導入事例
株式会社日立ICTビジネスサービス様
BPO(Business Process Outsourcing)を中核事業とし、日立グループ各社に
ビジネスサービスを提供している日立ICTビジネスサービス(以下、日立BS社)。
日立グループのさまざまな業務を受託し、グループ全体の業績向上に貢献してい
くため、まずBPOに関するDX/業務改革を推進・実践できる人財の育成に着手した。その方法としてイントラマート社の「IM-QuickActivate BPM実践ワークショップ研修」(以下、BPM実践ワークショップ研修)を採用。研修受講者を組
織の核として、受託業務のプロセスを可視化する取り組みを進めた。
その結果、約2,500の業務プロセスを可視化、その中で特に自動化の効果が期待
できると判断した90の業務プロセスをBPMS(Business Process Management
System=intra-mart)に実装した。使用するRPAを内製し、全てをBPMSから
呼び出すことにより、人→RPA→人のスムースな連携を実現。リモートでの
進捗管理や業務負荷の平準化など、さまざまな業務改善に活用している。
※日立ICTビジネスサービス様導入事例概要動画
課題
日立BS社は、日立グループの特にITセクターの業務をBPOとして担当している。日立は事業のデジタル化を進めており、同社が担当するBPO業務においてもDX/業務改革が喫緊の課題となっていた。
「当社はBPOを通じて日立グループにコスト貢献することをミッションとしています。日立グループ全体がDX対応を進める中で、当社業務においても同様にデジタル化が求められています。このために当社BPO業務を理解した人財によるデジタル技術の導入が必要と考えました。」と経営戦略本部 経営企画部 部長代理の清水和貴氏は説明する。
同社が期待する人財を分類すると次のようになる。
(1)提案型BPO担当
顧客の認識する課題を共有した上で業務従事者にヒアリングし、国際標準のビジネスプロセス表記法であるBPMN(Business Process Model and Notation)を用いて、現状の業務プロセスを可視化する。BPMNによってAs-Is(現在の状態)を描き、改善策を明確化した上で、To-Be(理想の状態)とのギャップを埋めるべく、プロセス改善を図る。
(2)プロセス実装担当
To-Beが記述されたBPMNを元に、BPMS上にプロセス実装を行う。同時にRPAの開発を行う。
いずれも高い技術力を必要とするものだが、日立BS社では提案型BPO担当の育成に「BPM実践ワークショップ研修」を採用した(2018年)。また、プロセス実装にはドラッグ&ドロップなどの操作で簡単にシステムを構築できるintra-martのローコード開発機能を活用している。
導入
「BPM実践ワークショップ研修」には、社内各部署から選抜した12人が参加。週一回の研修を8回、2カ月かけて受講した。
「研修の第一の目的は、業務プロセス記述を統一することです。以前にも、ISO基準に合わせた業務の見える化に取り組んだのですが、統一されたものにはなりませんでした。プロセス改善のためには、案件の入り口から出口までの記述の統一が不可欠。それによって、初めて最適化が可能になります」と清水氏。
研修は非常に実践的なものだったと振り返る。実務ベースの業務を研修の題材として選定。その業務プロセスを可視化して、課題を洗い出し、新しいやり方に変える理由への道筋を論理づけ経営層の説得までにもっていく、というものであった。その根底には、変えられない今のやり方を、それに関わる人の思考プロセスを変革させ、目的の達成を妨げている見えない制約事項をあぶりだし、成果につながる変革につなげていくTOC理論(Theory of Constraints:制約条件の理論)がある。
「変えられないと考えていた業務を、いかに変えるかという作業でした。この業務は、何のためにやっているのか、昔からやっているというだけではないのか、本当に変えられないのかを根本から見直すことになりました」とBPO統括本部 事業開発室 室員(部長代理相当職)の岡絵里子氏は振り返る。
「BPM実践ワークショップ研修」が採用された理由は、業務改革やDX人財を育成する研修の内容が充実していることに加えて、研修の中でintra-martのローコード開発により、BPMSのプロトタイプ構築まで実践できることにあったとのこと。既存のRPAや他システムとの柔軟な連携も可能である点も評価された。
「私自身、以前にイベントでイントラマート社のブースを訪れて説明を受けたことがありましたし、社内にintra-martをよく知る人もいて、高く評価されていました。ローコード開発が可能なため内製化に適しており、カスタマイズもスピーディーで容易に行うことができます」と経営戦略本部 BPM推進部 GL主任技師の藤田繁郎氏は語る。
研修後は社内の発表会で成果を報告。そして研修を受講した12人が今度は、社内の講師となって全社に知見やノウハウを実践しながら展開していった。
効果
「社内への実践展開を通じて、業務の全体像を捉え記述した約2,500プロセスから、デジタル化に有効と判断したプロセスをピックアップしました。2018年からBPMS化(intra-martへの実装)に取り組み、19年6月に初のリリースを実施しました。それから現在までに、90プロセスの実装を順次実現しています」と藤田氏。
その成果は確実に表れている。
業務プロセスが可視化されたことで無駄の排除が容易になり、業務のボトルネックがグラフ化され、継続的な改善が可能になった。さらに業務が属人化せず、仮にある担当者が不在でも別の担当者が確実に引き継ぐことができる。作業開始時に個々の作業量を確認することで適切な担当割当ができるため、業務平準化にも寄与している。テレワークが継続、さらに定着しようとしている現状において、業務平準化の実現は働き方改革にしっかりと貢献している。
また、業務統制という面からも顧客および現場の担当者と共通認識のもとで意思疎通がしやすくなった。作業自体、デジタルプロセス化で実現した画面やフロー図が『動く業務マニュアル』として適切に操作を指示してくれるため、手順に戸惑うことなく次のアクションに進むなど、統制の取れたオペレーションが可能となっている。
BPMS+RPAによる業務の自動化も進む。
「同じことを繰り返すルーティーン業務や標準化できる業務全体をRPA連携しています。例えば、ある営業事務では毎月数千枚もの受注手配を処理していますが、予め作業量が把握できるようになったことで、月末などに集中しがちな処理の平準化が可能となり、進捗状況も可視化できるようになりました」と藤田氏。
ただし、現状の業務をいきなりデジタル化することは無謀という。「BPM実践ワークショップ研修から得た知見の一つでもありますが、まず業務分析が重要で、その上でできるだけスリム化し、必要なものに絞ってデジタル化するというアプローチが欠かせません」と岡氏。
自動化は、intra-mart(BPMS)とRPAソフト「UiPath」の連携によって実現するものだ。全てのRPAは、BPMSから起動させることで全体の統制をとり、いわゆる野良ロボットの排除にも役立っているという。
岡氏は、BPMの考え方が現場にも広く浸透してきた影響も大きいと語る。
「効率化を阻む壁というものはいくつもあります。例えば、それまでは決められたルールに縛られ、それが間違っていると疑うことを考えもしなかったものが、BPMという考え方の浸透によって、変えても良いのだと気付かされました。実際、現場の担当者が自発的に改善を図ろうとする意欲も高まっていると、お客様から好評を得ています」という。
「As-Is」を「To-Be」に、という考え方が社内全体に普及し、確実に根付こうとしている。今では、社内のintra-mart(BPMS)ユーザーは500人以上にも上るという。
未来
日立BS社では今後、BPMS+RPAの適用領域を拡大していくとともに、intra-martを活用して、DX時代におけるBPO企業へと変革を続けていくことを目指している。
「より大きな分野の業務にも、BPMS+RPAを適応できるようにしていきたいと考えています。また、当然ながらペーパーレス化も求められていますが、そこについてもBPMS+RPAが確実に貢献できると確信しています」と清水氏。
また、清水氏はイントラマート社の提供するサービスは「『BPM実践ワークショップ研修』はもちろんですが、経営レベルにおける改革構想からBPMS実装、アフターサポートまでが充実していました。今後も、intra-martがさらに成熟していくことを望んでいます。また、BPMSについての事例はこれからということもあり、まだまだ潤沢ではないので、イントラマートさんが持つBPMSを活用していくための手段、例えば他社への導入を通じて得た知見やノウハウなどをぜひ、教えてほしいと考えています」と、今回のプロジェクトを通じたイントラマート社への評価について強調している。
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