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DX投資促進税制とは?~認定要件や利用のための具体的なステップまで詳しく解説~

DX投資促進税制とは?~認定要件や利用のための具体的なステップまで詳しく解説~

DX投資促進税制とは、2021年に6月に成立した産業競争力強化法など関連6法の改正の中で、DX推進の一環として創設された制度です。2021年8月2日から2023年3月31日(2022年度)までの時限措置となっていましたが、期限を延長して要件を見直すことが決定しています。

DXに取り組む際は、多くの場合、設備投資が必要になるため、ぜひ認定を受けたい制度です。
本コラムでは、DX投資促進税制についての概要と認定要件、認定取得のためのステップなどをご紹介いたします。

 

DX投資促進税制とは

DX投資促進税制とは、2021年に6月に成立した産業競争力強化法など関連6法の改正の中で、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進の一環として創設された制度です。

政府がDXを推進する中でコロナ禍になり、食品や家具を扱う小売業者などは伸びたものの、飲食業やサービス業を中心に多くの企業で業績が低迷しました。このため、DXに取り組むに当たり金銭コストがネックになるという企業に対し、税額控除や特別償却で支援しようというのが「DX投資促進税制」です。

DX投資促進税制の具体的な内容

DX投資促進税制では、「デジタル要件(D要件)」と「企業変革要件(X要件)」の両方を満たした企業に対して、税額控除(5%・3%)または特別償却(30%)という措置を実施します。

金額基準/控除額

DX投資促進税制では、下記の税額控除(5%・3%)、特別償却(30%)のいずれかを適用することができます。

税額控除を選択した場合、原則として3%が適用となります。5%となるのは、自社グループ外の法人ともデータの連携や共有を行う場合のみです。

税額控除とは

法人税における「税額控除」とは、収めるべき法人税額を計算する際に、課税所得金額に税率をかけた法人税額から直接、控除する金額のことです。

特別償却とは

特別償却とは、普通償却限度額に加えて損金として計上できる金額のことです。

投資額についての上限・下限も決まっています。

上限:300億円(300億円を上回る投資は300億円まで)
下限:売上高比0.1%以上

また、税額控除上限は、「カーボンニュートラル投資促進税制」と合わせて当期法人税額の20%までとなっています。

 

DX投資促進税制の認定要件

DX投資促進税制は、DXを推進するための制度であるため、DXを実施していると認定されるための要件が設けられています。そのほかの対象期日などを含め、現行(2025年3月末まで)の要件は以下の通りです。

デジタル要件(D要件)

デジタル要件(D要件)としては、次の3点を満たす必要があります。

データ連携

社外のデータや、センサーなどを用いて新たに取得するデータと、既存の社内データとを連携させる必要があります。

クラウド技術の活用

社外のベンダーが提供するクラウドサービスや、自社開発したクラウド環境などを活用する必要があります。

情報処理推進機構(IPA)が審査する「DX認定」の取得

DX投資促進税制で認定を受けるには、情報処理推進機構(IPA)の審査を通過する必要があります。審査では、経営ビジョン・ビジネスモデル、戦略などの6項目について、経済産業省令に定められた認定基準に適合しているかどうかをチェックされます。

なお、改正DX投資促進税制では、DX認定の基準が変更された2022年12月1日以降に、DX認定の取得・更新を行っている必要があります。2022年11月30日以前に取得した状態のままでは認定されませんので、ご注意ください。

また、IPAはDX投資促進税制度のDX認定制度事務局となっており、審査以外に相談や問い合わせ対応も行っています。

企業変革要件(X要件)

企業変革要件(X要件)としては、次の3点を満たす必要があります。

全社の意思決定に基づくものであること

取締役会などにおける決議文書を添付するなど、全社の意思決定に基づくものであることを明示する必要があります。

全社レベルでの売上上昇が見込まれること

一部の事業や部門などに限らず、全社的な売上アップが期待できるようなDXに取り組む必要があります。

成長性の高い海外市場の獲得を図ること

海外市場の中でも成長性の高いところへ進出するか、拡大を図る必要があります。

対象資産(設備)

DX投資促進税制の対象資産となるのは、

(1)ソフトウェア
(2)繰延資産(クラウドシステムへの移行に係る初期費用)
(3)器具備品(ただし、ソフトウェア・繰延資産と連携して使用するものに限る)
(4)機械装置(ただし、ソフトウェア・繰延資産と連携して使用するものに限る)

の4分野です。

期日

改正前は、2023(令和5)年3月31日までに事業適応計画が認定され、なおかつ、事業の用に供した資産が対象となっていましたが、改正DX投資促進税制は、2025(令和7)年3月31日までが適用期間となります。

また、IPAによる「DX認定」には60営業日(約3ヵ月)、経済産業大臣による「事業適応計画」の承認には30日ほどかかりますので、この期間を見越して取り組む必要があります。
DX投資促進税制の恩恵を受けるためのステップについては、次章で詳しくお伝えいたします。

 

DX投資促進税制の恩恵を受けるためのステップ

では、実際にDX投資促進税制を適用するには、どうしたら良いのでしょうか?
DX投資促進税制の恩恵を受けるためのステップを時系列にまとめてご紹介いたします。

ステップ1:DX投資促進税制の詳細と自社の現状確認

まずは、当該制度の詳細を把握する必要があります。こちらのページのほか、経済産業省やIPAが公表している資料を参照して、条件などを確認してください。

その上で、適用要件を満たすために何をすべきか、自社の現状を把握し、どのようなDXに取り組むかを検討する必要があるでしょう。

ステップ2:DX認定の申請・取得

当該制度の要件として、IPAの「DX認定」を取得する必要があるため、申請を行います。
認定の条件は、「デジタルガバナンス・コード」と呼ばれる基準を満たすこと。

デジタルガバナンス・コードとは、経済産業省が、DXが進みデジタルディスラプションが起こる世の中で、経営者に求められる企業価値向上に向け実践すべき事柄をまとめたものです。

デジタルガバナンス・コードは、以下の4分野6項目です。

(1)ビジョン・ビジネスモデル
(2)戦略
 1.組織づくり・人材・企業文化に関する方策
 2.ITシステム・デジタル技術活用環境の整備に関する方策
(3)成果と重要な成果指標
(4)ガバナンスシステム

なお、2022年9月13日に改訂された「デジタルガバナンス・コード2.0」が2023年1月時点での最新版となります。

認定の審査に関して費用などは発生しません。
そのほか、DX認定の申請に関して詳しく知りたい方は、IPAの「DX認定制度FAQ(よくある質問)」をご覧いただくとわかりやすいでしょう。

ステップ3:「事業適応計画」の作成・承認

IPAの「DX認定」を取得したら、「事業適応計画」を作成し、経済産業大臣の承認を得る必要があります。

DX認定を受けようとする事業適応計画に関する取り組み内容の属する事業分野を所管する省庁へ、個別に相談の上、「事業適応計画」を作成・提出します。

「事業適応計画」に記載する必要のある項目は、以下の3点です。

  • 事業の目標
  • 事業の内容
  • 投資の内容

また、併せて「情報技術事業適応に係る確認申請書」や補足資料も記載・提出する必要があり、それぞれ所定の様式があります。
詳しくは、経済産業省が公表している「申請書の記載例・ポイントについて(DX投資促進税制)」をご覧ください。

ステップ4:DX資産の取得と税務申告

「事業適応計画」の承認を受けたら、事業適応計画やデジタルガバナンス・コードに則り、実際にDX資産を取得してDXに取り組みましょう。税制適用期間内に事業の用に供す必要があります。

適用事業年度が終了したら、DX投資促進税制を適用し、税務申告を行います。

ステップ5:「実施状況報告書」の提出

適用事業年度終了後、3ヵ月以内に「実施状況報告書」を提出する必要があります。

 

DX投資促進税制以外の優遇措置や補助金

DXに取り組むに当たり、「DX投資促進税制」以外にも利用できる優遇措置や補助金があります。

IT導入補助金

IT導入補助金とは、独立行政法人中小企業基盤整備機構と中小企業庁が監督する中小企業・小規模事業者の補助金で、ITツール導入に利用できます。

IT導入補助金は、「通常枠」「セキュリティ対策推進枠」「デジタル化基盤導入類型」「複数社連携IT導入類型」の4つの枠が用意されています。

たとえば、通常枠では、ソフトウェア費・クラウド利用料(1年分)などに対し、さらに「A類型」と「B類型」に分かれており、それぞれ「30~150万円未満」「150~450万円以下」の補助額の1/2以内が補助されます。

参考:IT導入補助金2022

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金とは、中小企業庁と独立行政法人中小企業基盤整備機構が実施する補助金で、いわゆる「ものづくり補助金」と呼ばれているもので、経費の1/2もしくは2/3が補助されます(上限金額は枠ごとに異なります)。

必ずしも製造業である必要はなく、資本金が3億円位内、常時雇用する従業員数が300人以内の企業であれば、小売業やサービス事業も対象となります。

基本要件として、

  • 付加価値額:+3%以上/年
  • 給与支給総額:+1.5%以上/年
  • 事業場内最低賃金≧地域別最低賃金+30円

の3点を満たす3~5年の事業計画の策定および実行が必要です。

さらに、「通常枠」「回復型賃上げ・雇用拡大枠」「デジタル枠」「グリーン枠」「新特別枠」の枠ごとに個別の要件を満たす必要があります。

サイバーセキュリティ対策促進助成金

サイバーセキュリティ対策促進助成金とは、公益財団法人 東京都中小企業振興公社が中小企業者向けに実施している助成金で、都内の中小企業者・中小企業団体のうち、IPAが実施している「SECURITY ACTIONの2段階目(二つ星)」を宣言しているところが対象です。

統合型アプライアンスやネットワーク脅威対策製品、標的型メール訓練など7つの助成対象経費にかかった1/2以内、30~1,500万円まで(※標的型メール訓練に関しては別途規定)が助成されます。

参考:令和4年度 サイバーセキュリティ対策促進助成金 申請案内

DXに関する「DX投資促進税制」以外の補助金について詳しくは、別記事「DX推進で補助金がもらえる? ~おすすめの補助金一覧や受給までのステップをご紹介~」もご覧ください。

 

5. まとめ

DXの定義は、最新のデジタルテクノロジーを活用してビジネスモデルやプロダクト、顧客体験などを変革させることです。最新のデジタルテクノロジーを導入するとなれば、導入費用や人材の採用、教育などにコストがかかるもの。利用できる制度は漏れなく申請しておきたいところです。

こちらでは、DX投資促進税制についてご紹介しました。ほかにも「DX投資促進税制以外の優遇措置や補助金」でご紹介した通り、DXに活用できる補助金はありますが、2024年1月現在では、中小企業を対象にしたものが多いです。大企業は、まず現行のDX投資促進税制、改訂後のDX投資促進税制を確実に取得できるように進めましょう。

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