導入事例
北海道を中心に直営店185カ所のサービスステーション(SS、給油所)を展開するなど、道民の生活を広く支えてきた北海道エネルギー株式会社(以下、北海道エネルギー)は、大きな転換期を迎えている。化石燃料への依存度を下げる動きが世界的に本格化する中で、中長期の社会の変化を見据えて道民にとって価値あるサービスを提供し続けていくためのビジョンを模索するとともに、事業環境の変化に適応して競争力を維持していくためのプラットフォームとして、情報システムの強化・刷新にも取り組んでいる。従来の業務システムのサイロ化を解消してデータを一元管理し、データ駆動型の営業活動や経営がしやすい環境を実現すべく採用したのが「intra-mart」だった。
課題
北海道エネルギーは2008年、勝木石油株式会社と太平洋石油販売株式会社の共同出資により設立され、両者の創業から数えると約90年という老舗だ。SS事業を主軸として道民の生活を支えるエネルギーを安価で安定的に提供することをコンセプトにビジネスを展開してきたが、世界的な脱炭素の要請を背景に、ハイブリッド車や電気自動車の普及が加速し、バイオ燃料など石油に頼らない自動車燃料への注目が高まるとともに、事業環境は大きく変化している。
そこで同社は、企業としての継続的な成長を図り、顧客の生活を支える価値あるサービスを提供し続けるために、随時新たなビジネスを立ち上げ、事業ポートフォリオを継続的に最適化しようとしている。これまでも車検や保険など、自動車燃料の販売だけでなく顧客のカーライフをトータルでサポートするビジネスを展開し、23年4月にはカーリース事業を立ち上げた。また現在、電気自動車向けの充電スタンドの整備を進めているほか、電動三輪車などのマイクロモビリティをSSに配置して、公共交通機関など既存の移動手段を補完するための実証実験も始めているという。
これらのビジネスを支える業務システムは、必要に応じて都度整備してきた。そのためシステムのサイロ化が進み、せっかくデータを蓄積しても、活用がしづらいという課題が顕在化してきた。同社執行役員のシステム管理本部部長 上村光氏は次のように説明する。
「顧客情報管理がその典型で、自動車燃料販売、保険、車検など、それぞれのサービスでお客様や取引の情報をバラバラに管理していた。例えばカーリースでお客様に最適な提案をしたいと考えた場合に、既存サービスのお客様情報や取引情報はそのための重要な情報になり得る。しかし従来は、各部門に個別で依頼してExcelなどにまとめたデータを提供してもらうというアナログなプロセスを経なければそうした情報を取得できなかった」
さらに、保険の顧客情報管理システムを開発したソフトウェアベンダーによるサポートが終了したため、対応策を早急に講じなければならないという事情も重なった。サイロ化し、一部は利用を継続できなくなった既存業務システムを刷新して一つのプラットフォームに集約し、データを一元管理できるプラットフォームを整備するという方針の下、北海道エネルギーは「intra-mart」を導入した。
導入
プラットフォーム製品の選定で特に重視したのは、将来にわたって安定したサポートを提供できるパートナーエコシステムを持つことだった。今回のプロジェクトでは、intra-martのセールスパートナーである株式会社NTTデータ北海道(以下、NTTデータ北海道)の提案が採用され、同社が開発も含めてトータルで支援している。
上村氏は「社内の情報システム担当スタッフは少人数なので、開発や運用をしっかり支援してくれるベンダーの存在は不可欠。保険顧客情報管理システムでサポート終了という苦い経験があり、将来にわたって安定したサポートを提供してくれる体制が整っている製品を選びたかった。その点でNTTデータ北海道の手厚い支援が期待できるintra-martは魅力的だった」と話す。
また、随時発生する課題に対するソリューションをスピーディーに構築できるローコード開発ツールとしての機能を備えていること、他システムとの連携が容易でデータ活用を拡大しやすいこと、9,500社(2023年3月時点)を超える豊富な導入実績があることもintra-martの採用を後押ししたという。
具体的な取り組みとしては、前述の保険顧客情報管理システムのほか、施設管理システム、車検センター10拠点の予約管理システム、各SSの売上日報システムなどをintra-martのローコード開発ツールを活用して構築し直した。また、intra-mart導入プロジェクト開始後に社内で新規システム開発の要望があり、SSの施設管理システムも短期間で開発。北海道エネルギーの丹野光氏(システム管理部システム管理課主任)は次のように振り返る。
「石油タンクは老朽化によって想定外の事故が起こるリスクがある。各施設の老朽度合いがデータを基に可視化され、対策が必要な施設についてはアラートを上げるなど予防的な施設管理ができる仕組みをつくるべきだという声が社内で上がっていた。SS事業は安全が何よりも大事。そのため、優先順位を上げて対応することになったが、こうしたニーズに柔軟かつ即座に対応できるのは、プロジェクトがスタートしてから改めて感じたintra-martの利点だった」
さらに、複数の業務システムを一つのプラットフォームに集約することを機に、グループウェアもintra-martで刷新することにした。全社の情報共有を強化するのはもちろん、それぞれの社員が自分の業務に必要なシステムやデータにアクセスしやすくなる共通のインターフェースを構築するというコンセプトだ。
■本システムの全体像
開発にあたっては、NTTデータ北海道と週に1回の定例ミーティングを重ねた。丹野氏は「画面デザインは旧システムを踏襲したかたちでユーザーができるだけ違和感なく使えるようにしつつ、より使いやすく進化させたいと考えていた。定例ミーティングではローコード開発ツールでプロトタイプをつくってもらいながら細かく意識合わせができ、開発はスムーズに進んだ」と説明する。
intra-martでの業務システム刷新は22年にスタートし、23年4月以降、順次稼働を開始している。
効果
北海道エネルギーの正社員数は約1,100人(臨時社員を含めると1,900人)だが、従来のグループウェアはアカウントを全社員には付与しておらず、本社以外は事業所単位で1アカウントを割り当てる運用だった。しかし、「それではなかなか情報が行き渡らなかった」(上村氏)が、intra-martでグループウェアを刷新し、全正社員にアカウントを付与したことで、社内の情報共有のスピードと精度は格段に向上した。
また、各業務システムを統一のプラットフォームに集約したことでさまざまなデータを活用しやすくなったという実感を多くの社員が持っているという。丹野氏は「特に売上日報システムは活用が拡大している。各拠点における売り上げの細目を日次で報告するシステムだが、どんな属性のお客様がどんなサービスを利用したか、オンラインで全社単位の共有ができるようになった。また当社が販売する商材について消費者ニーズなどが可視化され、よりタイムリーな経営判断や、営業の現場での取り組みに生かされる場面が増えている」と手応えを語る。
保険顧客情報管理システムについても、解約などがあれば翌日にはアラートが上がる仕組みを付加して刷新したため、顧客のネガティブな行動があっても、スピーディーに対応策を講じることができるようになった。データを基に社員の効果的なアクションを促す業務基盤として、intra-martが機能している。
未来
変化への対応力を高めるためのIT環境整備は、北海道エネルギーにとって当面継続的に取り組むべき課題だという。現在、intra-ma-rt上でのシステム開発はNTTデータ北海道が中心的な役割を担っているが、スキル・トランスファーを進めてローコード開発ツールを活用した内製化のスキルとノウハウも蓄積し、多様なニーズに即応できる開発体制を整えたい意向だ。
intra-martの活用範囲も拡充していく方針で、汎用ワークフローやRPAを使った業務プロセスのデジタル化や効率化、自動化も幅広く進めていくほか、外部システムとのAPI連携なども模索し、より広範かつ多くのデータを活用できる環境を構築する。
北海道エネルギーは企業方針として「新時代総合エネルギー企業の確立」を掲げている。その実現にはデジタルトランスフォーメーション(DX)が不可欠であり、intra-martの導入はその基盤整備の第一歩でもあると言えそうだ。
当社は2020年度よりイントラマート社と販売代理店契約を締結し、昨年度の実績に基づく「intra-mart AWARD 2023」では新たに目覚ましい実績を積んだパートナーに贈られるRookie Awardに選出されるなど導入実績を積み重ねております。
今回システム提供した北海道エネルギー様は、複数ある業務システム間でサイロ化が進み、蓄積したデータが活用できていないという課題を抱えていました。
intra-mart上で複数のシステムを構築させたことでデータの一元管理を実現した他、機能や画面レイアウトはお客様の要望に合わせてIM-SpreadSheetを導入するなど、サービスの提供に一層の工夫を取り入れました。
DXを推進し、新たな価値の創出を志す企業様のパートナーとして今後も支援させていただきますので、ご相談いただければ幸いです。
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