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ローコード/ノーコード開発市場は20%に迫る成長率 製品選定の混乱や選定後の課題も目立つように

2022年の年末から23年の2月にかけて、国内外の調査会社からローコード/ノーコード開発市場に関するレポートが相次いで発表されています。
日本市場に言及したものをピックアップし、ローコード/ノーコード開発市場の現状を把握するとともに、近未来を展望してみましょう。

 

2021年度は18.6%の市場拡大、26年度までのCAGRは16.8%

独立系ITコンサルティング・調査会社のアイ・ティ・アール(ITR)は2月14日、国内ローコード/ノーコード開発市場規模の調査結果と予測に関するレポートを発表しました。
国内22ベンダーへの調査に基づき、2021年度(20年4月から21年3月まで)の売り上げ実績と26年度までの売り上げ予測をまとめたもの。同社は例年、この時期に同様の発表を行っており、市場を定点観測した結果を知ることができるレポートです。

最新の調査結果では、ローコード/ノーコード開発市場の21年度売り上げ金額は611億6000万円で、前年度比18.6%増となりました。市場を構成するベンダーの8割以上が2桁成長を示し、市場への影響力が大きい上位ベンダーのビジネスも堅調に推移しているとしています。
また、21年度から26年度までのCAGR(年平均成長率)は16.8%で、26年度の市場規模は1300億円を上回り、21年度比で2倍以上の市場規模に拡大すると予測しています。

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ITRでプリンシパル・アナリストを務める甲元宏明さんは、「これまで国内企業では、レガシーな基幹系システムのユーザー画面だけのモダナイゼーションや情報系システムなどの領域にローコード/ノーコード開発プラットフォームを適用することが多かったが、基幹系システムそのもののモダナイゼーションやDXアプリケーションの新規構築に適用する企業が増えている」と分析しています。

多様なローコード/ノーコード開発プラットフォームが顧客基盤を拡大しており、今後もその適用範囲が広がっていくことは間違いなさそうですが、一方で甲元さんは「システム開発に際して対症療法的にソリューションを選択するのではなく、自社の選定指針やルールを定めたうえで、経営層やビジネス部門が期待するスピード感を損なわないことが求められる」とも指摘します。

開発機能だけに注目してツールを選定すべきではない

22年12月にガートナージャパンが発表した「ローコード開発ツールの選定に当たり事前に考慮すべき3つの観点」というプレスリリースでも、甲元さんの指摘と似た論点が取り上げられています。

米ガートナーは、グローバルで広くローコード開発ツールの採用が進んでいるとして、「2025年までに、企業が開発する新規アプリケーションの70%にローコードまたはノーコード・テクノロジーが使用されるようになる」と予測しています。

ローコード/ノーコード開発の活用が拡大しているのは日本でも同様で、ガートナージャパンにもツール選定に関する相談が頻繁に寄せられているそうです。ただし、「何をどう選定してよいのか分からなくなっていたり、選定後に機能不足や運営上の課題が顕在化したりする」企業も少なくないとしています。

そうした状況を受け、ガートナージャパンのアナリスト/シニアディレクターの飯島公彦さんは「ローコード開発ツールを選定する際には、その要件を適切に策定する上で、開発機能の詳細だけをやみくもに検討するのではなく、事前に考慮すべき3つの観点が漏れていないかを確認することが重要」だと指摘しています。

目的とユースケースを明確にして、ツールの多機能化も考慮

「考慮すべき3つの観点」とは具体的にどんな内容なのか、詳しく見てみましょう。

(1)採用する目的とビジネス成果を明確にする
ガートナージャパンはまず、「ローコード開発ツールの適切な選定を行うには、ビジネス上のどのような目的のために、あるいはどのようなビジネス上の問題を解決するために同ツールを利用するのかを考慮する必要がある」と説きます。同社は一般的に想定されるローコード開発ツール利用の主な目的として、「人材不足の解消とデリバリ・スピードの向上」「デジタルによるビジネス変革」「ビジネスの自動化と働き方改革」「アプリケーションの俊敏性向上」の四つを挙げています。それぞれの目的に沿ってビジネス上の成果を定義することで、ツールの導入効果を測りやすくなります。

(2)具体的なユースケースを検討し、選定上の重点を見極める
二つめの考慮すべき点は「具体的なユースケースの検討」です。これにより、ツール選定において重視すべき点が見えてくるとしています。用途はもちろんのこと、想定ユーザーのスキルレベルに応じた開発機能を提供することの重要性についても触れています。さらに、「属人化やブラックボックス化を防ぐと同時に、成果物の適切な共有・流通のためのガバナンス機能、セキュリティ、企業としての業務の正当性を担保するためのコンプライアンス機能などが求められる」とも。適用の規模や利用者の成熟度に合わせて、センター・オブ・エクセレンス(COE)などの組織構築やレビューのプロセス、ルールなどの整備を行っていく必要があると指摘しています。

(3)アプリケーション自動生成以外の幅広い機能を多角的に捉え、用途に合った適切な範囲で活用する
ローコード開発ツールは、単なる自動コーディングツールというよりも、アプリケーションを開発、実行、運用管理する機能とその周辺機能を網羅的・包括的に提供する統合プラットフォームとしての側面が色濃くなっています。こうした状況を踏まえて、「採用する製品の検討も多角的に実施する必要がある」というのがガートナージャパンの主張です。一方で、iPaaS、BPMなどがローコード開発プラットフォームに統合されているケースがありますが、「それらの機能が必ずしも専門ベンダーの提供するツールの機能性と同等ではないということも理解しておく必要がある」ともコメントしています。

まとめ

ローコード/ノーコード開発市場は引き続き拡大していく傾向にありますが、ITRの調査結果と市場規模予測を昨年同時期のレポートと比較すると、実は成長のスピードは下方修正されています。昨年のレポートでは25年度の市場規模を1539億円と予測していましたが、今回のレポートでは1166億円となっています。向こう5年間のCAGR予測も、昨年は24.4%だったのが今年は16.8%です。

ガートナージャパンが指摘しているとおり、ツールの選定時や導入後の課題が顕在化していることで、単に流行に乗るのではなく、ビジネス上の成果を見据えてローコード/ノーコード開発に冷静に向き合う企業が増えていることの証左なのかもしれません。それでも、DXを推進するにあたって、ローコード/ノーコード開発の適切な活用は間違いなく有効な取り組みの一つです。使い方、使いどころのポイントを押さえるか否かが、成果の差につながってくると言えそうです。

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