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ペーパーレス化とは ~メリットや注意点まで解説~

「ペーパーレス化」という言葉自体は決して新しいものではなく、日本では1970年代頃から何度かトレンドになりました。ただ、デジタル技術や法整備が追いつかなかったことから本格的に定着したとはいえず、今も「オフィスから紙が消えた」というレベルで実現できているところは多くありません。

本コラムでは、ペーパーレス化が進む背景やメリットやこれからペーパーレス化に取り組む企業様などへ向けて注意点などをご紹介いたします。

1. ペーパーレス化とは

ペーパーレス化とは、企業など組織内の文書や資料などの帳票類を電子ファイルで作成したり、既存の紙の文書や資料などの帳票類を電子化したりすることで、業務効率化を目指す取り組みのことです。

ペーパーレス化を実現することで、書類に記載されている情報を検索できるようになります。また、紙に比べて管理がしやすくなったり、紙の保管スペースが不要になったりなどのメリットもあります。ペーパーレス化のメリットについて詳しくは、後述します。

「ペーパーレス化」という言葉は特に新しいものではないため、これまでに何度も見聞きしたことがあるという方が多いでしょう。実際に、日本では1970年代頃から使われ始め、ペーパーレス化ブームとよべる現象も起きました。ただ、まだペーパーレス化に利用できる機器が充実していなかったことや、法律で紙での保管を義務付けられているものが多かったことなどから本格的なペーパーレス化は実現できず、部分的なものに始終していました。

 

2. ペーパーレスが進んでいる背景

最近になってデジタル技術や法整備が追いつくなどいくつかの要因が重なり、ペーパーレス化に再度注目が集まっています。実際に取り組む企業も増えているようです。
ペーパーレスが進んでいる背景として、大きく以下の3つが挙げられます。

デジタル技術の進歩

まず、ペーパーレス化を実現するために必要なデジタル技術が進歩し、利便性の高いツール類をより安価に活用できるようになったことが挙げられます。

たとえば、契約書類を紙で作成せず改ざん防止を実現しながら電子文書で契約が行える電子署名システムや、資料や文書、帳票などのデータを格納・管理するための文書管理システム、オンラインで稟議や経費精算などを行えるワークフローシステムなどの普及、既存の紙の書類をデータ化する際に活用できるOCR(Optical Character Reader/光学式文字読み取り装置)にAIが搭載されて、より高精度になり実用性が向上するといったことです。

デジタル技術の進歩により、最初からデータで文書などを作成するにも、既存の紙からデータを作成するにも、よりセキュアにかつ信頼性も高く実施できるようになりました。

法整備が進んだこと

法整備により、データによる契約書や帳票類が法的な効力を有すようになったこともペーパーレス化が進んでいる背景の一つです。

具体的には、「電子帳簿保存法」「e-文書法」がペーパーレス化に関連する法律です。

電子帳簿保存法とは、正式名称を「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」といい、国税関係帳簿書類を電子データで保存することを認めた法律です。これまでに何度か改正が行われ、当初は帳簿や書類のみだったところから徐々に対象を広げ、入退室システムに記録されるID情報なども対象となっています。
2022年1月1日には、テレワークの推進や経理業務の生産性向上などを目的に、税務署長の事前承認制度が廃止されるなどの変更が実施されました。

e-文書法とは、正式名称を「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」と「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」という2つの法律の総称です。
商法や税法で保管が義務づけられている文書について、電子文書ファイルでも保存が認められるようにしたものです。ただし、2022年1月現在では既存の紙の文書をスキャンしてデータ化したもののうち、損益計算書や貸借対照表などの企業決算に関わる一部の重要書類は対象外となっています。

これらの法律の施行によって、企業などが帳簿をはじめとするさまざまな書類を紙で保存する義務から解放され、ペーパーレス化が現実的なものとなりました。

【関連記事】
電子帳簿保存法とは?ペーパーレス化を進める上で知っておきたい法律

テレワークの浸透

働き方改革の推進や新型コロナウイルス感染拡大の影響で、テレワークが浸透したこともペーパーレス化を後押ししています。

テレワークの実施により、オフィス以外に自宅などで業務を行う従業員が増えることで、紙の書類をやり取りすることは非常に効率の悪い作業になりました。書類や資料、帳票、申請書などをクラウド上などで共有することで、業務がスピーディかつスムーズになり効率的になります。

逆にペーパーレス化を進めなければ、資料の確認や押印などのためだけにわざわざ出社する必要が出てきてしまい、非効率的です。テレワークの実施において、ペーパーレス化は必須であるといえるでしょう。

このほか、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進する過程でデジタイゼーションが求められ、まずはペーパーレス化に取り組むといった背景も挙げられます。

 

3. ペーパーレス化のメリット

では、実際にペーパーレス化に取り組むことによって得られるメリットとは何でしょうか?
主に以下の5点が挙げられます。

業務効率化を実現できる

もともとペーパーレス化の目的でもあった業務効率化を実現できることが大きなメリットです。

紙からデータへ変換することで内容をキーワードで検索できるようになり、情報の利活用が進みます。さらに、インターネット環境があれば社内外のどこからでもアクセスして閲覧・編集などができるようになるため、利便性が向上します。書類の管理という面でもデータ化することによって、どれが最新版なのか原本なのか、更新日はいつか、といった管理・把握がしやすくなります。

また、テレワークをはじめ、本社と支社など、複数の拠点間での書類のやり取りが発生しなくなる点でも業務効率を向上できるでしょう。

コストを削減できる

印刷のためにかかっていた複合機のリース代やインク代、用紙代などが不要になります。さらに、保管スペースや書類の郵送費、契約書の印紙代など、付随するコストを削減できます。

柔軟な働き方を実現できる

テレワークの浸透」でも少し触れましたが、ペーパーレス化を実現することで書類の確認や押印のためにオフィスへ出向く必要がなくなるため、テレワークをはじめサテライトオフィスやコワーキングスペースなどが可能になります。

本来出社すべきオフィスへ出向かなくても業務が行えるということは、柔軟な働き方を可能にするとともに、いざという時の業務継続をも可能にします。このことから、ペーパーレス化はBCP(Business Continuity Planning/事業継続計画)にも貢献するといえます。

書類の持ち出しや紛失のリスクがなくなる

重要書類などを紙で保管している場合、保管室への入退室管理やキャビネットの施錠といったセキュリティ対策は行っているはずですが、従業員の持ち出しやこれに伴う紛失のリスクを0にすることはできません。また、長期的に保存していれば、紙は劣化するというデメリットもあります。

ペーパーレス化を行えばこうしたリスクは抑えることができます。
ただ、情報セキュリティという点では、デジタルデータも外部からのサイバー攻撃や内部犯行のリスクがあるため、ネットワークやデータを格納するツールなどのセキュリティ対策は必要です。

企業イメージを向上できる

現代におけるペーパーレス化は業務効率化を目的とする側面が大きなものですが、過去のペーパーレス化ブームでは、森林保全の意味合いが強かった時期もあります。現在、紙の原料に使われる木材は間伐材や製紙用に植林されたもので、紙の使用は森林破壊にはつながりません。しかし、「ペーパーレス化=森林保全」のイメージは根強くあり、世界的にSDGsの気運が盛り上がっている今、ペーパーレス化に取り組む企業は“持続可能なビジネスを行っている”という好印象を与えやすいでしょう。

また、ペーパーレス化の実現にあたり最新のデジタルテクノロジーを活用したさまざまなツール類を導入・活用する必要があるため、ペーパーレス化に取り組む企業は“先進的な企業である”というイメージの向上にもつながります。

 

4. ペーパーレス化をする際の注意点

最後にペーパーレス化を実施するに当たって知っておきたい注意点をご紹介いたします。

データのみの保存では法律で認められていないケースに注意!

法整備が進んだこと」でお伝えしたように、ペーパーレス化が進んでいる背景の一つには、税書類などをデータで保存した場合にも法的効力を持たせるよう法律が整備されたことがあります。

ただ、法整備が進んだものの、2022年1月現在、すべての種類の書類が認められているわけではありません。たとえば、電子帳簿保存法ではクレジットカードのWeb明細などの電子取引データを紙に印刷して保存することが認められていなかったり、e-文書法では損益計算書や貸借対照表などの企業決算に関わる一部の重要書類は、既存の紙の文書をスキャンしてデータ化したものが認められなかったりします。

上記のように、データ化した後も紙の保存が必要なものについては破棄しないように注意が必要です。

デジタルツール類の導入コストに注意!

ペーパーレス化を実施するに当たりパソコンはもちろん、スキャナーやOCR、ストレージ、文書管理システム、電子署名システムといったデジタルツールが必須です。なかには無料で利用できるものもありますが、本格的な導入・活用を考えると機能が充実していたりカスタマイズが可能だったりセキュリティが安心な有料ツールに軍配が上がります。そして、これらのツールのうちどれか一つを導入すればペーパーレス化を実現できるというわけではなく、自社の環境や希望に合わせて複数のツールが必要です。

導入するツールの数や種類にもよりますが、初期費用・月額料金といった金銭コストがかかってきます。ツールによって料金体系もまちまちなので、費用対効果を検討した上で選定する必要があるでしょう。

紙のままの方が利便性が高いケースに注意!

ペーパーレス化の実現によってさまざまなメリットを享受できますが、紙には紙の良さがあります。たとえば、一覧性などはデータではかなわないものがあります。

また、データ化すると閲覧にはPCやタブレット、スマートフォンといったデバイスと、格納場所によってはインターネット環境が必要になり、これらがないところでは確認することができなくなります。

こうしたペーパーレス化のデメリットも理解した上で、必要に応じて対策を検討する必要があるでしょう。

 

5. まとめ

法整備やデジタルツールの普及に加えDX推進の波もあり、今再び「ペーパーレス化」が注目を浴びています。

ペーパーレス化のためにはデジタルツール導入のための金銭コストがかかりますが、業務効率化や柔軟な働き方の実現などさまざまなメリットが期待できます。

これまでペーパーレス化にあまり取り組んでこなかったという企業様も、すでにペーパーレス化に着手してきたが効果をあまり実感できていないという企業様も、上でご紹介したメリットをチェックいただき、改めて自社のペーパーレス化の推進を検討してみてはいかがでしょうか。


 

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