導入事例
帝人エンジニアリング株式会社様
大手化学メーカーである帝人株式会社の100%子会社であり、プラント機器やエンジニアリング、ファクトリーオートメーション、そこから派生した自動化技術をグループ内外へ提供する帝人エンジニアリング株式会社(以下、帝人エンジニアリング)。
元は帝人グループ内向けの事業が主軸だったところから、現在では売上ベースで、グループ外向けの業務が8割ほどを占めるまでに成長した。
同社では、ERPを導入するに当たり、実際の業務とERPの機能との間に横たわる大きなギャップを課題視。株式会社NTTデータ イントラマートのパートナー企業であるエクシオ・デジタルソリューションズ株式会社(以下、エクシオ・デジタルソリューションズ)へ相談したことをきっかけに、システムによるプロジェクト管理を決断。システム名を「T-PMS」と名付け、プラットフォームに「intra-mart®」を採用した。業務プロセスを可視化・デジタル化することで属人化を解消するなど、継続的な業務の品質向上に向けた基盤づくりを期待されている。
帝人エンジニアリングでは、「プラント・建設・メンテナンス事業」「環境エネルギー事業」「自動化・省力化事業」の3事業を柱にグループ内外に対して製品・サービスを提供している。このうち、今後は、より求められるようになるであろう環境事業のクリーンエネルギーに力を入れ、帝人グループを牽引できる存在になるという展望を掲げている。
しかし、2019年当時はまだプロジェクト管理がシステム化されておらず、担当者ごとに異なるフローでプロジェクトが進められることもあったという。また、次のステップに迷うことがあると、過去の類似プロジェクトを参照していた。このような業務上の非効率性を、マンパワーでカバーしていたのだ。
一方、全社的なERP導入プロジェクトがスタート。そこで、要件定義のためにERPのベンダーに対して業務の説明を行うのだが、相互に知見のない分野であるため、必要な機能についてのすり合わせが難しかったという。
「ERPベンダーさんは当部門の業務がわからないし、当部門の担当者はERPがわからない。打ち合わせがうまく進まず、どうすればERPを業務にフィットしたものにできるのかと悩みました。そこで、通訳として、工事業務にもシステム構築にも詳しいエクシオ・デジタルソリューションズさんに間に入ってもらうことになりました。」
そう振り返るのは、第二事業部門 環境事業部 部長 小林氏。今回の「T-PMS」プロジェクトにおけるリーダーの役割を担った人物だ。
「話を進める中で、どうも大幅なカスタマイズをしなければ、業務とのギャップが埋まらないということがわかりました。しかし、それでは費用と時間がかかります。そこで、パッケージシステムでプロジェクト管理ツールやドキュメント管理ツール、SFAをいくつか探してトライアルしてみたりもしました。しかし、『引き合いが来る』というプロジェクトのスタートから始まり、見積り依頼、受注、工事の進行、そしてプロジェクト終了、さらにメンテナンスなどのアフターフォローまですべてをカバーでき、かつ、使い勝手の良いものはありませんでした。」と小林氏は続ける。
そこでエクシオ・デジタルソリューションズが提案したのが、ERPの機能と環境事業部の業務のギャップを埋め、さらに業務プロセス管理(BPM)が可能なプロジェクト管理システム「T-PMS」だ。その基盤には、「intra-mart」を採用した。
「エクシオ・デジタルソリューションズ社からは、システムを作る際は最初からガチガチに固めても駄目だと聞いていたので、拡張性・自由度に優れ、非定型のプロセスも定義できる『intra-mart』は、最適だろうと思いました。」と、小林氏。
「打ち合わせは毎週、多い時は週に2度のペースで、密に行いました。打ち合わせの度に、次週の打ち合わせまでにこなさなければならないタスクが出ます。これを消化しながら進行していきました。」と、第二事業部門 環境事業部 環境プラント課長 末益氏は振り返る。
帝人エンジニアリングは最終的に、プラットフォームに「intra-mart」を採用したプロジェクト管理システム「T-PMS」を構築・導入することになるのだが、前述のようにこの構想は最初からあったわけではない。エクシオ・デジタルソリューションズによる地道なヒアリング作業と、帝人エンジニアリングの業務の可視化によって導き出された「BPMが必要である」という結論に端を発したものだ。
末益氏は「導入に当たり、業務の仕組み自体を見直す必要があったので、大掛かりなデータ整理が必要でした。担当者ごとに使用している書類の様式が異なるケースもあったのでフォーマットを統一したり、過去のデータを参照しながらデータクレンジングをしたり…
実は、この作業は現在も続いています。」と説明する。
この業務の可視化のフェーズでは、特にエクシオ・デジタルソリューションズが備える「プロジェクト管理」「システム開発」両方の知見が活きたようだ。
「業務を可視化するに当たり、どのタスク同士がリンクしているかなどを書き出す、棚卸作業を行いました。膨大な作業量で大変なものでしたが、エクシオ・デジタルソリューションズさんにヒアリングしてもらう中で、うまく表現できないところを汲み取っていただきました。単にシステムに詳しいSIerでは、こうはいかなかったでしょう。」と、末益氏は続ける。
また、プラットフォームとして「intra-mart」を採用するという提案は、拡張性や自由度が高い点が「スモールスタート」を希望していたニーズにマッチすると前向きに受け止められたようだ。
■「T-PMS」システム構成図
2021年5月の要件定義に始まり、2022年1月のシステムリリースを経た「T-PMS」は、2022年4月に運用を開始。スモールでの部門利用を想定し、必要最低限の機能を実装したという。
導入により、登録されたデータはすべてシステム上で見られるようになった。「タスク完了」など、承認があった際は随時、メールが送信されるようになっており、プロジェクトの可視化をシステムの中で実現した。
導入した「T-PMS」を活用する中で、実際にBPMの効果を実感しているという。
「『T-PMS』を導入する以前のデータがないため、効果測定として定量的な数値を出すことはできませんが、体感的には業務プロセスが改善され、効果が出ていることを実感しています。
たとえば、当社ではISOで定めた業務の流れがあり、これをベースに進めるのがセオリーです。しかし、導入前は独自の進め方で業務に当たる人も見られました。『T-PMS』の導入によって、システムがマニュアルの役割を持ち、これを拠り所とした標準化が進んでいます。
自分流で業務を行っていた人からは『やりづらい』と不満の声が挙がることもありますが、『慣れてください』と伝えています。単に標準的なフローだからと説明するより、『システム上、このフローで業務を進める必要がある』と言った方が納得してもらいやすいですね。」と、末益氏は、効果について語る。
副次的には、プロジェクトに参画した現場担当者の教育にも役立ったという。
「システム構築までの過程で、部下のメンバーも携わっており、彼らに業務の標準的な流れを学ばせる良い機会になりました。自分たちの仕事の進め方の『あるべき姿』を理解してもらえたのは良かったと思います。今後、新人が入社した際も、より短い期間で業務が立ち上がるようになることが期待できます。」と末益氏は評価する。
また、ワークフローをデジタル化できたことで、社外でもどこからでも承認申請・承認できるようになり、テレワーク対応も可能になったという。これにより、ユーザーにも管理者にも、双方にとって利便性が向上したのだ。
末益氏は「新たなシステムを導入する際は、導入そのものが目的化してしまいがち。今回は、『業務の品質を向上する』という目的を見失わずにアプローチし続けられた点が良かった。」とプロジェクトを振り返った。
今後の展望については、当初の「スモールスタート」という方針通り、週次の打ち合わせを稼働開始後も続け、ブラッシュアップしながら、「T-PMS」を利用できる業務や部門を広げていくことを目標にしているという。
「現在、『T-PMS』を利用しているのは、第二事業部門の環境プラント課と電装設計課の2部門ですが、今後は『T-PMS』がマッチする業務や部門へ活用を広げていきたいですね。
さらに、現在は連携していないERPはもちろん、SFAなど他システムへのデータ連携や、機能追加も視野に入れています。」と取締役 第二事業部門長 志村氏。
「今回のプロジェクトに関わったメンバーが身に付けたBPMのスキルを、今後、ほかの業務にも応用してもらえたら。」と志村氏は抱負を語る。
これからも、帝人エンジニアリングの業務プロセス管理への挑戦は続いていく。
当社は、通信建設業であるエクシオグループ株式会社における、システムインテグレーション(開発)の中核会社として2022年4月に設立しました。エクシオグループ株式会社と一体的に運営する中で、システム開発機能の中核を担うビジネスユニットとして事業を行っております。
今回、プロジェクト管理システム「T-PMS」では、帝人エンジニアリング様の「スモールスタートで実施したい」というご要望に合う、拡張性・自由度が高く、ワークフローやBPMに特化した機能を持つ「intra-mart」を提案・採用しました。
今後も、週次のミーティングで改善を重ねながら、データ連携や機能追加などを実現し、プロジェクト管理の向上に貢献していきたいと考えております。
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