IT統制とは?内部統制の違いや種類

IT化が加速する現代のビジネス環境において、「IT統制」は企業の透明性や信頼性を担保するために欠かせない要素となっています。内部統制報告制度(J-SOX)への対応にとどまらず、サイバー攻撃や情報漏えいといったリスクから組織を守るためにも、IT統制の重要性は増加しているようです。
この記事では、IT統制の定義や内部統制との違い、具体的な種類から構築ステップまでをわかりやすくご紹介します。
IT統制とは
IT統制とは、企業が掲げる経営目標を達成するために、ITを組織内で適正かつ安全に活用するための管理・運用体制を指します。
現代の企業活動では、財務会計、販売管理、人事給与などの基幹業務から、日常のメールや情報共有に至るまで、ITシステムを介さずに行う業務はほとんどありません。システムが意図どおりに作動し、扱われるデータの正確性が確保されなければ、企業全体のガバナンスに重大な影響を及ぼす可能性があります。
IT統制は、「コンピュータを正しく動かす」ことだけを目的にするものではありません。情報の「信頼性」「可用性」「機密性」を維持し、データの改ざんや誤操作、不正アクセスなどを防止するためのルール策定と運用全般を含みます。
IT統制と内部統制の違い
IT統制を正しく理解するためには、まずその上位概念である「内部統制」との関係性を整理する必要があります。
内部統制とは、経営者が組織を健全に運営するために整備する自律的な仕組みであり、日本では金融庁の定める基準に基づき、主に次の4つの目的を達成することを目指します。
1.業務の有効性及び効率性
事業活動の目的を達成するため、リソースを効率的に活用する。
2.財務報告の信頼性
株主や投資家に公開する決算書などの情報に誤りがないようにする。
3.事業活動に関わる法令等の遵守
コンプライアンスを守り、社会的な信用を維持する。
4.資産の保存
企業の保有する資産が不正に取得・使用されないよう保護する。
これらを実現する基本的要素の一つとして、ITへの対応が含まれています。つまり、IT統制は内部統制の一部であり、現代のビジネスがITに依存している以上、IT統制抜きに内部統制を完成させることは不可能であると考えられているようです。
内部統制が会社全体のルールであるのに対し、IT統制はその中でも特にシステムの開発、運用、利用におけるルールに特化したものと定義できるでしょう。
IT統制が重要な理由
なぜ、あらゆる規模の企業においてIT統制がこれほどまでに重視されているのでしょうか。中小企業から大企業まで共通する背景として、以下の3つのポイントが挙げられます。
1. 財務報告の透明性と信頼性の確保
財務諸表の正確性は、企業にとって極めて重要です。現代では会計処理の多くがシステム上で行われるため、システム自体に不備があったり、誰でも自由にデータを書き換えられたりする状態では、その企業の決算数値は信用されません。IT統制を導入することで、システムが正しく機能していることを客観的に証明する基盤が整います。
2. サイバー攻撃や内部不正のリスクヘッジ
デジタル化が進む一方で、ランサムウェア攻撃や内部関係者による機密情報の持ち出しといったリスクは増加傾向にあります。IT統制が整っていれば、ID・パスワードの厳格な管理、アクセスログの監視、システムの変更承認プロセスの標準化などが自動的に行われます。これにより、外部からの侵入や内部での不正操作を早期に発見、あるいは未然に防ぐ体制が構築されるのです。
3. 業務プロセスの標準化と効率化
IT統制の構築過程では、属人化していた業務フローを可視化し、システム化する必要があります。その結果、担当者によってやり方が異なるといった無駄が省かれ、業務全体の効率が向上する傾向にあるようです。また、自動化されたコントロール(自動チェック機能など)を導入することで、人為的な入力ミスを物理的に排除でき、確認作業の工数削減にもつながります。
IT統制の種類
IT統制は、その影響範囲と役割によって大きく3つの階層に分類されます。これらは独立しているわけではなく、ピラミッドのような階層構造で互いを支え合っています。
IT全社的統制
IT全社的統制は、組織全体に適用されるITの基本方針やルールのことです。ITに関する戦略策定、組織図における責任と権限の明確化、IT予算の配分、情報セキュリティポリシーの策定などが含まれます。これが機能していないと、現場でどんなに優れたシステムを導入しても、組織全体としての統制が効かなくなります。経営陣がITをどのように管理し、リスクに対してどのようなスタンスを持っているかを示す、最も根幹となる部分です。
IT全般統制(ITGC)
IT全般統制(ITGC:Information Technology General Control)は、個々の業務アプリケーションが正しく動作するための「土台・環境」を支える統制です。主に情報システム部門やインフラ担当が担う領域で、以下の4領域が中心となります。
・システムの開発・保守
新システムの導入や改修が、適切な承認プロセスを経て行われているか。勝手にプログラムを書き換えることができないようになっているか。
・システムの運用・管理
データのバックアップが定期的に取られているか、障害発生時の復旧手順が確立されているか。
・物理的・論理的アクセス制御
サーバー室への入退室管理や、各ユーザーへの適切な権限付与が行われているか。
・外部委託管理
クラウドサービスや保守ベンダーの管理体制を定期的に評価しているか。
IT業務処理統制(ITAC)
IT業務処理統制(ITAC:Information Technology Application Control)は、特定の業務プロセス(販売、購買、経理など)において、データが正確に処理されるための仕組みです。アプリケーション内のプログラムに組み込まれた自動コントロールを指すことが多いようです。
・入力チェック
数値以外の入力ができないようにする、あるいは異常な値を検知してエラーを出す機能。
・照合チェック
発注データと納品データをシステムが自動で照合し、一致しない場合は支払処理に進めないようにする機能。
・権限による制限
一定金額以上の承認は役職者しか行えないようにするワークフロー機能。
IT統制の進め方
IT統制の整備は、ツールを導入すれば完了するものではありません。以下のステップに従って、組織的な仕組みを構築していく必要があります。
現状の把握
まずは自社のIT活用状況を棚卸しすることからスタートします。現在、どのようなシステムが稼働しており、誰がアクセス権を持っているのかをリストアップします。その上で、どこにリスクがあるかを特定します。「共有アカウントで運用されている」「開発担当者が本番データに直接アクセスできる」といった現状を可視化することが、改善の第一歩となります。
IT統制の構築・運用
特定したリスクを軽減するためのルールを策定し、システムへの実装へと展開します。この際、あまりに厳格すぎるルールは現場の利便性を損ない、結果として「隠れIT(シャドーIT)」を招く要因になりかねません。業務効率を維持しつつ、自動的に統制が効くような仕組み作りが求められます。
定期的な評価・改善
構築した仕組みが実際に機能しているかを定期的にチェックします。内部監査部門などによる客観的な評価を行い、不備が見つかれば修正します。IT環境や組織の形は常に変化するため、このサイクルを回し続けることが重要です。
まとめ
IT統制は、もはや上場企業だけが取り組むべき特別な課題ではありません。企業のIT依存度が高まる中、データの正確性を保証し、セキュリティリスクから身を守るための「経営の基礎体力」とも言えます。
IT全社的統制からITACまでの各層を適切に整備し、PDCAを回すことで、組織の透明性と信頼性は劇的に向上します。人手による管理に限界を感じている場合は、統制を自動化・仕組み化していくことが、将来の成長に向けた賢明な投資となるでしょう。
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