属人化を解消するには? ~属人化が生じる原因やリスクなどをわかりやすく解説~

特定の担当者しかその業務を行えないという状態を属人化といいます。「自分にしかできない仕事」といえば聞こえは良いですが、休暇や異動、退職などによって担当者が不在になってしまうと、その業務が行えなくなるということです。属人化している期間が長引くほど、引き継ぎも困難になっていきます。
本コラムでは、属人化が生じてしまう原因や、属人化によって生じるリスク、属人化を解消する方法をご紹介いたします。
1. 属人化とは
属人化とは、企業など組織において特定の業務を特定の担当者が行う状態が続くことで、その人にしか内容や進め方がわからなくなってしまう状態になることをいいます。
属人化には、担当者にとっては個人的なメリットがあるケースも見られますが、組織にとってメリットはほとんどありません。属人化を解消して業務を標準化する必要があります。
2. 属人化が生じる原因
属人化が生じる原因は、大きく以下の4つです。
業務内容が高度に専門的であるため
業務内容が高度に専門的である場合、その業務をこなすためには高いスキルが必要であり、なおかつ、業務の工数が多く内容が複雑になる傾向があります。そのため、マニュアルを整備したところで、誰もがこなせるようになるものではありません。
その結果として、業務が属人化してしまうことになります。
人手が足りないため
属人化の要因として、同じ担当者ばかりが特定の業務に就くことが挙げられますが、業務をローテーションしたり複数人で業務内容を共有したりしたくても、人手不足で手が回らず、実施できていないというケースがあります。マニュアル作成すら行えていないということもあるでしょう。
特に、管理業務などの非生産部門の場合、営業部門などの生産部門に比べると人員を増やしてもらいづらい傾向があります。
社内の情報共有体制が未整備であるため
前項のように人手が足りないわけでもないのに業務が属人化してしまっている場合、社内でノウハウなどの情報共有を行いにくい風土や体制になっている可能性があります。
- 積極的に情報共有しようという人がいない(情報共有の文化がない)
- 情報共有に適した場がない(マニュアルのデータファイルなどを蓄積・共有するツールが未整備)
- 社内の教育体制が整っていない
業務マニュアルの作成や共有は手間のかかる作業です。これを促したり実際に共有した人を称賛したりする管理職などが存在しなければ、自発的に情報共有しようという人はなかなか出てこないでしょう。
担当者が故意に属人化の状態を作り出そうとしているため
なかには、属人化している業務の担当者自身が、自ら属人化の状態にメリットを感じ、意図的に作り出しているケースもあります。属人化させることで、自分の存在価値を増大し、評価を高めたいという意図があります。また、業務におけるミスを隠蔽したり、横領などの不正行為を続けたりするために行っているケースもあるかもしれません。
3. 属人化によって生じるリスク
業務を属人化させることで、以下のようなリスクが生じる可能性があります。
業務改善が行えない
特定の担当者が単独で業務を行っており、それをチェックする人がいないため、業務のムリ・ムダ・ムラがあってもそれを改善することができません。もし、担当者本人が故意に属人化の状態を作り出そうとしているなら、そもそも、本人に改善する気もないでしょう。
このため、属人化している業務には、余計な時間や工数、人件費などがかかっている可能性があります。
業務に関する知識やノウハウ、技術を社内に蓄積できない
属人化している業務の担当者が退職してしまった場合、その人ともに業務に関する知識やノウハウ、技術といった知的財産は消えてしまうことになります。属人化している業務では、後任者への引き継ぎも煩雑になるため、引き継ぎ切れない恐れもあります。
情報漏えいなどの損害リスク
特定の担当者だけがその業務の詳細な内容を把握している状態が長く続くと、不正の温床になりがちです。たとえば、担当者が会社の保有する機密情報や個人情報を社外で販売したり、コストを水増し請求して差額を着服したりといったことなどが考えられます。そこまでひどくなくても、長期にわたってミスが隠蔽されることで損害が生じる可能性もあります。
いずれにしても、業務が属人化することで会社にとって不利益なことが起こるリスクがあることに変わりはありません。
4. 属人化を解消するには
では、どのようにして属人化を解消すれば良いのでしょうか?
考えられる方法は次の3つです。
業務プロセスを見直して分割する
まずは、属人化している業務の内容とプロセスを見直し、分割して簡素化できる部分はないかどうか精査しましょう。難易度の高い業務であっても、数人で分担することで属人化を防ぐことができます。場合によっては、新たに人材を採用しなければ実現できないこともあるでしょうが、社内の人材でまかなえることが判明するかもしれません。
また、業務プロセスを見直す中で、業務のムリ・ムダ・ムラが見つかる可能性もあり、業務改善につなげることもできます。
業務を可視化する
既存の業務プロセスを見直して分割したら、次は業務を可視化しましょう。
業務の進捗状況や業務のルールなどを「見える化」することで、業務の全体像を把握できるばかりでなく、改善すべき点や課題を発見できたり、担当者ではない人にも業務を理解しやすくなったりするメリットがあります。つまり、可視化により、担当者以外にも該当業務の詳細を共有できるようになるのです。
業務を可視化するためのツールもたくさんリリースされているので、利用すると良いでしょう。
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定期的にジョブローテーションを行う
業務によっては専門的で高度なスキルを保有している必要があるかもしれませんが、可能な範囲でできるだけ部署や職務を異動させ、ジョブローテーションを行いましょう。その際、業務の引き継ぎに、上でお伝えした業務プロセスの分割や業務の可視化が役立つはずです。
定期的にジョブローテーションを行うことで、業務の属人化を防ぐとともに、従業員が持つ潜在的な能力を引き出したり、イノベーションが生まれたりするといった効果も期待できます。
5. まとめ
属人化の原因や解消方法などをご紹介いたしました。
業務が属人化してしまうと、業務改善が進まないばかりでなく、ブラックボックス化して担当者の異動や退職時に引き継ぎが困難になります。仮に、引き継ぎがうまくいかなければ、会社からノウハウや技術も消失してしまいます。また、不正の温床になる傾向があるなど、会社にとって属人化のメリットはありません。
もし、属人化している業務がある場合は、上でご紹介したような方法で解消し、業務の標準化を目指しましょう。
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