパートナーである、NTTデータ東海支援のもと2019年にAccel-Martを導入した。「部門ごとの承認フローや条件分岐などの複雑な要件に柔軟に対応できるワークフローとしての機能性の高さや、既存システムとの連携が容易な点、そしてライセンス体系がCPU課金で大規模利用時のコストメリットが大きい点を評価した」と情報システム部 基幹システム開発室 室長の大原 一輝 氏は話す。
一方、調達部門における仕入先とのコミュニケーション改革は、「仕入先から見た東海理化の入口を一本化」するという方針の下、まずは「仕入先における品質保証の手引書」などの規定類や業務帳票の雛形を共有するためのポータルサイト構築からスタートした。ここでも、Accel-Martを採用した。サプライチェーン戦略部 調達企画室 調達企画グループの小林 拓真 氏は、検討の経緯を次のように説明する。
「既存の電子見積りシステムを転用するという選択肢もあったが、あらゆる仕入先を対象とした情報開示やコミュニケーションのための基盤を柔軟に構築できるということで、Accel-Martが適しているという結論になった。また、当初は社内ワークフローとして導入したAccel-Martに仕入先ポータルの機能を集約するという構想もあったが、当社のセキュリティポリシー上、社内向けのプラットフォームに仕入先が直接アクセスすることはできないため、別システムとして導入することになった」
仕入先ポータルサイト構築は2019年末に検討に着手し、2020年には運用を開始。コロナ禍という外部環境の変化もあり、その後、社内ワークフロー、仕入先ポータルとも活用の拡大や高度化の動きが急激に加速した。社内ワークフローは申請のデジタル化が順調に拡大したが、仕入先ポータルについては、仕入先からの申請を処理するワークフローシステムを構築する段階でハードルが立ちはだかった。仕入先からの申請は、調達部門だけでなく、製造部門や設計部門など、社内のさまざまな部署に展開しなければならないケースが多い。仕入先向けに構築したAccel-Martの環境だけでは、そうしたワークフローを構築できなかった。
そこで同社は、「社内ワークフロー基盤」、「仕入先ポータル」という2つの独立した環境に構築したAccel-Martを相互に連携させることで問題の解決を図った。一連の検討やシステム構築、運用を、NTTデータ東海が一貫して支援。情報システム部 基幹システム開発室 業務管理グループ グループ長の岸 喜一朗 氏は「当時は2つのintra-mart環境を連携させるという事例はなかったが、NTTデータ東海の助言と支援により、セキュリティと利便性を両立しつつ、仕入先から社内までをシームレスにつなぐプロセスが確立できた」と評価する。
また、情報システム部 基幹システム開発室 業務管理グループ AM(Active mate)の須賀 雅美 氏は、調達部門の立場から、「調達部門の人間はシステム開発の経験がなく、完成イメージを描きづらかったが、現状の業務課題を伝えると、NTTデータ東海がそれを噛み砕き、モックアップを作って提案してくれた。業務理解のレベルが非常に高く、短納期でキャッチボールの材料を出してくれたおかげで、スムーズにプロジェクトを進めることができた」と振り返る。
社内ワークフローと連携した仕入先ポータルの申請ワークフロー構築は、2023年に完了。こうした取り組みと並行して、基幹システムのデータベース(Oracle DB)から部品の単価マスタなどの情報を自動参照する仕組みや、Excel連携で明細のアップロードやダウンロードができる機能の実装も進めた。社内外のユーザーの手間を徹底的に削減する工夫を盛り込んだ形だ。
〇システム概要図

効果
こうして構築したシステムは、現在、仕入先350社以上、社内約4,700人が利用する共通基盤となっている。仕入先に対しては効率的で漏れのない情報提供ができるようになったほか、申請の処理スピードが大幅に向上。従来、2〜3日かかっていた申請の回覧が、平均して半日程度で完了するようになったという。情報システム部 基幹システム開発室 業務管理グループの梶浦 麻琴 氏は、統一の申請ルールがシステム化されたことで、ユーザーの業務効率は大きく上がっていると話す。
「社内ワークフローは人事マスタを使ってユーザー情報や組織情報を適切にメンテナンスしており、各ユーザーが『次は誰に回すのか』を考えなくてもいい仕組みになっている。これが仕入先からの申請ワークフローにおいても、社員のスムーズな処理やリードタイム短縮につながっている」
「また、進捗管理も確実かつ容易になった。書類の紛失のようなアクシデントがなくなったのはもちろん、従来の紙やメールでの申請は台帳を別に作って管理する必要もなくなった。
仕入先ポータルでは、既存の業務プロセスの最適化も実現した。象徴的なのが「不良返却伝票」の業務だ。従来、仕入先で有償支給部品の不良が見つかると、東海理化の工場側で返却伝票を起票し、調達のバイヤーが単価を調べて記入した上で返金処理を行っていた。新システムでは、これを仕入先発意のワークフローに変更。仕入先が起票すると単価はOracle DBから自動参照されるため、工場側とバイヤーの作業は不要になった。大原氏は「自動化の仕組みを取り入れることでワークフローをシンプルにし、関係者の業務負荷軽減にもつなげることができた」と説明する。
さらに、ワークフローの停滞を防ぐための工夫も取り入れられている。岸氏は「ワークフローが滞留した際、担当者への通知だけでは対応が遅れることがあった。そこで、担当者とその上長の双方にリマインドを送る仕組みを導入した。これにより、担当者が過度に案件を抱え込むことなく上長のサポートを早期に受けられるようになり、ワークフロー全体もスムーズに進むようになった」と話す。
仕入先側の活用もスムーズに進んでいる。直感的なUIで操作が簡単だという評価が多く、新しい申請業務が追加されても混乱はないという。今では仕入先から「あの業務はいつまで紙でやるのか」と、システム化を促されるケースも出てきている。
未来
東海理化は今後、仕入先ポータルの適用範囲をさらに拡大していく計画だ。現在は調達部門が関わる申請が中心だが、今後は調達が絡まない申請業務、例えば部品の納入に関する荷姿仕様の申請など、工場の担当部署と仕入先が直接やり取りしているアナログな業務もAccel-Martに集約していく意向だ。
今後はより複雑な業務改善や、データ活用にも注力していく。大原氏は「NTTデータ東海と協力しながらAccel-Martのローコード機能を生かし、単純な申請だけではない業務効率化の施策を進めていきたい」と話す。
また、蓄積されたデータをどう使っていくかも重要なテーマだ。その第一歩として、案件情報を集計してExcelレポートを自動作成し、管理職に送付するような仕組みも構築中。「将来的にはAIの活用も視野に入れ、データの価値を高めていきたい」(大原氏)としており、NTTデータ東海からの提言や、それらを実現するための基盤として、Accel-Martの進化にも期待を寄せる。

株式会社NTTデータ東海は、東海エリア(愛知県、岐阜県、三重県、静岡県)を担当するNTTデータグループのシステムインテグレータです。基幹システムからセキュリティ関連、人事給与/会計など様々なジャンルのご提案を実施しております。
2019年にご導入とご支援を実施させて頂いております東海理化様でのAccel-Martは、仕入先様向け業務を行うポータルサイトを構築し、社内の業務ワークフローの基盤としても導入いただきました。それぞれの環境内でご活用頂いておりましたが、「仕入先起案の申請を社内の各組織を回覧して仕入先に返却したい」というご要望から2023年より社内ワークフローと仕入先ポータルの連携を実現させました。
今後もワークフロー業務の枠を超えて、業務システムのローコード開発や他システム連携の拡充に取り組むなど、引き続き業務改善を行う事でよりご活用効果を出していただけるよう努めてまいります。
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