稟議におけるワークフローとは?稟議業務における課題やワークフローシステムの導入について解説

企業経営において迅速な意思決定を支える「稟議」は、ビジネスの根幹を成す重要なプロセスです。
しかし、紙ベースやメールによるやり取りでは、承認の遅れや進捗の不透明さが業務停滞の原因となるケースがあります。
昨今の人手不足や多様化する働き方を背景に、多くの企業が労働生産性の向上とDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に取り組んでいます。
その解決策として注目されているのが、稟議プロセスをデジタル化する「ワークフローシステム」です。
この記事では、稟議におけるワークフローの基本概念から、現状の業務が抱える課題、そしてシステム導入による具体的なメリットと選び方について詳しくご紹介します。
稟議とは
稟議とは、物品の購入、契約の締結、新規事業の立ち上げ、あるいは人事異動や採用活動など、組織の資金やリソースを動かす際に必要な正式な意思決定プロセスです。
会議で全員の時間を拘束することなく、稟議書を回覧することで合意形成を図ります。また、決裁までの過程で複数の部署や責任者が目を通すため、多角的な視点からリスクチェックが行われるというメリットも持ち合わせています。
しかし、この伝統的な手法は、現代のビジネススピードにおいては形式主義や意思決定の遅延を招く要因として議論の対象となるケースも少なくありません。組織のガバナンスを維持しながら、いかに効率を高めるかが、多くの企業にとっての共通課題となっているようです。
稟議におけるワークフローとは
稟議におけるワークフローとは、起案された稟議書が最終的な決裁に至るまでの「一連の承認ルートと処理手順」を体系化したものです。一般的に、稟議は「起案(申請)→参照・回議(関係部署の確認)→承認(各役職者の判断)→決裁(最終権限者の決定)」というステップを踏みます。
この流れがワークフローとして明確にルール化されていることで、「誰が」「いつ」「どの基準で」判断すべきかが透明化されます。適切なワークフローが構築されていれば、責任の所在が明確になり、不正の防止やプロセスの標準化が可能です。
特に複雑な組織構造を持つ企業では、金額や案件の種類に応じて承認ルートが変動する「条件分岐」が多く発生します。したがって、ワークフローの設計精度が業務効率を左右すると言っても過言ではありません。
稟議業務における課題
デジタル化が加速する現在においても、多くの中小企業では紙の伝票やメールベースの運用が続いている場合があり、それが生産性向上の大きな壁となっています。具体的な課題を深掘りしてみましょう。
承認・決裁までに時間がかかる
従来の運用における最大のボトルネックは物理的な制約です。紙の書類による運用では、承認者が外出や会議、あるいはテレワークで不在にしている間、そのデスク上でプロセスが完全にストップしてしまいます。
また、メールでの運用であっても、大量の受信メールの中に稟議依頼が埋もれてしまい、リマインドを繰り返さなければならないといった事態が頻発します。意思決定に数日から数週間を要する体制では、市場の変化に即応できず、優位性を損なう恐れがあります。
進捗状況がわかりにくい
「稟議が現在どこで止まっているのか」が見えないことは、現場のモチベーション低下や業務の遅延を招きます。アナログな管理体制では、進捗を確認するために各承認者に電話やメールで問い合わせる必要があり、確認作業自体がムダな業務として積み重なっています。
特に複数部署にまたがる複雑な案件の場合、書類がどこにあるかを追跡することすら困難になるケースがあり、まさに業務が「見えない化」してしまっているのが実情です。
情報管理上のリスクがある
紙媒体での管理は、紛失や盗難、あるいは承認印の偽造といったセキュリティリスクを常に抱えています。また、過去の類似案件を参照したいと思っても、膨大な書庫から目的の書類を探し出すには多大な労力を要します。
データの利活用が企業の成長の鍵となる中で、稟議情報が「紙」の中に閉じ込められていることは、組織としての知見が蓄積されないことを意味します。これは、内部統制の観点だけでなく、経営戦略の策定においても大きな損失です。
稟議にワークフローシステムを導入するメリット
ワークフローシステムへの移行は、単なるツールの導入ではなく、ビジネスプロセスの再構築を意味します。導入によって得られるメリットは多方面にわたります。
決裁スピードが向上する
システム化により、時間と場所の制約が撤廃されます。承認者は外出先や移動中でも、スマートフォンやタブレットから内容を確認し、ワンタップで承認を行うことが可能です。
また、あらかじめ設定されたルートに基づき自動で書類が回付されるため、手渡しや郵送の手間がゼロになります。その結果、決裁時間は従来の数分の一にまで短縮され、スピード経営を支える強力な基盤が整います。
承認ルートや承認状況を可視化できる
すべての稟議の現在地がシステム上で一目瞭然となります。停滞している箇所があればシステムが自動的にプッシュ通知で督促を行うため、管理者が目を光らせる必要もありません。この透明性の向上により、承認者側にも「迅速に判断を下す」という意識が醸成され、組織の統制力を高めることにつながります。
柔軟な働き方に対応できる
深刻な人手不足への対応として、多様な働き方の受容は不可欠です。ワークフローシステムの導入は、物理的な出社を不要にするため、テレワークやサテライトオフィスでの勤務が可能になります。
「ハンコをもらうためだけに出社する」という非効率を解消することは、従業員のエンゲージメント向上や、優秀な人材確保や従業員満足度の向上が期待されます。
コストを削減できる
直接的なコストとして、用紙代、トナー代、印刷に関わる電気代、さらには郵送費や印紙代の削減が挙げられます。
また、書類の作成、回覧、検索、保管に要していた膨大な人件費が削減されることで、従業員はより付加価値の高い業務に注力できるようになります。これは、生産性向上が急務となっている企業にとって、極めて有効な投資と言えます。
効率的で安全に情報を管理できる
デジタルデータとして蓄積された稟議情報は、即時に検索・抽出が可能です。過去の決定事項をデータベースとして活用することで、ノウハウの共有が促進されます。
また、アクセス権限の設定や操作ログの記録により、誰がいつ情報を閲覧・更新したかが厳格に管理されるため、セキュリティレベルは飛躍的に向上します。
ワークフローシステムの選び方
システム選びの成否は、その後の定着率に直結します。以下の5つの視点で評価することが重要です。
必須な機能が揃っているか
自社の稟議規定をそのまま再現できる機能があるかを確認します。例えば、特定の金額以上で承認ルートが変わる条件分岐機能、代理承認、並列承認(合議)、あるいは差し戻し機能などが、標準機能として使いやすく備わっているかがポイントです。
業務内容に合わせた運用が可能か
現場の使い勝手を無視したシステムは形骸化します。ExcelやPDFなどの既存フォーマットをそのまま取り込めるか、あるいはプログラミングの知識がない担当者でもノーコードで編集可能かといった柔軟性を確認しましょう。
セキュリティは十分か
企業の重要機密を扱うため、通信の暗号化、二要素認証、IPアドレス制限などのセキュリティ機能が備わっているかは必須のチェック項目です。特にクラウドサービスを利用する場合は、提供ベンダーの信頼性や認証取得状況(ISMSなど)を確認する必要があります。
サポート体制は十分か
導入初期の操作教育や、トラブル時の対応など、ベンダーのサポート体制が充実しているかは極めて重要です。特に日本独自の商習慣や複雑な組織構造に理解があるベンダーを選ぶことで、スムーズな移行が可能となります。
費用対効果はよいか
単なる価格比較ではなく、導入によって削減できる時間やコストを算出し、トータルでのリターンを見極めます。拡張性が高く、将来的に他の業務へ展開できるプラットフォームであれば、より高い投資対効果を期待できるでしょう。
まとめ
稟議業務のワークフロー化は、単なる事務作業の効率化にとどまりません。それは、企業の意思決定スピードを加速させ、透明性の高い組織文化を醸成し、最終的にはDXを成功させるための重要な基盤づくりです。
深刻な人手不足が続く中で持続的な成長を目指すには、従来の慣習を見直し、デジタル技術を最大限に活用することが求められています。
この記事をきっかけに、自社の稟議プロセスの現状を見つめ直し、ワークフローシステムによる業務改革を検討してみてはいかがでしょうか。
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