1. HOME
  2. IM-Press
  3. お役立ち情報
  4. 地方行政のDXも待ったなし 総務省「自治体DX推進計画」が目指す抜本的な変革とは

地方行政のDXも待ったなし 総務省「自治体DX推進計画」が目指す抜本的な変革とは

地方行政のDXも待ったなし 総務省「自治体DX推進計画」が目指す抜本的な変革とは

総務省は今年9月、「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」と関連のドキュメントを改定しました。もともとは2020年12月に策定・公表されたものですが、この間の国の関連施策のアップデートを踏まえ、政府は改めて地方自治体と歩調を合わせて行政のデジタル化やDXを進める方針を明確にしました。自治体DX推進計画の改定はそうした流れの中に位置づけられます。

新型コロナ禍によって浮き彫りになった日本のデジタル活用の遅れは、行政の分野でも顕著です。あらゆる人の生活や社会の在り方と密接に関わっている行政サービスの変革がどのように進んでいくのか、自治体DX推進計画と関連資料を通して展望してみましょう。

 

1.「DX」の冠を掲げた意味

まずは20年に策定されたオリジナルの自治体DX推進計画の内容からおさらいします。政府のデジタル・ガバメント関連施策に基づいて自治体の行政サービスの利便性向上やそのための基盤整備、組織構築などを効果的に実行していくための指針ともいうべき位置づけで、内容としては、自治体が重点的に取り組むべきことや、総務省をはじめとする関係省庁による支援策などをとりまとめたものです。

新型コロナ禍は日本社会のデジタル活用の遅れに対する危機感を多くの人が共有する大きなきっかけになりましたが、そもそもコロナ禍のようなマクロ環境の大きな変化は今後も起こり得るものです。それに対応していくためには、データやデジタルテクノロジーの活用を前提にアジャイルに都度最適な行政サービスを提供できるような組織構成・組織文化への変革や基盤整備に取り組まなければなりません。政府がこの計画に「DX」の冠を掲げる背景には、一足飛びに本来の意味でのDXに到達できなくても、表層的なデジタル活用にとどまらない抜本的な取り組みが必要だという課題意識があると言えそうです。

 

2.全庁的な業務改革の契機に

自治体の重点取組事項として掲げられたのは6項目です。それぞれ簡単に見てみましょう。

(1)自治体の情報システムの標準化・共通化

25年度を目標として基幹系17業務(現在は20業務に拡充、後述)システムをガバメントクラウドを活用した標準準拠システムに移行する。

(2)マイナンバーカードの普及促進

22年度末までにほとんどの住民がマイナンバーカードを保有していることを目指し、申請を促進するとともに交付体制を充実させる。

(3)自治体の行政手続きのオンライン化

22年度末を目標に、住民がマイナンバーカードを用いて申請を行うことが想定される子育て、介護、被災者支援、自動車保有の計31手続きについてマイナポータルから手続きできるようにする。

(4)自治体のAI・RPAの利用推進

情報システムの標準化・共通化や行政手続きオンライン化と連動した業務改革の一環としてAI・RPAの導入・活用を推進し、生産性を向上させる。

(5)テレワークの推進

情報システムの標準化・共通化や行政手続きオンライン化と連動した業務改革の一環としてテレワークを導入し、働き方改革を進める。

(6)セキュリティ対策の徹底

最新の「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」を踏まえてセキュリティポリシーを適切に見直し、セキュリティ対策を徹底する。

さらにこれらの取り組みを着実に進めるための体制構築についても以下の四つのポイントを提示しています。

(1)組織体制の整備

首長、CIO、CIO補佐官などを含めた全庁的なマネジメント体制を構築することが望ましい。

(2)デジタル人材の確保・育成

全庁的なDX推進体制の構築にあたって、外部人材の活用や職員の育成を推進すべき。

(3)計画的な取り組み

重点取組事項で示された目標時期や自治体の情報システムの標準化・共通化に関する国の施策を踏まえ、工程表を策定するなどして計画的な取り組みを進める必要がある。

(4)都道府県による市区町村支援

市区町村における一連の施策の着実な推進やデジタル技術の共同導入、人材確保について都道府県の支援に期待。

自治体DX推進計画の対象期間は21年1月から26年3月までを想定しています。21年7月には総務省が「自治体DX推進手順書」も策定し、同計画を着実に進めていくためのより詳細なガイドを自治体向けに公表しています。手順書は「全体手順書」「自治体情報システムの標準化・共通化に係る手順書」「自治体の行政手続のオンライン化に係る手順書」「参考事例集」で構成されていますが、重点取組事項の中でも国の施策・方針と連動して全自治体がほぼ同時期に取り組まなければならないものについて細かくフォローしているかたちです。

また前述したとおり、自治体DX推進計画では、システムの標準化や行政手続きのオンライン化は抜本的な業務改革とセットで進めるべきという考え方が示されています。手順書でもこの点は改めて触れられており、「業務内容や業務プロセス、さらには組織体制を含めて抜本的に見直し再構築するBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)により、施策の効果は大きく高まる」という趣旨の指摘をしています。こうした背景により、NTTデータイントラマートが「IM-BPM」として提供しているような業務プロセス改革・最適化のツールやサービスの需要が、地方自治体でも高まっています。

3.政府施策のアップデートで国の支援を拡充

今年9月に改定した自治体DX推進計画【第2.0版】では、どんなアップデートがあったのでしょうか。まず、21年12月に閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた重点計画」や今年6月に閣議決定された「デジタル田園都市国家構想基本方針」など、この間に新しく策定された上位計画やビジョンを盛り込んで国の施策との整合を取りました。

また、各自治体の現場では組織体制の整備や人材確保・育成における課題が顕在化していることを踏まえ、外部のデジタル人材を確保するために有効な取り組みや国の支援策を追加しています。国の支援策としては、「自治体DX推進のための外部人材スキル標準」を策定し、これを満たす民間人材をリスト化するほか、都道府県や市町村間での外部デジタル人材のシェアリングなども支援していくとのこと。

各重点取組事項についても、この2年間で進捗したり新たに登場した施策との整合を取ってアップデートしています。情報システムの標準化・共通化については、ガバメントクラウドを活用した標準準拠システムに移行する対象となる基幹系業務が17から20に拡充されたことを反映しているほか、国が市区町村向けの「進捗管理等支援ツール」をつくり、標準化・共通化を丁寧にサポートしていく方針を示しました。

マイナンバーカードの普及促進では、マイナンバーカードの利便性向上や活用シーンの拡大、マイナポイント付与キャンペーンなど、国が直近で進めている取り組みを自治体DX推進計画にも盛り込むとともに、関連事務に対する自治体への財政支援を拡充することも明記。これらをテコに自治体の取り組みを加速させたいと考えです。

なお、手順書類も順次改定されており、今秋には全ドキュメントの【第2.0版】が出そろう予定です。

 jichitaidx1024_1.jpg
自治体DX推進計画等 改定の概要(出典:総務省)

4.デジタル庁の取り組みと軌を一にして

昨年9月にはデジタル庁も発足し、基幹業務システム標準化に向けた標準仕様書の策定や、データ要件・連携要件標準仕様書などの策定・公開に取り組んでいます。岸田内閣になってからはデジタル活用を阻むアナログ規制の包括的な改正に向けた取り組みにも着手し、その主体として「デジタル臨時行政調査会」が発足し、24年半ばには約9000条項のアナログ規制を全廃する計画を示しています。

中央省庁の従来の縦割り構造ではなかなか難しかった、データとデジタル活用の環境整備は進みつつあります。こうした動きと軌を一にして、これまで停滞していた自治体のDX基盤整備を前進させることができるのか、大いに注目されます。

 

Concept Book

ローコード開発・業務プロセスのデジタル化で豊富な実績を持つintra-martが、お客様のビジネスにどのような効果をもたらすのか、特長や導入効果など製品コンセプトを詳しくご紹介しています。

Concept Book

お困りごとがありましたら、お気軽にご相談頂ければと思います。

お役立ち資料ダウンロード

8分でわかるイントラマート

intra-martのローコード開発

お役立ち資料