NTT 東日本関東病院 様


JCI 取得と運用で培った関東病院のノウハウ・創意工夫を注ぎ込み
病院業務のシステム基盤となり得る
「病院マネジメントシステム」の短期開発に成功
業種: 情報システム
用途: 文書管理/社内情報共有

NTT 東日本関東病院(以下、関東病院)は、2011年3 月、JCI 認証を取得した。患者の安全に対する取り組みと医療の質の高さを、世界に向けて実証したのである。認定取得後も、来年2014 年の再認定を目標に、JCI 遵守に向けての活動は続く。同病院では、JCI にのっとった課題管理や文書管理を効率よく行うために、「病院マネジメントシステム」を、intra-mart アプリケーションの「文書管理システム」をベースに用いて開発。管理業務の工数削減、時間短縮、緻密なスケジュール管理、複数スタッフによるシステム共用などを実現した。本システムは、JCI 認定取得を支援するシステムはもとより、国際基準に沿った病院業務の基盤システムとしても注目される。

1.課題 医療の質の高さを世界に示すJCI 認証 取得後も厳しいPDCA活動が続く

2.導入 JCI にのっとった課題管理を支援する 病院マネジメントシステムを開発

3.効果 管理業務の工数と時間が大幅に短縮 複数スタッフによるシステム共用も実現

4.未来 病院業務の基盤システムと位置づけて 日常業務手順へのJCI組み込みを目指す

課 題

導入の背景

医療の質の高さを世界に示すJCI認証
取得後も厳しいPDCA活動が続く

  JCI(Joint Commission International:国際病院評価機構)は、医療機関を多角的に評価・審査する国際的な評価機構である。JCI 認定を取得した医療機関は、患者の安全への取り組みと医療の質の高さが「国際スタンダード」に達していることを、世界に向けてアピールできる。認定を取得した医療機関は、50カ国450 施設。日本でも、6 病院・1 保健施設が認定を取得した(2013 年7 月時点)。
 「関東病院では、医療の質を高めて『安全な医療の文化』を育成することと、日本の医療レベルの高さを世界に示すことを目指して、認定取得にチャレンジしました」と、精神神経科部長の秋山剛先生は語る。秋山先生は、認定取得に際しては「JCI 委員会」、取得後の現在は、「JCI アドヒアランスド委員会」の委員長を務めている。
 JCI の評価基準は、14 章1220 項目にわたって詳細に規定されており、そのほとんどに合格していなければ認定は取得できない。関東病院では、まず英文資料を読み解き、その項目が要求しているものを正確に理解し、それでは当病院では何をどのレベルまでやれば良いかを具体的に見極めるプロセスで苦労したという。こうした困難を乗り越えて、2011 年3 月、同病院はJCI 認定取得に成功した。東京の医療機関では初めての快挙である。
 認定取得後も、JCI 基準の遵守に向けての活動は続く。1220 項目の中で合格していない項目や、審査官から改善の必要性を指摘された内容を「課題」として捉え直し、その達成に向けてのPDCA サイクルを日々着実に回している。「課題達成に向けては、病院内のすべての科が動く必要があります。さらにJCI アドヒアランスド委員会の事務局は、課題達成に向けての進捗度を1 ~ 2 週間ごとにチェックして記録しなければなりません」と、運営企画部の野村英雄氏。野村氏は、JCI 委員会およびJCI アドヒアランスド委員会の事務局として、委員長の秋山先生を補佐してきた。
 こうした病院全体にわたる課題管理、スケジュール管理には、当初は表計算ソフトを使っていたが、作業はきわめて煩雑だった。効率よいJCI 運用のためには、適切なシステム化が求められていたのである。



精神神経科部長
東京大学精神科 非常勤講師
秋山 剛先生

導 入

導入の経緯

JCI にのっとった課題管理を支援する
病院マネジメントシステムを開発

 最も煩雑な作業が、文書管理と課題管理だった。たとえば、JCI の受審に当たっては、英文52 種類、和文118 種類の提出書類を用意した。
パソコンで文書を作り、複数文書の内容の整合性をチェックしながら翻訳作業を進め、各科の要望を聞いて修正を加え、バージョンアップを重ねていった。書類の最新版管理や改訂履歴管理には表計算ソフトを使ったが、継続して日々の業務として書類管理していくには、文書管理システムを導入する必要があると野村氏は痛感していた。
 一方、課題管理は、課題の登録(PLAN)、課題の対応状況の報告(DO)、課題の対応完了の報告と確認(CHECK)、継続的な改善(ACTION)というPDCAサイクルを着実に回す必要がある。当初は、秋山先生が表計算ソフトで作った進捗管理表を使って、野村氏が各科のワークグループへ実施内容を伝達していた。さらに野村氏は、各科からの報告事項や提出されたワープロや表計算ソフトなどの文書ファイルを整理して、秋山先生へフィードバックしていた。1220 項目すべてについてこうした情報伝達、状況把握、進捗管理、資料管理を行うのは、膨大な作業量であった。
 そこで開発したのが、「病院マネジメントシステム」である。「このシステムは、関連づけ管理とPDCA サイクルの進捗管理の2つが大きな特長」と野村氏は説明する。関連づけ管理とは、課題や提出資料を、複数の評価基準に関連づけて一元管理することができる。これにより、1回登録作業で、関連基準すべてに情報が反映されることから、表計算ソフトに比べ格段に作業の手間が省けた。また、課題の登録(PLAN)、課題の対応状況の報告(DO)、課題の対応完了の報告と確認(CHECK)にはそれぞれ専用画面を用意して、継続的な改善(ACTION)を着実に実施できるように工夫した。
 この「病院マネジメントシステム」開発で活用したのが、intra-mart アプリケーションの「文書管理システム」である。intra-mart の「文書管理システム」は、JCI 基準と提出書類を関連づけてルールにのっとって管理する機能、確実な最新版管理、文書作成の進捗状況の見える化、作成すべき書類のスケジュール管理、書類承認のワークフローなど、基本機能をあらかじめ備えている。これらをベースに、組織とユーザを管理するしくみなど、intra-martというシステム基盤が持っている多様なモジュールを組み合わせることで、世の中にまだ存在しない初めてのシステムを短期開発することに成功した。


運営企画部 企画担当
野村英雄氏

効 果

導入の効果

管理業務の工数と時間が大幅に短縮
複数スタッフによるシステム共用も実現
  「病院マネジメントシステム」は、2012 年4 月、運用を開始した。課題と各種文書を相互に関連づけて一元管理できるようになったことで、管理業務は大幅な工数削減を実現できた。情報検索に要する時間も短縮された。たとえば「感染」という事項について、関連する課題や資料、JCI基準をスピーディーに、しかも漏れなく把握で きる。課題達成に向けての現在の取り組み状況も、全体を見渡し、俯瞰しやすくなった。
 「『何月何日までに何を確定しなければならないか』を、システムの機能を使って緻密に管理できるようになったことが大きな成果。また、表計算ソフトはどうしても私が管理・計画した結果を委員会メンバーへ一方通行で伝達するやり方になっていましたが、システム化によって、複数の人が入力したり閲覧したりする道が開けました」と秋山先生は語る。
 病院マネジメントシステムは、使い勝手を一段とブラッシュアップしたバージョン3 が、2013年11 月に完成する。この新バージョンからは、JCI アドヒアランスド委員会の中でも、コア委員会の13人のメンバーで、システムを共用していく計画である。




未 来

今後の展望

病院業務の基盤システムと位置づけて
日常業務手順へのJCI組み込みを目指す

 病院マネジメントシステムの進化は続く。「世界中の何千もの病院で、何万人もの医者がやっていることを見て、問題点を分析し、医療事故を防ぐには、何をすべきかを理詰めで体系化しているのがJCI です。JCI がカバーする内容は多岐にわたっており、効率的な病院運営や組織の動かし方など、JCI から学ぶことは多い」と秋山先生。
 JCI が潜在的に持つ力が大きいだけに、関東病院では、創意工夫で積み上げてきたノウハウを取り込んだこのシステムを、病院業務の基盤システムとして位置づけたいという構想を抱いている。
 「JCI を日常の臨床手順の中にごく自然に組み込んでいくには、システム化が不可欠です。現在でもすでに、『このシステムを使ってマネジメントすれば、JCI 認定を取得できる』というレベルに達していると思いますが、さらに、このシステムを使っていればJCI を遵守した日常業務ができるような、オールインワンのシステムへと育てるのが望ましい」と秋山先生は強調する。
 利用者の利便性を高めるには、クラウド化も必要だ。クラウドシステムであれば、様々な部署の様々な立場のユーザが使いやすくなり、出張中でも進捗管理が滞らない。各種システムが林立している他の病院でも、新規導入しやすいだろう。
 「JCI を取得した医療機関の数が日本はまだ少ないですが、このシステムのようなしくみがより導入しやすくなれば、JCI を取得する医療機関の増加にも拍車がかかるはず」と秋山先生は、日本の医療および医療機関の国際化に向けて、今後も力を注いでいこうという意欲を込めて語った。


基本情報

NTT東日本関東病院

                                                                                           
本 社 東京都品川区東五反田5 丁目9 番22 号
東芝浜松町ビル
開 設 1952 年1月(開設時:関東逓信病院)
許可病床数 665 床(一般病棟615 床 精神病棟50 床)
外来患者 2,099 人/日(2011年度)
職員数 1,096 名(2012年4月1日現在)
(医師・看護師 ・薬剤師・技師の常勤 ・非常勤合計)
概 要 東日本電信電話(NTT 東日本)が運営する大規模総合病院。「高度の先進医療を提供する病院」および「地域の医療連携の中核を担う病院」が使命。最新医療をいち早く取り入れた臨床、専門スタッフによるチーム医療、最新鋭の機器・設備をはじめ患者のアメニティーに配慮した施設などが高く評価されている。
URL http://www.ntt-east.co.jp/kmc/

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