「intra-mart+皆伝!」でSAPフロントシステムを構築
経費旅費の効率よい現場入力ワークフローと、戦略的な経費予実管理を実現して、
全社員のコスト意識向上に成功

埼玉県深谷市に本拠を置くアイスクリーム・氷菓専業メーカーの赤城乳業株式会社(以下、赤城乳業)は、2014 年1月に基幹システムをSAPシステムに入れ替えたのを契機に、全社員が現場入力を行う経費旅費の精算システムも一新した。intra-mart 基盤とワークフローシステム「皆伝!」の組み合わせを採用して、利用者にやさしいSAPフロントシステムを開発したのである。同時に、経費の予算実績をリアルタイムに管理するしくみを構築することにも成功。社員のコスト意識を高める環境を実現するとともに、今後の経費削減、利益率向上といった経営課題達成に向けて、大きな一歩を踏み出した。

目次

1.課題
経費旅費の現場入力をSAP環境でも継承し、加えて経費の予実管理を行うため、ワークフローシステムを開発

2.導入
SAPフロントシステムを構築するなら「intra-mart+皆伝!」の組み合わせが最適と判断

3.効果
効率よい現場入力でSAPへの精度の高いデータ入力を確保し、部署ごとの自律的な経費予実管理も実現

4.未来
柔軟性と拡張性に満ちた基盤を活かしてさらなるコスト意識向上、コスト管理強化へ進化

課題

経費旅費の現場入力をSAP環境でも継承し、加えて経費の予実管理を行うため、ワークフローシステムを開発

 

「ガリガリ君」「ガツン、とみかん」など、おいしさと遊び心満載のアイスを生み出し続けるアイス・ドリーム・カンパニーの赤城乳業。独自性の高い商品戦略・ブランド戦略を重ねて、7年連続増収を達成している企業としても注目を浴びている。

「最近は、売上の数字だけでなく、利益率も追求する方向へ変わってきました。いま進めている中期計画は、社長の強い思いが込められた『売上390億円、利益39億円を目指すサンキュー計画』です。売上は2013年度377億円で目標達成目前ですが、食品業界で利益率を10%確保する道のりはけわしい。いかに経費削減するか、いかに原価管理するかが大きな課題です」と、管理本部 情報システム部次長の吉橋高行氏は語る。

赤城乳業株式会社
管理本部 情報システム部次長
吉橋 高行氏

2006 年、経費旅費の現場入力をスタートしたのも、社員のコスト意識を高めることが最大の目的だ。当時導入していた会計システムの分散入力システムを用いて、全社員による経費・旅費・交際費の発生時点入力の体制を整備した。

しかし2014年、基幹システムを入れ替えることになり、経費旅費の入力システムも見直しが必要となった。販売管理、在庫管理など、全システムのデータとマスターを一元管理して、会社の状況をリアルタイムに把握できるような強力な経営基盤を手に入れるため、SAPのERP導入を決断したのだ。

「SAPシステムへの伝票入力には慣れが必要であり、全社員を教育するのは大変です。そこで、旅費経費精算については、現場入力がやりやすいように工夫を凝らしたフロントシステムを構築して、SAPシステムと連携させる方法が最適だと考えました」と吉橋氏は言う。

さらに、旅費経費の入力システム刷新を好機として、経費の予算実績管理も強化することにした。

「以前は、月締め後の20日ごろまでに、各部署が表計算ソフトを使って予実管理をするためのデータを経理部門が作り、社内約50カ所へ配布していました。しかし1カ月も2カ月も経ってからの事後処理では、予算を超えてしまったことがわかっても、もう手の打ちようがありません。事前申請と進捗管理の体制に切り替えて、経営スピードアップと統制強化を目指しました」と吉橋氏。

さらに、管理本部 経理部課長の小原康行氏は「当社は、冬の2月の月間売上と同額が、梅雨明けのほんの数日で売れてしまうほど、季節変動が大きい。しかもアイス業界は競争が激しく、当社でも年間200品近くを開発しています。経費の予算消化状況をすばやく把握することは、商機を逃がさずに次々と手を打っていくために不可欠な条件です。利益率を意識するようになったここ2年ほどは、経費の予実を随時に、しかも施策単位・個人単位などできめ細かくチェックできるリアルタイムな経費管理の環境を作ることが、『経営上の急務』として強く認識されていました」と説明する。

導入

SAPフロントシステムを構築するなら「intra-mart+皆伝!」の組み合わせが最適と判断

SAPシステムのフロントシステム構築にあたっては、システム基盤「intra-mart」と、intra-mart を基盤にして動く経費旅費管理システム「皆伝!」(スミセイ情報システム)の組み合わせを選択しました。

「SAP導入という大仕事をやりながらのフロントシステム構築ですから、SAPありきが大前提。SAPとの親和性と、SAP連携システムの導入実績を重視して比較検討しました」と吉橋氏は語る。

印象的だったのは、SAP本体の導入にあたって17社ものベンダーにRFI/RFPへの回答・提案を求めたが、その中にすでに、intra-martを組み込んだ提案が複数あったことだ。

赤城乳業株式会社
管理本部 経理部 課長
小原 康行氏

intra-martは柔軟性の高い基盤製品であり、ワークフローエンジンも優れている。皆伝!は、カスタマイズ要件にも柔軟かつ高い生産性で対応できるテンプレートシリーズであり、SAPとの連携も複数の手段を標準装備しているため、SAP のフロントシステム構築に適している。両者について、第三者が客観的に高く評価していることは説得力があった。

「強固な経営基盤づくりが、SAP システム導入の目的です。ワークフロー構築にあたっても、SAPとフロントシステムで実現する機能を適切に切り分けつつ、マスター情報を両システムで統一管理できる強固な基盤づくりを目指しました」と吉橋氏。

2012 年10 月、「intra-mart + 皆伝!」の組み合わせに決定して開発をスタート。2014 年1月には、SAPシステムと同時にフロントシステムも本稼働を開始した。

「要件定義段階では、アジャイル開発的にintra-martの部品を活用して毎週のようにモックアップを更新し、画面上の動きを見ながら利用者間で議論を深め、手直しを重ねてきました。ですから、社員はまったく違和感を覚えることなく、使い始めた日からスムーズに操作できたのです。SAPや会計に詳しいSEとモックアップを検討する際に十分な意見交換ができたことも成功の大きな要因です。」と小原氏は語る。

効果

効率よい現場入力でSAPへの精度の高いデータ入力を確保し、部署ごとの自律的な経費予実管理も実現

フロントシステムの構築により、現場入力のしくみを使いやすいユーザインターフェースのもとに集約し、事後申請から事前申請へ切り替えることに成功した。

利用者は最小限の項目を入力するだけでワークフローが自動処理を行い、精度の高いデータをSAPへ入力できる。経費の目的区分を選べば自動的に適切な勘定コードを選択し正しい仕訳データが生成されるため、「締め日になって初めて入力ミスに気がつく」といった事態も発生しない。

「過去の履歴データをコピーして新しい伝票の入力ができるので、打ち間違いが激減しました。利用者が背後にあるSAPシステムをまったく意識する必要がない、利用者にやさしいシステムを実現できました」と小原氏は言う。

経費は、各人が事前申請を行って上長が承認した時点で実績データとして登録され、経費予算・交際費予算・生産工場設備予算・チェーン別予算(販売ルート別予算)という4種類の予算との予実管理ができる。当該申請による予算増減を施策単位や個人単位で個別にチェックして、予算超過時には、申請を承認する上長へ警告する機能も備えている。

「月締め後に経理部からデータが送られるのを待つことなく、各部門が自分の担当範囲の予算とその消化状況をいつでも把握できるようになりました。その効果は、これから会社全体へ大きく拡大していくはずです」と吉橋氏は語る。

基幹系システム全体の刷新によって、月次決算にかかる時間が短縮し、経営判断を早く下せるようになったのも大きな成果だ。経理部門が経費の正確な把握にかける時間だけを見ても、ほぼ半分の日数に短縮できた。

intra-mart基盤とワークフローシステム「皆伝!」の組み合わせを採用し、SAPフロントシステムを開発

未来

柔軟性と拡張性に満ちた基盤を活かしてさらなるコスト意識向上、コスト管理強化へ進化

今後も、コスト意識の向上、コスト管理の強化は重要な課題であり続ける。

「次の一手は、予算・実績とリターンとの比較分析でしょう。かけた経費にこれだけの見返りがあった、使ったものがこれだけの売上増に貢献したという分析を、今後は施策別、チェーン別などで見ることもやっていきたい。コストの『意識』を超えて、現実のコスト管理を全社員が自律的に行うようになれば、コスト削減目標もいずれ達成され、サンキュー計画にも役立つに違いありません」と小原氏は語る。

さらに吉橋氏は「しっかりした基盤であるintra-martと、信頼性の高いソリューションである皆伝!の組み合わせは、長期的に見てもコストパフォーマンスが高い。柔軟性の高さを活かして、あれもやろう、これもやろうと、思いを巡らしているところです。強力で、しかもソース公開されたプラットフォームを手に入れたメリットを最大限に利用して、グループウェア、SFA、CRMなど、さまざまな業務アプリケーションをintra-mart 上で稼働させ、連動させていくことも考えています」と意欲的に語る。

稼働する複数アプリケーション同士の連携性を高めているなど、intra-martが基盤製品としての機能強化を着実に進めていることへの期待感も大きい。SAPシステムとintra-martシステムをまとめて、そのままアマゾンのAWS( Amazon Web Services )に置くというクラウド化の施策も視野に入っているという。

小さくても強い会社「強小カンパニー」を目指して、売上と利益率の両輪の増大に取り組む赤城乳業。既存の型にははまらない、独自性の高い同社のさらなる挑戦を、intra-mart 基盤は柔軟性と拡張性でがっちりと支えていく。

基本情報

赤城乳業株式会社

本社
埼玉県深谷市上柴町東二丁目27番地1
創業
1931年10月22日
設立
1961年12月20日
資本金
7億7千万円
社員数
約350名
概要
アイスクリーム・氷菓の専業メーカーとして、アイスクリーム等の企画開発、製造、販売を行う。60 円アイスの代表的商品「ガリガリ君」は、独自性の高いキャラクター戦略でも知られる。埼玉県の会社が、群馬県の山の名を社名にしたのは、「裾野の広い赤城山のように、広く大衆に好まれる商品を作りたい」という思いからだという。
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