1. HOME
  2. IM-Press
  3. お役立ち情報
  4. メタバースのビジネス活用は進むのか IDC Japanが国内市場動向の調査結果を発表

メタバースのビジネス活用は進むのか IDC Japanが国内市場動向の調査結果を発表

2020年ごろから「Web3」がバズワード化していますが、同じ文脈の中で頻出するようになったキーワードが「メタバース」です。業界横断的にビジネスへの活用を模索する動きも出てきていますが、調査会社から市場動向を分析するレポートも出てきました。B2B領域でメタバースの活用がどのように広がっていくのか展望してみましょう。

 

産業用メタバースとは何か

Web3は本来、ブロックチェーンを基盤技術とする次世代の非中央集権型インターネットを指す概念であり、Web3を構成する要素にメタバースが含まれるわけではありません。メタバースとは多くのユーザーが共有できる三次元の仮想空間であり、XR(eXtended Reality、AR・VR・MRの総称)技術などと組み合わせて没入感の高い体験を提供できる技術です。Web3のインターフェースとして活用することで革新的なユーザー体験を実現できる可能性があるため、セットで語られることが多いと言えるでしょう。

現状では、ゲームやエンターテインメントなどの領域でメタバースの活用が先行していますが、どのようなステップを経てより広くビジネスで使われるようになるのでしょうか。IT専門調査会社のIDC Japanは今年2月、「国内の産業用メタバース/デジタルツイン市場の動向」の調査結果を発表し、一つのシナリオを示しました。

まず前提として、IDC Japnaが「産業用メタバース」をどう定義しているのかを押さえておきましょう。同社は今回の調査にあたって、「IoTやIndustry 4.0といった分野では、到達すべき実現目標としてデジタルツインが描かれてきた」とした上で、「デジタルツインを推進してきた一部のベンダーが、メタバースブームに乗ってデジタルツインを産業用メタバース(Industrial Metaverse)と言い換えるようになっている」と指摘しています。つまり、ここでの産業用メタバースとは、デジタルツインと同義だということです。

デジタルツインについても念のためおさらいしておきましょう。現実世界で収集したデータを基に、デジタルのコピー(デジタルツイン)を仮想空間上に再現する技術のことで、デジタルツインで業務の分析やシミュレーションを行い、その結果を現実世界にフィードバックして業務最適化などに役立てるといった活用シナリオが考えられます。仮想空間上に現実世界と連動したモノやコトを再現すると考えれば、デジタルツインを産業用メタバースと表現することにそれほど違和感はないかもしれません。

XRによって「人」をメタバースに取り組むことが重要

IDC Japanは、産業用メタバース/デジタルツイン市場の発展には「3D CAD、IoT、XRを含む現実世界と仮想世界をデータでつなぐ技術と、仮想世界でこれらをモデル化するためのデジタルツイン基盤技術が重要な鍵になる」と指摘。産業用メタバースの用途や活用範囲が広がり、市場が発展していくステップを提示しました(図1)。

IMPress-_metaverse1.png
産業用メタバース/デジタルツイン市場の発展のステップ(出典:IDC Japan)


とりわけ重要なテーマとして同社が挙げたのが、XRによって「人」を産業用メタバースに取り込むことです。人を仮想世界に取り込むことで、人とロボットの協働を促進して安全かつ生産性の高い働き方が実現できるほか、人同士のコラボレーションや働き方改革にもつながるとしています。

大手製造業や大手建設業者が普及の起点に

今回の調査では、産業用メタバースの普及シナリオ(図2)にも言及しています。まずは「社内に設計と生産の両部門を有する大手製造業や大手建設業者(ゼネコン)」から活用が本格化し、こうした初期の顧客が産業用メタバースの構築に必要なデータを彼ら自身の顧客に引き継ぐ流れになるといいます。そして、「引き継いだ顧客が、自社が保有する建物やそこで使用される装置などの運用に産業用メタバース/デジタルツインを活用するようになると市場は急速に拡大する」と予測しています。

IMPress-_metaverse2.png
産業用メタバース/デジタルツイン技術の普及シナリオ(出典:IDC Japan)


さらに次のフェーズとして、人流、交通、物流、サプライチェーンなど広域のデジタルツインも組み合わせることによって「社会全体のデジタルツイン化が可能になる」と見ているとのこと。ここまで到達すれば、「デジタルツイン上で高度なAIやシミュレーション機能の活用によるロボットや設備の自律的な運用を実現することで、より良い働き方、より高い生産性、CO2排出量の削減、安全安心な社会が実現できる」と結論付けています。

まとめ

IDC JapanでInfrastructure & Devices リサーチマネージャーを務める小野陽子さんは「労働力不足が深刻化する中、企業は、人とロボットの協働、人同士のコレボレーションの円滑化、働く人の安全性や快適性向上などを通じて、より生産性が高くより魅力的な労働環境を模索する必要がある」と指摘。「産業用メタバース/デジタルツインは、そのための有効なツールとなるであろう」とコメントしています。

産業用のメタバースと聞くと、普及はまだまだ先と感じる読者が多いかもしれませんが、デジタルツインと言い換えれば印象も変わるのではないでしょうか。プロセスマイニングにより業務や組織をデジタルツイン化し、業務プロセス改革に役立てるという考え方も浸透してきています。IDC Japanのレポートは、自社の経営や事業に産業用メタバースをいかに取り込んでいくのか、改めて考えるヒントになりそうです。

Concept Book

ローコード開発・業務プロセスのデジタル化で豊富な実績を持つintra-martが、お客様のビジネスにどのような効果をもたらすのか、特長や導入効果など製品コンセプトを詳しくご紹介しています。

Concept Book

お困りごとがありましたら、お気軽にご相談頂ければと思います。

お役立ち資料ダウンロード

8分でわかるイントラマート

intra-martのローコード開発

お役立ち資料