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「地域DX推進ラボ」第一弾が公募中 経産省が主導する地域DX推進策のポイントは?

「地域DX推進ラボ」第一弾が公募中 経産省が主導する地域DX推進策のポイントは?

経済産業省と独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は12月31日現在、「地域DX推進ラボ」の公募を行っています。地域社会全体でDXを推進する取り組みを後押しするための新たな制度は一体どんな内容なのか。経産省が主導する地域DX推進策のポイントと狙いをまとめました。

 

1.「地方版IoT推進ラボ」を踏まえた連続的な施策

地域DX推進ラボは、2016年に制度化された「地方版IoT推進ラボ」の実績を踏まえ、地域社会全体でのDXへの取組をさらに加速し、地域の経済発展とウェルビーイング(住民の心身や社会的な健康)の向上を実現するために新たに制度化されました。

制度の全体像をつかむために、まずは地方版IoT推進ラボについておさらいしましょう。文字通り、地域のIoTプロジェクト創出のための取り組みを国が選定・支援する取り組みで、22年末現在で106のプロジェクトを地方版IoT推進ラボとして採択しています。

地方版IoT推進ラボ制度の発足は、経産省、総務省などの中央省庁とIPAや情報通信研究機構(NICT)などの外郭団体の協力の下、15年10月に「IoT推進コンソーシアム」が立ち上がったことに端を発しています。このコンソーシアムは、産学官連携でIoT関連技術の開発・実証や標準化、各種プロジェクトの創出や必要な規制改革の提言などを行うという趣旨で設立されました。

IoT推進コンソーシアムには五つのワーキンググループが置かれ、そのうちの一つが「IoT推進ラボ」(先進的モデル事業推進WG)です。具体的には、先進的なIoTプロジェクトを発掘し、官民で資金的な支援やメンター支援を行ったり、規制改革の支援を行ったりといった活動を行ってきました。その一環で地方版IoT推進ラボも設置され、IoTビジネスの創出を推進する地域の取り組みに対して、メンターを派遣したり、大型イベントへの出展を支援したりしてきました。

18年には、いったんそれまでの取り組みを総括。IoT、AI、ビッグデータなど先進技術の面的な浸透や必要な人材育成を加速し、地域課題の解決や地域の経済発展を推進することに重点を置く必要性を確認しました。結果として、19年4月からはIoT推進ラボ全体の活動が、地方版IoT推進ラボに集約されるかたちになりました。


2.参加企業はDXセレクションの対象企業に

地方版IoT推進ラボの成果は、同ラボのWebサイト(https://local-iot-lab.ipa.go.jp/)に詳しく整理されています。一例を紹介すると、秋田県の「仙北市IoTラボ」では、基幹産業である農業の業務効率化や省人化、新たなビジネスモデル創出を見据えて、ドローンの可能性を模索。近年全国で広がりつつあるドローンによる農薬散布だけでなく、農産物の輸送にも活用すべく産官学連携で実証実験などを行っています。


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これまで選定された地方版IoT推進ラボ(出典:経済産業省)


また、経産省は22年から、DXに取り組む中堅・中小企業のモデルケースとなるような優良事例を選定して紹介する「DXセレクション」という取り組みを実施しています。デジタルガバナンス・コード(https://www.intra-mart.jp/im-press/useful/digital_governance)の主要項目における評価が選定基準ですが、選定対象企業は地方版IoT推進ラボに参加している企業に限られています。


3.「地域DX推進ラボ」でアップデートされたこと

このように、IoTなどの先進技術を地域課題の解決などに役立てるという視点で地方版IoT推進ラボは経産省の主要施策の一つとして存在感を発揮してきたわけです。その後継かつ補完的制度として、より広い視点でデジタルテクノロジーによる地域社会の変革を促すために発足したのが地域DX推進ラボで、前述のとおり、現在、ラボの選定プロジェクトを公募しています。

募集対象は「自治体、公的機関、企業、学校、市民等によって構成される組合・団体等(組織)とし、かつ、活動主体が国内にあるもの」と規定しており、基本的には組織の事務局を務める自治体が応募資格を有するとしています。ただし、自治体の了解があれば、自治体以外が事務局を務めて応募主体になることも可能です。また、複数自治体、地域同士の連携による応募も可で、同じ自治体でも目的や構成される組織が違う場合は複数申請できます。既に活動実績のある組織も、これから活動する予定の組織でも応募できます。

地方版IoT推進ラボからアップデートされた点を見てみましょう。まず最終目的として、従来の「地域の経済発展」だけでなく、「ウェルビーイングの向上を実現する」ことを掲げました。

選定対象の条件も緩和されています。地方版IoT推進ラボ制度では、選定対象が地域の産学官連携プロジェクトに限られていましたが、地域DX推進ラボでは個別企業に対する支援の取り組みも選定対象としているのがポイントです。

選定された場合のメリットについても、「他地域との交流機会の創出」「DXセレクションへの推薦資格付与」などを新たに追加しています。

選定における審査の視点も、より幅広いものになりました。地方版IoT推進ラボでは、地域課題の解決に資する取り組みであることや、自治体の積極性と継続性、多様性と一体感がある取り組みであることなどが選定対象を評価する際のポイントになっていました。地域DX推進ラボでは、「DX(自治体のDXも含む)の推進に向けたビジョン、実施計画、進捗状況を測るための指標が明確であること」「地域課題の解決や地域産業・地域企業の競争優位性の確立等を目指す取り組みであること」「顧客や社会のニーズを基に、地域産業・企業の従来モデルの変革を目指す取り組みであること」などが新たな視点として付加・アップデートされています。

地方版IoT推進ラボと地域DX推進ラボの関係性については、向こう数年で整理する意向を示しています。24〜25年度までを移行期間として、既に地方版IoTラボに選定されている地域も、地域DXラボの審査の視点に即して計画変更のプロセスを踏めばDXラボに移行できるようにする方針です。地方版IoT推進ラボが地域DX推進ラボと併存するのか、廃止されるのかは、移行期間中に判断することになるようです。


4.まとめ

22年11月30日から募集を受け付けていますが、第一弾の受付期限は2月3日。審査を経て、選定結果は3月に公表する予定です。未来社会「Society5.0」の実現に向けて、各地域のDX実現を加速させる必要があるというのが政府の共通見解。地域DX推進ラボは、「デジタル技術などを地域社会全体に普及・浸透させ、地域産業・企業の競争上の優位性を確立させるなど、地域社会全体でDXを実現する」ための経産省のコア施策です。どのような成果を生み出すのか、中期的な視点で注目していく必要がありそうです。

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