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バックオフィスDXとは?取り組みのポイントと事例

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バックオフィスDXとは?取り組みのポイントや事例も紹介

バックオフィスDXとは、最新のデジタルテクノロジーを活用して、バックオフィス業務を変革させることをいいます。変革をもって、業務効率化やコスト削減、生産性向上、顧客体験の向上などを実現します。

直接的に利益を生み出さないまでも、フロントオフィスを間接的に支えるのがバックオフィスです。バックオフィス業務を効率化できれば、コスト削減や生産性向上などのメリットが期待できます。

そこで注目されているのが、「バックオフィスDX」です。
本コラムでは、バックオフィスDXの取り組みのポイントや事例などをご紹介いたします。

 

バックオフィスDXとは

バックオフィスDXとは、最新のデジタルテクノロジーを活用することで、人事、総務、法務などのバックオフィス業務を変革させることを指します。言い換えると、データやデジタル技術を活用し、業務効率化やコスト削減、新たな価値創出などを目指す取り組みのことです。

バックオフィス業務には、定型的な作業や属人的な業務プロセスも多く、デジタル化の遅れが課題となっていました。
バックオフィスDXによって、バックオフィス業務が抱える課題を解消し、業務効率化、生産性向上の実現を狙います。

バックオフィスDXの重要性

ご承知のように、ビジネスにおいては世界的に競争が激化しており、企業が置かれた環境はますます厳しいものとなっています。そうした中で競争力を維持したり高めたりするためには、組織全体の効率と生産性を高める必要があります。

たとえば、業務を自動化することで、ヒューマンエラーのリスクを低減したり、人件費を削減したりすることが可能になります。

また、コロナ禍をきっかけにリモートワークが浸透しましたが、バックオフィスがデジタル化されていれば、適応が可能です。場所に依存せずに業務が行えることから、グローバル展開することも容易になります。

さらに、バックオフィスが効率的に運営されれば、フロントオフィスの質が高まるため、結果として顧客体験の向上も期待できます。

激化する競争の中で勝ち残るためにも、バックオフィスDXに取り組むことが重要なのです。

バックオフィスにおける課題

人手不足や紙ベースのアナログな業務の残存、業務の属人化など、バックオフィス業務には、効率化やデジタル化を阻害するさまざまな要素が存在します。

直接的に利益を生み出すフロントオフィスに比べ、バックオフィスへの人員の補充や拡充の優先度は、どうしても低くなりがちです。その結果、バックオフィスでは慢性的な人手不足を抱えることになります。

人手不足により、各メンバーのマンパワーが求められ、業務負担は重くなります。このため、残業代が増加したり、ヒューマンエラーが起きたりといった弊害が起きやすくなります。
また、決まった担当者のみが決まった業務を行うことで、業務の属人化も生じます。

そのほか、書類処理業務の多いバックオフィス業務では、未だに紙とハンコによるアナログな作業が存続しているケースも多く、業務の非効率性を抱えたままになっています。

このようなバックオフィス業務の非効率性を改善できるのが、バックオフィスDXなのです。

バックオフィスにおける課題について詳しくは、下記の記事をご覧ください。

バックオフィスDXのポイント

バックオフィスDXに取り組む際は、次の4つのポイントを押さえることで、成功につながるでしょう。

スモールスタート

バックオフィス業務は複数部門に分かれており、多岐にわたるため、一度にすべての業務をDX化することは困難です。そこで、優先度の高い業務(部門)から順番に取り組み、スモールスタートすることをおすすめします。

優先度は、業務の重要性や影響範囲、DX化による効果や費用対効果などを考慮して決めると良いでしょう。たとえば、経理や人事などは企業経営に直結する重要な業務であり、DX化によって大きな効果が期待できるため、優先度が高いといえます。

最初に着手した部門や業務の変革が軌道に乗ったら、成功・失敗のフィードバックを次の取り組みに活かしながら、徐々に拡大していくことで、リスクを最小限に抑えつつ効果の最大化が期待できます。

経済産業省の「DX推進指標」の活用

経済産業省は、2019(令和元)年7月、経営幹部や事業部門、DX部門、IT部門といったDX推進の関係者の認識をすり合わせるためのツールとして「DX推進指標」を発表しました。

この指標は、DXの進捗状況を客観的に評価するために策定されており、活用すれば自社のバックオフィス業務においてどのような課題があるのかを把握し、DXによってどのようなゴールを達成したいのかを明確にすることができるようになっています。

「DX推進指標」には、取り組みのフェーズに合わせて大きく次の3つの活用方法があります。
1つ目は、DX関係者の間で認識の共有を図り、今後の方向性の議論を活性化する「認識共有・啓発」のツールとして、2つ目は、その上で、あるべき姿を目指すためにどのようなアクションを取るべきかを議論し、実際のアクションにつなげるために、3つ目は、アクション後の継続的に評価と進捗管理のために活用します。

「DX推進指標」をバックオフィスDX推進の指針として活用することで、自社のバックオフィス業務の課題を解決するために適切な目標を設定したり、効果的なアクションを取ったりすることができるでしょう。

既存システムとの連携

バックオフィスDXに取り組む際に、新しく導入するデジタル技術は、既存システムとのデータ連携を取ることで、データの一貫性と一元管理、業務効率の一層の向上、コンプライアンスの強化などのメリットを得ることができます。

ただ、既存システムがレガシー化していたり、連携のために高額な費用がかかるなどの場合は無理にすべてを連携せず、段階的に連携を強化したり、間にAPIを介在させたりすると良いでしょう。

定期的な効果測定と改善

前出の「DX推進指標」でも推奨されている通り、バックオフィスDXに取り組んだ後は、定期的な効果測定と改善を繰り返しながら、DXの成熟度を上げていくことが重要です。

テクノロジーとビジネス環境は常に変化しているため、一度成功したとしても継続的な改善が必要です。また、ビジネスニーズや規制、市場環境などが変わることで、新たな課題が出てくる可能性もあります。改善を継続することで、これらの変化に柔軟に対応できます。

効果測定と改善は、バックオフィスDXの成功を確実にするためには欠かせません。定期的な効果測定と改善を行うことで、プロジェクトが目標に合致しているかを評価し、必要な調整が可能になります。

バックオフィスDXの成功事例

最後に、実際にバックオフィスDXに取り組み、成果を出した事例をピックアップしてご紹介いたします。

約8,000名の社員の経費精算にかかる作業時間を大幅に削減(株式会社ニトリホールディングス)

家具の小売業などを展開する株式会社ニトリや、ホームセンター大手の島忠を傘下に持つ株式会社ニトリホールディングスでは、事業の急拡大に伴う社員数の増加により、経費管理方法を抜本的に変える必要があったといいます。

以前の経費精算システムでは、申請者が経費精算を手入力したものを上長や経理部門が全件、目検でチェックしなければなりませんでした。不正や違反防止、平等性の観点からさまざまなルールが課せられており、チェック作業が複雑化している上に、社員数は約8,000名もいました。また、手入力のため精算エラーが多発。その差戻し率は10%を超えていたといいます。

そこで、社員の利便性向上とデジタルを活用したガバナンス強化を目的とし、経費精算・管理クラウドである「Concur Expense」を含む「SAP Concurソリューション」を導入。
法人カードやQRコード決済とのデータ連携で入力負荷を軽減し、規定チェックを自動化したり、2020年に新たにグループに加わった株式会社島忠を含め、グループ内で経費管理のテンプレートを活用することで業務の標準化を推進したりしたといいます。

結果的に、年間で約4万6,000時間(見込値)もの業務時間の削減を実現しました。
同社の取り組みは、SAP Japan Customer Award 2022の「Cloud Adoption ? SAP Concur部門」を受賞しました。

Kintoneを基盤システムとして業務効率化 顧客とのコミュニケーション量・質を向上(株式会社ソロン)

佐賀県で不動産業を営む株式会社ソロンでは、効率的な業務改革によるサービスの質の向上を目的として、2011年からIT化を推進してきたといいます。この流れでDXにも取り組み、業務アプリ構築クラウドサービスであるKintoneを活用して業務管理システムを開発し、顧客とのコミュニケーション量・質の向上を実現しました。

さらに同システムでは、バックオフィス業務を始めとする社内業務はもちろん、顧客である売主や、ほかの不動産会社に対するコミュニケーションをも効率化することに成功しました。

当初、同社では当初、DX担当者に現場経験がないことから業務内容やフロー、問題点などを把握できていなかったり、システム化に当たり要件を統一すべきなのに案件によって実行内容が異なる場合や部署を跨ぐ業務フローが一方通行ではない部分が多かったりする点がネックとなり、システム構築ができなかったといいます。

しかし、伴走支援企業のコンサルティングを導入して人材育成を進め、社内で現場を知る本部長とDX推進事業部とが「何をしたいのか」を徹底的に議論し、改善の要件を明確にしたことで、これを乗り越えました。

具体的には、複数部署にまたがる業務管理がkintoneアプリ上で完結するようになり、進捗確認が容易になったり、今まで複数のツールやアナログ管理に分散していたものがkintoneに集約され、費用削減と使用・管理のしやすさが向上したり、各種実績数値の計算や物件データ保存先URLの作成などが自動化され、事務業務時間が短縮されたりといった成果が上がっているといいます。

同社の取り組みは、経済産業省の「DXセレクション2023」優良事例にも選定されました。

経費チェックの自動化で、差し戻し率件数を約70%も削減(ぺんてる株式会社)

1946年創立の大手文具メーカーぺんてる株式会社では、経費精算に課題を抱えていました。

というのも、同社の経費チェックは複雑で、たとえば日当一つを取っても、同じ場所へ訪問しても、午後に出発したのであれば2分の1になったり、自分で負担した食事代がなかったら1,000円を差し引いたり、20時以降に会社に戻ってきた場合には逆に1,000円を加算したり…という具合です。チェックの末、誤りがあれば差し戻しとなりますが、その件数も多く、月間で50件に上っていたといいます。

このような現状に、会計担当者はもちろん、申請を上げる社員からも改善要望が上がっていました。

そこで、システム共通基盤intra-mart(イントラマート)上でimforce/経費精算ソリューションを導入。手当ナビゲーション機能の実装により、手計算をしなくてもナビゲーション画面の文言に従って選択肢を選んでいくと該当する手当が算出されるようになり、差し戻し件数は従来の3分の1になったといいます。

数週間かかっていたバックオフィス業務のリアルタイム処理を実現(イオンアイビス株式会社)

国内外300社以上に及ぶイオングループのITインフラやシステムの開発、保守・運用、コンサルティングを手がけるイオンアイビス株式会社では、人事・経理業務のシェアードサービスなど、業務一体型のサービスも提供しています。

同社では、イオングループ全体の35万人以上の従業員が利用するバックオフィス業務のうち、人材情報管理、人材育成、合併・分社化へスピーディーに対応するために、以前から利用してきたintra-martのバージョンアップに踏み切りました。

事業形態の多いイオングループにおいて、業務すべてを共通化することは難しく、さらに各社固有の要件を満たす仕組みに課題を抱えていたそうですが、各社固有の要件を反映しながら一社一社にスピーディーに展開できる柔軟性・拡張性を持つintra-martの強みを活かすことを選択しました。

約40案件にもわたる改善項目をユーザ部門、ベンダーが一体となってわずか8ヵ月で遂行。これが業務の効率化や人時削減はもちろんのこと、データの集約化とデータ活用の拡大にまでつながったといいます。

「新人事統合システム」を構築したことで、たとえば、アルバイトやパートを含む各店舗の人事評価の集計や集約に数週間かかっていたところをリアルタイムで確認できるようになるなど、バックオフィス業務のデジタリゼーション化を実現しました。

RPAでバックオフィス業務を効率化 年間約1,500時間もの定型業務を削減(株式会社中野建設)

株式会社中野建設は、佐賀県と福岡県で創業100年の歴史を持つ建設会社です。同社では、土木事業部を中心に、ワンマン測量機械や工事写真整理・共有用の電子黒板、i-Construction(コンストラクション)、Webカメラやネットワークカメラを活用した遠隔臨場などを導入・活用してきました。

バックオフィスDXとしては、管理本部においてRPAを導入し、請求書入力業務の9割を自動化。成果として、バックオフィス業務の約3割に当たる年間約1,500時間もの定型業務の削減に成功しました。
さらに、ここで得たスキルを持つ社員による社内RPAの勉強会が定期的に開催されるようになり、自主的に学ぶ環境の構築も実現できたといいます。

まとめ

バックオフィスDXの実現で、コストや工数の削減を図り、柔軟な働き方に適応し、「2025年の崖」問題の解決につながります。成功すれば、競争の激化するビジネス環境において、競争力を維持・強化することができるでしょう。

ただ、DXは一朝一夕で実現できるものではなく、長期的な視点で取り組む必要があります。自社の状況を踏まえて、無理のない計画を立てて実行しましょう。

DXは、経営層やバックオフィス担当者の協力が不可欠です。
DXを成功させるためには、経営層やバックオフィス担当者の理解と協力が不可欠です。DXの目的やメリットを説明し、協力を得ながら推進しましょう。

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