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堅調に推移する国内パブリッククラウドサービス市場 クラウド活用の高度化も進む

堅調に推移する国内パブリッククラウドサービス市場 クラウド活用の高度化も進む

目次

 

1.2026年には4兆円を超える市場に

IT専門調査会社のIDC Japanは9月、最新の「国内パブリッククラウドサービス市場予測」レポートを発表しました。エンタープライズIT市場のクラウド活用は着実に拡大しているというのが多くの人の実感だと思いますが、それを裏付けるように、市場規模がリニアに成長すると分析しています。一方で、クラウド活用の高度化のトレンドも明確になってきており、その文脈で「FinOps」への注目が高まっていると指摘。パブリッククラウド市場が新たなフェーズに入ったことをうかがわせる調査結果となっています。

具体的な数字を見ていきましょう。2022年の国内パブリッククラウドサービス市場規模は前年比29.8%増の2兆1594億円となる見込み。26年の市場規模は4兆2795億円と予測しており、これは21年比で約2.6倍の規模です。また、21年~26年の年間平均成長率(CAGR)は20.8%で推移するとIDCは見ています。


国内パブリッククラウドサービス市場 2021年~26年の売上額予測(出典:IDC Japan)

グラフを見ると分かりやすいですが、IDCは毎年ほぼ同規模(5000億円程度)で国内パブリッククラウドサービス市場が拡大していくと予測しています。毎年母数が拡大するので前年比成長率は当然下がっていきますが、安定した市場拡大が見込まれているとは言えそうです。

2.変革のスピード感は上がりつつある

レポートでは、こうした数字の背景として、目下の市場の定性的な分析結果にも言及しています。企業の情報システムをオンプレミスの従来型ITからクラウドに移行するクラウドマイグレーションは「対象とするシステム領域/ワークロードを急速に拡大している」といいます。

また、クラウド活用の幅の広がりだけでなく、深度も増していると指摘しています。IDCは「多くのユーザー企業が、クラウドの導入/利用促進から、『高度活用』という新しい段階へと歩みを進めている」としています。IT投資コストの最適化やシステムの可用性の強化、ビジネスにおける生産性の向上といった「改善」のための取り組みや、デジタルトランスフォーメーション(DX)やビジネスのデータドリブン化などの「変革」に欠かせないインフラとして、パブリッククラウドの価値が多くのユーザーに認知されてきていると見ているようです。

DXの取り組みでは本来、単に先進のITツールやテクノロジーを導入したり、新しい技術スキルを習得したりするだけでなく、組織や企業文化の変革も必要になります。そう考えると、企業には非常に志が高く多様な取り組みが求められるわけですが、あらゆる企業がフルスロットルでDXに取り組めるわけではありません。IDCは「課題も多く見られるが、課題の前で立ちすくんだり、検討に長い時間をかけるのではなく、可能なことから実行に移す企業が増加している。このことが、国内パブリッククラウドサービス市場の成長を促進している」とも指摘しています。

3.FinOpsは単なるクラウドコスト管理にあらず

パブリッククラウド活用の高度化の文脈では、注目すべき具体的な手法として「FinOps」に言及しています。IDCはFinOpsについて「迅速性、拡張性、従量課金、セルフサービスといったパブリッククラウドサービスの特徴に合致した新しい財務管理フレームワーク/プラクティス」であると説明します。

当然ながら、利用時間や使ったリソースに応じて料金を支払うモデルが支配的なパブリッククラウドをベースにした情報システムと、従来のオンプレミスでのシステム構築や運用とでは、コストの管理や最適化の手法も異なるのが自然です。ただし、FinOpsは単に財務管理のみにフォーカスした考え方ではありません。クラウド活用のコストが、製品・サービスの開発スピードや品質など、自社ビジネスの競争力に影響する指標にどのように影響するのか、データを基に都度最適なバランスを保てるようにコントロールしていくという発想が前提にあります。ビジネス価値を最大化するためのクラウドリソース最適化手法と捉えるべきでしょう。

FinOpsには、経理部門はもとより、事業部門、IT部門などを横断したアジリティの高い意思決定の体制が必要です。企業文化や組織の変革といった、まさにDXの本質とも言える課題に向き合わなければならないわけで、高いハードルだと感じる企業も少なくないかもしれません。IDC JapanでITサービスのリサーチディレクターを務める松本聡氏は「ベンダーはツールを提供するだけではなく、組織/文化変革支援といったコンサルティングを組み合わせた支援体制の強化が求められている」とコメントしています。

4.まとめ

パブリッククラウドサービス市場は当面、CAGR20%以上という高い水準で安定的に成長していくとIDCは見ていますが、その背景は多面的です。レポートでは多くの企業がパブリッククラウドの「高度活用」の段階に進んでいるとしていますが、実際はかなり濃淡があり、クラウドの高度活用をビジネスの成長につなげられている企業はまだまだ少数でしょう。IT投資の本質を踏まえたデジタル戦略を描き、実行できる企業が増えれば、パブリッククラウドサービス市場の拡大はさらに加速する可能性もありそうです。

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