XaaSのメリットから代表的な種類までをご紹介

XaaSとは、「X-as-a-Service」の頭文字を取ったもので、「ザース」と読み、コンピューター資源を利用する際に、販売・購入するのではなく、インターネットを経由してクラウドサービスとして提供・利用する形態を指す言葉です。たとえば、SaaS・PaaS・IaaS・BaaS・IDaaSなどがあります。
インターネット環境さえあれば、どこからでもアクセスできる利便性や、初期費用を抑えて必要な分だけ契約して利用できるコストパフォーマンスの良さから、浸透してきているXaaS。
本コラムでは、XaaSの概要とメリットなどについてご紹介いたします。
1. XaaSとは
XaaSとは、「X-as-a-Service」の頭文字を取ったものです。「ザース」と発音し、コンピューター資源を利用する際に、従来のようにハードウェアやソフトウェアを購入して資産とするのではなく、インターネットを経由してクラウドサービスとして利用し、利用分に応じて料金を支払う形態を指します。
「X」は、未知の値を示すアルファベットであるため、Xの部分にさまざまなアルファベットが該当します。たとえば、SaaS、PaaS、IaaS、BaaS 、IDaaSなどが挙げられます。XaaSの代表的な種類については、「XaaSの代表的な種類」でご紹介いたします。
コンピューター資源を購入して資産として保有するのではなく、サービスとして利用できるため、コストメリットや運用の手間暇をカットできるなど、さまざまなメリットが得られます。XaaSのメリットについては、次章で詳しくご紹介いたします。
2. XaaSのメリット
XaaSの主なメリットとして挙げられるのが、「利用する場所が限定されない」「コストを抑えられる」「スピーディに利用開始できる」「スケーラビリティが高い」「メンテナンスが要らない」「自動的にアップデートされ、最新技術が利用できる」の6点です。
利用する場所が限定されない
XaaSを利用するユーザーである従業員のメリットとして挙げられるのが、オフィスのデスクトップパソコンからだけでなく、外出先からスマートフォンでアクセスしたり、自宅のノートパソコンからアクセスしたりと、インターネット環境さえあれば場所やデバイスが限定されずに、どこからでも利用できる利便性の高さです。
このメリットによって、テレワークを可能にしたり、複数拠点や協力会社での共同作業が可能になったりします。
コストを抑えられる
ここからは、XaaSを導入する企業などの組織や管理者にとってのメリットをご紹介します。
まずは、コストを抑えられる点です。XaaSを利用すれば、ハードウェアやソフトウェアなどを購入しなくて済みます。また、XaaSの多くは初期費用が不要です。このため、XaaSを活用することで初期費用を抑えることができます。
また、XaaSの多くは利用した時間やデータ量などに応じて料金を支払う従量課金制、ユーザー数に応じて料金を支払うユーザー課金制など、利用した分だけ料金が発生する、無駄のない料金体系になっています。
スピーディに利用開始できる
従来、コンピューター資源を用意するには、ハードウェアやソフトウェアを購入することが基本となり、選定、契約、納品と時間のかかるステップを踏まなければなりませんでした。
しかし、XaaSを利用する場合、Webサイト上でユーザー登録などを行うだけですぐに利用を開始できるため、非常にスピーディです。早いものでは、数分で利用が可能になります。
スケーラビリティが高い
XaaSは、Webサイト状の設定で利用プランや利用人数、データ容量などを変更できるため、スケールアップやスケールダウンしやすい点もメリットです。
コンピューター資源を購入した場合、スケールアップするのにも時間や費用がかかりますし、スケールダウンする際も購入済みの資源が余って無駄になってしまいます。
メンテナンスが要らない
XaaSでは、面倒なメンテナンスを提供者側で行ってくれるため、ユーザー側はコンピューター資源をただサービスとして利用するだけで済みます。メンテナンスにかかる手間やコストなどを節約できます。
自動的にアップデートされ、最新技術が利用できる
XaaSでは、提供者側が新機能の追加や脆弱性解消といったアップデートも行ってくれます。追加料金なども特に発生しないため、ユーザー側はただ利用しているだけで最新技術が利用できるのです。
3. XaaSの代表的な種類
ここで、XaaSの代表的な種類を9つピックアップしてご紹介いたします。
SaaS
SaaSとは、「Software-as-a-Service」の頭文字を取ったもので、「サース」または「サーズ」と発音します。ソフトウェア、特にアプリケーションを、インターネットを介したクラウドサービスとして提供する形態を指します。XaaSの中で最も知名度の高いサービス区分であるため、実際に業務で活用しているという方も多いでしょう。
SaaSはさらに、業界を問わずに利用される「ホリゾンタル(水平型)SaaS」と、特定の業界でのみ利用される「バーティカル(垂直型)SaaS」に分けることができます。
PaaS
PaaSとは、「Platform-as-a-Service」の頭文字を取ったもので、「パース」と発音します。
ソフトウェアを構築したり稼動させるための土台(プラットフォーム)となるOSやミドルウェア、データベース環境などを、インターネットを通じたクラウドサービスとして提供される形態を指します。
IaaS
IaaSとは、「Infrastructure-as-a-Service」の頭文字を取ったもので、「アイアース」や「イアース」と発音します。Infrastructure、つまり、サーバーやストレージ、ネットワークなどのコンピューティングの「基盤(インフラ)」をインターネットを通じてクラウドサービスとして提供される形態を指します。
物理的なサーバーなどの用意が不要で、自由な環境を構築できる点がメリットです。
BaaS
BaaSとは、「Backend-as-a-Service」の頭文字を取ったもので、「バース」と発音します。
意味は、モバイルデバイスのバックエンド機能をインターネット経由でサービスとして利用する形態のことです。
ただ、BaaSにはほかにも「Backup-as-a-Service」や「Blockchain-as-a-Service」の略である場合があり、前者はクラウド上でデータを保存できるサービスを、後者はブロックチェーンを活用したアプリケーションなどを開発する際の基盤がクラウドで提供されるサービスを意味します。
IDaaS
IDaaSとは、「Identity-as-a-Service」の頭文字を取ったもので、「アイダース」と発音します。
ID管理を行うクラウドサービスのことで、IDライフサイクル管理(登録、変更、抹消、休止・有効化)のほか、一組のID/パスワードで複数のシステムやアプリケーションにログインできるシングルサインオン(SSO)や、複数の認証情報を組み合わせる多要素認証などが可能になります。
MaaS
MaaSとは、「Mobility-as-a-Service」の頭文字を取ったもので、「マース」と発音します。
交通をクラウド化することで、交通手段による移動を一つのサービスとしてシームレスに提供・利用できることを指します。
フィンランドから広まった概念で、自家用車を所有せずに済んだり、交通渋滞を解消できたりというメリットがあります。
RaaS
RaaSとは、「Retail as a Service」の頭文字を取ったもので、「ラース」と発音します。
意味は、小売のサービス化で、これまでのように単に商品を販売するだけではなく、蓄積してきた顧客データや販売データなどとテクノロジーを組み合わせて、サービス提供を主体とする新たなビジネスを創出することを指します。
具体例としては、Amazon.comが展開する「Amazon Go」で採用しているレジレスの決済システム「Just Walk Out」を、小売店向けに販売していることなどが挙げられます。
EaaS
EaaSとは、「Everything-as-a-Service」の頭文字を取ったもので、必要なコンピューター資源をすべてクラウドサービスでまかなうことをいいます。
ただ、EaaSにはほかにも「Exploits-as-a-Service」や「Energy-as-a-Service」の略である可能性があり、前者はサイバー攻撃者が脆弱性を悪用して攻撃を行う際にサービスとして利用できるツールを、後者は東京ガスが提唱している、ガスや電気を単体ではなくほかのエネルギーやサービスと組み合わせて一体提供する概念を指します。
AaaS
AaaSとは、「Anything-as-a-Service」の頭文字を取ったもので、上記のEaaSが必要なコンピューター資源をすべてクラウドサービスでまかなうことを指すのに対し、必要なコンピューター資源の一部をクラウドサービスでまかなうことをいいます。
ただ、同じ「AaaS」の表記で、博報堂DYメディアパートナーズが提唱する「Advertising as a Service」を指すことがあります。
4. まとめ
XaaSについての概要をご紹介しました。
XaaSが登場してからまだ日は浅いですが、今後、さらにさまざまな分野に進出し、私たちの暮らしや業務にますます普及していくでしょう。
XaaSのメリットを理解し、必要に応じて最適なサービスを選定してください。
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