DX実現に欠かせない!?著しい普及を遂げるクラウドサービス

突如現れたCOVID-19の感染拡大の影響によって、私たちの働き方は一変し、企業におけるデジタル変革、DX(デジタルトランスフォーメーション)への対応が一気に加速しました。日々変化していくビジネス環境の中で、自社のビジネス価値、顧客体験を生み出していくためには、最新テクノロジーの活用や、環境の変化にもスピーディかつ柔軟に適応できるITシステムの確立が必要不可欠であり、このITシステムを支えるプラットフォームにクラウドサービスを利用することが重要視されています。 DX実現に欠かせない要素の一つとも言えるクラウドサービスについて、解説していきます。
1. クラウドサービスとは?
クラウドサービスとは、インターネットを通じて様々なアプリケーションやサービスを利用できる仕組みのことで、利用者はインフラやソフトウェアを自身で準備することなく、あらゆるサービスを必要な時に安く手軽に利用することができます。自社サーバやPCにシステムのインストールが必要なオンプレミス型の運用では、コストや時間、手間がかかってしまいますが、クラウドはこれらが不要で、インターネット環境があれば、いつでもどこでも、あらゆるデバイスからアクセスすることができます。
総務省が発表している『令和2年情報通信白書』によると、2019年にクラウドサービスを利用している企業の割合は64.7%(前年比6%UP)、さらにクラウドサービスを利用して「効果が あった」と答えた企業は8割を超えています。さらに、IDCの『国内パブリッククラウドサー ビス市場予測』では、2021年の国内パブリッククラウドサービス市場規模は前年と比べて 20.3%UPの1兆5087億円、2020〜2025年の年間平均成長率は18.4%で推移しており、今後もクラウド市場は拡大傾向と予想されます。
高い利便性とスピーディな導入が可能なクラウドサービスは、多様化する働き方・ビジネス環境にも柔軟に適応できるため、DXへの取り組みには大変有効とされます。
2. クラウドサービスの種類
クラウドと言っても、いくつかの種類に分類することができます。基本的な大分類として「プライベートクラウド」と「パブリッククラウド」の2つの形態が挙げられます。
- プライベートクラウド
自社専用(特定の利用者に限られた)の環境で提供されるクラウドサービスで、初期費用や導入まで手間がかかる分、高セキュリティレベルを維持できる。
- パブリッククラウド
クラウド事業者が提供するクラウド環境を、不特定多数の利用者が共有して利用するため、初期費用を抑えることができ導入のハードルも低い。
上記2つのクラウド形態のほか、オンプレミス型と組み合わせたり、業務に応じて使い分けながらハイブリッドで運用(ハイブリッドクラウド)する方法もあります。それぞれの特長を活かしデメリットを補完し合いながら、既存システムを有効活用してコストをおさえることも可能です。
さらに、サービスの提供範囲を大きく3つに分類することができます。
- SaaS(Software as a Service)・・・ソフトウェアを提供
ソフトウェア・アプリケーションをインターネット経由で提供する形態
- PaaS(Platform as a Service)・・・開発環境を提供
アプリケーションを稼働させるハードウェア、OS等を含むプラットフォームをインターネット上のサービスとして提供する形態
- IaaS(Infrastructure as a Service)・・・インフラを提供
仮想サーバやネットワーク等のインフラをインターネット上のサービスとして提供する形態
3. クラウドサービスのメリット・デメリット
クラウドサービスには、従来のソフトウェアにはないメリットがありますが、もちろんデメリットも存在します。
メリット
- コスト削減
サーバやソフトウェアを購入する必要がないため、初期費用を安く抑えることができます。
- スピーディな導入
契約後すぐに簡単に利用できます。
- 運用負荷軽減
運用、障害対応、メンテナンスはクラウド事業者側が行うため、手間がかからず安心して利用することができます。
- 従量課金
使った分だけ支払う従量課金制のため、無駄がありません。
- いつでもどこでもアクセス
インターネットを経由するため、場所を選ばずいつでもどこでも複数デバイスで利用できます。
デメリット
- カスタマイズに制限
オンプレミス型と比べると提供されるサービスに合わせた運用となるため、 自社の運用にあったカスタマイズが難しく自由度が下がります。
- セキュリティ面の不安
企業の様々な情報が保存されているため、ハッキングの対象となりやすく、また運用をクラウド事業者に全て任せる形となるため、情報漏洩のリスクが高まります。
- 運用コスト肥大化の可能性
従量課金制のため、システムが大きくなり使用量が増えてしまうと高額になり、長期的な視点でみるとサーバ構築の方が安く済む場合もあります。
- オンライン環境が必須
インターネット経由でアクセスするため、オンライン環境が必須となります。 また、回線速度や接続が不安定な場合、スムーズに業務を進めることが難しくなります。
クラウドサービスのセキュリティ
クラウドサービスのメリットデメリットの中でもご紹介したように、クラウド事業者に運用を任せることで情報システムの運用、管理の負担が軽減される一方、クラウド事業者にセキュリティレベルに差があったり、不正アクセスやデータ消失、情報漏洩といったリスクが伴うため、セキュリティ面に不安を持たれる企業も多いかと思います。しかし近年では、クラウド事業者のセキュリティ対策も強固になり、高度化するサイバー攻撃への対応に多額の投資を行い、安全性も高まってきていますが、確実に安全とは言い切れません。利用する側もセキュリティ対策をしっかり理解し、以下のようなポイントをおさえておいた方が良いでしょう。
- 通信データの暗号化
インターネットを経由するため通信データをSSLによって暗号化する必要があります。 プライベートクラウドでもSSLサーバ証明書やSSHを用いることで、リスク回避できます。
- ワンタイムパスワード等のアクセス制御
ユーザ認証としてワンタイムパスワードやSSLクライアント認証が有効です。ID/パスワードも推測されやすいパスワードは避け、定期的なパスワードの更新、連続したパスワード入力回数の制限などを行うことが望ましいです。
- データの保管場所の把握
データセンターが海外の場合、検閲によってデータベースが押収されたり、自然災害によってデータが消失するリスクもあります。利用するクラウドサービスの保管場所を把握した上で、定期的にバックアップするといった対策も必要です。
- セキュアなOS/アプリケーションの構築
OS/アプリケーションのセキュリティ対策も強固でなければ、攻撃を受ける恐れがあります。 定期的にマルウェアスキャンや、脆弱性がないかチェックが必要です。
クラウド上で行うアジャイル開発×ローコード開発
めまぐるしく変化するビジネスニーズに対応していくためには、コストを抑えながらスピーディにシステム開発を行うことが求められます。しかし、従来のウォーターフォール型での重厚長大なシステム開発では、コストがかさみ対応も追いつきません。そこで、近年トレンドとして注目されているのが、小さいサイクルで実装とテストを繰り返しながら行うアジャイル開発と、極力ソースコードを書かずにスピーディに構築するローコード開発を組み合わせながらクラウド上でシステム開発を行う方法です。
- アジャイル開発
開発工程(計画→設計→実装→テスト)を機能単位の小さいサイクルで繰り返し行っていくため、急な仕様変更や要求漏れが発生しても柔軟に対応でき、プロダクトの価値を最大化することに重点を置いた開発手法です。
- ローコード開発
ソースコードを極力書かずに、スピーディ・短期間でアプリケーション開発を行う手法。必要な部品をドラッグ&ドロップの簡単な操作で組み合わせながら開発していくため、プログラミング知識がなくてもシステム開発が可能です。
今後さらなるビジネスニーズの多様化・複雑化が予想される昨今、この2つの開発手法を組み合わせながらいかにしてスピーディなシステム構築が実現できるかによって、企業の成長と競争力強化につながっていくと考えられます。
まとめ
ビジネス環境の変化にスピーディに対応可能なクラウドサービスは、利便性の向上、コスト削減、DX実現に有効なサービスの一つとして、今後もニーズは高まっていくと言えるでしょう。 しかし、全ての業務をクラウド移行することがベストであるとは限らず、業務プロセス全体を可視化し対象業務を見極めた上で、判断することが重要です。多数のクラウドサービスが展開されている中で、自社にとって適切なクラウドサービスは何か、特長を捉えながら選定ポイントを明確にして、自社におけるデジタル変革、DX実現に向けてクラウド導入をぜひご検討ください。
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