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堅調な日本企業のIT投資動向 DXの基盤づくりが進む

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堅調な日本企業のIT投資動向 DXの基盤づくりが進む

今秋、日本企業のIT投資動向に関する最新調査結果が複数の調査会社から発表されました。デジタルトランスフォーメーション(DX)の基盤づくりに本腰を入れ始めた企業が増加しているというのが各調査に共通しているポイントです。多くの組織の意思決定者が、新型コロナ禍による急激な事業環境の変化を経験し、レジリエンスに優れた事業や組織の基盤づくりを喫緊の課題と捉えていると言えそうです。

 

1.近年になく企業のIT投資意欲が高まっている

アイ・ティ・アール(ITR)は11月、「国内IT投資動向調査報告書2023」を発売するとともに、その一部を公開しました。2022年8月から9月にかけて、国内企業でIT戦略・IT投資の意思決定に関与する役職者を対象に実施した調査の結果をまとめたレポートで、今回は2172人から有効な回答を得ているとしています。

まず、22年度(22年4月~23年3月)のIT予算額が前年度比でどのように推移したかを見てみましょう。「増額」したとする企業の割合は、21年の前回調査から6ポイント増の41%となりました。これは、同社が01年に調査を開始して以来最高値です。一方、「減額」した企業は前回調査から4ポイント減の7%でした。

企業の売り上げ規模別に見ると、IT予算を増額した企業の割合が最も高いのは「500億~1,000億円未満」でした。実に過半数の企業が前年度比でIT予算を増額したと答えており、中堅企業のIT投資意欲が大企業をしのぐ勢いで高まっていることをうかがわせます。


IT予算額の増減(出典:ITR「IT投資動向調査2023」)

レポートでは、IT予算の増減傾向を指数化した「IT投資インデックス」についても紹介しています。前年度比の増減が「20%以上の増加」を+20、「10%から20%未満の増加」を+15、「10%未満の増加」を+5、「横ばい」を0、「10%未満の減少」を-5、「10%から20%未満の減少」を-15、「20%以上の減少」を-20として積み上げ、回答数で除した値が当該年度のIT投資インデックスになります。国内企業のIT予算全体が、前年度比でどの程度増加(または減少)傾向にあるかを大まかに示す数値と言えます。

22年度の実績値は3.39と2年連続で上昇し、3ポイント台を記録したのは06年度以来とのこと。国内企業のIT予投資意欲は近年になく高まっていると指摘しています。その背景については、「コロナ禍によるビジネス環境の変化とDXに対する意欲の高まりがIT投資の増額を後押ししていると推察される」と分析しています。また、23年度の予測値は3.32で、「2022年度とほぼ同水準のIT投資意欲が維持されると見られる」と結論づけています。


2.製造業や金融業で顕著な「攻めのIT投資」

9月には、富士キメラ総研も国内IT投資動向の調査結果「業種別IT投資/デジタルソリューション市場 2022年版」を発表し、その内容の一部を公開しています。タイトルどおり、ユーザー企業の業種別のIT投資動向と、ITソリューションのカテゴリーごとの需要動向という二つのテーマを軸とした調査です。

結論として、「国内のIT投資額は堅調な拡大が続く」との見方を示しており、全業種合計のIT投資額は、22年度が20兆1972億円(21年度比104.6%)の見込み、26年度には23兆5131億円(同121.7%)まで拡大すると予測しています。背景としては、DXの基盤整備やビジネス変革、事業領域の拡大など、いわゆる「攻めのIT投資」が業種を問わず増加していることを指摘しています。

一方で、業務効率化や既存システムの維持、改修、運用といった「守りのIT投資」は、ダウンサイジングやクラウド化により減少傾向が明確なものの、間もなく底を打ち、一定の規模を維持すると見ているようです。「人材不足への対応やコスト削減を目的とした、既存業務における効率化やIT化への投資」に対する需要は根強いものがあると言えそうです。

業種別では、製造業、金融業、小売/卸売業の投資額が大きく、しばらくは投資意欲が旺盛なまま推移しそうだという結果になりました。同社のレポートでは、製造業がこうした動きをけん引していることがうかがえます。現在のIT投資規模は業種別で群を抜いて大きく、将来的なIT投資額の伸び率も最も大きくなると予測しています。


国内の業種別IT投資額(出典:富士キメラ総研「業種別IT投資/デジタルソリューション市場 2022年版」)

製造業では21年度に大手企業を中心に収益が改善し、「人材不足やコスト最適化、生産性の向上、スマートファクトリーの実現など、DX推進に関連した投資が拡大した」とのこと。また、新型コロナ禍により顕在化したサプライチェーンや需要変動のリスクへの対応として、データマネジメントや自動化、遠隔監視関連の投資も増えたと分析。今後は「生産現場でのデータ連携や可視化に向けたスマートファクトリー構築、全体最適化を目指した基幹系システムの刷新に対応した需要が中心になる」との見通しを示しています。

また、金融業についても注目すべき業種として言及。「金融サービスの高度化や新しい金融ニーズへの迅速な対応、異業種参入による多様なサービス展開に伴い、APIやマイクロサービスなどの技術活用に向けた投資が進む」と分析しています。


3.DXに本気で取り組む企業が増えている

ITR、富士キメラ総研のいずれの調査でも、DXに取り組む企業が増えていることがIT投資の拡大につながっていると指摘していますが、それを補完するような調査結果も出ています。日経BPは11月、「デジタル化実態調査2022年版」を発表しました。22年5月から7月にかけてアンケート調査を実施し、全国の674社から得た有効回答を基に、各企業におけるDXの取り組み状況などを分析したものです。

今回の調査でDXを「推進している」(「積極的に推進している」と「少しは推進している」の合計)と答えた企業の割合は70.1%で、前回調査(20年)と比べて22.5ポイントも増加しています。特に「積極的に推進している」と答えた企業の増加が顕著で、前回は12.8%だったのが、およそ2.5倍の31.8%に伸びています。

また、DX関連プロジェクトへの取り組み状況についてもアンケート調査を行っており、「本気で取り組み、目覚ましい成果を上げている」と答えた企業は2.8%、「本気で取り組み、一定の成果を上げている」という企業は28.9%となりました。DXでなんらかの成果を上げている企業は30%を超える結果になり、前回調査と比べて約10ポイント増加したかたちです。

一方で、DX関連プロジェクトが「PoC(概念検証)という位置づけである」と回答した企業の割合は、前回が46.4%だったのに対して、今回は23.6%と半減しています。日経BPはこうした傾向について「従来、PoCを繰り返してもなかなか事業化できず、徐々にDXの推進力を失ってしまうPoC疲れが課題となっていたが、PoCで足踏みする企業が大幅に減ったことがうかがえる」としています。

4.まとめ

国内企業のIT投資は、目下、堅調に推移しています。DXに本気で取り組む必要があるという課題意識が経営者層でも高まり、経営の重要課題としてIT戦略を考える企業が増えているのは間違いないと言えるでしょう。

ただし、新型コロナ禍のインパクトを経て、世界的な景気後退の兆しが指摘されるなど、市場環境の激動は続きそうな気配です。そうした変化に適応して競争力を維持・向上させ続けられる企業に生まれ変わることこそ、DXの本質。IT投資の戦略を考える際は、それを忘れないようにしたいものです。

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