コミュニケーションツールと申請・承認業務のワークフローをプラットフォームに集約
スピーディーな業務アプリの開発にローコード開発ツールを活用、今後は内製化も

北海道でホームセンターやペット専門店などを運営する株式会社ジョイフルエーケー(以下、ジョイフルエーケー)は、豊富な品揃えを武器とした店舗運営に力を入れる一方、ITの活用範囲は限定的だった。しかし、さらなる成長を図るべく多店舗展開を加速させている現在、紙の書類を中心としたアナログな業務プロセスや従業員とのコミュニケーションは、業務の生産性を下げているという課題があった。また、デジタルトランスフォーメーション(DX)の重要性と取り組みについても社内の気運が高まりつつあり、これらの課題の解決とDX基盤の整備を同時に実現すべく、ローコード開発で業務システムの構築が可能なクラウド型アプリケーションプラットフォーム「Accel-Mart Plus」を採用した。

目次

1.課題
情報共有を図るコミュニケーションの基盤の整備が必要に
紙とハンコによる申請・承認業務のデジタル化も課題

2.導入
単機能ではなく、拡張性を持ったプラットフォームを選択
スピーディーなアプリ開発にローコード開発ツールを活用

3.効果
One to Oneのコミュニケーションが可能に
週報システムの開発を通じて内製化のスキルも習得

4.未来
ワークフローシステムで大幅な生産性向上を期待
営業やマーケティング向けのアプリ開発も内製で

課題

情報共有を図るコミュニケーションの基盤の整備が必要に
紙とハンコによる申請・承認業務のデジタル化も課題

ジョイフルエーケーの主力事業であるホームセンター事業は、新型コロナ禍の巣ごもり需要でDIY市場が拡大したことなどを背景に近年は好調に推移してきた。しかし、2023年後半にはその特需状態も収束し、新たな成長戦略が求められるようになっており、目下、同社が注力しているのがペットや資材などの特定分野の専門店の拡充による多店舗展開だ。

例えばペットに関しては業界の市場規模は微増もしくは横ばいだが、さまざまな法整備が年々進んでいる事情もあり、個人店では対応が難しくなり店舗自体は減少しているという。管理部DX推進担当部長兼情報システム課課長の岩井真吾氏は、「当社ではペットはもちろん、適切な飼育環境を維持するための関連商品も豊富に揃えている。また、資材専門店はDIYからプロユースまで幅広いニーズに応えられる品揃えを実現しており、地域のお客様に支持されている。こうした強みを生かした専門店を今後も積極的に増やしていく」と説明する。

管理部DX推進担当部長兼情報システム課課長 岩井 真吾 氏
管理部DX推進担当部長兼情報システム課課長
岩井 真吾 氏

ホームセンターと専門店の多店舗展開で成長を加速させようとしている同社だが、業務のデジタル化が十分に進んでいないことが生産性の足かせになっている側面もあったという。

例えば、社内のコミュニケーションのツールとして導入・運用していたグループウェアでは、スケジュールや週報、施設予約に加え、就業規則など各種ドキュメントの管理・共有に活用していた。だが、約900人の従業員数に対して、アカウント数は150程度のため、個人アカウントが付与されているのは管理職を中心とする一部のみで、店舗に勤務する従業員などは共通アカウントで利用する運用方法であった。こうしたコーポレート側や管理職が、従業員一人一人と双方向でコミュニケーションを取れる環境がない点は大きな課題だったという。

とりわけ、その課題意識が高まった大きなきっかけは、2018年9月の北海道胆振東部地震だった。「地震直後に北海道全域が停電、いわゆるブラックアウト状態になり、従業員の安否確認に大変苦労し、組織として従業員全員と双方向でコミュニケーションが取れる環境を整備する必要性を痛感した。また、普段の業務でも個人にクローズドな環境で情報を伝えたり、コミュニケーションを取るべき場面は当然あるわけだが、オフィスや店舗でそうした空間が十分に確保されているわけではない。そうした問題を考慮しても、デジタルなツールで全ての従業員同士がOne to Oneでコミュニケーションが出来る環境は必須だと考えていた」(岩井氏)

さらに、同社の各種申請・承認は紙の書類にハンコを押して回覧する「100%アナログ」だった。本社と各店舗の間や、複数の店舗間をまたいだ決裁ルートも多数存在するため、書類を従業員が決裁者のいる拠点に持参したり、郵送したりする手間と時間は、店舗数が増えるにつれ無視できない負担になってきていた。岩井氏は「北海道は広く、距離と時間の問題は運用改善だけでは対応できない。アナログな業務プロセスの限界を感じていた」と話す。

従業員全員にアカウントを付与できるコミュニケーションの基盤を構築するとともに、ワークフローシステムを導入して申請・承認のデジタル化を進め、生産性やワークスタイルの柔軟性を向上させる。こうしたビジョンを網羅的に実現するためにAccel-Mart Plusを採用した。

導入

単機能ではなく、拡張性を持ったプラットフォームを選択
スピーディーなアプリ開発にローコード開発ツールを活用

製品選定に約2年という時間を費やして情報収集し、その過程で要件も固まっていった。まず、コミュニケーションのツールとするグループウェアと申請・承認業務のワークフローシステムは単体の機能で導入するのではなく、同一のプラットフォームに集約、もしくはネイティブに連携できることを必須の条件とした。業務の種類ごとに異なるアプリケーションを立ち上げて作業する環境では、業務効率向上の効果も限定的で、社内での利用が十分に定着しないと考えたからだ。

さらに、デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む重要性も社内で気運が醸成されつつあり、その基盤として今後の取り組みを実現できる拡張性を備えているかという点も重視した。バックオフィス業務に関わる事務作業に限らず、幅広い業務を手軽にデジタル化でき、基幹システムなどともスムーズに連携可能で、長期間の利用に耐え得るプラットフォーム製品の採用が望ましいという意向があった。具体的には、長期的な視点から内製化を可能とするローコード/ノーコードの開発環境を備え、最新の技術を都度取り込んで進化し続ける拡張性を持ち、さらに運用の負荷とコストを軽減できるとともにユーザーがどこからでもアクセス可能なクラウドサービスを求めていたのだ。

「ユーザーである従業員が社内ポータルを立ち上げると、その日の業務に必要な情報が全て把握でき、各種申請や承認などもポータルを起点に作業ができる仕組みをつくったり、さまざまな業務をカバーするアプリケーションをどんどん追加して、それらもポータルからアクセスできるようにするには、一つのプラットフォーム上でこれらの機能を網羅できる製品を選ぶのがベストだと考えた」(岩井氏)

約15製品と比較する中でこうした条件を満たす製品として選んだのがAccel-Mart Plusだった。機能の網羅性や拡張性に加えて、コストについてもユーザー課金ではなく、競合製品と比べて優位性がある点を高く評価した。多くのクラウドサービスはユーザー数に比例してコストが上がっていくケースが多いが、Accel-Martはユーザー数に単純に比例するという料金体系ではなく、約900人の従業員全員にアカウントを付与することを考えるとメリットが大きかった。

さらに、NTTデータ イントラマートのセールスパートナーであり、今回、同社によるAccel-Mart Plusの導入支援を手掛けたNTTデータ北海道の提案内容や営業の熱心さも大きな決め手の一つだったという。岩井氏は「長く使うことが前提で、一旦採用したら簡単には変更できない。さらに、ITに精通したデジタル人材を確保し続けられる状況にもない。専門的な知識やスキルがなくても使いやすい製品であること、アプリの内製開発も短期間の学習で可能になることはAccel-Mart Plusを採用した理由だが、それに加えて長期間にわたってしっかりサポートしてくれるパートナーの存在も大きかった」と振り返る。

導入プロジェクトではまず、既存のグループウェアと同様の機能をAccel-Mart Plusで構築し、業務アプリケーションとして「週報システム」を構築した。ジョイフルエーケーの情報システム部門とNTTデータ北海道が共同で作業しながら、システム構築とスキルトランスファーを同時に進めたかたちだ。ジョイフルエーケーの中心メンバーだった管理部情報システム課の黒田純平氏は、ビジネスロジックを簡単に作成できる「IM-LogicDesigner」や自由度の高い画面作成が可能な「IM-BloomMaker」といったローコード開発ツールを挙げて、Accel-Martで活用できる機能のクオリティを高く評価する。

「IM-LogicDesigner、IM-BloomMakerともに、ローコードでスピーディーな開発ができる一方で、さまざまなことを実現できるツールだと実感した。レイアウトをIM-BloomMakerで直接作成することで早い段階から実際の画面に基づいてディスカッションができ、効率的な要件定義ができたし、アジャイル的に開発を進めることができた」(黒田氏)

最初のフェーズで開発した週報システムは、要件定義に1カ月、設計に0.5カ月、開発に0.5カ月、そしてテストに0.5カ月の計2.5カ月で構築を完了した。

管理部 情報システム課 黒田 純平 氏
管理部 情報システム課
黒田 純平 氏

■本システムの全体像
本システムの全体像

効果

One to Oneのコミュニケーションが可能に
週報システムの開発を通じて内製化のスキルも習得

Accel-Mart Plusの活用の第一弾として、現在は週報システムとスケジュール機能を利用した施設予約、さらには社内メール「intra-mart Accel GroupMail」を全社で本格的に使い始めた段階だ。intra-mart Accel GroupMailにより、前述の従業員一人一人が利用できるクローズドなコミュニケーション環境がひとまずは整備されたことになる。岩井氏は「個人情報を含む個人宛の送付書類なども届けやすくなった。ただし、まずは使ってもらって慣れてもらうことが一番大事なので、グループメールで同僚を誘って遊びに行こうとか、飲みに行こうという連絡をしてもらってもいい。社内には好きに使ってほしいと周知している」と話す。

ユーザーは、オフィスや店舗に備える共有のパソコンやタブレット端末、もしくはプライベートで利用する自分のスマートフォンからこれらの機能を使うことができる。新システムの社内説明会を開催した直後に、早速マニュアルをチェックしてリリースに備える従業員も多数いたという。特に若手社員は新システムへの関心が高い傾向があるそうだ。

「スマートフォンの扱いに慣れている若手は、まったく違和感なく使ってくれている印象だ。社内でデジタルなコミュニケーションの基盤が整備されているかどうかは、若い人材に選ばれる会社になるためにも非常に重要なポイントだと考えている。Accel-Mart Plusはアカウントを増やしてもランニングコストが低く抑えられるので、新卒内定者とのコミュニケーションなどにも活用できるのではないかと考えている」(岩井氏)

また、週報システムの開発などを通じて内製化のスキルとノウハウを蓄積できたことで、より幅広い業務でAccel-Mart Plusを基盤としたアプリを開発していく基礎を固められたという手応えも感じている。

未来

ワークフローシステムで大幅な生産性向上を期待
営業やマーケティング向けのアプリ開発も内製で

現在は申請・承認業務で利用するワークフローシステムの開発に注力しており、来年度には運用を開始する見込みだ。岩井氏は「ワークフローシステムがリリースされれば、従来の紙の運用を止め、ペーパーレス化が一気に進み、業務の生産性は飛躍的に高まるはず」と期待を込める。

ワークフローシステムのリリース後には、Accel-Mart Plusの活用範囲を随時拡大していく方針だ。同社の既存システムとのAPI連携などにより、経営判断や事業戦略策定・実行のためのプラットフォームとしての活用も視野に入れている。

また、内製によるアプリ開発も随時拡大していく。「売り場案内や取り置きサービスなどを提供する顧客向けのアプリなどもAccel-Mart Plus上で開発できるのではないかと構想している」と岩井氏。営業やマーケティング活動でのIT活用という観点でも、Accel-Mart Plusの拡張性を評価している。
 

基本情報

株式会社ジョイフルエーケー

所在地
北海道札幌市東区北6条東4丁目1番地7
設立
2001年8月
事業内容
北海道内でホームセンターを中心とした小売業を展開
URL

導入パートナー 株式会社NTTデータ北海道

当社は、NTTデータのグループ会社として北海道を拠点にシステムのご提案から構築、保守運用までを行っているシステムインテグレーターです。近年、intra-martを活用したDX実現に注力しており、2023年の上期パートナー会ではその取り組みをご評価いただき、パートナー賞を受賞しました。

ジョイフルエーケー様は、紙を用いた申請・承認業務において業務効率やペーパーレス化の観点で課題を抱えておられましたため、複雑な日本の商習慣にも対応が可能であるintra-martのワークフローをご提案いたしました。また、同一基盤上でグループウェアシステムを運用されたいというご要件もございましたので、intra-mart Accel Collaborationの導入及び、不足機能のローコード開発、またそのご支援をさせていただきました。

今後もジョイフルエーケー様と共にDX実現に向けて伴走させていただきたいと考えております。

NTTデータ北海道
法人ビジネス事業部 法人システム部
三田 拓己 氏(左)

法人ビジネス事業部 法人営業統括部 法人営業部 主任
神田 岳久矢 氏(右)

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