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小売業の課題とDXが必要な背景とは ~DXを行うメリットと取り組むべきDXの例~

小売業の課題とDXが必要な背景とは ~DXを行うメリットと取り組むべきDXの例~

総務省が発表した「令和3年 情報通信白書」によれば、卸売業と小売業が2020年度までにDXに取り汲んでいる割合は42.1%と、半数にも達していません。ただ、全24業界中8位となっており、他業界より遅れているともいえない状況です。

小売業がDXに取り組むべき理由には、などがあります。

本コラムでは、小売業がDXに取り組むに当たって知っておきたい、DXが必要な背景や、実施のメリット、取り組み例などをご紹介いたします。

 

1. そもそもDXとは?

小売業のDXについて解説する前に、まず、そもそもの「DX」とは何であるかを押さえておきましょう。

DXとは、Digital Transformationの頭文字を取ったもので、「デジタル変革」と訳されます。最新のデジタルテクノロジーを活用することで、プロダクトやビジネスモデル、業務プロセス、顧客体験、従業員体験などを“変革“させる概念のことです。

2025年の崖とは?

DXを知る上で避けて通れないのが「2025年の崖」です。

2025年の崖とは、など、ISDNサービスが2024年初頭でサービスを終了する予定となっていることや、SAP ERPの保守サポートが2025年で終了予定であること、21年以上が経過する基幹系システムが6割へ拡大など、2025年付近に集中しているIT関連の課題を解消できなかった場合、DXを実現できず、2025年以降、年間で最大12兆円の経済損失が生じる可能性のことです。

経済産業省が2018年に発表した「DX(デジタルトランスフォーメーション)レポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」の中で言及したのをきっかけに、国内に認識が広がりました。

 

2. 小売業の課題とDXが必要な背景

上記の「2025年の崖」を回避するためにもDXの取り組みは必要なものですが、特に小売業においてDXを行う必然性とは何でしょうか?
それは、小売業が抱える以下のような課題を解消するためといえます。

市場の飽和

戦後のモノがなかった時代から高度成長期を経て、モノが行き渡るようになり、多くの市場は飽和状態にあります。
当初は価格による競争が主流でしたが、次第に付加価値や差別化が求められるようになりました。
誰もが一通り、必要な物を保有していることから、モノが売れない時代が到来しました。

消費者ニーズの変化

消費者ニーズの変化は、「モノ消費からコト消費への志向の変化」「購買チャネルの変化」の2軸が挙げられます。

モノ消費からコト消費への志向の変化

上記のように、さまざまなモノが消費者に行き渡ったこともあり、消費者ニーズは、モノを所有する目的から、体験のために支出する方向へシフトしてきています。

このニーズを満たすため、メーカーや小売業は、モノとして販売するのではなく、サービスとして提供するサブスクリプションモデルを採用するようになりました。

購買チャネルの変化

インターネットの登場以前から、通信販売は存在していましたが、インターネットのブロードバンド化やECモールの台頭により、EC市場は拡大していきました。その後も、スマートフォンの普及、越境ECの登場、コロナ禍など、さまざまな要因がECを後押したため、今やECは消費者にとって有力な選択肢の一つとなっています。

また、インターネット上で商品を予約して実店舗で受け取ったり、実店舗で試着した上でECサイトで購入したりといった複数チャネルを組み合わせて購買するケースも増えています。近年では、オンラインショップがプロモーションを兼ねて、期間限定でポップアップショップをオープンするケースも見られます。

ほかにも、フリマアプリの浸透など、消費者を取り巻く購買チャネルは、より豊富に、複雑になってきています。

 

3. 小売業がDXを行うメリット

小売業がDXを行うメリットとして、上で挙げたような変化への対応のためだけでなく、以下のようなことが期待できます。

OMOを実現できる

OMOとは、Online Merges Offline(またはOnline Merges with Offline)の頭文字を取ったもので、「オンラインとオフラインの融合」という意味です。グーグル中華圏の社長だった開復(リ カイフ)氏が提唱した概念で、単にオンラインとオフラインを融合させるのではなく、今後、すべてがオンライン化されていくことを前提に、オンラインを起点としてシームレスにオフラインとつながるという点に特徴があります。

たとえば、OMOの先行事例として有名なアリババグループ(阿里巴巴集団控股有限公司)のスーパーマーケット「フーマー・フレッシュ(盒馬鮮生)」のように、顧客に店内にいながらオンラインで注文できる利便性や、買い物をしながら巨大な水槽の中を泳ぐ魚介類を見たり、そこから好きな調理法で調理してもらい、自宅に配送してもらったり、イートインスペースで飲食できたりするといったエンターテインメント性を提供できます。

OMOは、O2Oやオムニチャネルの進化系ともいえる先進的な概念で、O2Oやオムニチャネルを実施している小売業がOMOを実現できれば、DXに一定の成果を出したといえるでしょう。

データの利活用が進む

小売店がデータを活用することで、売上や在庫、人員管理などの最適化をはじめ、顧客情報や来店傾向などの分析結果を集客や販促に活かしたり、来店予測や需要予測など将来を予測できるようになります。

これにより、顧客体験(CX)の向上や業務効率化、コスト削減まどを実現できます。

店舗運営を効率化できる

無人レジや無人店舗が話題になっています。「Amazon Go」のように、商品棚にセンサーやマイクを、天井にAIカメラを設置することで、接客にかかる人件費を削減できるでしょう。

また、在庫管理システムとAI、RPAを組み合わせれば、バックヤードの業務を効率化できるとともに、無駄な在庫を抱えたり販売機会のロスを生むこともなくなります。

AIをシフト管理に活用することもできます。曜日や時間帯、天気などによる来店客数の変化といったデータを分析して、人員配置を最適化することが可能です。

 

4. 小売業が取り組むべきDXの例

では、具体的にどのようなデジタルテクノロジーを導入して、どのように活用すれば「変革」を実現できるのでしょうか?
ここでは、小売業が取り組むべきDX例をいくつかご紹介いたします。

顧客体験(CX)の変革

小売業の本業は顧客に商品を販売することですので、まずは顧客体験の変化に取り組むことに目を向けるべきでしょう。

モノ消費からコト消費への志向の変化」でお伝えしたように、消費者はモノを所有することに対する興味を失い、新たなワクワクする体験を求めています。購買行動においても、デジタルテクノロジーの力で、これまでに内容な買い物をする楽しみを実現する方法を検討してみましょう。
また、レジに並んだり会計を済ませたりという、買い物につきまと退屈な体験をできる限り軽減したり、そのものをエンターテインメント化するような取り組みも重要でしょう。

たとえば、現存するアイデアとしてはバーコード決済やレジレス店舗、OMOなどが考えられます。

業務プロセスの変革

一方、社内に目を向けると、業務プロセスを変革させることで、人件費などコストの削減が可能です。

基幹システムの刷新はもちろん、自動化できる部分はRPAやAIなどに任せることで、従業員は人にしかできない複雑だったり創造性が高かったりする業務に注力できるようになります。

また、データ活用とAIの組み合わせによって精度の高い予測が行えるようになれば、無駄な在庫を抱えたり、廃棄にかかるコストを削減できますし、SDGsにもつながります。

従業員体験(EX)の変革

前項を言い換えると、従業員に人間らしい業務体験を提供することともいえます。機械でもこなせるような単純労働を行っていても、従業員の心はワクワクしません。企画業務や顧客対応などを通してコミュニケーションを取ることで心が動き、EXが向上すると期待できます。

近年では、顧客体験(CX)に続いて、従業員体験(EX)の重要性が叫ばれています。「働き方改革」に代表されるように、残業時間を削減したり休日数を増やしたりして働きやすい環境を整えることでもEXは向上します。

待遇に加え、デジタルテクノロジーの活用により従業員に人らしい仕事を提供することで、EXはさらに向上するでしょう。それがひいては、業務の質向上につながり、CX向上にまで結びつきます。

ビジネスモデルの変革

小売業は一般消費者を顧客とするBtoCですが、近年、DXの過程で生み出したシステムを同業他社に売り出してBtoB化する「RaaS(Retail as a Service)」が現れました。
RaaSとは、小売業がサービス化することをいい、販売チャネルの多様化や、消費者が購買行動に求めるニーズの変化を背景に、競争力強化のためにRaaS化する小売業が目立ちます。

RaaSの例としては、Amazon.comのレジレス決済システム「Just Walk Out」やKroger(クローガー)の「Robotics as a Service」、国内では株式会社EBILAB(エビラボ)の「TOUCH POINT BI」などが挙げられます。

自社のために開発したシステムが大きな効果をあげた場合は、ほかの小売業への販売も検討してみてください。
BtoBとBtoCを並走させることで、リスクヘッジにもなるでしょう。

【関連記事】
RaaSとは? ~注目される背景からメリットまでわかりやすく解説~

 

5. まとめ

小売業界では、市場の飽和や消費者ニーズの変化といったビジネス環境の変化に対応する必要があり、その手段としてデジタルテクノロジーに期待が集まっています。

DXに取り組むことで、OMOを実現できたりデータの利活用が進んだりする効果が期待でき、競争力強化につながります。

店舗やバックヤード、オフィスなど、あらゆる箇所に目を向けて変革させることで、顧客や従業員の体験を向上させましょう。

 

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