RPAでできること、できないこととは?RPAの概要やメリット・デメリットを解説

RPAは、業務における定型的な作業を自動化できる技術です。人間が多大な時間と手間をかけていた業務をロボットが自動化することで、業務効率の向上や人件費削減といったさまざまなメリットが得られます。
とはいえ、RPAも万能ではなく対応できない業務もあるため、「RPAが自動化できることとできないことを知りたい」「RPAのメリット・デメリットを把握してから導入を検討したい」といった方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、RPAとは何か、できることとできないことを具体的な業務の例を挙げながら解説します。導入のメリット・デメリットも紹介するので、ぜひ最後までチェックしてください。
RPAとは
RPAとは「Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の略称で、主に業務における定型的な作業を自動化する技術のことです。これまで人間がPC上で行っていたルーティンワークをソフトウェアロボットが代行することで、業務効率化やコスト削減、生産性の向上を実現できます。
RPAは「デジタルレイバー」とも呼ばれ、労働力不足や長時間労働といった社会的課題に対する解決策として注目されている技術です。とくに日本では人口減少により労働力が制約されるなか、バックオフィス業務の省力化や、社員をより付加価値の高い仕事に集中させる取り組みの一環として導入が加速しています。
RPAでできること
RPAが得意とするのは、ルールが明確で繰り返し行われる業務です。ここでは、RPAでできる具体的な業務例として以下の8つを解説します。
・データ入力
・経費精算
・見積書・請求書の作成
・メール配信
・問い合わせ対応
・顧客情報の管理
・口コミ・データ収集
・レポートの作成
・受注業務
データ入力
データ入力はRPAが最も得意とする分野の1つです。たとえば、顧客アンケート結果や営業日報など、外部ファイルからシステムに入力する作業は手作業だと膨大な時間がかかり、ヒューマンエラーが発生する可能税もあります。RPAを活用すれば、ExcelやCSVデータを自動で読み込み、基幹システムやクラウドツールへ正確に入力可能です。
さらに、人が入力チェックにかけていたリソースを、営業活動や企画業務など付加価値の高い業務に振り向けることが可能です。
経費精算
従業員が提出する経費精算の処理もRPAで自動化できます。領収書の金額と申請内容を確認し、規定外の申請をチェックする作業は意外と時間がかかる業務です。RPAを導入すれば、経費精算システムと会計システムを連携し、申請内容の照合や承認プロセスの一部を自動で進められます。
これにより、経理担当者が本来注力すべき予算管理や財務戦略に時間を割けるようになります。
見積書・請求書の作成
見積書や請求書の作成は、顧客や案件ごとに細かい条件が異なるため、手作業では入力ミスが起こりやすい業務です。RPAを導入すると、営業担当者がCRMに入力した受注情報を基に、自動で見積書や請求書のフォーマットにデータを転記して文書を生成できます。
さらに、完成した文書をPDFに変換してメール送信するところまで自動化すれば、作業のスピードと正確性の大幅な向上が可能です。
メール配信
メールの定期配信もRPAに任せられる代表的な業務です。たとえば、会員向けのキャンペーン告知や社内向けの週次レポート配信などは、対象リストを抽出して本文を作成し、送信予約を行う一連の流れが必要です。これをRPAが自動で実行すれば、人手を介さずに同じ品質で繰り返し配信できます。
また、送信結果をログとして残すことも可能なため、あとから配信履歴を確認しやすいというメリットもあります。
問い合わせ対応
カスタマーサポートの一次対応業務でもRPAが活躍します。たとえば、メールやチャットで寄せられた問い合わせ内容を自動で振り分け、FAQに該当する内容は定型文で回答を返す、といった仕組みを実現可能です。
これにより、担当者は複雑な案件やクレーム対応など、人間の判断が必要なケースに集中できます。
顧客情報の管理
顧客情報はCRMやSFAなど複数のシステムで管理されている場合が多く、同じ内容を何度も入力し直す手間が発生します。RPAを導入すれば、各システム間で顧客情報を同期させ、最新の情報に更新する作業を自動化可能です。
たとえば、新規契約が発生した場合に、営業支援システムと会計システムの両方に同じ情報を登録する処理をRPAが代行することで、入力漏れや記載ミスを防げます。これにより、情報の一元管理が進み、社内のデータ活用の精度も高まるでしょう。
口コミ・データ収集
インターネット上の口コミや競合他社の価格情報を収集する業務もRPAの得意分野です。ECサイトの商品レビューやSNSでの評価を自動で取得し、まとめることが可能です。マーケティング担当者は、収集データを分析して商品改善や販売戦略に役立てられます。
手作業では追いきれない膨大なデータを短時間で収集できるため、データドリブンな意思決定が可能になる点も大きな魅力です。
レポートの作成
RPAは、複数のシステムからデータを集めて自動的にレポートを作成することも可能です。たとえば、販売実績や在庫数、Webサイトのアクセス解析データなどを収集し、所定のフォーマットにまとめます。これにより、経営層への報告資料を迅速に作成でき、データの鮮度を保ちながら意思決定をサポート可能です。
とくに月次や週次の定期レポート作成は負担が大きいため、RPAで自動化することで担当者の作業時間を大幅に削減できます。
受注業務
ECサイトや受注システムで発生する注文処理も、RPAが効果を発揮します。顧客からの注文内容を確認し、在庫システムと照合して出荷指示を出す一連の流れを自動化すれば、スピーディーで正確な受注処理が可能です。
繁忙期には注文が急増し、手作業では処理が追いつかないこともありますが、RPAを導入することでミスなく対応できます。結果として顧客満足度の向上にもつながり、企業の信頼性強化に寄与するでしょう。
RPAでできないこと
RPAは多くの業務を効率化できますが、すべてを自動化できるわけではありません。ここではRPAができない代表的な業務として、以下の3点について解説します。
・判断や決断が必要な業務
・複雑な処理が発生する業務
・手書き文字や画像を解析する業務
判断や決断が必要な業務
RPAはあくまでルールベースで動作するため、状況に応じた判断や経営的な意思決定はできません。たとえば、取引先の与信を評価して契約可否を決める、顧客クレームの対応方針を判断する、といった業務は人間の判断力が必要です。
こうした業務にRPAを適用すると誤った処理が行われる可能性があり、リスクが高まります。そのため、RPAは「定型業務の自動化」にとどめ、判断業務は人間が担うという役割分担が重要です。
複雑な処理が発生する業務
処理の条件が多岐にわたり、毎回異なる対応が必要となる業務はRPAには不向きです。たとえば、法律文書のレビューや契約条件の交渉、クリエイティブな資料作成などは、RPAでは対応できません。
複雑な処理が求められる業務を自動化したい場合は、AI技術やワークフローシステムとの組み合わせの検討などが必要です。
手書き文字や画像を解析する業務
RPAは基本的に構造化データを扱うことを得意とするため、手書き文字や画像の内容を理解することはできません。たとえば、紙の申請書を読み取って処理する場合や、製造現場でカメラ映像を解析して不良品を検知する作業は、RPA単体では難しいでしょう。
ただし、AI-OCRや画像認識AIを組み合わせることで対応範囲を広げることは可能です。RPAはその結果を受け取り、後続の入力や登録作業を担当する、といった役割分担で力を発揮します。
RPAのメリット・デメリット
RPAは導入によって大きな効果を得られる一方で、注意すべき点も存在します。ここでは、RPAのメリットとデメリットについてチェックしてみましょう。
RPAのメリット
RPAを導入する主なメリットは、以下の3点です。
業務効率化とコスト削減
RPAの最大の魅力は、定型業務を自動化することによる効率化とコスト削減です。人が数時間かけていた処理をわずか数分で完了できるようになり、業務全体のスピードが大幅に向上します。
たとえば、経理部門における請求データ入力や営業部門の顧客リスト更新など、繰り返し発生する作業を自動化すれば、残業時間を削減できるだけでなく、追加人員を採用する必要性も低減します。
結果として、人件費の削減やリソースの再配分が可能となり、経営資源をより付加価値の高い活動に集中させることが可能です。効率化は単なるスピードアップにとどまらず、企業全体の競争力を高める手段となります。
ミス防止と品質向上
人間が手作業で行うと、どうしても入力ミスや処理漏れが発生します。たとえば、数値の打ち間違いや書類の転記漏れは、重大なトラブルに発展するケースも少なくありません。
RPAは事前に設定したルール通りに動作するため、ヒューマンエラーをほぼゼロに抑えることが可能です。その結果、顧客への請求や社内レポート作成、法令遵守が求められる申告処理などでも高い精度が担保されます。
さらに、品質の一貫性も確保できるため、社内外の信頼性が向上します。品質向上は取引先や顧客からの評価を高め、企業ブランドを強化する効果も期待できるでしょう。
業務の標準化と働き方改革
属人化していた業務をRPAに置き換えることで、業務プロセスの標準化が進みます。従来は担当者の経験や勘に依存していた作業も、ルールを明確化してRPAに落とし込むことで、誰が関わっても同じ品質で遂行できるようになるでしょう。
さらに、社員は繰り返し作業から解放され、分析や企画、顧客対応などのクリエイティブで戦略的な業務に集中できるようになります。これは従業員のモチベーション向上や職場満足度の改善にもつながるでしょう。
また、柔軟な働き方を支援する仕組みとしても有効で、リモートワークや在宅勤務の環境下でも効率的に業務を回せる点は、企業にとって大きな価値があります。
デメリット
RPAの主なデメリットとして、以下の3点を紹介します。
導入・運用コストが発生する
RPAは導入すればすぐに効果が出るわけではなく、シナリオ設計やテスト、運用に一定のコストがかかる点には要注意です。とくに初期導入時には、どの業務を自動化するかを選定し、業務フローを整理・最適化したうえでRPAに落とし込む必要があります。この準備段階に多くの時間やリソースを割くケースも珍しくありません。
さらに、RPAツール自体のライセンス費用や運用担当者の育成費用も発生します。小規模な企業では、投資に見合う効果が得られるかどうかを慎重に見極める必要があり、ROI(投資対効果)の観点で導入がハードルになることもあるでしょう。
業務変更時のメンテナンスが必要
RPAはルールベースで動作するため、システムの仕様変更や業務フローの見直しが発生した場合、シナリオを修正する必要があります。このメンテナンスを怠ると、ロボットが誤作動を起こしたり、想定外のエラーで業務が滞ったりするリスクがあるため要注意です。
たとえば、取引先のWebサイトの仕様変更や社内システムのUI更新といった小さな変化でも、ロボットが正しく動作しなくなることがあります。メンテナンスの工数や費用をあらかじめ見込んでおかないと、導入後の手間が逆に増えてしまう可能性もあるため、運用体制の整備が不可欠です。
過度な依存によるリスク
RPAは非常に便利なツールですが、過度に依存すると業務全体の可視性が失われ、ブラックボックス化してしまうリスクがあります。また、長期的には担当者のスキルや知識が蓄積されず、組織のノウハウ継承が困難になる場合もあるでしょう。
RPAはあくまで補助的な役割と位置付け、人間による業務理解や改善活動と並行して活用することが重要です。バランスを誤ると、逆に企業の柔軟性や適応力を損なう危険性があります。
まとめ
RPAは、定型的で繰り返し発生する業務を自動化し、作業時間の短縮や人為的ミスの削減に役立ちます。データ入力や経費精算、請求書作成など幅広い業務で活用可能ですが、判断を伴う複雑な処理には不向きです。導入にあたってはメリットとデメリットを理解し、自社に適した活用方法を検討しましょう。
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