BPMツール「IM-BIS」とルールエンジンを活用して複雑な業務の自動化に成功「システム化ができない業務」という常識が変わり、業務改革とコスト削減策に新たなアプローチが生まれた

NTTコミュニケーションズ株式会社様

NTT コミュニケーションズ株式会社(以下、NTT コミュニケーションズ)は、intra-martのBPM 統合開発ツール「IM-BIS」とオープンソースのルールエンジン「OpenRules」を用いて、「建設工事の準備作業」をワークフロー化・自動化した。
これまでシステム化が困難と言われていた複雑な業務をIM-BIS のBPM 機能により見える化し、さらにルールエンジンを利用することで作業を自動化できたことで、延べ21時間かかっていた準備作業は、わずか7 時間で完了するようになった。
同社は今後も、自動化が馴染まないと思われていた業務や労働集約的な業務をシステム化して、業務改革とコスト削減のアプローチを根本から変えたいと考えている。IM-BIS とルールエンジンの活用は、それほどに大きな可能性を持っているのだ。

目次

1.課題
劇的なコスト削減、業務改善の革命を求めて「従来システム化ができなかった業務のシステム化」に挑む

2.導入
人間の判断と複雑な条件分岐を伴う
建設工事準備作業をルールエンジンを用いて自動化

3.効果
複雑な人間系業務をシステム化できた
21 時間かかっていた作業が7 時間へ劇的短縮

4.未来
NTT グループへの展開、海外展開も視野に
システム化に馴染まない既存業務に風穴を

課題

劇的なコスト削減、業務改善の革命を求めて「従来システム化ができなかった業務のシステム化」に挑む

「BPM、BPR、開発期間短縮。そういう言葉で今回のプロジェクトをくくりたくない。いままでシステム化できなかった業務がシステム化できた。判断を伴う複雑な定型業務を次々に自動化していく道が開けた。これはもう新しい価値にリーチしているのであって、業務改革のパラダイムシフトと言ってもいいでしょう」と、NTT コミュニケーションズ株式会社 プロセス&ナレッジマネジメント部長の出口秀一氏は熱く語る。

NTT コミュニケーションズは、これまでの「日本を代表する大手通信事業者」のイメージから一歩進んで、世界から最適なICT パートナーとして選ばれるリーディンググローバルプレーヤー「Global ICT Partner」となることを目指して革新を続けている。

プロセス&ナレッジマネジメント部長
出口 秀一氏

一方で、国内の通信市場は、市場成熟化による成長鈍化、参入者増加による競争激化、サービス要求の高度化などが年を追って厳しさを増している。NTT コミュニケーションズは、「もはや、つなぐだけでは収益を確保できない」(出口氏)という危機意識を全社で共有しながら、徹底的なコスト削減に取り組んでいる。

「われわれはすでに、改善できるところは徹底的に改善してきました。そのうえでさらに、年間100~150億円のコスト削減が、経営目標となっています。単純な改善や無理やりの節約では、この金額規模は達成できません。ICT の使い方を進化させ、『これはシステム化できない』と言われていた領域に踏み込んでシステム化・自動化を推進し、『コストをミニマイズ』することが、残された数少ない切り札なのです」と出口氏は語る。

intra-mart に対しては以前から、ワークフローを短期間で開発でき、業務効率化に役立つツールとして注目してきた。さらに、統合開発ツール「IM-BIS」とオープンソースのルールエンジン「OpenRules」を組み合わせて使えるようになったことにいち早く着目。これを用いて、「システム化できなかった業務のシステム化」へ挑戦することにした。
「今回取り組んだのは、通信設備の建設工事の準備作業の自動化・ワークフロー化です。当社業務の中でも、システム化に馴染まないと言われ、人による作業が中心になっている労働集約的な業務の代表格。最もてごわいこの業務がシステム化できれば、他の多くの業務に派生させられます」と出口氏は言う。

導入

人間の判断と複雑な条件分岐を伴う
建設工事準備作業をルールエンジンを用いて自動化

ネットワークサービスを提供するには、通信設備を備えつけてネットワークを作る建設工事が必要だ。最近は、トラフィック増に対応するため、ネットワーク高度化のための工事が頻繁に行われる。  建設工事の準備作業とは、工事設計情報やネットワーク設定情報などをもとに、通信機器に入力する設定ファイル(Config)や工事手順書などを作成する作業である。
工事手順や通信機器の設定は、装置の種類・メーカー・機種・バージョン、利用目的や組み合わせによって異なる。担当者は、膨大な設備系データベースから、工事基本情報、アドレス情報、装置実装情報、ネットワーク構成情報など、必要な情報を抽出する。さらに、たくさん用意されている「ひな形」から当該案件に最も適合するものを選び、図面情報、工事基本情報などをコピー&ペーストしながら、設定ファイル(Config)や工事手順書などを作り上げる。
設定ファイル(Config)は1 万行に及ぶこともある。その1 カ所が間違っていても、通信機器は正しく機能しない。そこで、担当者が約9 時間かけて作成した後、複数人が同様の手順を踏んで隅々までチェックする。ここで延べ約12 時間加わる。つまり1 件の工事準備に、合計約21 時間かかるのだ。しかも、通信機器の汎用化が進み、バージョンアップが頻繁に行われて、設定ファイル(Config)の設定はますます長大化・複雑化の様相を深めている。

NTT コミュニケーションズはこれまで、手作業を自動化するためのツールとして、TASCOOLType Ⅰを社内開発していた。操作したとおりの手順を記憶して、そのとおりに作業を実行するツールである。しかしこのツールは、複雑な条件分岐などを伴う業務のシステム化には適さなかった。

【TASCOOL専用サイト】
http://www.tascool.com/

そこで、知識と経験に基づいて判断しながら進める工事準備作業は、IM-BIS とルールエンジンを中心に用いてシステム化することにした。intra-mart が、同社におけるTASCOOL Type Ⅱという位置づけである。また、開発したシステムを適用するモデル現場として、仙台OCNセンタに白羽の矢を立てた。設定ファイル(Config)や工事手順書などを作成するビジネスルールは、実は、分厚い紙のマニュアルに記載されている。まず、イントラマート社のSE が、紙のマニュアルをビジネスルール化して、適切なひな形を自動選択するルールエンジンと、工事情報を順番にコピー&ペーストして番号の順送りなどを実行する置換エンジン、そして、これらをベースに動くワークフローの基本形を開発した。次に、IM-BIS とルールエンジンを仙台OCNセンタへ持ち込み、同センタの現場担当者が、画面設計・フロー設計に取り組んだ。

「最初、準備作業をワークフロー化しようと言うと、現場は非常に不安がりました。しかし、紙のマニュアルを順次ルール化して、ワークフローが目の前で少しずつ動き出すと、現場担当者のほうがどんどんのってきたのです。IM-BIS はノンプログラミングツールなので、2 ~ 3日使えば、操作を覚えてしまいます。いつの間にか、現場の作業者が、自分で新たなフローを設計するようになっていました」と出口氏は語る。

「机上のシステム開発で終わることなく、現場でチューニングできる」。複雑な業務のワークフロー化と確実な利用を実現するうえで、これも重要なポイントである。

効果

複雑な人間系業務をシステム化できた
21 時間かかっていた作業が7 時間へ劇的短縮

工事準備作業のワークフローは、2013 年10月、仙台OCNセンタで運用が始まった。「アジャイル開発の手法を用いたため、開発期間は実質3 カ月」と出口氏は胸を張る。
IM-BIS とルールエンジンを用いることで、ひな形選択や、必要な情報をコピー&ペーストする反復作業は、ほとんどが自動化された。複数人が行うチェック作業もシンプルになった。しかも、自動化した業務では、コピーミスや見落としが発生しない。1 万行に及ぶ設定ファイル(Config)が、ミスなく自動生成される。1 件につき延べ21 時間かかっていた準備作業は、7 時間で完了するようになった。

「このワークフローを社外へ外注してスクラッチ開発したら、軽く見積もっても1 億円かかったでしょう。だから、『システム化できない』と言われていたのです。ところがintra-martを使ってみたら、作業の端から端まできちんとワークフロー化できました。社内では、いままであきらめていた業務を、『これもシステム化できないか』とみんなが聞いてくるようになり、目の色が変わってきています。複雑な業務がシステム化できた、革命ができた。これが今回プロジェクトの最大の効果です」と出口氏は言う。

未来

NTT グループへの展開、海外展開も視野に
システム化に馴染まない既存業務に風穴を

ロジック化したビジネスルールは、ライブラリとして再利用していくことができる。類似業務に対しては、すでにあるルールエンジンを活用して、より安く、より速く、業務のシステム化を展開していけるのだ。
工事準備のワークフローは今後、対応機種や利用拠点を拡大していく。また、IM-BIS とルールエンジンを用いたワークフロー化・自動化は、NTT コミュニケーションズ社内で、すでに複数プロジェクトが動き出している。
「設定ファイル(Config)や工事手順書などを作るのに手間がかかっている部署は、NTTグループ全体では、ほかにもたくさんあります。また、intra-mart の多言語対応を活用して、利用を海外にも広げて行きたい。今回のプロジェクトは、数千万円から数億円のコスト削減につながっていくと思いますが、利用を広げれば広げるほど、コスト削減効果は大きくなるのです」と出口氏は意気込む。

建設工事の準備作業にとどまらず、「情報の流れの交通整理を人間がやっている」といった人間系の業務は、どの企業にも多数存在する。こうした「システム化に馴染まない業務」に風穴を開ける道が開けたのだ。
「システム化される領域と、人の作業の領域との境界線がこれからは変わります。IM-BISとルールエンジンの組み合わせは、それほどに大きな可能性を持っているのです」と出口氏は強調した。

基本情報

NTTコミュニケーションズ株式会社

本社
東京都千代田区内幸町1丁目1番6号
設立
1999年7月1日
資本金
2,117億円
社員数
6,850人(2013年3月31日現在)
概要
大手電気通信事業者。都道府県間・国際などの長距離データ通信、ISP、電話事業、システムインテグレーションなどを幅広く手掛ける。
「OCN」ブラン ドで展開するISP事業は、日本最大規模であると同時に、アジア唯一のTier1 プロバイダとして世界から認知されている。
「グローバルクラウドビジョン」 のもとネットワーク/データセンタからアプリケーションまでを含めたトータルICT アウトソーシングをグローバルシームレスに展開。
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