VDI(仮想デスクトップ)とは? ~種類やメリットから導入する際の注意点まで解説~

テレワークの広がりやセキュリティ強化といった観点から、仮想空間の中にデスクトップを構築する「VDI(仮想デスクトップ)」というシステムが注目を集めています。
本コラムでは、VDIの詳細や種類、メリットや導入時の注意点を解説します。
1.VDI(仮想デスクトップ)とは?
VDI (Virtual Desktop Infrastructure)は、直訳すると「仮想デスクトップ基板」という意味を持ち、「仮想的なデスクトップ環境をサーバ上で管理する仕組み」のことを指します。
通常は、使用されるPC端末の中にはHDDやSSDといったデータ記憶装置が内蔵されています。PCのなかにはファイルやソフトウェア、OSなどさまざまなデータが格納されていますが、VDIの場合は物理的なデータの保管場所(ストレージ)がありません。
VDI環境化では、PCではなく「シンクライアント端末」と呼ばれる機器を使用するのが一般的です。シンクライアント端末は画面表示やキーボードといった基本的な機能だけが備わっており、端末にデータは残りません。サーバ上でデータの管理や操作を実行する仕組みのため、端末上にはデータが残らない仕様となっています。
インターネット環境と端末さえあればどこからでもアクセスできるため、多様な働き方に合わせて利用できます。
2.VDIの種類
VDIには4つの種類があります。
VDI(仮想PC方式)
VDIは仮想デスクトップをサーバ上に作成する方法です。「1デバイスにつき1仮想OS」が基本となっており、ソフトウェアを実行するための環境が幅広いという特徴があります。VDIで仮想デスクトップを構築すれば、自由度の高い環境で利用可能です。
ただし、Windowsを利用する場合は端末ごとにライセンスが必要なため、コスト面には注意が必要です。
SBC(サーバデスクトップ共有方式)
SBCはあらかじめ構築されたサーバを複数のユーザーで共有して利用する方式です。サーバに対応したアプリケーションやOSを選択する必要があるため、VDIと比べて自由度が低くなります。
その反面で、コスト面に優れている点はメリットといえるでしょう。すでにOSやアプリケーションがインストールされており、新たにライセンスを契約するコストを削減できます。 さらに、サーバのCPU、ストレージ、メモリなどを効率的に利用可能です。
HDI(ホスト型デスクトップインフラ方式)
HDIは、一つの物理サーバを一つのローカル端末で操作する方式です。VDIのように仮想化されたクライアントの使用はせず、SBCのようにデスクトップを複数のユーザーで共有することもありせん。
複数のユーザーがサーバを共有しないため、遠隔地から多数の利用者がアクセスしても安定したパフォーマンスで利用できます。
DaaS(パブリッククラウド方式)
DaaSはインターネットを介したパブリッククラウドを利用する方式です。外部のクラウドサービスによって実装されたVDI方式とも言い換えることができます。
DaaSでは、サーバの設置や管理、メンテナンスなどの必要がありません。運営会社が管理を担ってくれるため、サーバの設置費といった環境構築にかかるイニシャルコストを抑えながら利用を始められるというメリットがあります。
3.VDIを導入するメリット
ここからは、VDIを導入するメリットを詳しく解説します。
セキュリティの安全性が高い
VDIを導入するメリットは、セキュリティの安全性が高く、情報漏洩のリスクを減らせる点です。
通常のPCの場合、内蔵されたHDDやSSDなどの物理的な場所にデータが保管されています。もし、データを保管している媒体が故障したり盗難にあったりした場合は、データが危険にさらされてしまいます。
VDIの場合は、万が一端末が故障したり盗難にあったりしても、サーバ上のデータには影響がありません。そのため、VDIはセキュリティ上のリスクが低く、安全性が高いのです。
場所を選ばずに利用できる
インターネット環境さえあれば、どこからでもアクセス可能なのがVDIのメリットです。昨今では、企業でテレワークや在宅勤務などの多様な働き方を取り入れるケースも見られます。VDI環境があれば、スムーズにテレワークを導入できるでしょう。
また、場所を選ばずに利用できるということは、柔軟に仕事を進める上でも役立ちます。地震や災害といった不測の事態が起こった際にも、オフィス以外の場所からアクセス可能です。したがって、場所を選ばずに利用できるという点は、VDIのメリットであるといえます。
4.VDIを導入する際の注意点
VDIを導入する際には、注意すべきポイントがあります。
導入時はスケジュールを立てる
VDIを導入する際は、スケジュールを立てておきましょう。会社にとってVDIの導入は、大掛かりなシステム変更となります。部署ごとから導入するといった場合もあるでしょう。導入に時間がかかると、システムやOSのアップデートが発生したり、部署ごとに環境が変わったりと管理が複雑になることがあります。
快適な利用環境のもとで業務を行うためにも、速やかにシステム移行を進めるのが望ましいといえます。スケジュールを立て、柔軟に対処できるような体制を整えましょう。
導入後のパフォーマンスを検証する
導入後は、VDI環境のもとで問題なくシステムが動作しているかどうかを確認しましょう。パフォーマンスが安定しない場合、業務に支障が出てしまうためです。トラブルに対処するためにも、サーバ単位ではなくOSごとのパフォーマンスも注視します。プリンターを始めとする周辺機器の動作などに支障が出る可能性もあるため、利用状況に問題がないかを検証しましょう。
5.まとめ
今回は、VDI(仮想デスクトップ)について解説しました。
仮想的なデスクトップ環境を構築することで、セキュリティ強化や多様な働き方を実現できます。
どの方式を選ぶのかによってパフォーマンスやコストが異なるため、導入を検討する際は自社にあったVDIを選択することが重要です。
快適な利用環境を整えるためにも、VDIに関する理解を深めてみてください。
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