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デジタルディスラプションとは? ~デジタルディスラプションが起こる理由と解決する対処方法~

デジタルディスラプションとは? ~デジタルディスラプションが起こる理由と解決する対処方法~

デジタルディスラプション(Digital Disruption)とは、新たなデジタルテクノロジーの登場により、新しい商品・サービスが生まれて既存の商品・サービスの価値が変化し、市場が破壊される現象を指す言葉です。日本語では「デジタルによる破壊」や「創造的破壊」と訳されます。

すでに、さまざまな市場でデジタルディスラプションが起きており、これに対抗するためには、やはりデジタルテクノロジーの力が必要です。

本コラムでは、デジタルディスラプションの概要や対処法、具体的な事例などをご紹介いたします。

 

1. デジタルディスラプションとは

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デジタルディスラプションとは、新たなデジタルテクノロジーの登場により、新しい商品・サービスが生まれて既存の商品・サービスの価値が変化し、市場が破壊される現象を指す言葉です。日本語では「デジタルによる破壊」「創造的破壊」などと訳されます。

デジタルディスラプションを起こした当事者である企業などは「デジタルディスラプター」と呼ばれます。

なお、デジタル・ディスクラプション研究の第一人者と呼ばれる、米国のフォレスター・リサーチ社の副社長であり主席アナリストであるJAMES McQUIVEY(ジェイムズ・マキヴェイ)氏が、2013年2月に書籍「Digital Disruption(デジタルディスラプション)」を上梓しています。

 

2. デジタルディスラプションが起こる理由

では、どうしてデジタルディスラプションが起きているのでしょうか?
その理由・背景といえるのは、次の2点です。

DXがうまくいっていないため

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、最新のデジタルテクノロジーを活用して既存のビジネスモデルや商品・サービス、従業員体験などを変革することをいいます。

仮に、すべての企業がDXに取り組み、成功すれば、多くの商品・サービスは新たな価値を持つことになり、そもそも既存の商品・サービスがそのままの状態で市場に存在することはなくなるでしょう。その結果、市場のほとんどのプレイヤーが対等な競争力を持ち、デジタルディスラプションが起こりにくい状態です。

しかし、実際にはDXに成功している企業がいる一方で、DXがうまくいっていなかったり、そもそも取り組んでいなかったりする企業が大多数です。このため、デジタルテクノロジーを活用して変革がうまくいった企業がデジタルディスラプターとなり、デジタルディスラプションが起こっているのです。

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イノベーションのジレンマが起きているため

イノベーションのジレンマとは、規模の大きな企業が、新たな技術を持ったスタートアップ企業などの新興企業に、競争で敗れることをいいます。なお、イノベーションとは、新たな技術や考え方などを導入して新たな価値を生み出すことです。

大企業は、新興企業と比べてリスクを取りにくく、新規事業や新市場への参入が遅れがちです。その結果、規模が小さくフットワークの軽い新興企業に遅れを取り、シェアを奪われてしまうことがあります。

つまり、巨大企業や大企業が、デジタルテクノロジーを活用した新たな商品・サービスなどについて、時間をかけてリスク分析を行い、検討を重ねているうちに、新興企業が新たな技術を投入し、デジタルディスラプションが起きてしまうのです。

 

3. デジタルディスラプションに対処する方法

自社が勝負している市場において、すでにデジタルディスラプションが起きている場合、もしくは今後、起きてしまった場合には、どのように対処すれば良いのでしょうか?

DXを成功させる

上でお伝えしたように、デジタルディスラプションが起こる原因となっているのは、新たなデジタルテクノロジーです。これに対抗するには、やはり最新のデジタルテクノロジーの活用が不可欠です。

デジタルテクノロジーによって既存の商品・サービスや顧客体験、ビジネスモデルなどを変革し、新たな価値を提供できるようになれば、デジタルディスラプターに打ち勝つ競争力を持つことができるでしょう。

DXを成功させるために注意したいポイントは、以下の2点です。

スモールスタートして試行錯誤する

デジタルディスラプションへの対処という視点で見ると、DXに取り組む際は、企業の規模に関わらず、スモールスタートがおすすめです。

小規模に開始してからトライアンドエラーを繰り返すことで、リスクを最小限に抑えることができます。試行錯誤しながら、自社に合ったデジタル活用の成功パターンを見つけ、それを拡大していくことでDXを軌道に乗せられるでしょう。

ただ、次項で挙げる通り、DXへの取り組みには中長期的な視点も必要です。このため、導入するデジタル技術は拡張性が高いものを選ぶことが重要です。

中長期的な視野で計画を立てる

DXは、新たなデジタルテクノロジーを導入して業務や商品・サービスを変革に一度、成功したら、それで終わりではありません。PDCAを回して継続的にデータの蓄積・活用を行い、さらなる変革を繰り返すことで、新たなデジタルディスラプターに対する競争力を維持できるでしょう。

どちらかといえば大企業の方が、長期的な視野で計画を立てることに長けているといえます。スタートアップ企業やベンチャー企業などの新興企業では、目先の利益のみを追う場当たり的なデジタル活用だけでなく、中長期的な成功を目指して計画を立案しましょう。

 

4. デジタルディスラプションの事例

最後に、デジタルディスラプションの事例をご紹介します。事例から、実際にどんな市場がどのように崩壊しているかを知ることで、デジタルディスラプションの実態を掴むことができるでしょう。

ここでは、「令和3年 情報通信白書」で取り上げられている、国内外のデジタルディスラプションの事例5つをピックアップして、どのような企業が、どのようなデジタルテクノロジーによって淘汰されてしまったのかをご紹介いたします。

フリマアプリの台頭により、中古子供服の顧客が奪われた(Eco & Kids Akira)

子供服を専門とするリサイクルショップ「Eco & Kids Akira(エコアンドキッズアキラ)」は、最盛期には全国で74店舗を展開するまでに成長しましたが、急速に台頭したフリマアプリに押されて経営が悪化し、2018年10月に倒産しました。

デジタルディスラプター:フリマアプリ

メルカリに代表されるフリマアプリは、2013年頃から若い女性を中心に利用が広がりを見せました。それまで、CtoCの代表格だったオークションサイトに比べて取引期間が短く、スピーディーに購買が行える点や、出品者も購入者も本名や住所を伏せたまま、やり取りが行える匿名性、スマートフォン1台で出品も購入も簡潔する利便性の高さなどが支持されました。

Eco & Kids Akiraが取り扱う子供服も、フリマアプリでは人気のジャンルです。もともと、成長が早く、すぐにサイズアウトしてしまう子供服は、中古でも状態が良いものも多く、特にブランド子供服は比較的、高値で取引されています。

顧客を奪われるばかりではなく、フリマアプリ上で出品するユーザーもEco & Kids Akiraの競合となったため、大きな脅威となりました。

インターネット通販やデジタルコンテンツ配信などの台頭により店舗の収益が悪化(株式会社文教堂グループホールディングス)

1898年に創業した書店チェーンである文教堂は、書籍類のインターネット通販や電子ブックなどのデジタルコンテンツ配信などの台頭により収益が悪化し、2019年6月、私的整理の一種である事業再生ADRの利用を申請し、受理されました。

デジタルディスラプター:インターネット通販、デジタルコンテンツ配信

Amazon.comに代表されるインターネット通販やデジタルコンテンツでは、ユーザーや購買・閲覧状況のデータを蓄積・可視化して、企画や販促に活用することができます。
実店舗の書店はこの点で劣り、大きく水をあけられました。

文教堂に限らず、インターネット通販やデジタルコンテンツの普及によって、書籍の市場規模は縮小傾向が続いていました。
特に、たとえば、丸善のように学校法人への卸売といった、ほかの主事業を持たず、店舗での書籍等の販売を主事業としていた同社が、大きな影響を受けた結果といえるでしょう。

OTAや民泊の台頭で「世界最古の旅行会社」が破産(Thomas Cook Group plc/トーマス・クック・グループ)

英国の老舗旅行会社で、「世界最古の旅行会社」とも称されたトーマス・クック・グループは、2019年9月、ロンドンの裁判所に破産を申請しました。

デジタルディスラプター:インターネット旅行会社、民泊

Expedia(エクスペディア)に代表される、実店舗を持たないインターネット専門の旅行会社は「OTA(Online Travel Agent)」と呼ばれます。消費者は、数多くの選択肢の中から家にいながら宿泊先や交通チケットの予約を完結できる利便性の高さが魅力です。

また、Airbnbに代表されるインターネットを活用した民泊の台頭により、消費者は、より多くの選択肢の中から、より安価に宿泊先を選べるようになりました。民泊にはコストメリット以外にも、現地の人々の暮らしを垣間見たり、コミュニケーションが取れたりといった旅の楽しみが満喫できる魅力があります。

こうした背景がありながら、トーマス・クック・グループの役員にデジタルに精通した人材がいなかったことなどからデジタル化に失敗し、破産を回避できませんでした。

利用者とドライバーがタクシー配車アプリに流れ、サンフランシスコ最大のタクシー会社が破産(Yellow Cab Chicago Inc./イエローキャブ)

米国サンフランシスコで最大のタクシー会社であったYellow Cab Chicago Inc.は、タクシー配車アプリの影響で、2016年1月に連邦破産法第11条の適用を申請しました。

デジタルディスラプター:タクシー配車アプリ

イエローキャブ社を破産に追い込んだのは、UberやLyftに代表されるタクシー配車アプリです。

利用者にとっては、スマートフォンがあれば、いつでもどこでもタクシーを手配でき、乗車場所への到着時間や目的地までにかかる料金を大まかに把握することができるという利便性の高さがメリットです。また、事前にスマートフォンから決済することも可能なため、特に現地の言葉を話せない海外旅行で重宝します。

ただ、イエローキャブ社の経営を圧迫したのは、こうしたタクシー配車アプリの利便性による顧客の離脱だけではありません。ドライバーが同社から配車アプリへ流れたことも、破産の要因となったといわれます。

デジタル広告市場への進出に失敗(The McClatchy Company/マクラッチー)

米国の大手新聞グループのマクラッチー社は、紙媒体の不振が続き、2020年2月、連邦破産法11条の適用を申請しました。

ワシントン・ポストやニューヨーク・タイムズなどが全国ニュースや国際ニュースに注力したのに対し、同社では地域ニュースに注力したため、明暗が分かれたと考えられています。

デジタルディスラプター:SNS広告やリスティング広告など、他媒体のデジタル広告

マクラッチー社が破産に追い込まれた原因として、広告収入の減少が挙げられます。新聞の発行部数の減少により、広告収入が減少した上に、デジタル広告においては、FacebookとGoogleが全体の6割を握るなど、後発の同社は広告のデジタル化に対抗できなかったことが要因となっています。

 

5. まとめ

デジタルテクノロジーの進歩のおかげで、私たちの暮らしは、より便利で豊かなものへと変化しています。そして、その陰には、既存の商品・サービスが淘汰され、倒産する企業の存在があります。

事例でご紹介したようなデジタルディスラプターは、これまで消費者が望みながらも実現されなかった利便性や顧客体験を、最新のデジタルテクノロジーで実現している点で共通しています。法整備などの課題もありますが、デジタルディスラプターが提供している新たな価値は、既存の市場ばかりか社会インフラまでをも変化させるほどの力を持っています。

これからデジタルディスラプションへの対応やDXに取り組もうとする企業にとって、今一度、消費者のニーズに立ち返ることがヒントになりそうです。

 

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