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教育DXとは? ~教育現場で必要とされる背景から教育DXを推進する際の課題~

教育DXとは? ~教育現場で必要とされる背景から教育DXを推進する際の課題~

教育DXとは、教育において最新のデジタルテクノロジーを活用することで、教育の手法や手段、教職員の業務などを変革させることをいいます。

DX(デジタルトランスフォーメーション)というと、ビジネスシーンで語られることが多いですが、教育現場においてもDXは重要です。現在の児童・生徒・学生たちは、学生時代からインターネットやパソコンに触れているデジタルネイティブ世代であるため、学習方法や学ぶべき内容に変革が必要なのは当然の流れともいえます。

本コラムでは、教育DXの概要や必要とされる背景、実施するメリット、実施する上で課題となりやすい点などについて解説いたします。

 

1. 教育DXとは?

教育DXとは、教育において最新のデジタルテクノロジーを活用することで、教育の手法や手段、教職員の業務などを変革させることをいいます。

冒頭でもお伝えしたように、現在、教育を受ける幼児や児童、生徒、学生のほとんどが、学生時代から身近にインターネットやパソコンが存在していたデジタルネイティブ世代です。

社会に出てから、仕事や暮らしの中で今よりもっとデジタルが浸透していく未来を生きる子どもたちには、従来とはまた違った知識やスキルが求められます。このため、デジタルを意識した教育が必要です。

また、デジタルテクノロジーの進歩によって、これまでは実現できなかったような教育方法が可能になり、教育レベルを向上することも可能です。従来の教育現場が抱えていた、教職員の残業や教師による授業の質の違いといった課題の解消にも、デジタルやデータが力を発揮するでしょう。

 

2. 教育現場でDXが必要とされる背景

教育現場でDXが必要とされる主な背景として、以下のようなものがあります。

デジタルネイティブ世代に合った教育を実施するため

上でもお伝えしたように、今、子どもたちは皆、学生時代から身近にインターネットやパソコンが存在していた「デジタルネイティブ世代」です。これからは、生まれた時からスマートフォンやタブレット端末が存在していたという世代も増えていきます。
卒業してからも、今より一層、デジタルやデータが浸透した社会で生きていくことが予想されます。

こうした時代により良く生きるためには、最低限のITリテラシーが求められます。仕事だけでなく生活の中でも、デジタルや情報を使いこなせるスキルを身に付けておくことが大切になってきます。

一方で、デジタルネイティブ世代の課題となっている、対面でのコミュニケーション力や、情報の真偽を見抜く力、自分自身で考える力などを伸ばすための教育も必要になるでしょう。

遠隔による教育の必要性が高まっているため

コロナ禍により学校や塾などが休校になり、オンラインによるリモート授業の必要性が高まりました。今後も、感染状況や新たなパンデミックに備えて、リモート授業が可能な体制を整えておく必要があります。

また、地方と都市部の教育格差を解消するという意味でも、遠隔による教育の存在意義は高いといえます。義務教育や高等教育へのアクセスにはそこまで大きな差が出ないとしても、習い事や塾などプラスαの教育は、近隣に教育施設がなければ教育を受けたくても受けることができません。そこで、遠隔での教育によってカバーしようというわけです。

リモートでは、対面による教育のすべてをカバーすることは難しい面もありますが、たとえば、リアルタイムでの習熟度の可視化など、デジタルならではのメリットが得られる点は見逃せません。

文部科学省が教育のデジタル化を推進しているため

ここまでにお伝えしてきたような背景から、文部科学省も教育のデジタル化を推進しています。

文部科学省が発表した「文部科学省におけるデジタル化推進プラン(案)【概要】」によれば、「教育におけるデジタル化の推進」「デジタル社会の早期実現に向けた研究開発」「『新たな日常』における文化芸術・スポーツ・行政DX」の3つの柱が掲げられています。

このうち、特に「教育におけるデジタル化の推進」では、次の4点が示されています。

  1. GIGAスクール構想による一人一台端末の活用をはじめとした学校教育の充実
  2. 大学におけるデジタル活用の推進
  3. 生涯学習・社会教育におけるデジタル化の推進
  4. 教育データの利活用によるEBPMの推進

GIGAスクール構想についてはすでに、当初の5ヵ年計画を前倒して2021年3月末までに児童生徒1人1台の端末納品が完了しています。

今後は、配布済みのタブレット端末の活用方法を深めるほか、蓄積される教育データを利活用してEBPM(Evidence Based Policy Making/証拠に基づく政策立案)を推進したり、大学教育や生涯教育などへもデジタル活用を広げていったりすることになります。

 

3. 教育DXを推進するメリット

では、実際に教育DXを実施することで、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか?
教育を提供する側と、受ける側に分けて見ていきましょう。

学校や教育機関にとってのメリット

学校や教育機関など、教育を提供する側にとってのメリットには、「生徒一人ひとりの理解度や習熟度を把握できる」「事務作業を中心とする業務負担を軽減できる」などがあります。

生徒一人ひとりの理解度や習熟度を把握できる

たとえば、タブレット端末を利用したテストを実施した場合、自動採点の上、平均点や偏差値、順位などを自動算出することもできるようになります。
また、デジタルドリルを活用すれば、個々の生徒の学習進度がわかります。
さらに、対面授業では、発言しなかった生徒が理解できているかをリアルタイムに把握することができませんが、タブレット端末などを通して回答やコメントを送信してもらうことで、それぞれの理解度を把握できるようになります。

事務作業を中心とする業務負担を軽減できる

教師の業務は生徒に教えることだけにとどまりません。付随して発生する事務や雑務が多く、これが長時間労働の原因として指摘されています。たとえば、個人面談などの出欠確認や部活動に関する事務手続き、学力テストの結果の分析などが挙げられます。もっと教育に近いものでいえば、小テストや定期テストなどの作成と採点も事務作業に含まれます。

また、教育サービスを提供するためには、裏方の事務作業も発生します。
教材の発注や教職員の給与・福利厚生に関する業務、教師・生徒・保護者への対応、学校説明会やオープンキャンパスなどのイベントの企画・運営、など、業務範囲は多岐にわたります。

こうした業務にRPAやAIといったデジタルテクノロジーを導入することで業務効率化を実現でき、教師や事務職員の負担を軽減することができます。

子どもや保護者にとってのメリット

一方、子どもや保護者など、教育を受ける側にとってのメリットには、「デジタル人材としての素養が養われる」「データ解析による個別最適化された教育を受けられる」などがあります。

デジタル人材としての素養が養われる

教育DXによって、早期教育からデジタルを意識したカリキュラムや学習方法を計画することで、デジタルやデータの活用が身近になる未来の社会で、より良く生きるために必要なITリテラシーを身に付けることができます。

また、将来、IT業界や、企業のデジタル戦略を担当するような「デジタル人材」として活躍するために求められる、ネットワークやデータ、などの基礎知識を学ぶことで、デジタル人材としての素養が養われます。

デジタルとは関係のない仕事を志望している生徒にとっても、生活の中で必要になる、自分の個人情報を危険にさらさない方法やSNSとの上手な付き合い方など、デジタル関連の身近なトラブルへの対処方法なども身に付けられるでしょう。

デジタル人材について詳しくは、以下の記事もご覧ください。

【関連記事】
デジタル人材とは?求められる背景や必要なスキルを紹介

データ解析による個別最適化された教育を受けられる

生徒一人ひとりの学習ログから、得意・苦手やつまずいた箇所などを特定することができます。また、全校規模や全国規模で集積した学習データを解析することで、全体から見たその生徒の特性なども把握できます。
こうしたデータ解析から、個々の学習の進捗状況に合わせたアダプタティブラーニングを実現できるようになります。

令和元年(2019年)12月には、GIGAスクール構想の実現に際し、当時の文部科学大臣であった萩生田光一氏も「多様な子供たちを誰一人取り残すことのない公正に個別最適化された学び」として「個別最適化学習」の重要性をうたっています※。

個別最適化された教育を受けることで、高い学習効果が期待でき、個々の生徒の学力の向上が、ひいては日本全体の学力向上にもつながるでしょう。

※子供たち一人ひとりに個別最適化され、創造性を育む教育 ICT 環境の実現に向けて(文部科学省)

遠隔による教育が受けられる

「遠隔による教育の必要性が高まっているため」でもお伝えしたように、今後のコロナの感染状況によって、再度、休校の措置が取られると、学習の遅れが生じることが懸念されます。

実際に、第1波ではリモート授業の準備が整わず、学習進度に遅れが生じた学校が少なくありません。

オンラインによるリモート授業が受けられるようになれば、今回のようなパンデミックだけでなく、台風などの災害発生時にも生徒の安全を守りながら学習進度を落とすことなく教育が行えます。

 

4. 教育DXを推進する際の課題

上記のようなメリットが生まれる一方で、教育DXを推進する上では課題も生じます。
教育DXの推進には、以下のような課題を解消する必要があります。

インフラの整備

教育DXを推進する際は、デジタルテクノロジーを導入することになります。具体的には、生徒や教職員へ配布するデジタル機器や、インターネット環境、セキュリティ対策などを整備する必要があります。

また、学校など教育機関側だけでなく、生徒など教育を受ける側の自宅などにもインターネット環境などのインフラが整っていることが望ましいでしょう。

こうしたインフラ整備のためには、費用と正しい知識が必要になってきます。行政や自治体、ITベンダー、ほかの教育機関とも連携を取って最適な方法を模索しましょう。

教育の提供者側のITリテラシーの向上

教師や事務職員など、教育を提供する側のITリテラシーが低ければ、質の高いデジタル教育を提供することができなかったり、業務効率化を上手く進められなかったりする恐れがあります。生徒への指導のためにも、まずは、教師側が使いこなせるようになる必要がありますし、その上で、より効果的な活用方法を検討・企画しなければなりません。

そのため、教育の提供者側のITリテラシーを向上させる必要があります。研修・セミナーの実施や行政・自治体からの情報を共有するなどの取り組みが考えられます。「インフラの整備」と同様、組織をまたいで外部の同業者や自治体、企業などと連携を取ることが一つのポイントとなるでしょう。

 

5. まとめ

教育DXについての概要をご理解いただけたでしょうか?
本コラムでは、主に学校や塾など、子どもたちを対象とした教育について取り上げましたが、文部科学省が対象とするDXには大人のための障害教育や社会教育も含まれます。

実際に教育DXに取り組む際は、ぜひ短期的な視点で始終するのではなく、長期的な視野を持ち、試行錯誤を重ねながら成功を目指してください。

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