BPRの進め方やポイント、成功事例をくわしく解説!

BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)は、既存の業務フローを根本から見直し、組織構造や情報システムを再構築する手法です。近年、日本国内では少子高齢化に伴う労働力不足が深刻化しており、従来の「部分的な業務改善」だけでは対応しきれない課題が増加傾向にあります。本質的な業務改革を行うことで、コスト削減だけでなく、意思決定の迅速化や顧客満足度の向上といった大きな成果が期待できるでしょう。
この記事では、BPRの基礎知識から具体的な進め方、成功に導くポイント、そして実際の事例をご紹介します。
BPRとは
BPRは「Business Process Re-engineering」の略称で、1990年代にアメリカで提唱された経営手法の一つです。日本語では「業務プロセス再構築」と訳されることが多く、企業活動における本来の目的に立ち返り、既存の組織やルール、業務フローを抜本的に見直して再設計することを指します。
近年、日本企業においてBPRが改めて注目されている背景には、デジタル化の急速な進展と社会構造の変化が関係していると考えられます。令和6年版の情報通信白書によれば、デジタルテクノロジーの活用はあらゆる産業の競争力強化に不可欠となっており、単に既存の作業をデジタルに置き換えるだけでなく、業務の在り方そのものを見直す必要があるとされています。
よく混同される概念に「業務改善(カイゼン)」があります。業務改善は、現行の業務フローを維持したまま、ムリ・ムダ・ムラを取り除いて効率を高めるボトムアップ型のアプローチです。対してBPRは、目標達成のために「そもそもこの業務は必要なのか」「組織の形はどうあるべきか」という視点でゼロベースから構築し直すトップダウン型のアプローチである点に大きな違いがあるといえるでしょう。
BPRに取り組むメリット
BPRを実施することで、企業は多面的なメリットを得られる可能性があります。以下で、主な4つのメリットについて深掘りしていきます。
業務の効率化
最大のメリットとして挙げられるのが、圧倒的な業務効率の向上です。BPRでは、長年の慣習で行われてきた重複作業や、部門間での情報の分断(サイロ化)を徹底的に排除します。
中小企業白書でも、人手不足を背景とした省力化投資の重要性が強調されていますが、BPRによって業務プロセス自体を簡素で自動化しやすい形に整えることで、ITツールの導入効果を最大限に高めることができます。その結果、限られた人員でもより高い成果を生み出す高付加価値な組織への転換が期待されるでしょう。
業務フローの最適化
BPRは顧客にとっての価値を基準に、業務プロセス全体を再設計します。従来は自部署の都合で組まれていたプロセスが、部門を横断したエンドツーエンド(端から端まで)の流れとして再構築されることで、停滞のないスムーズな運用が可能になります。
意思決定の迅速化
階層の多い組織構造や、複雑な承認フローは、意思決定のスピードを大きく損なう要因となります。BPRを通じて組織をフラット化し、権限を現場に委譲することで、現場での判断スピードが向上し、経営陣による迅速な意思決定が支えられるようになります。
このような変革は、変化の激しい市場環境において、競合他社に先んじてアクションを起こすために不可欠です。情報伝達経路を最短化する業務設計が求められています。
顧客や従業員の満足度の向上
業務がスマートになることで、顧客へのレスポンスが早まり、提供サービスの品質向上が期待できます。これは直接的な顧客満足度の向上に寄与するでしょう。
同時に、従業員にとっても恩恵は大きいといえます。非効率なルーチンワークや二重入力から解放されることで、より創造的でやりがいのある仕事に時間を割けるようになるためです。従業員満足度が高まることで、離職率の低下や人材確保力の強化にもつながる好循環が生まれます。
BPRの進め方
BPRを成功させるためには、場当たり的な対応ではなく、戦略的なプロセスに沿って段階的に進めることが求められます。一般的には以下の5つのフェーズで進められることが多いようです。
検討
最初のステップは、プロジェクトの目的を明確にし、対象範囲(スコープ)を定めることです。全社的な改革を目指すのか、特定の基幹業務から着手するのかを慎重に検討します。
この段階では、経営層が「なぜ今、BPRが必要なのか」というビジョンを掲げ、強力なコミットメントを示すことが不可欠です。
分析
次に、現在の業務プロセスを詳細に可視化します。「誰が」「いつ」「何を」「どのような基準で」行っているのかを洗い出し、ボトルネックや重複、無駄な工程を特定します。
現場へのヒアリングだけでなく、客観的なデータに基づいた分析を行うことが望ましいとされています。現状を直視し、課題の本質を見極めることが、次ステップの設計精度を高めることにつながります。
設計
分析結果をもとに、理想的な業務プロセスをゼロベースで設計します。既存のルールに縛られず、「ECRSの原則(排除・結合・交換・簡素化)」などを用いて考え抜くことが重要です。
また、この設計段階でITツールの活用を並行して検討します。
実施
設計した新しいプロセスを現場に導入します。いきなり全社一斉に切り替えるのはリスクが高いため、まずは一部の部門で試験的に導入し、段階的に展開する手法が一般的です。
新システムや新しい手順への移行には、現場の混乱がつきものです。マニュアルの整備や説明会の実施、サポート体制の構築など、現場が変化に適応できるよう支援を徹底する必要があります。
評価
導入後は、設定したKPIに基づき、効果を測定します。「処理時間は短縮されたか」「コストは削減できたか」といった定量的指標に加え、従業員の心理的な変化などの定性的側面も評価の対象とします。
BPRは一度実施して終わりではありません。評価結果を踏まえ、さらなる改善を加える継続的な取り組みが、真の業務改革を定着させるために重要であると考えられます。
BPRに取り組む際のポイント・注意点
BPRは組織の構造や文化にも大きく影響する大規模な取り組みであるため、慎重な進め方が求められます。成功確率を高めるための3つの重要なポイントをご紹介します。
目的・目標を明確にする
BPRを「流行に乗った施策」で終わらせないためには、なぜ取り組むのかという目的と、何を達成するのかという目標を明確に定める必要があります。
例えば、「生産性を20%向上させる」「リードタイムを3日間短縮する」といった具体的かつ測定可能な数値目標を設定することが望ましいとされます。
従業員からの理解と協力を得る
BPRは既存の業務プロセスを破壊し、再構築するプロセスを伴うため、現場従業員の間に不安や抵抗が生じることがあります。
こうした抵抗感を最小限に抑えるためには、改革の必要性と、それが従業員自身の働き方にどのようなプラスの影響をもたらすのかを丁寧に説明し、共感を得ることが不可欠です。一部の経営層や情報システム部門だけで進めるのではなく、現場を巻き込んだプロジェクトチームを構成し、納得感を醸成しながら進めることが、定着化への近道となるでしょう。
効果測定と改善を行う
新体制に移行した直後は、運用上の課題や非効率が発生することも珍しくありません。そのため、導入後の効果測定は極めて重要なフェーズといえます。
あらかじめ設定したKPIに対して、実際のパフォーマンスがどう変化したかを定期的にモニタリングする仕組みを構築しましょう。期待した成果が出ていない場合には、その原因が設計の不備にあるのか、現場の不慣れにあるのかを切り分ける必要があります。その結果に基づき、柔軟にプロセスを微調整していく継続的な姿勢が、BPRを単なる一過性のイベントに終わらせないための秘訣といえそうです。
BPRの成功事例
ここでは、BPRを通じてより大きな変革を遂げた企業の事例をご紹介します。
アットホーム株式会社:販売管理業務の標準化とコンプライアンス強化を実現
不動産情報サイトの運営で知られるアットホーム株式会社では、企業規模の拡大に伴い、各現場が独自のシステムやルールで業務を運用してきたことによる課題に直面していました。販売管理業務が複雑化し、既存のシステムでは成長スピードに追い付けず、コンプライアンスの強化も困難な状況にあったようです。
同社は、将来の商品開発や新規顧客開拓を支える強固な基盤として、intra-martを活用した販売管理システムの再構築を決定しました。単なるシステムの置き換えではなく、部署間での業務フローやルールの共通認識を形成するプロセス(BPR)を重視しました。運営体制の効率化が進み、個別システムの統合によってシステムコストの削減も期待されています。これにより、顧客に価値を生む活動へリソースを集中させる環境が整いつつあります。
この事例の詳細は、こちらのページをご覧ください。
intra-martでワークフローおよび、顧客に価値を生む販売管理プラットフォームを構築
株式会社日立ICTビジネスサービス:約2,500の業務プロセスを可視化し、人からRPAへのスムーズな連携を構築
日立グループ各社にBPOサービスを提供する株式会社日立ICTビジネスサービスでは、受託業務の品質向上と効率化のため、DXおよび業務改革を推進できる人材の育成が急務となっていました。
同社はイントラマート社の「BPM実践ワークショップ研修」を採用し、研修受講者を核として受託業務のプロセスを徹底的に可視化する取り組みを開始しました。その結果、約2,500もの業務プロセスを可視化し、その中から自動化効果の高い90のプロセスをintra-mart(BPMS)上に実装しました。独自に内製したRPAとBPMSを連携させることで、「人からRPA、そして再び人へ」という一連の業務の流れをスムーズに統合しました。
この事例の詳細は、こちらのページをご覧ください。
業務プロセスを徹底して可視化・改善し自動化するBPMを事業基盤としたグループBPO企業として日立グループの発展に貢献する日立ICTビジネスサービスの取り組み
株式会社ATビジネス:全社員の半数がBPM研修を受講し、DX化に向けた文化形成とプロセス改革を断行
愛知トヨタをはじめとするATグループの間接業務を受託する株式会社ATビジネスは、RPAの活用から一歩踏み込み、経営レベルの改革を目指して「BPM(ビジネスプロセス・マネジメント)」による業務プロセス改革に着手しました。
同社は、デジタル化を含む業務改革を自ら主導できる人材を育成するため、集中的に「BPM実践ワークショップ研修」を実施し、2020年3月末までに全社員の約半数が受講を完了したようです。この大規模な教育投資と並行して、これまでの古い慣習や業務プロセスを根本から見直すBPR活動を展開しています。
この事例の詳細は、こちらのページをご覧ください。
RPA活用は序章 トヨタの地域販売戦略を支える業務基盤として「BPM」を活用し、地に足のついたグループ企業のDXを推進
まとめ
BPRは、慢性的な人手不足や市場変化が激しい現代の企業にとって、持続的な成長を実現するための有力な手段です。従来の業務改善の延長線上ではなく、ゼロベースでプロセスを再構築することで、生産性の向上や迅速な意思決定といった多くのメリットが得られます。
しかし、その実行には経営層の強力なリーダーシップと、現場との丁寧な合意形成、そして最適なIT基盤の選択が欠かせません。
NTTデータ イントラマートが提供する「intra-mart」は、複雑な業務プロセス全体を統合・最適化するプラットフォームとして、企業のビジネス変革を幅広くサポートします。柔軟性の高いプラットフォームを検討しつつ、自社にとって最適な業務のあり方を模索してみてはいかがでしょうか。
intra-martに関する詳細は、ぜひ公式サイトをご覧ください。
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