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ウェルビーイングとは?注目される理由から企業にもたらすメリットまでを解説

ウェルビーイング(well-being)とは、充足した生活を送っている状態を指します。具体的には、身体的に、精神的に、そして、社会的に良好な状態にあることです。「幸福」と日本語に訳されることもありますが、「happiness(ハピネス)」のように一時的な状態を含まず、持続的な状態を意味する点が特徴的です。

近年、コロナ禍などで、企業が従業員の健康や幸せを考え、これを実現するための取り組みに注目が集まっています。

本コラムでは、ウェルビーイングが注目される背景や、企業がウェルビーイングに取り組むことで得られるメリットなどをご紹介いたします。

 

1. ウェルビーイングとは?

ウェルビーイング(well-being)とは、充足した生活を送っている状態を指します。具体的には、身体的に、精神的に、そして社会的に良好な状態にあることです。

「幸福」と日本語訳されることもありますが、「happiness(ハピネス)」のように一時的な状態を含まず、持続的な状態を意味する点が特徴です。

厚生労働省が発表した「雇用政策研究会報告書」によれば、

個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念

とあります。

初めてウェルビーイングという言葉が使われたのは、1946年に世界保健機関(WHO)が設立された際に、設立者の中で最も若かった施思明(スーミン・スー)氏が健康促進の重要性を提唱し、機関名や憲章に「健康」を盛り込むことを提案したといわれています。

その後、さまざまな学者や機関がウェルビーイングに関する定義や指標を定め、調査結果を発表しています。
たとえば、「ポジティブ心理学」を提唱している米国の心理学者マーティン・セリグマン(Martin E. P. Seligman)氏は、ポジティブ心理学において、「高いウェルビーイングを保つことが自身の人生を好転させ、自らの力で充実した幸せな日々を送ることができる」としています。そして、ウェルビーイングを高めるために、以下の5つの要素が重要であるとするウェルビーイング理論を展開しています。

  • Positive Emotion(前向きな感情)
  • Engagement(没頭できること)
  • Relationship(ポジティブな人間関係)
  • Meaning and Purpose(意味や目的)
  • Achievement/ Accomplish(達成)

これらの頭文字を取って「PERMA(パーマ)モデル」とよばれています。


 

2. ウェルビーイングがなぜ注目されているのか

ウェルビーイングとは?」でお伝えしたように、ウェルビーイング自体は、1946年から存在する、特に新しくはない概念です。しかし、近年、ウェルビーイングに注目が集まっており、ウェルビーイングに関連する製品やサービスがリリースされたり、取り組みをスタートしたりする企業が目立ちます。

なぜ、最近になってウェルビーイングが注目されているのでしょうか?
そこには、以下の5つの理由があります。

SDGs


2015年9月に開催された「国連持続可能な開発サミット」で、全会一致で採択されたアジェンダのなかで掲げられた17の目標と169のターゲットから成る「SDGs(Sustainable Development Goals)」。
その3番目に「すべての人に健康と福祉を」が掲げられています。この原文が「Good Health and Well-Being」とあり、ウェルビーイングが含まれています。文脈から日本語訳では「福祉」となりますが、ウェルビーイングが注目される一つのきっかけとなりました。

また、8番目の「働きがいも経済成長も」は、社会的に良好な状態を目指すものともいえ、ウェルビーイングの性質の一部を表しています。


働き方改革


2019年4月1日から順次施行されている働き方改革関連法。働き方改革が提唱された大きな目的は、少子高齢化による労働人口減少と、これに伴う労働生産性の低下を防ぐためですが、同時に「一億総活躍社会」の実現が掲げられました。

長時間労働を是正してワーク・ライフ・バランスを実現し、同一労働同一賃金を導入することで正社員と非正規社員の間にある不合理な待遇の差をなくし、精神的にも社会的にも良好な状態を実現しようというものです。

働き方改革そのものがウェルビーイングの概念を含んでいるため、働き方改革が推進され、企業が取り組む過程で、ウェルビーイングの認知に関わらず、ウェルビーイングが推進されたといえます。


労働安全衛生法の改正


働き方改革関連法の施行と同じタイミングで、改正労働安全衛生法が施行されました。
労働安全衛生法そのものが、職場における従業員の安全と健康を確保することや、快適な職場環境をつくることを目的としたものですが、さらに、労働時間の状況把握や、産業医・産業保健機能の強化などの義務が厳格化されました。

このタイミングで、従業員のメンタルヘルス対策を強化したという企業も多いでしょう。
従業員の精神的な健康を守ることも企業の責務であるとの認識が広がるきっかけとなりました。


コロナ禍


2019年12月に初めて中国の武漢で新型コロナウイルスが発見されてから、世界中に感染が拡大しました。コロナ禍によって、私たちは主に3つの健康リスクにさらされています。1つ目が新型コロナウイルスへの感染、2つ目がいわゆる「コロナうつ」とよばれるメンタル面の不調、3つ目がリモートワークによる孤独感からくるメンタル不調です。

企業が従業員の健康に配慮したり健康増進のための取り組みを行ったりする動きは以前からありましたが、コロナを機に改めて従業員のウェルビーイングを維持する重要性に気づかされた企業も多いでしょう。


グレート・リセット


グレート・リセット(Great Reset)という言葉が初めて使われたのは、米国出身の社会学社であるリチャード・フロリダ(Richard L. Florida)氏が、リーマンショック後に上梓した書籍のタイトルだといわれています。意味は、社会や経済、教育といった現在の社会全体を構成するさまざまなシステムを、一度、見直し、より良い世界のために再構築すること。

世界情勢の改善に取り組むことを目的とした国際機関である「世界経済フォーラム(WEF)」の2021年の年次総会(ダボス会議)でもテーマに掲げられました。
世界経済フォーラム創設者であり、会長のクラウス・シュワブ(Klaus Schwab)氏は、第2次世界大戦後から続く世界の社会経済システムについて、環境破壊を引き起こしており、持続性に乏しく、時代遅れだと主張。人々の幸福を中心とした経済に考え直すべきと述べています。

このグレート・リセットを推進する上で、人々の持続的な幸福が前提とされることから、ウェルビーイングに改めて注目が集まりました。


 

3. ウェルビーイングが企業にもたらすメリット

ウェルビーイングを意識して行動することは、個人にとっても組織にとっても当たり前の時代となっていくでしょう。取り組みにあたっては手間や金銭コストなども発生しますが、企業がウェルビーイングに取り組むことで、次のようなメリットを享受できます。


生産性の向上


従業員の心身の健康が良好で、社会的、その他の面で満たされている状態であれば、仕事への意欲も湧き、パフォーマンスの向上が期待できます。さらに、業務改善や革新的な企画などが生まれる可能性もあり、生産性の向上が見込めます。実際に、従業員の幸福度と創造性や生産性との相関性についての研究も進んでいます。ひいては、これらが業績の向上につながっていくでしょう。


企業イメージの向上


従業員のウェルビーイングを重視していることを社内外に周知することで、企業イメージの向上も期待できます。
株主をはじめとするステークスホルダーに対して企業イメージを向上することで、投資や従業員エンゲージメントなど、さまざまな面で派生的なメリットが享受できるでしょう。
また、一般消費者からの企業イメージが向上すれば、宣伝効果もあり、ブランディングにも寄与します。


優秀な人材を確保・維持できる


ウェルビーイングへの取り組みを行うことで、採用面でも有利になります。少子高齢化により、労働人口が減少傾向にある日本では、どの組織においても人材不足が大きな課題となっています。多くの企業の中から優秀な人材に自社を選んでもらうためには、他社とは異なるユニークで手厚いウェルビーイングを実施する必要があるでしょう。

また、入社した人材に自社のウェルビーイングへの取り組みを気に入ってもらうことで離職を防ぐことができ、優秀な人材を維持することが可能です。


ESG投資で支持を集められる


ESG投資とは、従来の投資のように財務情報だけを考慮するのではなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)考慮した投資のことです。
以前は、このうち環境や気候変動を意味する「Environment」が重視されてきましたが、近年は、社会や社会正義を表す「Social」が重視されるように変化してきました。

こうした背景から、ウェルビーイングに取り組むことでESG投資家に選ばれる企業となるでしょう。


 

4. まとめ

ウェルビーイングは、70年以上も昔からある概念ですが、近年、さまざまな背景から注目を集めています。

企業などの組織がウェルビーイングに取り組むことで、優秀な人材を集めて離職を防いだり、企業イメージを向上できたりするといったメリットがあります。

時代の流れから見ても、今後、企業がウェルビーイングに取り組むことは必須となっていくでしょう。この機会に、従業員の心身の健康状態や、従業員が幸福を感じる基準などを把握することから取り組みをスタートしてみてはいかがでしょうか?

 

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