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急拡大するローコード/ノーコード開発ツール市場 成長は当面続くが課題も顕在化

DXの基盤づくりに有用な技術として、近年、認知度が急激に高まったローコード/ノーコード開発。
IM-Pressでもたびたび取り上げていますが、今後、「当たり前」の技術としてさらに広く浸透していくことが予想されます。
今回はそれを裏付けるいくつかのレポートをご紹介します。

目次

  1. 20〜25年度のCAGRはなんと24.4%
  2. 内製化のトレンドが成長を後押し
  3. ユーザーの導入率は1年で8.5%から37.7%に
  4. 手軽さゆえのリスクにどう向き合うか

 

1. 20〜25年度のCAGRはなんと24.4%

ローコード/ノーコード開発の需要増と軌を一にして成長しているのがローコード/ノーコード開発ツールの市場です。独立系のITコンサルティング・調査会社であるアイ・ティ・アールは今年2月、国内のローコード/ノーコード開発市場に関する調査レポートを発表しましたが、目下の市場の成長度合い、当面の市場の成長性のいずれも高い水準にあることを強く示唆する結果となりました。

2020年度(20年4月-21年3月)のローコード/ノーコード開発ツール市場全体の売り上げ金額は515億8000万円で、前年度の415億円から24.3%増加しました。25年度までの市場規模予測も合わせて発表し、21年度が656億円、22年度は824億円、以降、23年度1030億円、24年度1272億円、25年度1539億円と成長が続いていくとしました。この数字をベースに20年度から25年度までのCAGR(年平均成長率)を算出すると24.4%となり、現在の成長率を向こう5年ほどは維持すると見ていることになります。

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なお、同社の調査は、ベンダーへのヒアリングなどを基に市場全体の売り上げの実績や予測を導き出すのが特徴です。
ローコード/ノーコード開発ツール市場の調査にあたっては、日本国内で事業活動を行っている23社を対象にしています。

  

2. 内製化のトレンドが成長を後押し

多くの企業・組織がDXに取り組む中で、多様なニーズや急激なビジネス環境の変化に迅速に対応するための現実的な手段としてローコード/ノーコード開発への期待や認知度は高まっています。ITRは今回の調査結果について、そうしたユーザー側の動向が反映されていると分析しています。

同社プリンシパル・アナリストである甲元宏明さんは「DXが加速するのに伴い、企業では内製化を推進する機運が高まっている。プログラミングに長けたエンジニアを多く抱えていない企業にとって、短期間でアプリケーション開発スキルを習得でき、ユーザーとの共同作業で試行を繰り返すことが容易なローコード/ノーコード開発ツールは、DXや業務改革/改善に適していることから、今後も同市場はさらに成長すると考えられる」とコメントしています。

例えばDXの一環で、ユーザー体験を継続的・恒常的に改善していくアプリケーション開発の体制をつくるなら、対象となるビジネス/業務の理解度やユーザーとの距離感は成否を分ける大きな要素の一つです。内製化はまさにそうした課題へのソリューションの一つであり、ローコード/ノーコード開発ツールは内製化の裾野を広げる役割を果たしていると見ることができるでしょう。

 

3. ユーザーの導入率は1年で8.5%から37.7%に

グローバルなIT専門調査会社であるIDCの日本法人(IDC Japan)も、国内のローコード/ノーコード開発ツール市場についての調査結果を今年4月に発表しました。こちらはベンダーだけでなくユーザー企業も調査対象として、より網羅的・多面的に市場の動向を分析しているのが特徴です。

同社が20年8月に実施したユーザー調査(回答社数435社)では、ローコード/ノーコード開発ツールの導入率は8.5%でしたが、21年9月の調査(回答社数485社)では37.7%まで上昇しています。23年には新規で開発されるアプリケーションの60%にローコード/ノーコード開発が採用されるとの予測も示し、「ローコード/ノーコード開発がアプリケーション開発における標準の一つになるまでにはそう時間はかからないだろう」と結論付けています。

IDC Japanはこれらの結果について、ユーザー側のDXの要請に合わせて、ツールベンダー側の製品・サービスの充実や提供体制の整備も大きく影響していると分析しています。

レポートでは、ローコード/ノーコード開発が採用されることが多いのは「スケジュールやワークフローなどの業務プロセス系アプリケーション、予算/売上管理や社員管理などを行うバックオフィス系アプリケーション、商品管理や販売管理などを行う営業系アプリケーション」だと現状を分析。その上で、「多くのベンダーがそれぞれ特徴を持ったローコード/ノーコードプラットフォーム製品を提供していることで、ユーザーが戦略や目的に応じて柔軟に選択できるようになっている」としています。

4. 手軽さゆえのリスクにどう向き合うか

また、ローコード/ノーコード開発が広く浸透するにつれ、ツールの導入支援や内製化支援といったサービスの需要が高まっているとも指摘しています。「ツールベンダーやSIerは、導入コンサルティングや導入構築、運用保守に関するサービスのみならず、ローコード/ノーコード開発手法に関するコーチングや開発体制支援、教育/トレーニングに関するサービスも提供している。今後、関連サービスを提供するベンダーやSIerはさらに拡大し、国内のローコード/ノーコード開発を促進していく」というのがIDCの見解です。

ただし、内製化のトレンドが加速していることは確かですが、その対象となるシステムが拡大するほど、ユーザーにとってはガバナンスを機能させつつ内製の効果を得るためのノウハウやスキルをしっかり習得することが重要になります。IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ グループマネージャーの入谷光浩さんは「(ローコード/ノーコード開発は)手軽に開発できてしまう分、野良アプリの乱立や情報漏えいなどのリスクも指摘され始めている」とコメントしています。

企業や組織がローコード/ノーコード開発を安全に進めていくために必要な取り組みとしてIDC Japanが提唱しているのは、開発の標準化やフレームワークの作成、アプリケーションの品質管理や開発権限の管理などを担うローコード/ノーコードCoE(Center of Excellence)の設置です。「CoEが教育やトレーニング、啓蒙活動などを社内で展開することで、開発の民主化を実現していくことができる」としています。

ベンダー/SIerの支援サービスには、ローコード/ノーコードCoEの設置支援を含め、従来のシステム開発ビジネスとは全く異なる価値が求められるようになっています。一方でユーザー側にも、DXの基盤をしっかり整えるために、そうしたサービスへの感度や目利き力が求められるようになっていると言えそうです。

 

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