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オープンイノベーションとは? ~注目される背景から成功事例までご紹介~

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オープンイノベーションとは? ~注目される背景から成功事例までご紹介~

オープンイノベーション(open innovation)とは、自組織のイノベーションのために、組織内部だけではなく、組織外の企業や行政・自治体、大学などと積極的に連携して、アイデアや技術などの資源を流出入させてイノベーションを起こす手法を指します。

かつては、知的財産権などを保護するために、自組織内のみの経営資源を活用するクローズドイノベーションが主流でしたが、この手法による研究開発効率が低下したことから、オープンイノベーションに期待が集まるようになりました。

本コラムでは、オープンイノベーションが注目される背景や、メリット・デメリット、成功事例をご紹介いたします。

 

1. オープンイノベーションとは?

オープンイノベーション(open innovation)とは、自組織のイノベーションのために、組織内部だけではなく、組織外の企業や行政・自治体、大学などと積極的に連携して、アイデアや技術などの資源を流出入させることで、イノベーションを起こすことをいいます。

オープンイノベーションの概念を提唱したのは、2003年当時、ハーバードビジネススクールの助教授だったHenry Chesbrough(ヘンリー・チェスブロウ)氏です。

そもそもイノベーションとは?

イノベーション(innovation)とは、生産性向上のために、新たな生産方式を導入したり、生産要素の組み合わせを変えるなどの方法で社会的、経済的に新しい価値を生み出すことです。

1911年に、オーストリア出身の経済学者であるヨーゼフ・シュンペーター(Joseph Alois Schumpeter)氏が初めて提唱しました。日本語では「革新」「刷新」「新機軸」などと訳されます。

 

2. オープンイノベーションが注目される背景とは?

イノベーションの概念が登場した1911年から92年後の2003年、オープンイノベーションの概念が誕生しました。

オープンイノベーションが登場し、注目される背景には、それまでのクローズドイノベーションの限界があります。

クローズドイノベーションの限界

クローズドイノベーション(closed innovation)とは、オープンイノベーションとは逆に、自組織内のリソースのみを活用してイノベーションを起こす方法です。

そもそも、シュンペーター氏がオープンイノベーションを提唱したきっかけは、競合企業のケーススタディーを扱う中で、自前の研究投資額が大きい企業が必ずしも成功するとは限らないということに気づいたことだといいます。

知的財産権などの保護を優先させれば、自ずとクローズドイノベーションに向かいます。しかし、社内の既存のアイデアや技術などをいくら発展させても、革新的な商品や手法は生まれにくいということです。

クローズドイノベーションは、市場や技術の変化が少ない環境においては有効だとされていますが、現代のビジネス環境は変化が激しく、対応スピードの速さが求められます。
こうした理由から、クローズドイノベーションが限界を迎え、オープンイノベーションに期待が集まるようになったといえます。

一方、オープンイノベーションでは、異分野などの融合による革新的なビジネスや商品の創出を目的とするため、市場や技術の変化の激しい現代との親和性が高いといえます。

 

3. オープンイノベーションのメリット・デメリット

オープンイノベーションに取り組むことには、メリットとデメリットの両面があります。

オープンイノベーションのメリット

オープンイノベーションに取り組み、成功することで、次のようなメリットが得られます。

新規ビジネスや商品・サービスを創出できる

もともと、イノベーションの目的が、新しい価値の創出であることから、オープンイノベーションに成功すれば、革新的なビジネスや商品・サービスを創出できます。

新規ビジネスや新商材を創出して、新規市場に参入できれば、リスクヘッジになり、競争力を強めることができます。

研究開発にかかる時間と費用を削減できる

クローズドイノベーションとは異なり、外部のリソースを活用できることで、イノベーションに必要なコストを削減することも可能です。

たとえば、自組織のリソースしか活用できなければ、時間と費用をかけて技術開発するしかなかったところを、外部の技術をそのまま活用することができれば、開発にかかるはずだった時間と費用を削減できます。

オープンイノベーションのデメリット

一方、オープンイノベーションが成功することで、自組織のスタッフのモチベーションが低下する恐れがあります。自組織のスタッフの専門性やスキルが高いほど、外部からのアイデアや技術などで成功することで自信を失いやすいといえます。

これを回避するために、オープンイノベーションの取り組みに優先して、自組織内のスタッフにアイデンティティを失わせないための工夫を行う必要があるでしょう。

 

4. オープンイノベーションの成功事例

最後に、実際にオープンイノベーションに取り組んで成功した、国内外の事例をご紹介いたします。

オープンイノベーションで「Pringles(プリングルズ)」を生み出す(Procter & Gamble Australia Pty. Ltd.)

P&GでおなじみのProcter & Gamble Australia Pty. Ltd.は、米国オハイオ州に本拠を置く世界最大の一般消費財メーカーです。同社では、「Connect+Development(つなげる+開発する)」を掲げてオープンイノベーションに取り組み、さまざまな商品・サービスを生み出しました。

その中でも、よく知られているのがポテトチップスの「Pringles(プリングルズ)」です。新たなポテトチップスのアイデアを検討する中で、ポテトチップスの表面にキャラクターを印刷するという案が出ました。しかし、同社にはポテトチップスに印刷を施す技術を持ち合わせていません。

そこで、社外からアイデアを募ったところ、ケーキやクッキーに印刷可能な食用インクジェット技術を発明したイタリア人が参画。プリントチップスが実現しました。最終的に、ブルーの食紅で雑学を印刷し、ランチタイムを盛り上げることに成功しました。
日本でも、セブンイレブン限定で雑学や王様ゲーム用の指示が印刷されたプリントチップスが発売されて話題になりました。

オープンコミュニティ「First Build(ファーストビルド)」で「Opal(オパール)」などを生み出す(General Electric Company)

GEで知られるGeneral Electric Companyは、米国のコネチカット州に本社を置く、世界最大の総合電機メーカーです。同社では、もともとスタートアップやベンチャーキャピタルとの協業に取り組んできましたが、2014年にイノベーションの研究所兼マイクロファクトリー(小規模製造施設)として「First Build(ファーストビルド)」を立ち上げました。

First BuildはGEからは完全に独立しており、ファーストビルドの社員以外に工業デザイナーやエンジニア、学生などが協業するオープンコミュニティだといいます。

First Buildが生み出した成功例の一つが、家庭用製氷機の「Opal(オパール)」。Opalは、飲食店などでよく使われる、噛み砕ける柔らかさの小粒な氷「ナゲットアイス」を家庭で簡単に作ることができる製氷機です。

First BuildのWebフォーラムへの書き込みでアイデアが出ると、ラボで試作品を作り、クラウドファンディングで資金を集めました。ECサイトで販売を行うと好評を博し、300万ドル以上の利益を上げたといいます。

「Sony Startup Acceleration Program」で社外向けに16産業、社内向けに17事業を創出(ソニー株式会社)

国内の成功事例では、総合電機メーカーであるソニー株式会社の「Sony Startup Acceleration Program(SSAP)」をご紹介いたします。

アイデア創出から事業化までをワンストップで支援するプログラムであるSSAPは、もともと、社内でのスタートアップの事業運営を支えるプログラムとして2014年に誕生しました。
2018年からは社外にもサービス提供が開始され、2020年12月には、交流型オフィス「SSAP Open Innovation Village」をオープンしています。

同プログラムで提供されたサービス数は、社外向けだけで100件(16産業)を超えるといいます。社内では、スマートウォッチ「wena wrist(ウェナ リスト)」やロボットトイ「toio(トイオ)」など、2021年3月時点で17もの事業を生み出しました。

「独創の森」で1,000件を超える協創を実現(株式会社日立製作所)

世界有数の総合電機メーカーである株式会社日立製作所では、従来から独自の顧客協創方法論「NEXPERIENCE」を確立・活用してきましたが、オープンイノベーション創出を加速するために、東京・国分寺地区の中央研究所内に「独創の森」を開設しました。

「独創の森」では、「新たな協創のカタチ」「自然との共生」「創造力を高めるワークスタイル」という三つの基本方針を掲げ、人間中心でQoL(Quality of Life)の高い豊かで持続可能な社会の実現のために、企業との協創を進めています。

先述の「NEXPERIENCE」の適用件数は、2016年度の175件から2018年度には1,000件を超え、新しいソリューションを生み出してきたといいます。
また、「独創の森」では、商用局免許でローカル5G実証環境を開設し、5Gを活用した高信頼なエッジコンピューティング運用技術を実証するといった取り組みも行われています。

 

5. まとめ

イノベーションという概念の登場から約90年後に生まれたオープンイノベーションは、従来のクローズドイノベーションの限界を迎えて注目を浴びるようになりました。

自組織内だけのリソースでは実現し得ないようなイノベーションを起こせる可能性を持つオープンイノベーションには、イノベーションにかかる時間コストや金銭コストを削減できる効果も期待できます。

オープンイノベーションに取り組む際は、自組織のメンバーのモチベーションを低下させないような施策が必要です。デメリットに配慮しつつオープンイノベーションを成功させて、競争力の強化につなげましょう。

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