導入事例
2010年代以降のFinTechの盛り上がりにより、BtoB、BtoCを問わずキャッシュレス決済の流れが加速し、多様な決済サービスや金融ソリューションが浸透している。ヤマトホールディングス傘下の金融サービスを担当するヤマトクレジットファイナンス株式会社(以下、ヤマトクレジットファイナンス)も、こうした市場環境を背景にビジネスを拡大している。一方で、営業の商談管理手法は事業単位でサイロ化していたり、場合によっては営業担当者ごとにやり方が異なったりして、データを基にした戦略的な営業活動がなかなかできていないという課題を抱えていた。市場の成長に合わせて効果的な顧客開拓を進めるために、営業情報の一元的な管理基盤を整備すべく採用したのが、NTTデータ イントラマートの営業支援ツール(SFA)である「DPS for Sales」だ。
課題
ヤマトクレジットファイナンスの営業組織は、クレジット事業部とBtoB金融事業部の二つの組織に分かれている。決済サービスの加盟店や、各種金融サービスのユーザーを開拓するのは共通だが、前者はBtoCのビジネスを営む小売店などが営業対象で、後者は文字通りBtoBの企業、例えば卸販売などを手掛ける企業が主な顧客だ。
ただし、クレジット事業部とBtoB金融事業部ではターゲットの市場環境が大きく異なるという。BtoCの決済市場は拡大しているものの、スマホ決済の普及やFinTech系の新興企業の参入により決済関連サービスの競争は激化している。一方、BtoB決済の市場はそもそもの市場規模がBtoC決済と比べて桁違いに大きい。さまざまな決済サービスが普及の途上にあり、潜在的な需要が巨大であることに加え、売掛金の未回収リスクに対応するファクタリングサービスなどキャッシュフロー安定化に貢献する関連サービスの需要も大きい。
こうした複雑な市場環境に対応して効率的・効果的な営業活動を展開すべく、同社は2023年度、組織変革に着手した。クレジット事業部とBtoB金融事業部の企画部門を統合し、両事業部を横断的にカバーするインサイドセールス部隊も立ち上げた。BtoB金融事業部チーフマネージャーの赤羽照満氏は「インサイドセールスとフィールドセールスのスムーズな連携により営業活動の成果を高めるとともに、商談情報などを従来の事業部の枠組みを越えた戦略的なマーケティング活動につなげるためには、情報管理の統一基盤が必要だった」と振り返る。
従来の商談情報管理は、複数の手法が混在している状況だった。「10年ほど前は各営業担当者がExcelで営業日誌を作成し、それをプリントアウトして上長に確認してもらうというやり方だった」(赤羽氏)そうだが、2010年代半ばには大手外資系ITベンダーのSFAを導入し、見込み客も含めた顧客情報と商談情報を体系的に管理しようと試みた。しかし定着しなかったという。
「BtoB決済の営業では、お客様とのコミュニケーションはそれほど頻繁ではないため、営業の現場でもSFAにデータを入力するという作業が定着しつつあった。一方でBtoC決済の営業はお客様の数も非常に多い上に、お客様と日々コミュニケーションを取る必要がある。SFAをしっかり使うとなると、毎日大量の情報を入力・更新しなければならない。また、商談の内容をSFAに入力しても、稟議決裁のためにExcelの帳票に類似の内容を入力しないといけないケースもあるなど、営業側の負荷が大きかった。SFAの運用担当者が退職するなどの事情も重なり、特にBtoC決済の営業では日常的に使われなくなり、SFAは取引先情報の登録・管理に偏った使い方をしていた」(赤羽氏)
結果的にSFAの日常的な活用はBtoB決済の営業を中心とした一部の範囲にとどまり、多くの営業担当者が、Excelで作成した営業日誌やOutlookのスケジュール機能、メール、Teamsのチャットなど、SFA以外のさまざまなツールに営業活動の記録を残すようになった。その結果、管理者がチームとしての営業活動の現状について情報を把握するのに手間と時間がかかり、情報を蓄積しても戦略的な営業活動につなげにくかった。また、営業会議や幹部会議の資料を作成する際、さまざまなツールに散在している情報を手作業で収集して営業報告資料を作成しなければならず、営業事務の業務負荷も大きかった。DPS for Salesは、これらの課題を網羅的に解決できる新たな営業情報管理の基盤として採用された。
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