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円安ドル高でクラウドの支払い料金は上昇傾向 国産クラウドには追い風、メガクラウドの充実も顕著

円安ドル高でクラウドの支払い料金は上昇傾向  国産クラウドには追い風、メガクラウドの充実も顕著

今秋、日本企業のIT投資動向に関する最新調査結果が複数の調査会社から発表されました。デジタルトランスフォーメーション(DX)の基盤づくりに本腰を入れ始めた企業が増加しているというのが各調査に共通しているポイントです。多くの組織の意思決定者が、新型コロナ禍による急激な事業環境の変化を経験し、レジリエンスに優れた事業や組織の基盤づくりを喫緊の課題と捉えていると言えそうです。

 

1.さくらインターネットの調査に見るクラウド活用への為替の影響

32年ぶりに1ドル150円を超えるなど、歴史的な円安ドル高に見舞われた2022年。その影響は多くのビジネスや私たちの生活のさまざまな場面に及んでいます。グローバル大手のテック企業が日本市場で大きなシェアを握るクラウドサービスにおいても、それは同様です。さくらインターネットは「円安ドル高におけるクラウド予算の影響についての調査」を実施し、22年12月にその結果を発表しましたが、クラウド活用のコストが上昇傾向にあることを示唆しています。

今回の調査では、「ドル払いのクラウドサービスをビジネス利用している」というビジネスパーソン398人から回答を得たとのこと。まず、「仕事で利用しているクラウドサービスの種類を教えてください」という問いでは、IaaSが60.1%、PaaSが55.3%、SaaSが42.2%、その他が1.8%という結果になりました。インフラ、プラットフォームのレイヤーで外資系メガクラウドをドル払いで利用しているユーザーが多い傾向があり、利用している具体的なサービス名としては、「Amazon Web Services(AWS)」「Microsoft Azure」「Google Cloud」といった「御三家」がやはり多く挙げられたといいます。

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2.8割以上が円安ドル高によるコストアップを実感

本題とも言える「利用しているクラウドサービスの料金は昨今の円安およびドル高の影響を受けて支払い料金が上がっていますか?」という質問に対しては、「はい」が83.4%、「いいえ」が11.8%となりました。回答者の8割以上がクラウド利用コストの上昇を実感していることになります。

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さらに、「去年と比較して月額料金が総額でどれくらい上がっていますか?」という問いも。最も多かった答えは「1万円以上10万円未満」で42.8%、2番目に多かったのが「10万円以上100万円未満」で29.5%、以下、「100万円以上」が14.4%、「1万円未満」が13.3%となりました。

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回答者の所属組織やIT投資の規模については言及がないので、これらの回答のインパクトを正確に推し量ることは難しいですが、それでも15%近くの回答者が前年比で月額料金が100万円以上上昇していると回答していると考えると、円安ドル高の影響は小さくないと言えそうです。



3.メガクラウドも対応策を検討

これらの調査結果は、さくらインターネットのような国産クラウドサービスベンダーのビジネスにとっては追い風になるわけですが、一方でメガクラウド側の対応はどうなっているのでしょうか。為替変動の影響を受けない料金設定は基本的に用意されていませんが、顧客企業の要望を聞きながら日本市場への対応策について検討はしているようです。

例えばアマゾン ウェブ サービス ジャパンは22年9月に、円安ドル高環境下におけるAWS利用コストの最適化手法について、さまざまな選択肢を発表。AWSのさまざまなクラウドサービスの利用実績データを基にコスト最適化を提案するツールを活用したり、長期利用を前提に大幅な割引を受けられる「リザーブドインスタンス」を利用したり、ストレージサービスにおけるデータの重複排除により課金額を減らしたり、といった対応策が考えられるとしました。さらに、オンプレミスからクラウドへの移行時はもちろん、その後の運用フェーズも含めて、継続的なコスト最適化を多角的に支援するサービスメニューを用意していることもアピールしています。


4.まとめ

いずれにしても、特にインフラ/プラットフォームのレイヤーでは、グローバルベンダーが提供するメガクラウドが日本市場でも圧倒的な存在感を示しており、その構造ゆえに円安ドル高がコスト高につながっていると言えます。

一方で、メガクラウドのサービスの充実には目を見張るものがあるのも確かです。記憶に新しい22年最後の世界的大イベント「FIFA ワールドカップ カタール 2022」を全64試合無料生中継し、安定的な配信を実現したインターネットテレビ局「ABEMA(アベマ)」のシステムを支えたのはAWSとGoogle Cloudでした。アプリケーションには「Google Cloud Platform」のコンテナ環境、映像配信処理についてはAWSのマネージドサービスである「AWS Media Services」シリーズを活用したほか、大規模な配信キャパシティと耐障害性を確保して多くの視聴者に安定した映像を届けるために、CDNとしてAkamai/AWSの「Amazon CloudFront」を併用したことを明らかにしています。

クラウドの活用において、各種コストとサービスの価値のバランスをどう判断するのかは非常に重要なテーマです。ユーザーは自社のデジタル戦略の根本に立ち戻り、メガクラウドのブランドを妄信せず、目先のコストのみを重視するわけでもない、バランスの取れたIT投資を考える必要がありそうです。

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