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BPRとは? ~業務改善との違いからメリット・デメリット、成功事例までわかりやすく解説~

BPRとは? ~業務改善との違いからメリット・デメリット、成功事例までわかりやすく解説~

BPRとは、Business Process Re-engineering(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)の頭文字を取ったもので、日本語では「業務改革」と訳されます。プロセスの観点から全社的に業務のフローや、情報システム、組織や職務などを見直して、再構築することをいいます。

BPRを実施することで、コスト削減や生産性向上などのメリットを得られます。
また、少子高齢化が進み、今後、労働人口が減少していく日本において、各企業がBPRに取り組むことで、日本全体の生産性を底上げすることにもつながります。

本コラムでは、BPRの概要やメリット、デメリット、実際に取り組む際のステップや成功事例をご紹介いたします。

 

BPRとは

Business Process Re-engineering(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)の頭文字を取ったもので、「ビーピーアール」と読み、日本語では「業務改革」と訳されます。
全社的な業務を、プロセスの観点から見直し、抜本的に変化させ、再構築することをいいます。
見直しの対象となるのは、業務フローや情報システム、組織、職務、管理機構などです。

80年代の後半に生まれ、マサチューセッツ工科大学の教授だったマイケル・ハマー(Michael Hammer)と、経営コンサルタントのジェイムス・チャンピー(James A. Champy)が1993年に出版した「Reengineering the Corporation: A Manifesto for Business Revolution(リエンジニアリング革命)」のベストセラー化によって広まったといわれています。

BPRの目的

BPRは、「業務効率化」「生産性向上」「コスト削減」「従業員満足度の向上」などを目的として実施されます。

業務効率化

全社的に業務プロセスを見直すことで、それまで存在していたムリ・ムラ・ムダを発見できます。これらを排除することで、業務効率化の実現につながります。

生産性向上

業務効率化は生産性向上の要素の一つであるため、業務効率化を実現することで、生産性向上にもつながります。ムリ・ムラ・ムダを排除した分、経営資源をもっと重要な業務に集中させることができます。

コスト削減

業務上のムリ・ムラ・ムダを排除できると、人件費や材料費、保管費など、さまざまなコストの削減につながります。

従業員満足度の向上

業務上のムリ・ムラ・ムダを排除することで、従業員にかかる負担を軽減できます。
また、より意義のある業務に集中できるようになってモチベーションアップにつながったりするため、従業員満足度の向上も期待できます。

BPRと業務改善の違い

BPRの定義を見ると、「業務改善」と非常に似ています。BPRの日本語訳が「業務改革」なので、両者の違いは「改革」と「改善」の違いであるといえそうです。

改革とは、方針なども含めて従来の制度などを改め、より良いものに変えることです。
一方、改善とは、現状をベースに最善の方向へ変化させていくことです。

つまり、BPRが全社規模での抜本的な変化であるのに対し、業務改善は一部の部署のみでの変化を指します。言い換えれば、業務改善はBPRの構成要素の一つであるともいえます。

 

BPRが注目される背景

BPRとは」でもお伝えしたように、BPRの概念は1980年代から存在していました。日本で最初にBPRが注目されたのは、1991年から1993年にかけてのバブル崩壊でした。
1990年代は、BPRを導入して経営を立て直す企業が多かったようです。

それが、近年、BPRに継続的に取り組むことを支援するITツールであるBPMの市場が世界的にも拡大しており、日本でも1,000億円規模にまで成長しています。
ここまでBPRが注目されている背景は何でしょうか?

今また注目を浴びるようになっている背景には、日本における少子高齢化があります。少子高齢化による労働人口の減少をカバーするため、政府は働き方改革を推進してきました。企業側としても、BPRに取り組むことで、希少な労働人口を効率よく活用する必要があります。そこで、BPRが再び注目されるようになったのです。

BPRのメリット・デメリット

BPRに取り組むことで、「BPRの目的」で取り上げたようなメリットの享受が期待できますが、一方でデメリットもあります。ここで、まとめてご紹介いたします。

BPRのメリット

BPRに取り組むメリットは、「BPRの目的」で挙げた「業務効率化」「生産性向上」「コスト削減」「従業員満足度の向上」を実現できることです。

これに加え、以下の3点のメリットも期待できます。

業務全体を把握できる

BPRに取り組む過程で、社内の全業務が可視化されます。
これは、BPRのステップの一つでもありますが、BPRに取り組まなければ、なかなか全社的に業務を可視化・把握する機会はありません。
業務全体を把握することは、BPRの実現だけでなく、さまざまな経営判断の材料にもなります。

従業員の意識改革につながる

BPRに取り組む過程では、ヒアリングを行うなど、従業員に巻き込んでいくことになります。こうして従業員一人ひとりがBPRに参加することにより、業務に対する意識が高まり、BPRを継続しやすい土壌が整います。

経営判断のスピード向上

目まぐるしくビジネス環境が変化する現代において、経営判断のスピード向上は競争力に直結します。
BPR取り組む中で、経営判断のスピードを低下させている原因も見えてきます。これを解消することで、経営判断のスピード向上が可能です。

BPRのデメリット

一方、BPRを実施するデメリットといえるのが、次の2点です。

工数・時間がかかる

BPRの対象範囲は全社となるため、工数・時間がかかります。実施するとなれば、投入する人員や費用、時間は大がかりなものになります。

しかも、基本的に、全社のプロセスすべてを再構築するまで、途中でやめることもできません。

従業員との間に軋轢が生じる恐れがある

BPRを実施する中で、現状の業務や組織が大きく変わる可能性が高いです。しかし、人は変化を嫌うもの。改革に対して反発を覚える従業員も少なからずいるでしょう。
これを回避するため、取り組みの開始前に、従業員に対してBPRの重要性や目的について丁寧に説明し、理解と賛同を得ておく必要があります。

 

BPRを進めるプロセス

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社がまとめた総務省の資料「民間企業等における効率化方策等(業務改革(BPR))の 国の行政組織への導入に関する調査研究(平成22年3月)」では、「BPR実施の一般的ステップ」としては、以下の5段階・8ステップが紹介されています。
なお、特に重視したいのは(1)、(3)、(4)だといいます。

ステップ1:検討

(1)目的・目標の設定

BPRを実施する目的を明確にし、目的に則って目標を設定します。
さらに、これを全社に周知しましょう。従業員一人ひとりの理解と協力を仰ぐためには、ただ告知するだけでなく、質疑応答を含む説明会などを開催するなど、丁寧に落とし込んでいく必要があります。

(2)対象とする業務範囲の設定

基本的にはBPRの対象範囲は全社のすべての業務です。
これらを具体的かつ明確に把握するために、業務範囲を設定しましょう。

また、部分的にスタートする場合は、優先度の高い業務から実施すべきでしょう。
その対象業務をこのフェーズで明確にしておきます。

ステップ2:分析

(3)分析・課題の把握(業務内容、フロー、組織)

ステップ1で明確にした目的や目標を踏まえ、対象業務の従事者に対してヒアリングを実施し、ABC分析、プロセスマッピング、ベンチマーキング、BSC(バランススコアカード)などの手法を用いて、現状の分析を行います。

分析結果から、現在の業務に横たわる課題を明らかにしましょう。

ステップ3:設計

(4)戦略・方針の策定、実施方法の検討

ステップ2で得た分析結果を元に、ステップ1で設定した目標に沿って、戦略・方針を策定します。
戦略・方針が決まったら、具体的な変革、つまり、業務の代替手段や、変更後の組織・職務などを検討していきましょう。

(5)ビジネス・プロセスの設計(業務フロー、ルール、組織)

具体的な実施方法が定まってきたら、変革後のビジネス・プロセスを設計していきます。
このフェーズを効率化してくれるのがBPMツールと呼ばれるものです。BPMツールとは、BPM(Business Process Management/ビジネスプロセス管理)を実行するソフトウェアのことです。BPMツールを活用することで、BPMを可視化し、効率化することができます。

BPMツールについて詳しくは、下記の記事もご覧ください。

【関連記事】
BPMツールとは?業務改善に効果を発揮するBPMツールを比較

ステップ4:実施

(6)変更の実施

ステップ1~3までに整えてきた準備を元に、変革を実施します。 BPRのプロジェクトリーダーは、全体の進捗状況を把握・管理してください。 ステップ1で明確にした目的・目標からブレないよう、適宜、立ち返りながら実施しましょう。

ステップ5:モニタリング・評価

(7)業務モニタリング

変革を実行したら、新しいプロセスでの業務について評価するために、モニタリングを行います。
現場の担当者に対して、各業務にかかっている工数・時間、ミスの発生数・率などの具体的な数値をヒアリングしましょう。

(8)効果測定・達成度評価

業務モニタリングで得た数値と、目標値を比較して、効果測定・達成度評価を行います。 また、改善につなげるため、数値以外の定性的な評価も行いましょう。この時も、現場の担当者へのヒアリング内容が元となります。

 

BPRを成功させるためのポイント

BPRを成功させるためには、ERPの導入とBPOの活用が鍵となります。

ERPを導入する

BPR の中で、情報システムや経営上の意思決定の見直し、再構築する際におすすめしたいのがERPです。
ERPとは、Enterprise Resources Planningの頭文字を取ったもので、日本語では「企業資源計画」と呼ばれ、経営資源であるヒト・モノ・カネ・情報を有効活用するという考え方や、これを実現するためのシステムを指します。

ERPによって、社内のさまざまな部門や担当者でバラバラに管理されていた情報を集め、一元管理することで、業務効率化につながるだけでなく、スピーディーな経営判断をより高い精度で下せるようになります。

BPOを活用する

BPR を行う中で、業務をスリム化したい場合に活用できるのがBPOです。
BPOとは、Business Process Outsourcingの頭文字を取ったもので、簡単にいえば業務を社外へ委託することです。

要な業務でありながら、社内で実施することで非効率化を招いている場合や、従業員にかかる負担が大きいことがわかった場合、人権費を増やせない時などは、BPOを利用しましょう。

BPRの成功事例

最後に、BPRの成功事例をご紹介いたします。

シックス・シグマの導入により年間で数千億円のコストを削減(製造業A社)

「民間企業等における効率化方策等(業務改革(BPR))の 国の行政組織への導入に関する調査研究(平成22年3月)」で紹介されているBPRの成功事例の一つが製造業A社の事例です。

製造業のA社は、シックス・シグマの導入により、年間で数千億円のコスト削減を実現しました。
シックス・シグマとは、米モトローラ社が開発した経営手法で、製造において100万回作業を行った際のエラーの発生を3~4回に抑えることです。ここから、製品やサービスの品質を一定以上に保つことで、顧客満足度を向上させる経営手法を指す言葉として定着しています。

A社では、米国大学と共同でシックス・シグマを応用して新商品開発などを行う手法を開発。また、10年という月日をかけてシックス・シグマの全社的な教育を実施しました。ただし、A社の従業員数が多いため、未だ半数しか教育が終わっていないといいます。
さらに、各事業部において、シックス・シグマのフレームワークと、前述の開発手法を適用するプロジェクトを実施しました。

こうした取り組みにより、A社では、年間で数千億円のコスト削減に成功したそうです。

全業務を可視化・定量化で、実証実験の無駄を削減(札幌市)

総務省の資料「地方公共団体における行政改革の取組(令和2年3月27日発表)」によれば、北海道札幌市は、労働力不足という課題に対し、生産性向上に向けたBPRを実施しました。

札幌市では、全業務のプロセスをタスクレベルに分解した上で、各タスクの業務量(概算時間)を集計。これにより、業務を可視化・定量化しました。これにより、業務効率化やDXのためのICT導入において、無駄な実証実験を削減できたといいます。たとえば、保育園の登降園管理システム導入における予想削減率は80%にもなったとそうです。また、ノンコア業務のBPO化にもつながりつつあるます。

さらに、政令指定都市同士である神戸市と連携協定を結び、マニュアルやフローなどを共有・突合。これにより、就学援助業務では一次審査の除外などでプロセスを効率化したり、審査を自動化して様式をOCRに最適化したりなどの業務効率化を実現しました。

なお、BPRにおいては民間企業と連携し、各種調査やデータクレンジング、プロセス整理などを依頼。庁内業務のフロー図も作成してもらったといいます。

まとめ

BPRは、全社的な業務プロセスを見直し、再構築するもので、業務改善に比べると規模が大きく、かかる手間も期間も大きなものになります。

その分、実施する際の人的リソースと金銭的コストはかかりますが、成功すれば、得られるメリットも大きなものがあります。

実施の際には、ERPやBPMツール、BPOなどをうまく活用しながら、継続的な改善が行える体制を整えましょう。

なお、エヌ・ティ・ティ・データ・イントラマートでもBPMツールを提供しております。
営業・販売、生産、物流など、システムの個別導入によって分断されたさまざまな業務を一連のプロセスとして可視化することが可能です。
詳しくは、こちらのページをご覧ください。

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