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業務プロセス改革の成果を実装した新たな決裁システム
intra-martで実現したシステム全域の最適化とデータ活用の基盤づくり

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東急不動産ホールディングス株式会社は、個別の業務要件に合わせた対処療法的な開発を積み重ねた結果「継ぎはぎ」状態となった決裁システムを「intra-mart」で刷新し、業務効率化を実現するとともに、データの蓄積や活用のための基盤も整えた。システム刷新に先立って取り組んだ業務プロセス改革(Business Process Re-engineering、以下BPR)の成果を実装へと活かし、「システム全域が最適化されたデジタル基盤」を確立したことがプロジェクト成功につながった。

目次

1.課題
決裁システムは対処療法的な開発の積み重ねで「継ぎはぎ」状態に
他システムとの連携も困難で業務効率加速化を阻害

2.導入
複雑な承認フローもGUIベースで設計可能なintra-martを採用
UI/UXの追求とデータ移行、内製化も見据えた選択

3.効果
電子契約とのシームレスな連携で申請フローを効率化
月間4,000件の処理を実行する「全域が最適化されたデジタル基盤」を確立

4.未来
決裁システムを核にDXをさらに加速
生成AIの活用やグループ展開、会計システムとの連携も視野に

課題

決裁システムは対処療法的な開発の積み重ねで「継ぎはぎ」状態に
他システムとの連携も困難で業務効率加速化を阻害


東京・渋谷は100年に一度といわれる大規模な再開発が進んでいる。その動きをリードするのが、総合不動産会社の東急不動産ホールディングスグループだ。渋谷駅を中心とした半径2.5km圏内を「広域渋谷圏」と定め、デジタルテクノロジーを積極的に活用しながら、「働く」「暮らす」「遊ぶ」が融合したサステナブルな街づくりを目指している。

同社のDXを支えるのが、従来の情報システム部門とデジタルテクノロジーを活用した新たな価値創造に取り組むための組織を融合させたグループDX推進部だ。グループの中核事業会社である東急不動産でも同じ役割を兼務し、事業部門と幅広くかつ密接に連携しながら、デジタル戦略の立案と実行を担っている。

近年、同社グループがDX基盤整備の一環として進めてきたプロジェクトが、社内の基幹システムのひとつと位置付ける決裁システムのアップデートだ。東急不動産ホールディングスと東急不動産は、紙の書類を回付して承認者が押印していた決裁の仕組みを2017年にデジタル化し、ワークフローシステムを導入した。東急不動産ホールディングス グループDX推進部 デジタライズ推進第2グループ 兼 東急不動産 DX推進部 デジタライズ推進第2グループ 課長の篠田徹氏は次のように当時の経緯を説明する。


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東急不動産ホールディングス グループDX推進部
デジタライズ推進第2グループ
東急不動産 DX推進部 デジタライズ推進第2グループ
課長
篠田 徹 氏

「社内の決裁手続きをまずは電子化しようということで、従来の申請・承認フローを踏襲する形でワークフローシステムを導入した。法令上、記録を残さなければならないプロセスや、承認の履歴などをきちんとデジタルデータ化する狙いがあった」

最初のワークフロー導入時はシステム化されずに残った、決裁手続きに付随する各種アナログな社内承認フローが多数あったが、その後、随時改修や追加のシステム開発を進めたという。また、コロナ禍の時期には「ハンコ出社」を避けるべくリモートワークへの対応が求められるようになり、電子化はさらに大きく進捗した。一連の取り組みにより初期の目的は達成したが、一方で中長期的なデジタル戦略の観点ではいまだ改善の余地もあったという。

不動産取引では、法務や弁護士への相談が必要になるケースも多いなど、決裁に付随するさまざまな事前相談・申請・承認のフローがあるという。そして、それらをカバーするシステムは、当該業務の所管部署がオーナーになっていた。こうした背景から追加開発や改修が局所的な問題解決のために行われることも多く、「継ぎはぎになってしまった部分があった」と篠田氏は振り返る。さらに、コロナ禍ではスケジュール優先で電子化を進めざるを得ず、その傾向に拍車がかかった。

システム間の連携にも課題があったという。2017年に導入したワークフローは他システムとの連携のためにプログラミングが必要で、バージョンアップのたびに多岐にわたる検証工程を要するなど、運用上のハードルも高かった。そのため、「この段階での、電子契約システムや取引先反社会的勢力チェックシステムなどとの連携はしないと一旦決めた」(篠田氏)経緯があった。その結果として、ユーザーが同じ情報を複数のシステムに入力する手間が発生するなど、業務効率加速化の阻害要因になっていた。

そこで同社は、決裁システムのアップデートを決断。デジタルデータの蓄積や活用を前提に業務のプロセスとフローを見直した上で、システム全体を対象として再構築を実施することにした。「決裁システムとそれに紐づくワークフローを可能な限り統合し、UI/UXに優れ、そしてDXの基盤になり得るシステムを目指そうという社内意思決定に至った」と篠田氏は話す。

導入

複雑な承認フローもGUIベースで設計可能なintra-martを採用
UI/UXの追求とデータ移行、内製化も見据えた選択


システム選定にあたっては、複数ベンダーからの提案を比較・検討した。その中からintra-martのパートナーである株式会社日立ソリューションズ(以下、日立ソリューションズ)のintra-martを活用した提案を採用した。intra-martの機能については、フローの分岐、合流、代理承認、差し戻しといった複雑な承認フローをGUIベースで設計可能であり、UI/UXのカスタマイズ性も高い。また、オンプレミスとクラウドの両方で運用できる柔軟性などから、社内ワークフロー全体のプラットフォームとして長期にわたり活用できると評価した。また、同社が既に導入していた電子契約の「GMOサイン」やコラボレーションソフトウェアの「M

icrosoft SharePoint」、ITサービスマネジメントプラットフォームの「ServiceNow」、クラウドストレージの「Box」といったシステムとの連携実績が豊富で、双方向連携や自動処理が可能であることも採用のポイントになったという。


さらに、新システムは既存のワークフローシステムから約100万件のデータを移行することを前提としており、大規模データの扱いやすさやスケーラビリティも重視したという。東急不動産ホールディングス グループDX推進部 デジタライズ推進第2グループ 兼 東急不動産 DX推進部 デジタライズ推進第2グループ 係長の吉田 嘉津志 氏は「大規模データの移行におけるintra-martの柔軟性を評価した。どんな機能を使ってどう移行作業を進めるかを明確に示してくれた日立ソリューションズの提案内容も分かりやすく、プロジェクト推進のパートナーとして信頼できると感じた」と語る。


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東急不動産ホールディングス グループDX推進部
デジタライズ推進第2グループ
東急不動産 DX推進部 デジタライズ推進第2グループ
係長
吉田 嘉津志 氏

決裁システムの刷新に先立ち、東急不動産ホールディングスグループでは2022年にBPRの取り組みを進め、決裁関連業務の棚卸しと最適化も進めていた。intra-martの導入にあたっては、旧システムから引き継ぐべき機能を網羅しつつ、BPRの成果を実装するようにして開発を進めた。2023年6月に要件定義を開始し、吉田氏を中心とするデジタライズ推進第2グループのプロジェクト担当メンバーが各業務部門と丁寧にコミュニケーションを取りながら要件を抽出・整理したという。日立ソリューションズとは週に2~3回のペースで打ち合わせを重ね、「決裁機能以外にもさまざまな要素を組み込んだ大規模な開発だったが、要望をしっかり理解してもらえた」と吉田氏は振り返る。

UI/UXについてもゼロベースでユーザビリティを追求し、日立ソリューションズグループのデザインチームの力も借りたという。「画面作成にはintra-martの『IM-BloomMaker』を使ったが、デザイナーが作成した画面デザインを適用しやすい柔軟性に大きなメリットを感じた」と吉田氏。2024年11月には本稼働が開始した。

システム概要図
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効果

電子契約とのシームレスな連携で申請フローを効率化
月間4,000件の処理を実行する「全域が最適化されたデジタル基盤」を確立

新たな決裁システムは現在、月間4,000件規模の申請を処理しており、安定稼働している。東急不動産ホールディングスと東急不動産は、このプロジェクトを通じて「全域が最適化されたデジタル基盤」を確立できた手応えがあるという。旧システム導入時のようにアナログな業務のフローをそのまま電子化するのではなく、BPRで業務プロセス/フローの最適化に取り組んだ上でシステムを再構築したことが、データの蓄積や活用がしやすいデジタル基盤の構築につながった。

「従来のシステムでは、システム外で作成したPDFファイルを貼り付けるフローが多かったが、新システムでは可能な限りシステム内に直接データを入力し、構造化されたデータをシステム内に蓄積していく仕組みをつくることができた。必要な情報の検索性が上がり、データ活用を促進する基盤ができたという意味でもメリットは大きい」(吉田氏)

また、これまで継ぎはぎになっていた決裁に付随するワークフローをintra-mart上に集約・統合し、UI/UXも改善したことで、申請作業がスムーズになった。決裁までのリードタイムも短縮できているという。

さらに、他システムとの連携を実現したことも業務効率化に貢献している。特にGMOサインとの連携効果は大きい。「取引先と契約する際、旧システムは決裁システムで一度社内承認を取った後、別途GMOサインでも申請が必要になるというフローだったが、新システムでは両者がシームレスにつながり、申請が1回で済むようになった。これはシステム刷新により大きく改善された点だと考えている」(篠田氏)

未来

決裁システムを核にDXをさらに加速
生成AIの活用やグループ展開、会計システムとの連携も視野に

運用開始後、ユーザーからは部門固有の仕組みを実装してほしいなどの要望も寄せられている。デジタライズ推進第2グループが交通整理をした上で、実装すべき機能の追加開発や改修を行い、「日進月歩で改善を図っている」(吉田氏)状況だ。

また、グループ内での活用範囲も拡大していく。現在、東急不動産ホールディングスと東急不動産など計3社が新決裁システムを共同利用しているが、他のグループ会社にも順次展開していく見通しだ。

さらに、生成AIを活用して、決裁システムをより使いやすく利便性の高いものにブラッシュアップする構想もあるという。「全社的には既に生成AIの活用を始めている。それらの取り組みを決裁システムのプロジェクトと連携させていくことも検討したい」と吉田氏は話す。

中長期的には「決裁と双璧を成す基幹システムである会計システムとの連携も考えている」(吉田氏)。現在は独立して存在している決裁と支払・入金管理の流れを連携して管理できるようにすることで、さらなる業務効率化とデータ活用を進めたい考えだ。

基本情報

東急不動産ホールディングス株式会社

所在地
東京都渋谷区道玄坂1-21-1 渋谷ソラスタ
設立
2013年10月
事業内容
都市開発・戦略投資・管理運営・不動産流通事業を行う東急不動産ホールディングスグループのグループ経営管理を担う
URL

導入パートナー 株式会社日立ソリューションズ

当社は、日立グループのデジタル事業の中核として、業務プロセス改革およびシステム最適化の支援を行っております。
本プロジェクトでは、東急不動産ホールディングス様のBPR成果を最大限に活かし、複雑な承認フローのGUI設計、大規模データ移行、既存システムとの連携を実現いたしました。
UI/UXの向上と業務効率化に貢献できましたことを大変光栄に思うとともに、日々のご協力と真摯なご対応に心より感謝申し上げます。
今後もintra-martでの生成AIの活用や東急不動産ホールディングスグループへの展開を通じて、DXおよびAX(AIトランスフォーメーション)のさらなる加速を支援し、信頼いただけるパートナーとして貢献してまいります。

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クロスマーケット・サービス本部 主任
加藤 貴也 氏(左)


流通・サービス営業本部
杉山 裕亮 氏(右)



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