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製造業のクレーム対応はなぜ属人化するのか?中堅・エンタープライズが直面する課題とDXによる解決策代替案

製造業のクレーム対応はなぜ属人化するのか?中堅・エンタープライズが直面する課題とDXによる解決策代替案

製造業におけるクレーム対応は、製品の品質向上や顧客満足度を左右する重要な業務の一つです。
しかし、多くの現場では、特定のベテラン担当者にノウハウが蓄積される「属人化」が深刻な課題となっており、対応の遅れや情報の埋没を招いています。

現在、大手・中堅企業を中心に、この属人化を解消し、クレーム情報を企業の資産として活用するためのデジタル変革(DX)が急務となっています。

そして、人手不足が深刻化する中、クレーム対応の標準化と効率化を実現するITツールの導入が、製造業の競争力を維持する鍵として注目されています。

そこで、本コラムでは製造業のクレーム対応が属人化する原因を深掘りし、DXによって現場の課題を解決する具体的な手法をご紹介いたします。

製造業におけるクレーム対応の“現実”

まずは、製造業におけるクレーム対応の現状について確認しておきましょう。

中堅・大手製造業でよくあるクレーム対応の状況

多くの中堅・大手製造業において、クレーム対応は現場の努力に依存しています。

特に、製品ラインナップが多岐にわたり、部門が細分化されているエンタープライズ企業では、一つのクレームに対する影響範囲が広く、対応が複雑化しやすい傾向にあります。

Excel・メール・紙が混在する管理体制

初期受付はコールセンターのシステム、詳細なやり取りは個人のメール、現場の調査報告はExcel、工場への指示は紙の伝票といった具合に、情報がデジタルとアナログの間で分断されてしまっている点も問題です。

この結果、情報の連携ミスが起きたり検索性が悪くなったりして、「対応もれ」「重複対応」などのトラブルが発生しやすい状況となっています。

部門ごとに異なるクレーム管理方法

品質保証部門、営業部門、設計部門、製造部門など、部門ごとにそれぞれ異なる手法で情報を管理しており、全社的な視点でのクレーム分析や対策立案が難しくなっています。

このため、「どのクレームが再発傾向にあるのか」「対応後の改善効果は出ているか」といった可視化が不十分になっています。

クレーム対応が「人に依存」してしまう構造

経験豊富な担当者が個別に対応することで、一見、問題が解決しているようでも、実際にはノウハウが共有されず、人知れず属人化が加速していきます。
その結果、「詳しいことは〇〇さんに聞かないとわからない」という状態が生まれます。

担当者が異動・退職した場合、過去の対応履歴や改善経緯が引き継がれず、組織全体として同じ失敗を繰り返す恐れがあります。

なぜクレーム対応は属人化・ブラックボックス化するのか

では、クレーム対応は、なぜ、このように属人化・ブラックボックス化してしまうのでしょうか?

原因①プロセスが定義されていない

クレーム対応が属人化・ブラックボックス化している多くの製造業では、「誰が、どのタイミングで、何をすべきか」が明文化されておらず、現場の裁量に任されていることがほとんどです。

対応プロセスが明確でなければ、個人の経験や感覚に依存するしかなくなり、属人化は避けられません。

原因②クレーム情報が一元管理されていない

クレームの内容や対応履歴が複数個所に分散して保管されているため、情報の検索性やトレーサビリティが極めて低くなってしまっています。

このため「似たクレームが以前にもあったのか」を迅速に確認することができず、過去の経験を活かせません。
統合データベースが存在していない場合、貴重な不具合データが個人のPC内でサイロ化してしまいます。

原因③対応結果が次に活かされない

クレーム対応が完了したとしても、その知見がマニュアル化されず、次の同様の事案に反映されないケースもあります。

すると、ナレッジが循環せず、「その場しのぎ」の対応で終わってしまい、いつまでも同じ過ちが繰り返される構造ができ上ってしまいます。

「対応はしているが、改善されない」状態の正体

本質的な原因の掘り下げや再発防止策の実行が不十分なまま「対応完了」とされてしまうケースも見受けられます。

結果として、時間と工数をかけたにも関わらず、品質向上にも顧客満足にもつながらない「対症療法型の対応」にとどまってしいます。

クレーム対応を“コスト”で終わらせないための視点

クレーム対応を“コスト”で終わらせず、利益を生みだすリソースとして活用するためのヒントをご紹介します。

クレームは品質改善のヒントの集合体

顧客から寄せられるクレームは、製品やサービスの改善につながる貴重な情報です。
ネガティブな情報として処理するのではなく、「未然に防げなかった改善点」として前向きに活用する発想が必要です。

属人的なクレーム対応がもたらす経営リスク

しかし、ここまでお伝えしてきたように、クレーム対応が属人化していれば、クレームを生きた情報として活用することは難しいでしょう。

さらに、属人的なクレーム対応は、次のような経営リスクをもたらします。

再発する品質事故

根本的な原因が解明されず、改善が定着していない限り、再発リスクは消えません。
同じような問題が複数の顧客で繰り返し発生してしまいます。
これは、クレーム対応が「一過性」で終わっている証拠です。

顧客信頼の低下

クレームに対する誠実な対応は、企業と顧客の信頼関係を築く上で不可欠なものです。
しかし、属人化による対応の遅れや情報もれは、のちのち、重大な信頼損失につながりかねません。

エンタープライズ企業ほど影響が大きい理由

事業規模が大きくなり、知名度が上がるほど、一つのクレームが与えるインパクトは深刻です。

取引先企業が多岐にわたる中で対応にバラつきがあると、組織としての信用力が問われ、ビジネスチャンスの損失にもつながりかねません。

中堅・エンタープライズ製造業に求められるクレーム管理の考え方

以上を踏まえ、中堅・エンタープライズ規模の製造業に求められるクレーム管理の考え方について、ヒントをご紹介します。

単なる「記録」ではなく「仕組み」として捉える

多くの現場では、クレーム対応を「処理記録」に留めていますが、本来は“組織として再発を防ぐ仕組み”でなければ意味がありません。

記録の蓄積だけでは再発防止にはつながらないため、プロセスの標準化とナレッジ活用までセットで取り組むべきです。

押さえるべき4つの観点

特に、次の4つの観点を押さえることが重要です。

クレーム情報の一元管理

全社でクレーム情報を一ヵ所に集約し、誰が見ても対応履歴や進捗状況が把握できる状態にすることで、情報の属人化を防ぎます。

対応プロセスの標準化

対応プロセスを標準化し、どのようなクレームに対しても一定のフローで対応できるようにすることで、担当者のスキルや経験に依存しない体制を構築できます。

原因分析と是正措置

トラブルの背後にある真因を明確にし、単なる「応急処置」にとどまらない、根本的な改善策を講じることが、長い目で見た場合の品質向上につながります。

ナレッジとしての蓄積

対応履歴・原因分析・是正措置をデータベース化し、社内の教育や仕組み改善に活用することで、現場の対応力を底上げできます。

DXによって変わるクレーム対応の姿

クレーム対応において課題となりがちな属人化は、最新のデジタルテクノロジーを活用したDXによって変革しましょう。

クレーム対応をワークフローとして捉える

クレーム対応を「ワークフロー」として捉えてみましょう。
その上で、対応フローを明確に設計し、ワークフローシステムに組み込めば、誰が何をいつすべきかを自動的に管理でき、業務がスムーズに進行します。
どこで処理が止まっているかも、一目でわかるようになります。

関係部門を横断した情報共有

クレーム対応には、品質保証や製造、営業など複数部門が関与します。
そこで、情報システムを活用すれば、部門をまたいで海外拠点ともリアルタイムな情報共有が重要となります。
たとえば、クラウドベースのツールを使えば、場所を問わず進捗を確認できます。

データが蓄積されることで起きる変化

DXによりITツール内にクレーム対応関連のデータが蓄積されることで、次のよう3点を実現できます。

傾向分析

クレームの発生傾向や、どの製品・どの拠点でトラブルが多いかといったデータを可視化できます。
この結果、経営判断のスピードと精度が高まります。

再発防止

クレーム発生原因の傾向と、過去の対策内容を照合することで、より効果的な再発防止策が立てやすくなります。

品質会議の高度化

定量データをもとにした品質会議を実現でき、印象論ではなくエビデンスベースでの議論が可能になるため、品質向上のための議論が深まります。

クレーム管理を仕組み化する際のチェックポイント

では、クレームの対応管理を仕組み化するにあたり、どのようなポイントを押さえたら良いのでしょうか?
注意点と、失敗しがちなポイントに分けてご紹介いたします。

システム化を検討する際の注意点

まず、システム化を検討する際には、次の3点に注意する必要があります。

現場が使いこなせるか

どれだけ高機能なツールでも、現場の担当者が直感的に使いこなせなければ定着しません。
このため、操作性やUIのわかりやすさは、システム選定において最重要項目となります。

運用が複雑にならないか

システム導入に当たっては、プロセスの標準化と同時に、現場の業務負担を増やさない設計が必要です。
「入力が面倒」「確認フローが煩雑」となれば、システム活用は失敗に終わってしまいます。

将来的な拡張性があるか

システムには、業務内容や組織規模の変化に対応できる柔軟性も求められます。
拠点・部門追加、外部システム連携といった拡張性を持つ設計が必要です。

中堅・エンタープライズで失敗しがちなポイント

多機能で高性能なパッケージシステムを導入したものの、機能が多すぎて設定や操作方法が複雑になり、現場の担当者(たとえば営業や製造現場の職員)が自分で調整できず、結果的にシステム部門(IT部門)しか運用や変更を行えなくなってしまうといった状況が散見されます。

本来、業務パッケージは現場の業務効率化や柔軟な対応を目的として導入されるものですが、設定が難しすぎると次のような問題が起こります。

1. 現場が自発的に改善したい時に、都度システム部門への依頼が必要になり、対応が遅れる。
2. 現場ニーズを的確に反映できず、やがて使い勝手が悪いシステムとみなされる。
3. 結果として、システムが「導入しただけ」の存在(=形骸化)になり、Excelや紙伝票など従来の運用に逆戻りする。

つまり、「高機能すぎる」とは必ずしも「優れている」という意味ではなく、業務現場にとって扱いやすい粒度や権限設計、変更容易性がないと実運用に根付かないのです。

クレーム管理を仕組み化する具体的なアプローチ例

ここで、クレーム管理を仕組み化するまでの流れをご紹介します。

クレーム発生から是正完了までの理想的な流れ

製造業において、属人化を排除し「仕組み」として機能させるためには、情報の入り口から出口までをデジタル上のワークフローで一気通貫につなぐことが不可欠です。
理想的なフローは以下の通りです。

1. 受付・割当…クレームを受け付け、内容に応じて担当部門へ自動通知します。
2. 登録…誰でも簡単に入力できるフォームで、営業担当やコールセンターが、モバイル端末や専用入力フォームから、写真や動画を含めてクレーム内容を登録します。
3. 一次対応・部門連携…一次対応の結果が自動的に関係者へ通知されます。
4. 原因分析・是正処置…標準プロセスに従い、クレーム発生の原因分析と、是正処置を実施します。
5. 是正完了・検証…是正処置まで完了後はマネージャーが確認します。
6. ナレッジ化…一連の対応データを、再発防止のデータとして蓄積・共有します。

SaaS/オンプレミスの選択視点

情報システム部門が基盤を選定する際、SaaSかオンプレミスかは重要な論点です。
それぞれの概要は次の通りです。

・SaaS(クラウド型)…初期投資を抑え、迅速な導入が可能です。テレワーク環境からのアクセスや、法改正・トレンドに合わせた継続的なアップデートを享受できるメリットがあります。
・オンプレミス(自社構築型)…社内の既存基盤との密な連携や、極めて高度なセキュリティポリシーが求められる場合に適していますが、保守・運用コストの増大には注意が必要です。

中堅・エンタープライズ企業では、保守負担の軽減と拡張性の観点から、柔軟なカスタマイズが可能なSaaS型(またはプライベートクラウド型)を選択するケースが多いです。

海外拠点・グループ企業を持つ場合の考慮点

グローバル展開や多角化を進める企業にとって、クレーム管理の統合はガバナンス強化の要です。
次のような観点を考慮する必要があります。

・多言語対応
・タイムゾーンの違いに配慮した通知設計
・ローカル法規制や個人情報保護への対応
・グローバルでの共通ルールとローカル運用の両立

こうした課題に対応するソリューションの一例

製造業におけるクレームの属人的・アナログ的な対応を解消するためのソリューションについて、ご紹介いたします。

「考え方を実装する手段」としてのツール

ここまでお伝えしてきた課題解決方法を整理すると、クレーム対応の属人化を解消し、業務を仕組み化・ナレッジ化するためには、「プロセス」「情報共有」「分析」が必要です。
つまり、この3要素をツールで支援する必要があります。

ここで重要なのは、単に“システム導入”にとどめるのではなく、「組織の考え方」や「現場の運用」までを実装する手段として捉えることです。

製造業向けに設計されたクレーム管理の仕組み

汎用的なCRM(顧客関係管理)やFAQツールとは異なり、製造業特有の複雑な業務フロー(品質管理や生産現場へのフィードバック)に最適化されていることが重要です。

クレーム情報の一元管理

各拠点や営業担当、コールセンターに散在していた「不具合報告」や「顧客の声」を、一つのプラットフォームへ集約できる機能が必要です。
具体的には、次のような機能が求められます。

・情報の見える化…紙やExcel、個人メールに埋もれていた情報をデジタル化し、関係者がリアルタイムで参照可能にします。
・検索性の向上…過去の類似事案を即座に検索できるため、ベテランの記憶に頼ることなく、過去の知見を活かした迅速な回答が可能になります。

ワークフローによる対応標準化

「誰が、いつまでに、何をすべきか」をシステムがガイドするワークフロー機能を搭載していることも重要です。
具体的には、次のような機能が求められます。

・プロセスの強制力…受付から一次回答、原因調査、対策承認、是正完了までの進捗を可視化します。
・対応もれの防止…ステータスが停滞している案件にはアラートを出し、中堅・エンタープライズ企業で起こりがちな「多忙による放置」を防ぎます。

原因分析・再発防止の支援

クレームを、単に処理するだけで終わらせず、品質改善の「資産」へ変えるための機能が充実していることが重要です。
具体的には、次のような機能が求められます。

・多角的な集計分析…製品別、ライン別、発生原因別などのデータを自動で集計し、品質会議の資料作成コストを大幅に削減します。
・CAPA(是正処置・予防処置)の徹底…再発防止策が適切に講じられたかを管理し、同様の品質トラブルが繰り返されない強固な体制構築を支援します。

ここで、おすすめしたいのが「ECOAS(エコーズ)クレームマネジメント」です。
ECOASクレームマネジメントは、クレーム情報を一元管理して、品質改善や競争力強化に活用するソリューションです。

クレーム情報を負荷なく一元管理するために、ワークフローによる対応標準化が可能な機能を備えています。
オンプレミス版とSaaS版のご用意があります。

詳しくは、下記公式サイトをご覧ください。

まとめ|クレーム対応を“品質改善の資産”に変えるために

最後に、クレーム対応を“品質改善の資産”に変えるためのポイントをまとめます。

クレーム対応DXの本質は「ツール導入」ではない

属人化を解消するための“DX”とは、単にITツールを導入することではありません。
業務プロセスの見直し、部門間連携の強化、改善サイクルの構築など、組織としての“仕組み”を構築する取り組みそのものなのです。

仕組み × データ × 運用の重要性

現場が使いやすく、情報が集まり、改善につながる運用が継続されて初めて、クレーム対応は「資産」となります。

属人的だった対応が「組織的な対応」に進化すれば、顧客満足度の向上だけでなく、業績にも好影響をもたらします。

自社に合った形で踏み出す第一歩

最初から完璧を目指す必要はありません。
まずは“クレーム情報を一元化する”ところから始めるだけでも、組織の視野と改善力は大きく変わっていきます。

ECOASのようにクレーム管理に特化したソリューションを活用し、自社に適したDXを一歩ずつ進めていくことが重要です。

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