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不動産業のDXとは? ~課題やメリット不動産業DXにおける事例~

不動産業のDXとは? ~課題やメリット不動産業DXにおける事例~

不動産業DXとは、不動産業がDXに取り組むことをいいます。
不動産業には、長らくアナログな商習慣が根付いており、IT化そのものが遅れていました。
しかし、消費者ニーズの変化や、少子化による世帯数の減少といった課題に立ち向かうためにも、腹を据えてDXに取り組むことが重要です。

では、不動産業界は、DXにどのように取り組むべきなのでしょうか?
そのヒントとなるよう、本コラムでは、不動産業DXのメリットと課題、DX事例をご紹介いたします。

 

1. 不動産業DXとは?

不動産業DXとは、不動産業がDXに取り組むことを指します。

五輪特需が落ち着いた後も、コロナ禍による巣ごもり需要でマイホームを志向する人が増えた「コロナ特需」や、2025年の大阪万博や2027年のリニア中央新幹線の開通などに向けた特需が期待される不動産業界。

ただ、飲食業・観光業の不調による出店や改装が減少していることや、長期的な人口減少、もともと、景気の動向や社会情勢に左右されやすい業界であることなどを考慮すると、DXによって経営基盤を強化する必要があるといえます。

不動産テックとの違い

不動産テックとは、不動産業界が最新のデジタルテクノロジーを活用することで、新たなサービスを創出したり、従来の商習慣を変えたりすることをいいます。

これだけを聞くと、不動産業DXと変わりありませんが、不動産テックには、革新的なアイデアと最新のデジタルテクノロジーを駆使したサービスを携えて起業したスタートアップ企業も含まれます。スタートアップ企業は、新規に立ち上げられた企業であって、既存企業が「変革」するわけではないため、この点では不動産業DXと異なります。

 

2. 不動産業のDXにおける課題

不動産業界がDXに取り組む上で、課題となってくるのが次の3点です。

アナログな商習慣が根付いている

不動産業界には、長らくアナログな商習慣が根付いていました。顧客や業者とのやり取りには電話が使われることが多く、一日に何十件もの電話対応を行うことも珍しくありません。
また、契約書や物件の図面、設計図、重要事項説明書など、紙ベースでのやり取りが多く、未だにFAXも頻繁に使われています。

このように、ペーパーレス化が進んでいなかったり、アナログな商習慣が残っているため、DXを行う前にまず、デジタイゼーション(Digitization)とデジタライザーション(Digitalization)を実施する必要があります。一足飛びでDXを実施することは難しく、段階を踏みながら時間をかけて取り組まなければならない点で、不動産業界のDXはハードルが高いものといえます。

DXのための知識や情報、ノウハウが不足している

前項とも関連しますが、IT化に消極的であったことから、不動産業界にはIT人材・DX人材が少なく、社内にDXのための知識や情報、ノウハウが蓄積できているところは多くありません。

社内でITを担当する情報システム部門は、主にPCやサーバー、ネットワークといった社内の情報システム導入の企画・推進・運用を担います。
一方で、DX人材は、自社の属する業界の動向や自社のビジネスにも精通し、ビジネスモデルやプロダクトなどを根本から変革させるためのデジタル技術活用について、企画立案やプロジェクトの牽引までを担う必要があります。

不動産業界に特化してDX支援を行っているITベンダーもいるため、外部の力を活用することも有力な選択肢の一つとなるでしょう。不動産テック企業が提供するサービスを導入するという手もあります。

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消費者ニーズの変化が目まぐるしい

不動産だけでなく、一般的な消費財全般に言えることですが、消費者ニーズの多様化や、ニーズの変化が激しくなっているという指摘が、さまざまな場面でなされています。

不動産の場合、高度経済成長期までは、木造の一戸建に複数世代が同居することが一般的で、マンションのような集合住宅はエリートが住むところでした。1955年に日本住宅公団が設立されてからは、団地が大量に供給され、中所得者の住居として定着します。1980年代に入ると、高層マンションのブームが起きました。その後も、郊外の庭付き一戸建が人気になったり、都心のマンションがブームになったりと移り変わり、コロナ禍の今、テレワークが可能な郊外や田舎の広い一戸建に再び人気が集まっています。

また、インターネットが普及した現在では、賃貸・分譲を問わず、物件を選ぶ際は、実際に店舗などを訪れることなく、スマートフォンなどからWebサイトである程度まで絞り込みたいというニーズが顕著です。

消費者のニーズは、今後も社会情勢などによって変化していくでしょう。そして、そのスピードは、どんどん加速していく可能性があります。一方、不動産業の企業がDXのためにデジタルテクノロジーを導入するのには、戦略と予算、期間が必要です。このことから、変化の激しい消費者ニーズを満たすことは難易度の高いミッションといえます。

 

3. 不動産業がDXを活用するメリット

不動産業がDXを活用することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか?
主に、「業務効率化の実現」「消費者ニーズに応える新サービスの提供ができる」「将来的な供給過多などのマイナス要因があっても利益を確保できる」の3点が挙げられます。

業務効率化の実現

社内の業務プロセスを対象にDXを行うことで、業務効率化を実現できます。
特に、アナログな商習慣の長かった不動産業界では、得られる効果も大きいことが期待できます。

消費者ニーズに応える新サービスの提供ができる

一方、不動産業の物件そのものや、サービスを対象にDXを行えば、多様化する消費者ニーズに応えるような、新しい価値を提供することができます。
ひいては、顧客満足度の向上も実現できるでしょう。

将来的な供給過多などのマイナス要因があっても利益を確保できる

上記のようなDXを複合的・継続的に行うことで、売上の向上やコストの削減を実現でき、利益の向上が見込めます。

日本の不動産業は、世界的に見ると生産性が低く、また、少子高齢化による世帯数の減少や住宅の供給過多などのマイナス要因に打ち勝つためには、経営基盤の強化が必要です。これをDXで実現しようというわけです。

 

4. 不動産業界におけるDX事例

最後に、不動産業界におけるDX事例をご紹介いたします。

柏の葉スマートシティで住民の安心・安全なタウンマネジメントを実現(三井不動産株式会社)

三井グループの総合不動産デベロッパーである三井不動産では、柏の葉の街づくりを行う一般社団法人UDCKタウンマネジメントと協力し、柏の葉キャンパス駅の周辺街区に29台のAIカメラを設置して、駅前の混雑解消や、防犯・見守りに役立てています。AIカメラでは、AIによるリアルタイム画像分析を行い、通行人の異常行動や立ち入りの検知、人流分析を行っています。

同社ではほかにも、AIカメラを活用して物件のオンライン内見を行うなど、DXに積極的に取り組んでおり、自社のDXへの取り組みをまとめた「DX白書」の公開も行っています。

住宅ローン手続き代行サービス「いえーるダンドリ」を導入し、顧客の負担軽減を実現(野村不動産ソリューションズ株式会社)

野村不動産グループの不動産流通会社である野村不動産ソリューションズ(旧:野村不動産アーバンネット)では、iYell(イエール)株式会社が提供する住宅ローン手続き代行サービス「いえーるダンドリ」を導入しました。同サービスは、手続きのややこしい住宅ローンの手続きを代行してくれるスマートフォンアプリで、住宅ローンを選ぶ段階から実際に書類を提出する段階までのサポートが提供されます。

同社ではほかにも、契約時に必要な書類を生成したり、ステータスを管理したりできる、「Musubell(ムスベル) for 仲介」を導入して、契約手続きにかかる顧客の負担軽減と、契約業務の効率化を実現しています。

不動産管理アプリやクラウドファンディングシステムで不動産業DXを推進(きらめき不動産株式会社)

投資用不動産の売買やコンサルティングを手がけるきらめき不動産では、オーナー向けの不動産管理アプリ「WealthPark」を導入しました。特に、チャット機能やワークフロー機能を活用することで、アプリ内の同社から不動産オーナーへの収支報告の効率化、コミュニケーションの質の向上などを実現したといいます。

同社ではほかにも、クラウドファンディングシステムを構築してし、不動産の小口化商品を実現するなど、不動産業DXに注力しています。

 

5. まとめ

もともと、アナログな商習慣が色濃く残っている不動産業界では、そもそもIT化が立ち遅れており、その先のDXとなると、よりハードルが高いかもしれません。

しかし、将来的に続くとみられる人口減少による世帯数の減少を考えると、住宅の供給過多は避けられず、収益増加のためには積極的にDXに取り組む必要があるでしょう。

ご紹介した不動産業DXの事例ではいずれも、複数のDXに取り組んでいます。相乗効果を狙うためにも、リスクヘッジのためにも、参考になる点なのではないでしょうか。

 

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