導入事例
川崎重工業株式会社 プラント・環境カンパニー様
川崎重工業株式会社 プラント・環境カンパニーは製造手配・調達業務プロセスの標準化とレガシーシステムの再構築を目的に、2008年よりintra-martを開発統合基盤として採用。製造手配・調達統合システム「AICS」の構築により、数日掛かっていた製造手配~調達業務のリアルタイム化と業務の効率化を実現。2012年には図面・文書管理システム(ECM)も再構築し、ノウハウの蓄積・管理の効率化に貢献。今後は最新のintra-mart Accel Platformを軸に、電子データ交換システム(EDI)との連携強化による、取引先やお客様を含めた業務全体の効率化を進めていく。
課題
川崎重工業株式会社 プラント・環境カンパニーは、セメント、化学、非鉄金属などの各種産業プラントや、都市ごみ焼却施設をはじめとする、環境保全リサイクルの設計から建設までを一貫して行っているほか、LNG(液化天然ガス)やLPG(液化石油ガス)用のタンクや地下土木工事用のシールド掘削機の製造も行っており、エネルギー、社会インフラ、環境保全の各分野でグローバルに事業を展開している。
少量多品種となる大型設備を製造するプラント・環境カンパニーは、個別受注生産型での受注のため、扱う製品、顧客により異なるプロジェクト管理方法・設計業務フローを持っており、調達業務においては、数千社の仕入先から調達先を選定、製品ライフサイクルにおいては、長いもので40~50年の保守対応が必要となる。
しかしながら、当時(2007年まで)は製造手配・調達業務システムは多くの単独システムで構成されており、システム間連携は主に夜間のバッチ処理で行っていたため、製造手配から調達までの業務に、最低でも1日かかる状況だった。また、調達業務につながる膨大な設計図書・文書データは個人のPCやファイルサーバで個別に保管されており、長期の保守対応やプロジェクトのノウハウ、実績を次のプロジェクトへ活用するために設計図面・文書データを保管、共有する仕組みも必要とされていた。
プロジェクト本部 制御システム部 ITS技術課 基幹職の山本一昭氏は当時をこう振り返る。
「当時の製造手配・調達業務システムは2003年以前に運用開始したシステムに機能追加を重ね、さらに川崎重工グループ内での製品部門の統合・再編等を経て運用を続けた。その結果、ホストコンピューター方式とクライアントサーバ方式のシステムが複雑に混在している状況になっていた。まず最優先で求められたのが、我々のノウハウであるものづくりにおける仕事の流れとシステムの操作性はそのままに、レガシーシステムのマイグレーションを実施し、製造手配・調達関連業務全体の効率化、統一された業務データベースによるデータ連携の迅速化を図ることでした。」
導入
製造手配・調達システムの再構築に取り組むにあたり、複数社のベンダーにRFIを出し業者選定を実施。最終的には、過去よりお取引があり、信頼の厚かった日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ株式会社(以下、日本TCS)の「intra-mart」を開発基盤に据えた提案が採用された。
山本氏はこう語る。「フルスクラッチでの構築だけでなく、アプリケーションパッケージの導入も検討しましたが、プラント・環境カンパニーが個別受注生産型の事業であること、長年培ってきた仕事の進め方、ノウハウをシステムに落とし込む必要があるという点において、自社の業務スタイルをシステムに合わせるというようなアプリケーションパッケージ製品では到底実現できないと判断しました。一方、intra-martは、既存システムと連携を柔軟に行っていけるので、自社の開発基盤としてあっていました。また、ユーザ管理、権限管理の機能が充実しているのも評価しました。」
さらに、日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ株式会社 ADMサービス アプリケーション開発サービス 安田哲明氏は当時の開発についてこう語る。「川崎重工業様がスクラッチで開発を実施していく中で必要となる機能をintra-martはすでに部品として提供していました。さらに、自社開発していた図面文書管理システム(ECM)についても基盤としてintra-martへ載せる見通しもあったため、intra-martを開発基盤と据えることでコスト削減への貢献ができると判断しました。」
こうしてプロジェクトは2009年7月から開始し、約1年の開発期間を経て、2010年12月に製造手配・調達統合システム「AICS」は稼動を開始した。2016年にはサーバ機器、ミドルウェア更新を実施したが、サーバ仮想化、intra-mart最新バージョンへ移行も含め短期間にスムーズに完了し、システム運用コストのさらなる低減を実現、順調に稼働を続けている。
効果
製造手配・調達システムとして業務データベースが統合されたことで、製造手配~調達までの一連の業務プロセスと、散在していた各種データの統一がなされ、業務全体の効率化と生産性の向上に貢献。さらに、同一プラットフォームに統合されたことでシステム運用保守の手間も大幅に削減された。
「数日かかっていた製造手配~調達の業務は、リアルタイムでの処理が可能になりました。また、ユーザの操作性にこだわり、旧システムの画面などをできるだけ踏襲したことで、操作性はそのままに、他のシステムを立ち上げることなく、AICSの中だけで進捗状況の確認やデータ処理を進めることができるため、利便性が向上しています。」と山本氏は語る。
さらに、AICSの稼動実績を評価し、2012年には、図面・文書管理システム(ECM)もintra-mart上に再構築。図面・文書管理システムは、intra-martをシステム基盤として据えている日本TCSのコンテンツ管理テンプレートをプラント・環境カンパニーの業務に対応できるようカスタマイズし、intra-martのワークフローエンジンを活用することで、業務に直結する機能(コンテンツの承認ワークフロー、電子押印機能)を取り入れながら実現。これにより、今まで散在していた過去プロジェクトの図面や文書を資産として効率的に蓄積することができ、コストダウンと競争力の強化に貢献している。また、図面・文書管理システムとAICSの連携を整備することで、カンパニーの業務プロセス全体の効率化が進められている。
未来
2008年より基幹業務システムを統合・整備するプロジェクトを開始し、脱ホストによる製造手配・調達システムの統合、ECMの構築など、さまざまなシステムを統一基盤上に構築し、機能拡張を続けてきたプラント・環境カンパニーだが、その歩みは留まるところを知らない。
山本氏は以下のように語る。「今年度より検討を始めているのがBOM(部品表)情報や図面データを統一的に扱う設計業務のシステム構築です。設計の情報と製造手配・調達システムの仕組みをつなげ、取引先も含めた当カンパニーの業務全般のシステム化を推進したいと考えています。しかしながら、各製品群や取り扱う部門によって図面や部品のデータはもちろんのこと、業務の進め方も異なっているのが現状です。それら多くの問題を解決していかに実現していくかがこれからの課題です。」
現在は、電子データ交換システム(EDI)との連携を強化し、取引先を含めた調達業務の更なる効率化に取り組んでいる。数千社の取引先と実施している見積照会に関わるデータのやり取りを「AICS」と連携してEDIシステム上で実施できるようするプロジェクトを実行中である。プラント・環境カンパニーは「intra-mart」の柔軟性や開発のしやすさを駆使しながら、更なる業務改善へのチャレンジを続けている。イントラマート社は引き続き製品の機能追加や提案活動を通して、川崎重工グループの業務改善に貢献していく。
お客様が抱える課題の解決策とご要望を鑑みたとき、スクラッチ開発以外に選択肢はありませんでした。
認証や権限制御といったシステム全体で必要となる機能と、J2EE開発基盤としての側面を併せ持ったイントラマートの選択は、2016年に仮想化環境へ容易に移行出来た事実からも正しかったと言えます。
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