導入事例
1918年創業の老舗ベアリングメーカーであるNTN株式会社(以下、NTN)は、次の100年に向けた事業構造の変革に取り組んでいる。長年培ってきた経営資源と技術力を生かしつつ、最新のデジタル技術を活用した「データドリブン」な企業文化の醸成にチャレンジしている。そのための基盤づくりとして、基幹システムの刷新を順次進めているほか、フロントシステムに「intra-mart」を採用して全社のワークフロー基盤を整備した。
順次その活用範囲を広げており、Notesで構築していた旅費精算・経費精算システムを、intra-mart基盤で稼働する「皆伝!ワークフロー」にリプレースするなど、承認処理フローの可視化やリードタイムの削減、ペーパーレス化につなげている。
課題
機械の中の軸をなめらかに回転させる部品であるベアリング(軸受)を主⼒商品とするNTN。⾃動⾞、建設機械、電⼦機器、⾵⼒発電装置など幅広い⽤途向けにさまざまなベアリングを提供している世界トップクラスのシェアを誇る⼤⼿メーカーだ。特に⾃動⾞に使われるドライブシャフトとハブベアリングはグローバル市場で圧倒的なシェアを持つ。近年、「データドリブン」をキーワードに、デジタルテクノロジーを活⽤した事業変⾰にも継続的に取り組んでいる。その基盤づくりとして、IoTを活⽤したスマートファクトリー化などを進めるとともに、基幹システムのアップデートにも積極的に投資してきた。
基幹システム刷新の第⼀歩として進めたプロジェクトが、会計システムをSAPのERP製品にリプレースするプロジェクトだった。ICT戦略部部⻑の北⾥健⼆⽒は「新しい技術がどんどん出てくる中で、メインフレームで数⼗年前につくったシステムでは世の中の動きについていけないという⼤きな課題意識があり、基幹システムを抜本的に再構築することにした」と説明する。
ERPの導⼊とセットで取り組むことになったのが、ERPフロントシステムの整備だ。特にワークフロー基盤の統⼀は急務だったとICT戦略部企画・管理グループ主査の三重野慎也⽒は振り返る。
「従来、各種会計伝票の申請・承認は原則として紙の書類をベースとした運⽤になっており、承認フローを進めるためのワークフローシステム⾃体はあったが、グループ会社も含めて複数の仕組みが散在してサイロ化している状況だった。基幹システムの刷新を契機に、業務やシステムの『標準化』を進めることが⼤きな⽅針だったので、承認の証跡をしっかりと管理でき、監査対応もしやすい全社統⼀のワークフロー基盤を整備することになった」(三重野⽒)
導入
ERPフロントシステムとしてのワークフロー基盤の選定では、SAP ERPや他の業務システムとの連携のしやすさ、類似プロジェクトでの導入実績の豊富さを評価し、「intra-mart」を採用した。電子帳簿保存法に対応した証憑保存機能などをつくり込める点も、採用を後押ししたポイントだったという。三重野氏は「いろいろなシステムとAPIで柔軟に連携できるのは、全社的なワークフロー基盤として活用したいというニーズに合っていたし、事例が豊富で参考になる情報も多く、当社の要件もスムーズに実現できた」と話す。
NTNはintra-martの本格稼働後、随時その活用範囲を拡充しており、intra-mart上で稼働するパッケージソリューションも導入している。従来、Notesで構築していた旅費精算・経費精算システムを、intra-martパートナーのスミセイ情報システムが開発・提供する「皆伝!ワークフロー」にリプレースした。三重野氏は「旅費・経費精算や休暇願など全社共通の申請はNotesの電子申請機能で処理していたが、基幹システムのリプレースに伴って、これらの仕組みも整理することになった」と経緯を説明する。
SaaS型の旅費・経費精算アプリケーションも俎上に載せて複数製品を比較検討する中で、intra-martという共通の基盤を使うことのメリットの大きさは際立っていたと北里氏は話す。
「SaaS系製品はユーザー数に比例してコストがかさんでいく。当社は従業員数もかなり多いことから、まずそうした料金体系がフィットしなかった。intra-martはAPサーバーのCPU単位の課金であることから、既に使っていたintra-mart上に乗せて使える皆伝!ワークフローは、コスト面での優位性が明白だった。運用・保守を考えてもメリットは大きいと考えた。さらに、日本の多くの企業に共通の課題だと思うが、複雑な人事制度などを加味したフローを実装する必要もあり、ある程度柔軟につくり込める製品でなければ対応できなかったという事情もある。その点でも皆伝!ワークフローは当社にフィットした」(北里氏)
このほか同社は、間接材の調達・購買システムとして、同じくintra-mart上で稼働する「LinDo Applications」も導入している。
一方で、intra-martの導入を機に、各拠点や業務部門の要望を受けて、スクラッチでさまざまなワークフローを構築する取り組みも進めている。ICT戦略部企画・管理グループの西山純加氏は「紙ベースの申請業務をペーパーレス化したいといった要望はかなり多いが、intra-martの操作性や使い勝手がよく、モックアップを提示して現場と要件をすり合わせるプロセスをスピーディーに進められている」と話す。
開発業務はスミセイ情報システムとの協業で進めており、同社の支援体制もintra-mart活用の効果を高めているという。「週次で定例会を開いてコミュニケーションを密に取ることができており、intra-martの最新情報のキャッチアップなどもサポートしてくれている。拠点や業務部門との急な打ち合わせにも同席して、要望に対する実現可否を技術面から助言してくれることもあり、関係者間の伝言ゲームで余計な時間と手間がかかるという事態を避けられている。情シス部門の業務生産性向上に貢献してくれている実感がある」(西山氏)
〇システム構成図
効果
intra-martの導入により、承認処理を電子化するという文化ができ、ペーパーレス化や業務効率の向上といった効果は全社に波及している。三重野氏は「intra-martの導入により紙の書類にハンコを押して領収書を糊付けして回覧するといったアナログなフローから脱却できた。定量化しているわけではないが、申請・承認作業に要する各従業員の業務時間や、承認完了までのリードタイムは大幅に短縮できており、多くの従業員がその効果を実感している」と話す。
さらに、承認証跡をトレースして管理できるようにするという目的も達し、ガバナンス強化にもつながっているという。「誰がいつ承認したかがシステム上で可視化され、証跡も残せるようになったので、後から確認する必要が出てきたときも合理的に追いかけられる。監査対応においても、必要な情報を集める手間がかなり減った」(北里氏)
また、intra-martを共通の基盤として新しいアプリケーションを導入したり、新たなワークフローを開発したりすることで、機能を拡充してもUIに大きな影響が出ることもなく、ユーザーが違和感なく使いこなせることも大きなメリットだとしている。北里氏は「申請・承認はintra-martを基盤としたワークフローシステム上で行うという意識が根付いている。社内ポータルには申請系のメニューがまとめられていて、新しい機能にもそこからアクセスでき、従来のメニューと同じような操作感で使える仕組みになっているので、使い方が分からないなどの問い合わせもほとんどない」と強調する。
未来
今後は脱Notesをさらに進め、必要な機能のうち複雑なワークフローで実装されるものはintra-mart上に移行していく方針だ。三重野氏は「Notesの電子申請を使っていたワークフローは最初のプロジェクトで全てintra-martを含めた新基盤に移行したが、Notes DB(個別のNotesアプリケーション)をワークフローのように使っているものもある。そうしたシステムの移行も本格化させ、intra-martへのワークフロー集約を早期に完了させたい」と見通しを話す。
また、汎用的なワークフローの雛形をつくり、各拠点や業務部門が自ら申請・承認ルートなどを設定して、申請・承認業務のデジタル化を進められる環境づくりも進める方針だ。「情報システム部門のリソースが限られている中で、あらゆる要望に応えて都度ワークフローシステムをつくるのは現実的ではない。intra-martのUIがとっつきやすいということもあり、細かい設定などのタスクを現場に渡して効率的にワークフローシステムを構築することも十分に可能だと考えている」(西山氏)
さらに、図面を他部署に展開する際の業務負荷も期待通りに削減できているという。「従来、製造部門などから設計部門に図面に関する問い合わせが来て、公開していい図面かどうか判断した上で、図面をメールなどで配布するという作業がかなりの頻度で発生していたが、それがほとんどなくなった。アクセス権限をしっかり設定してセキュリティを担保しつつ、各部門が必要な情報を自分たちで探しやすくなったのは、図面閲覧システム導入の大きな効果だと感じている」(金澤氏)
さらに、さまざまな業務システムをつないだ業務オペレーションの効率化に、生成AIなどの新しい技術を活用することも視野に入れ、情報収集を進める。intra-martには、そうした先進技術活用のハブとしての役割を果たすことも期待しているという。
当社は、半世紀以上にわたり業界・業種を問わず、さまざまな企業へITソリューションを提供しており、intra-martは2004年に特約店となり、パートナーソリューションの「皆伝!」を中心にビジネス展開をしております。
NTN様へはERPフロントとしてintra-martと「皆伝!」を採用いただいて以降、開発、運用、保守全般でご支援しており、ワークフロー基盤の統合においてお役に立てたものと自負しております。
今後NTN様にて取り組みを加速される脱Notesにおいても、当社の培ってきたノウハウを活かし、利便性高い連携ソリューションの提供や生成AIの活用などのご提案を進めてまいります。
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