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分散システムとは ~分散システムの種類やメリット・デメリットまで解説~

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分散システム(distributed systems)とは、多数のコンピューターをネットワークで接続し、複数のコンピューターが連携して一つの作業を分担するコンピューターシステムのことをいいます。個々のコンピューターは独立していますが、外からは全体が一つの高性能なシステムに見えるのが特徴です。

コンピューターの歴史は「集中」と「分散」を繰り返しているといわれ、メインフレーム(集中)からPC(分散)へ、さらにクラウド(集中)へ、次はIoT(分散)の時代ということで、近年また分散システムに注目が集まっています。

本コラムでは、分散システムの種類やメリット、デメリットをご紹介いたします。

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1. 分散システムとは

分散システム(distributed systems)とは、多数のコンピューターをネットワークで接続し、複数のコンピューターが連携して一つの作業を分担するシステムのことです。一つひとつのコンピューターは独立していますが、連携を取っているため外部からは全体が一つの高性能なシステムであるかのように見えます。

分散システムでは、膨大な計算処理を多数のコンピューターで分散します。たとえば、細胞のメカニズムを解析するといった場合です。このため、一つひとつのコンピューターにかかる負荷が小さく、また、障害が起きた際の影響範囲が限定的であるといったメリットがあります。
分散システムのメリット・デメリットについては、後述します。

分散システムの代表例「クライアントサーバーシステム」

分散システムの代表例として、クライアントサーバーシステムが挙げられます。
クライアントサーバーシステムとは、サーバーがサービスや機能を提供し、サーバーが提供するサービスや機能を利用するコンピューターである「クライアント」とで構成されるシステムのことで、「クライアントサーバ」や「クラサバ」と省略して呼ばれることも多いです。
通常、1台のサーバーに対し、クライアントを複数台つなぐことができます。

分散システムと対比する「集中システム」

分散システムと反対に、1台の大型コンピューターですべての作業をこなす方式のシステムを「集中システム」といいます。管理やセキュリティ対策がしやすく、効果も高い点がメリットですが、障害が起きればすべての業務が停止してしまう点はデメリットです。

分散システムと「非中心システム」の違い

非中心システム(decentralized systems)とは、分散システムと同様に、複数のコンピューターがネットワークに接続して共同で処理を行うシステムですが、上でご紹介した「クライアントサーバーシステム」のような中央集権的な要素を持ちません。匿名性や分権がメリットです。非中心システムは分散システムの一種ともいえます。

ただ、現状ではdistributed systemsもdecentralized systemsも等しく「分散システム」と訳されることがあるため、どちらも区別なく扱われることも多いです。

 

2. 分散システムの種類

分散システムの主な種類として、「垂直型分散システム」「水平型分散システム」「自律分散システム」があります。

垂直型分散システム

垂直型分散システムとは、システムを構成するコンピューターによって役割が異なる処理を実行するタイプです。大型コンピューターに、中型・小型のコンピューターがぶら下がる階層構造を形成することが多いです。
上でご紹介した「クライアントサーバーシステム」も、この垂直型分散システムです。

水平型分散システム

水平型分散システムとは、システムを構成するすべてのコンピューターが同じ処理を行うタイプです。コンピューター同士が対等で、垂直型分散システムのようにコンピューター間に階層構造はありません。

水平型分散システムの代表例が「分散データベース」です。分散データベースとは、多数のデータベースをネットワークで接続し、あたかも一つのデータベースであるような働きをするデータベースのことです。

水平型分散システムはさらに、「水平負荷分散システム」と「水平機能分散システム」に分かれます。

水平負荷分散システムとは

水平負荷分散システムとは、機能的には同じ処理を複数のコンピューターで分散し、コンピューター1台当たりの負荷を軽減するモデルです。

水平機能分散システムとは

水平機能分散システムとは、機能ごとに処理を分散させるモデルです。

自律分散システム

自律分散システム(autonomous distributed systems)とは、生体を模して作られたシステムで、生物の細胞一つひとつが自立的に働きながらも協調し、全体が統合的なシステムとしての働きをします。
拡張性に優れ、システム全体が停止するリスクの低い信頼性の高いシステムとなる点がメリットです。

自律分散システムの代表例は、ブロックチェーンです。ブロックチェーンとは参加者同士でネットワーク上に同じ台帳を管理・共有できる「分散型台帳技術」の一つで、取引の最初から最後までのすべてが時系列で記録されるものです。
ブロックチェーンについて詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

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3. 分散システムのメリット

分散システムには、主に「低コストで構築できる」「1台にかかる負荷を分散できる」「障害の影響範囲が限定的である」などのメリットがあります。

低コストで構築できる

上述のように、処理を行うコンピューター1台1台に高い性能が求められないため、コンピューターにかかるコストを抑えられます。

垂直型分散システム」の場合も、たとえば、クライアントサーバーシステムの場合、サーバー機に複数のクライアントを接続できるため、高額なサーバー機の導入台数は少なくて済み、低コストで済みます。

1台にかかる負荷を分散できる

分散システムのうち、「垂直型分散システム」では、高い階層に位置するシステムには高負荷がかかるために高性能が求められますが、「水平型分散システム」や「自律分散システム」の場合、処理にかかる負荷がすべてのコンピューターで分散されるため、各コンピューターに高い性能は求められません。
また、多数のコンピューターで一つの作業を分散して行うため、全体の処理を終了させるスピードが速まります。

障害の影響範囲が限定的である

もし、集中システムで障害が発生した場合は、すべての処理がストップしてしまいます。
しかし、分散システムの場合、機能や負荷を多数のコンピューターで分散しているため、一部のコンピューターに障害が起きたとしても、ほかの大多数のコンピューターが機能や処理をカバーしてくれます。このため、障害の影響範囲が限定的でシステム全体がダウンしてしまうリスクが低く、復旧も一部のコンピューターを修復・交換すれば良いため、障害復旧までが早いです。

柔軟に拡張できる

分散システムを利用する目的に合わせて、必要なコンピューターの台数を増減したり、特定の機能(コンポーネント)を追加したり削除したりといった拡張性が高い点もメリットです。

 

4. 分散システムのデメリット

一方、分散システムにもデメリットはあります。主に、「管理が煩雑になる」「セキュリティ対策がしづらい」といった点で、集中システムのメリット・デメリットの逆です。

管理が煩雑になる

分散システムを構成するコンピューターは多数あり、すべてが一箇所に集められているわけでもないため、管理しづらい点が挙げられます。

遠隔操作でソフトウェアを一括でインストールやアップデートしたり、システムやアプリケーションのリソース管理が行える環境を用意し、ネットワークの監視を実施したりする必要があり、管理が煩雑になる点がデメリットです。

セキュリティ対策がしづらい

データを漏えいや破壊から守るために、個々のコンピューターにセキュリティ対策を施す必要があります。さらに、コンピューター間でのやり取りにはネットワークを利用するため、ファイアウォールなどの対策も必要です。ただ、前項から派生するデメリットとして、それぞれのコンピューターのセキュリティ対策についても管理しづらいため、セキュリティ対策を徹底することが困難です。

これを踏まえた上で、セキュリティを向上するには、外部に分散システムであることを知られないことが大切です。分散システムであることを明らかにしている場合も、個々のコンピューターの在りかやハードウェアのスペック、OSについてなどの詳細を明かさないように注意する必要があります。

また、個人所有のPCの遊休状態のCPUを活用するケースでは、ブロックチェーンのように作業への参加が自由な自律分散システムの場合、悪意のあるユーザーが入り込む可能性があり、これを排除する手段がないこともリスクです。

 

5. まとめ

分散システムとは、多数のコンピューターがネットワークでつながって協調することで、外部からはあたかも一つの高性能なシステムのように見えるシステムのことで、垂直型分散システム、水平分散システム、自律分散システムなどの種類があります。

分散システムを構築・利用する際は、分散システムのメリット(低コストで構築でき、処理速度が速いなど)とともにデメリット(管理が煩雑になり、セキュリティ対策がしづらいなど)を把握し、適切に扱う必要があるでしょう。

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