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経営者が理解しておくべきDXのポイント「デジタルガバナンス・コード2.0」を読む

経営者が理解しておくべきDXのポイント「デジタルガバナンス・コード2.0」を読む

経済産業省は先ごろ、「デジタルガバナンス・コード2.0」を策定・公表しました。20年1月に発表された「デジタルガバナンス・コード」のアップデート版で、デジタルトランスフォーメーション(DX)を進めて企業価値を高めるために経営者が実践すべきことを示したものです。経産省はDXを推進する準備が整っている企業を認定する「DX認定」を2020年にスタートさせるとともに、DX認定を受けた東京証券取引所上場企業を対象に先進DX企業を「DX銘柄」として毎年選定していますが、これらの制度もデジタルガバナンス・コードを認定/評価基準としています。

DXはもはや企業経営における必須科目です。その意味で、経営者やビジネスリーダーにとってはデジタルガバナンス・コードの把握・理解も不可欠と言えそうです。本記事ではデジタルガバナンス・コードの概要とバージョン2.0でアップデートされた内容を解説します。「DX-Ready」な経営や事業運営について改めて考えてみましょう。

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1.経営層がDXのために取り組むべきことを広く網羅

まずはデジタルガバナンス・コードの概要をおさらいしましょう。企業経営における「ビジョン・ビジネスモデル」や全体の「戦略」、より細分化した戦略としての「組織づくり・人材・企業文化に関する方策」「ITシステム・デジタル技術活用環境の整備に関する方策」、さらには「成果と重要な成果指標」「ガバナンスシステム」といった項目ごとに、経営層が取り組むべきことをまとめています。

各項目で構成は共通しており、「基本的事項」として「柱となる考え方」とDX認定の「認定基準」を示した上で、「望ましい方向性」「取組例」を提示しています。基本的事項ではDXに取り組む経営者が押さえるべき基本的な考え方を項目ごとに示し、望ましい方向性と取組例では、この基本的な考え方を経営戦略に落とし込む際の指針と、それに沿った具体的な取り組みの想定ケースを示したかたちです。

2.DX認定の認定基準やDX銘柄の評価基準にも

前述したDX認定、DX銘柄との関係も改めて整理してみます。まずDX認定については、基本的事項を経営戦略にきちんと反映しているかどうかを判断する基準としてデジタルガバナンス・コード内で認定基準を定義しています。一方、DX銘柄については、デジタルガバナンス・コード内で示した望ましい方向性、取組例を評価基準として、DXの実行能力に優れ成果を挙げた企業を選定するという構図です。

デジタルガバナンス・コードから具体的な記述を抜粋してみると、より分かりやすいかもしれません。例えば経営の全体戦略について経営者が取り組むべきことは、以下のように規定しています。

(1)基本的戦略
①柱となる考え方
企業は、社会及び競争環境の変化を踏まえて目指すビジネスモデルを実現するための方策としてデジタル技術を活用する戦略を策定し、ステークホルダーに示していくべきである。
②認定基準
デジタル技術による社会及び競争環境の変化の影響を踏まえて設計したビジネスモデルを実現するための方策として、デジタル技術を活用する戦略を公表していること。
(2)望ましい方向性
・経営ビジョンを実現できる変革シナリオとして、戦略が構築できている。
・デジタル戦略・施策のポートフォリオにおいて、合理的かつ合目的的な予算配分がなされている。
・データを重要経営資産の一つとして活用している。
(3)取組例
・DXを推進するための戦略が具体化されている。
・経営戦略において、データとデジタル技術を活用して既存ビジネスの変革を目指す取組(顧客関係やマーケティング、既存の製品やサービス、オペレーション等の変革による満足度向上等)が明示されており、その取組が実施され、効果が出ている。
・経営戦略において、データとデジタル技術を活用した新規ビジネス創出について明示されており、その取組が実施され、効果が出ている。
・経営状況や事業の運営状況を把握できる仕組み(システム)があり、そこから得られるデータをふまえて経営・事業の意思決定が実施されている。

3.デジタル人材の育成・確保を認定基準に追加

デジタルガバナンス・コード2.0におけるアップデートの内容で注目すべきは、経営課題としてデジタル人材の育成・確保に重きを置くべきという考え方をより明確にしたことです。これに対応する項目である「組織づくり・人材・企業文化に関する方策」では、DX認定の認定基準にデジタル人材の育成・確保が追加されました。望ましい方向性や取組例についても、人材戦略を経営戦略としっかり連動させ、経営主導で組織的にデジタル人材を育成・確保していくことの重要性を明記したかたちに改訂しています。

デジタルガバナンス・コード2.0における改定箇所(経済産業省の資料より抜粋)

また、ITシステム・デジタル技術活用環境の整備に関する方策でも、望ましい方向性に「DX推進のための投資等の意思決定において、コストのみではなくビジネスに与えるインパクトを勘案すると同時に、定量的なリターンの大きさやその確度を求めすぎず、必要な挑戦を促進している」という記述を追加しました。

このほか、近年、企業経営における重要テーマとして浮上しているサステナビリティ・トランスフォーメーション(企業の成長と社会の持続可能性を両立させるための変革)、グリーントランスフォーメーション(カーボンニュートラルと産業競争力向上の両立を目指す変革)についても盛り込み、DXと一体的に取り組む必要性を指摘しています。

4.より広範な場面で経営層がイニシアティブを発揮すべき

「2025年の崖」問題を提起し、近年のDXムーブメントの火付け役としての役割を果たした感がある経済産業省の「DXレポート」も今年7月には「DXレポート2.2」にバージョンアップされ、デジタルガバナンス・コード2.0にはここでの議論も反映されています。

総じて言えるのは、あくまでも経営層がDXのけん引役を担う必要があり、より広範な場面でイニシアティブを発揮すべきというメッセージが強まっているということです。デジタル活用を前提とした継続的な成長シナリオを経営ビジョンや成長戦略に盛り込むことはもちろん、さまざまな具体的施策をそれらの上位計画と連動させていくための働きかけや組織整備にもしっかり目配りして責任を持つべきであることを強調している点は、今回のアップデートの大きなポイントです。経営者やビジネスリーダーの皆さんには、デジタルガバナンス・コード2.0に改めて目を通してみることをお勧めします。

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