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宿泊業界DXとは? ~DX化を成功させるポイントや実際の活用例まで解説~

宿泊業界DXとは? ~DX化を成功させるポイントや実際の活用例まで解説~

宿泊業界DXとは、ホテルや旅館などの宿泊業が最新のデジタルテクノロジーを活用することで、ビジネスモデルや顧客体験、業務、従業員体験などを変革させることをいいます。

宿泊業界は、コロナ禍により大きな打撃を受けました。離れてしまった宿泊客を呼び戻し、ウィズコロナ時代に安心して利用してもらうために、また、インバウンド需要を回復させるためにも、テクノロジーとデータの活用に期待が集まっています。

本コラムでは、宿泊業界DXの概要と必要とされる背景、成功させるためのポイントや宿泊業界におけるDX活用例をご紹介いたします。

 

1. 宿泊業界DXとは?

宿泊業界DXとは、ホテルや旅館などの宿泊業が最新のデジタルテクノロジーを活用することで、サービスや顧客への提供価値、業務などを変革させることをいいます。

冒頭でもお伝えしたように、ここ数年の宿泊業界は「爆買い」に代表されるインバウンド需要にコロナ禍と、目まぐるしく対策に追われています。今後、予想されるインバウンド需要・国内需要の回復後に向けた、安全対策やコスト削減などの施策についても、積極的に準備を進めることが大切です。

そのためには、「おもてなしの心に基づくサービス提供」といったソフト面に、デジタルテクノロジーの導入・活用といったハード面を組み合わせ、既存のサービスやビジネスモデルを変革する覚悟が必要だといえるでしょう。
宿泊業界でDXが必要とされる背景については、次章で詳しくご紹介いたします。

 

2. 宿泊業界でDXが必要とされる背景

宿泊業界でDXが必要とされる背景には、大きく以下の4つの要素が挙げられます。

宿泊業界でもデジタルディスラプションが起きているから

デジタルディスラプションとは、新たなデジタルテクノロジーの登場によって、既存の商品・サービスの価値が変化してしまい、市場が破壊される現象のことをいいます。

すでに、さまざまな業界でデジタルディスラプションが起きていますが、宿泊業においては、OTA(Online Travel Agent)と呼ばれる、実店舗を持たずにインターネット上のみで旅行業を展開する企業や、Airbnbのようなインターネットを活用した民泊の登場で、既存の旅行会社が打撃を受けています。実際に海外では大手旅行会社が倒産した事例もあり、大きな脅威となっています。

こうした状況に対応するためには、宿泊業界でも積極的にデジタルテクノロジーの情報を収集して上手に活用するほかありません。

デジタルディスラプションについて詳しくは、以下の記事もご覧ください。

【関連記事】
デジタルディスラプションとは? ~デジタルディスラプションが起こる理由と解決する対処方法~

ウィズコロナ対策のため

新型コロナウイルスの感染拡大によって人々の行き来が制限され、2020年以降、宿泊業界は大きなダメージを受けました。日本政府は宿泊業や運輸業を支援するために「Go To トラベル」を実施し、需要回復を促しています。

こうしたキャンペーンを追い風として上手くキャッチし、その後もリピート予約を獲得して経営を安定させるためにも、宿泊客が安心して過ごせるような感染対策が大切です。

キーワードとなる「非接触」に沿ったチェックイン・チェックアウトや、共用施設の混雑状況の可視化などを、デジタルテクノロジーの力で実現することができます。

インバウンド需要を回復させるため

出入国の規制はすでに緩和されつつあり、今後のインバウンド需要回復が予想されています。

本格的なインバウンド需要回復のためには、ウィズコロナ下で一度、宿泊してもらった外国人旅行者に、またリピートしたいと思ってもらうことが大切です。そのためには、旅行中に起き得る万が一に備えた安心感を提供する必要があるでしょう。

上記のような非接触サービスの充実に加え、災害時の外国人対応や、病気・ケガの際の対応など、安全面のサービス強化が重要です。これらを実現するために、デジタルテクノロジーを上手く活用することが大切です。

人手不足解消のため

万年人手不足ともいわれてきた宿泊業界ですが、日本全体の少子高齢化により、他業者とともにさらに人手不足が深刻化しつつあります。

人手不足解消のためにもデジタルテクノロジーを活用することができます。デジタルテクノロジーによって、業務を自動化・省力化することにより、既存業務に割いていた人員を削減したり、新たな業務のために人手を増やす必要がなくなったりします。
これによって、上で触れた「非接触」の実現にもつながるでしょう。

 

3. 宿泊業界のDX化を成功させるポイント

では、実際に宿泊業界がDXに取り組む際には、どんな観点で実施すれば成功させられるのでしょうか?
主に、以下の3つのポイントが挙げられます。

顧客体験の向上・創出

これまでの宿泊体験を向上したり、これまでにない新しい体験を創出したりすることで、宿泊客に新鮮さを提供します。これにより、既存顧客が何度、利用しても飽きさせることがなく、リピート利用が期待できます。

たとえば、エントランスやロビー、キッズスペースなどでプロジェクションマッピングを活用したり、IoTの導入で来客を感知し、チェックインをスムーズにしたりなどが考えられます。プログラミングやドローンの操縦といったデジタル体験をオプションサービスとして提供するのも良いでしょう。

また、データ活用により、ターゲット層の好む食事や望む施設などの傾向を分析して提供サービスを改善したり、休眠顧客のリテンションを行ったり、新規施設の企画に活用したりなどが可能です。

インバウンド対応では、多言語対応のために翻訳・通訳ツールを活用することができます。観光案内などに導入すれば、次項でご紹介するような人手の削減も期待できます。

省力化で人手不足を解消

人手不足対策や人件費削減を目的としたデジタルテクノロジー活用です。他業界に比べ、人件費率の高い宿泊業界においては、取り組む意義が高いでしょう。

具体的には、オンラインでの予約システムや、受付ロボットまたはアプリなどによる自動チェックイン・チェックアウト、掃除ロボットの導入、などが考えられます。
OTAなど他社の予約サイトを利用すると、集客力は期待できますが、高い手数料がかかる点がネックです。ある程度の認知度があったりリピート顧客が多かったりするなら、直接、予約を受け付ける体制を作れるとベストです。

省力化と同時に接客面で無人化を進めることで、ウィズコロナ時代の感染対策としても有効です。ただ、あまり人での対応を減らしてしまうと、逆に宿泊客の接客に対する満足度が低下してしまう恐れもあるので、リサーチを行った上で検討する必要があるでしょう。

安全性の向上

「インバウンド需要を回復させるため」でもお伝えしましたが、宿泊客の滞在中に起こり得る災害や急病、怪我などへの対策を講じ、その内容を外部へ発信することで、安心感を与え、利用促進につなげられます。
また、通常の点検やメンテンスにデジタルテクノロジーを活用することで、業務効率化や安全性の向上につなげることも可能です。

具体的には、AIカメラとデジタルサイネージを組み合わせた混雑状況の可視化、保守メンテナンスへのIoTやAIカメラの導入などが挙げられます。混雑状況を可視化して宿泊客の待ち時間を減らすことで、顧客満足度の向上も期待できます。

インバウンド需要に限らす、国内からの宿泊客に対してもアピールできるでしょう。

 

4. 泊業界におけるDX成功事例

最後に、国内外の宿泊業界におけるDXの具体的な成功事例をご紹介いたします。

顧客と従業員の双方にVRを活用(Hilton Worldwide Holdings Inc.)

ホテル、リゾートを展開するHilton Worldwide Holdings Inc.では、VRを活用したDXに成功しています。

顧客向けには、実際にホテルに宿泊してもらう前にVRでホテル内を疑似体験してもらい、宿泊を検討させるというサービスを提供しました。ハワイのヒルトン・ワイキキ・ビーチなどで展開されています。

宿泊前の検討材料としてだけではなく、利用者向けのサービスにもVRを活用して新たな顧客体験を提供しています。ヒルトンホテル大阪では、結婚式当日の360度動画とVRを活用し、当日、出席できなかった家族・友人向けや、夫婦の思い出として実際にその場所にいるような体験ができる「HUG WEDDING」を提供しています。

一方、従業員向けには、研修にVRを活用。VRでルームサービスやハウスキーピング、フロントデスクなどの業務を学べます。これは、大人数の従業員全員が十分な実務経験を積む機会を得られないことからスタートした取り組みで、VRを活用することで、実際の就業場所を投影したリアルな体験が可能になるといいます。

また、顧客の立場に立った不満な体験(レストランのサービスが遅いなど)をVRを通して疑似体験することで、必要な対応を学ぶプログラムもあります。

車のナンバープレートを認識してチェックインに情報活用(株式会社陣屋)

宿泊業であるにもかかわらず、週のうち2日は休業する旅館「陣屋」。従業員の離職率を抑制するために始めた改革は、顧客体験の向上までその範囲を広げました。

陣屋では、IoTとAIを導入し、来客のナンバープレートを認識して顧客データを呼び出し、チェックイン時に役立てるという取り組みを行っています。具体的には、駐車場の入り口にカメラを設置して、認識したナンバーからリピーターだと特定できると社内SNSに投稿され、さらにスタッフに音声でも通知されるというもの。この間にかかる時間はわずか2秒だといいます。

共有される顧客情報には、来館履歴や同行者、年齢などがあり、通知を受け取ったドアマンや仲居は、こうした情報を踏まえた接客が可能になります。顧客の立場からすると、自分の存在を覚えてもらい、名前で呼んでもらえるのは嬉しいこと。顧客満足度の向上やロイヤルティの向上につながるでしょう。

陣屋ではほかにも、大浴場に温度センサーと人感センサーを設置し、湯の温度と水位、入浴人数を自動で測定して、スタッフに温度調整と清掃頻度を最適化するというデジタル活用を行っており、顧客満足度の向上につなげています。

世界初のロボットホテルで新しい顧客体験を提供(H.I.S.ホテルホールディングス株式会社)

H.I.S.ホテルホールディングスが展開する「変なホテル」では、ロボットが接客を行う世界初のロボットホテルで新しい顧客体験を提供しています。同ホテル内では、チェックインやクリーニングなどのサービスをロボットが担当。滞在そのものの付加価値を高めています。

チェックインは、人型ロボットや恐竜型ロボットなどのガイダンスに従ってタブレット端末を操作することで行います。ほかにも、クロークやポーター、案内人、掃除などをロボットが務めます。
客室にも、ロボホンなどのロボットが設置されており、館内説明や天気予報などの情報提供、モーニングコールなどのサービスを提供しています。

同ホテルではロボット活用のほか、客室の出入りにキーが不要な顔認証を採用していたり、レイコップ・ジャパンが提供する快眠のためのふとんコンディショナー「フトコン」を導入するなど、新たな顧客体験の創出に積極的に挑んでいます。

 

5. まとめ

人手不足やコロナ禍による顧客離れなど、宿泊業を取り巻く状況は深刻ですが、最新のデジタルテクノロジーやデータを活用してDXを進めれば、課題を解消することが可能でます。

上でご紹介したようなポイントを押さえ、コロナ禍が収束した後の顧客ニーズを見据えて改革に取り組むことで、チャンスをピンチに変えることができるでしょう。

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