製造業向けERPのおすすめは?機能やシステムの全体像もご紹介します

製造業向けのERPに求められる主な機能には、次のようなものがあります。
- 生産計画管理機能
- 在庫管理機能
- 購買管理機能
- 販売管理機能
- 設計変更・部品構成管理(BOM管理)機能
- 原価管理機能
このように、製造業の現場では、生産管理や在庫管理、購買管理、販売管理など、複雑な業務を一元的に管理する仕組みが求められています。その解決策として注目されているのが「ERP(Enterprise Resource Planning)」です。
ただ、ERPと一言でいっても、その種類や機能、導入効果はさまざま。どのERPが自社に適しているのか、どう選べば良いのか悩んでいる情報システム部門の担当者も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、製造業向けERPの基本的な役割や主要機能を解説するとともに、導入のメリットや選び方のポイントを詳しく紹介します。
また、人気のERP製品も比較し、特に「intra-mart」の特徴や活用例についてもご紹介します。ERP導入を検討している製造業界の方は、ぜひ参考にしてください。

製造業向けERPの役割
ERP(Enterprise Resource Planning)とは、企業の基幹業務を一元管理し、業務の効率化や生産性向上を支援するシステムのことです。
製造業においては、生産計画や在庫管理、購買管理、販売管理、原価計算などの複雑な業務プロセスを統合的に管理するために、導入が進んでいます。特に、生産計画と在庫管理では重要な役割を果たします。
近年、製造業ではDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みが加速しており、従来のレガシーシステムでは対応が難しくなっています。そこでERPを導入することで、データの一元化やリアルタイム管理が可能となり、業務の効率化とともに市場競争力を高めることを目指す企業も増えてきています。
製造業向けERPの機能
このように製造業において重要な役割を果たすERPの中でも、下記の7機能は特に業務への貢献度が高いでしょう。
需要予測機能
需要予測機能とは、過去の販売データや市場の動向を分析し、将来の需要を予測する機能です。これは、適切な生産計画や在庫管理を行う上で欠かせないものです。
近年では、AI(人工知能)やビッグデータ解析を活用し、精度の高い需要予測が可能になっています。ERPと組み合わせることで、企業の意思決定を強力にサポートしてくれます。
需要予測のメリットには、次のようなものがあります。
- 過剰在庫の削減…不必要な在庫を抱えるリスクを軽減し、保管コストを削減。
- 生産スケジュールの最適化…需要に基づいた計画的な生産が可能になり、リソースの無駄を削減。
- サプライチェーンの安定化…適切な購買計画を立てることで、調達リスクを最小限に抑える。
生産計画管理機能
生産計画管理機能は、製造業におけるERPの中心的な機能のひとつです。
受注情報や市場の需要予測をもとに、生産スケジュールを最適化し、リソースの効率的な配分を可能にします。
生産計画管理機能では、下記のようなことを実現できます。
- 生産スケジューリングの最適化…需要予測データと生産能力を考慮し、無駄のない生産スケジュールを作成する。
- ボトルネックの特定と対策…生産ラインのボトルネックをリアルタイムで把握し、迅速に対応可能になる。
- 設備・人員の最適化…稼働率の管理と適切なリソース配分により、過剰生産や生産遅延を防止できる。
在庫管理機能
製造業では、原材料や部品、仕掛品、完成品の適切な管理が重要です。
ERPの在庫管理機能を活用することで、過剰在庫や在庫不足を防ぎ、適正在庫を維持できます。
在庫管理機能では、下記のようなことを実現できます。
- リアルタイムでの在庫可視化…倉庫ごとの在庫状況をリアルタイムで把握し、必要なタイミングで補充が可能。
- 自動発注…在庫レベルに応じて、自動的に発注処理を実行し、欠品リスクを低減できる。
- ABC分析による最適な在庫管理…重要度に応じた在庫の分類・管理を行い、コスト削減を実現。
購買管理機能
原材料や部品の調達を効率化するため、ERPには購買管理機能が搭載されています。
サプライヤーとの取引データを一元化し、調達コストの最適化を実現します。
購買管理機能では、下記のようなことを実現できます。
- 発注プロセスの自動化…発注から納品、請求までの流れをシステム化し、業務の効率化を実現する。
- コスト分析と最適な購買戦略の策定…仕入れコストの変動を分析し、最適な購買計画を立案できる。
- サプライヤー管理…取引履歴を管理し、信頼できるサプライヤーとの関係を強化できる。
販売管理機能
受発注から請求、入金処理までを一元管理し、販売業務の効率化を図るのがERPの販売管理機能です。
販売管理機能では、下記のようなことを実現できます。
- 受発注管理の自動化…顧客からの注文情報をERPに取り込み、製造部門とリアルタイムで連携可能。
- 価格・割引管理…顧客ごとの価格設定や割引適用を自動計算し、正確な請求処理を実施。
- 売上データの分析とレポート作成…販売データを分析し、マーケット動向の把握や販売戦略の立案を支援。
設計変更・部品構成管理(BOM管理)機能
製造業において、設計変更や部品構成(BOM…Bill of Materials)管理は極めて重要です。BOM管理機能を活用することで、設計変更にスムーズに対応できます。
設計変更・部品構成管理(BOM管理)機能では、下記のようなことを実現できます。
- リアルタイムなBOM管理…部品の変更履歴や使用状況をシステム上で管理し、設計変更時の影響を最小限に抑えられる。
- 製造プロセスとの連携…設計部門と製造部門をシームレスに接続し、情報共有を強化できる。
- バージョン管理機能…設計変更の履歴を管理し、誤った部品の使用を防止する。
原価管理機能
製品ごとの製造原価を適正に管理し、コスト削減を図るための機能です。
原価管理機能では、下記のようなことを実現できます。
- コスト分析の可視化…材料費・人件費・設備費などのデータを統合し、詳細なコスト分析が行える。
- コスト削減施策の立案…製造工程ごとのコストを比較し、無駄を排除するための改善施策を立案できる。
- 収益性の向上…製造原価と販売価格の関係を分析し、適正な価格設定をサポートしてくれる。
製造業向けシステムの全体像
製造業における業務は、生産計画や在庫管理、購買管理、販売管理、品質管理など、多岐にわたります。これらの業務を管理し、業務プロセス全体を最適化するために、多くの企業でITシステムの導入が進められています。
本章では、製造業向けシステムの全体像を整理し、それぞれの役割やERPとの連携について解説します。
製造業向けシステムの構成
製造業の業務を支えるシステムは、大きく以下の5つに分類されます。
- ERP(Enterprise Resource Planning/基幹業務システム)
- MES(Manufacturing Execution System/製造実行システム)
- SCM(Supply Chain Management/サプライチェーン管理システム)
- PLM(Product Lifecycle Management/製品ライフサイクル管理システム)
- CRM(Customer Relationship Management/顧客関係管理システム)
ERP(Enterprise Resource Planning/基幹業務システム)
ERPは、企業の基幹業務を統合的に管理するシステムです。
会計、財務、人事、生産管理、在庫管理、購買管理などを一元化し、企業全体の業務効率を向上させます。
■ERPの主な機能
- 生産計画管理
- 在庫管理
- 購買管理
- 販売管理
- 原価管理
- 財務・会計管理
ERPの導入により、各部門が分断されることなく、リアルタイムでの情報共有が可能となります。
MES(Manufacturing Execution System/製造実行システム)
MESとは、製造現場の管理を支援するシステムで、生産ラインのリアルタイム管理や作業指示の最適化を目的としています。MESを活用することで、製造現場の可視化が進み、生産効率を最大限に高めることができます。
ERPと連携することで、受注情報から製造指示までをシームレスに管理できます。
■MESの主な機能
- 作業スケジュールの管理
- 製造プロセスの監視
- 生産進捗のリアルタイム追跡
- 設備管理とメンテナンス
SCM(Supply Chain Managementサプライチェーン管理システム)
SCMは、原材料調達から製品の出荷・配送までのサプライチェーン全体を管理するシステムです。SCMの導入により、サプライチェーンの最適化を実現し、在庫コストの削減や納期管理の精度向上が可能になります。
ERPと連携することで、調達計画や需要予測を最適化できます。
■SCMの主な機能
- 需給計画管理
- 調達・購買管理
- 在庫最適化
- ロジスティクス管理
PLM(Product Lifecycle Management製品ライフサイクル管理システム)
PLMとは、製品の設計から廃棄までのライフサイクル全体を管理するシステムです。PLMを活用することで、設計と製造の連携が強化され、開発スピードの向上やコスト削減が可能になります。
製造業では、特に設計変更や部品管理の効率化が重要となるため、ERPとの統合が求められます。
■PLMの主な機能
- 設計データ管理
- 部品表(BOM)管理
- 設計変更履歴管理
- 品質管理(QMS)
CRM(Customer Relationship Management/顧客関係管理システム)
CRMとは、顧客との関係を管理し、営業活動の効率化を支援するシステムです。CRMの導入により、顧客との関係性を強化し、売上の最大化を目指すことができます。
ERPと連携することで、受注データや購買履歴を活用した顧客対応が可能になります。
■CRMの主な機能
- 顧客情報管理
- 商談・案件管理
- サポート・問い合わせ管理
ERPを中心としたシステム統合の重要性
製造業において、MESやSCM、PLM、CRMなどのシステムを単独で導入するだけでは十分な効果を発揮できません。
ERPと連携することで、企業全体の業務プロセスを最適化し、データの一元管理を実現できます。連携により、業務の効率化、データの可視化、迅速な意思決定が可能になります。
製造業向けERPの導入メリット
製造業において、ERPの導入は、業務の効率化をはじめ、データの統合管理や迅速な意思決定の支援など、多くのメリットをもたらします。
本章では、製造業向けERPの具体的な導入メリットを3つ紹介します。
業務効率化と生産性向上
製造業では、生産管理、在庫管理、購買管理など、複数の部門が連携して業務を進める必要があります。ERPを導入することで、各部門のデータを一元管理し、リアルタイムで情報を共有できます。
また、ERPの導入により、業務プロセスを標準化し、自動化を促進することで、生産性を向上させられます。
ヒューマンエラーの削減
ERPを導入することで、手作業によるデータ入力ミスやコミュニケーションロスを防ぎ、正確な情報管理を実現できます。
さらに、ERPを導入すると、業務プロセスの可視化が進み、ミスの発生を事前に防ぐことができます。どの工程でミスが発生したのかをシステム上で追跡可能だったり、システム上で作業者ごとにアクセス権限を設定することで、誤操作や情報漏えいを防止できます。
コスト削減と利益向上
ERPを活用することで、生産工程の効率化が図られ、無駄なコストを削減できます。最適な生産スケジューリングで過剰生産を防ぎ、原材料の無駄を削減できたり、予防保全の実施により、設備故障によるダウンタイムを最小限に押さえ、設備稼働率を向上させたりできます。
また、ERPの在庫管理機能を活用することで、適正在庫の維持が可能になり、無駄なコストを削減して、利益を向上できます。
製造業向けERPのおすすめ5選
最後に、製造業で利用できるERPの中から、おすすめの5つをご紹介いたします。
intra-mart(株式会社エヌ・ティ・ティ・データイントラマート)
「intra-mart」は、製造業をはじめ、あらゆる業界で利用可能な、エンタープライズ向けのローコード型ERPプラットフォームです。
さまざまな機能がAPIコンポーネントとして用意されており、スピーディかつ柔軟なローコードアプリケーション開発が可能です。クラウドでの利用や、グループ企業全体での共同利用も可能です。
SAP Business One(SAP SE)
https://www.sap.com/japan/products/erp/business-one.html
「SAP Business One」は、独SAP SE社が提供する、中堅・中小企業向けの手頃な価格のERPで、オンプレミス型とクラウド型の両タイプが用意されています。
特に製造業向けのに特化しているわけではありませんが、生産管理、在庫管理、購買管理、顧客管理、入出金管理といった、製造業に必要な機能が一通り揃っています。
InfiniOne 組立製造業向けERPソリューション(FutureOne株式会社)
https://www.future-one.co.jp/search/maker.html
「InfiniOne 組立製造業向けERPソリューション」は、組立製造業向けのERPで、「見込生産型製造業」「受注生産型製造業」「ファブレス型製造業」の3つの生産方式に対応しています。
販売・購買・在庫・生産・原価・会計などの基幹業務を一元化し、リアルタイムに経営情報が取得可能です。輸出入取引にも対応。
工事機能、Web受発注連携、ハンディーターミナル連携などのオプションが用意されています。
スーパーカクテルCore FOODs(株式会社内田洋行)
https://www.uchida.co.jp/system/cocktail/corefoods/
「スーパーカクテルCore FOODs」は、食品製造業に特化したERPです。賞味期限管理や店舗・帳合先管理、預かり管理など、食品業界特有の商慣習に対応しており、トレーサビリティにも対応。
食品業向け販売管理、食品業向け生産管理、食品業向け原価管理の3つの業務ごとにシステムが分かれており、必要な機能から選んで導入することができます。
BIZXIM製番(株式会社NTTデータ関西)
https://www.bizxim.com/apps/bizxim_seiban/
「BIZXIM製番」は、多品種少量生産や個別受注生産を行う製造業向けのERPです。販売管理、生産管理、財務管理といった業務単位における段階的導入が可能で、すべての業務について導入が済めば最終的にERPとして完成するようになっています。
マルチサイト、マルチカンパニー、マルチ言語をサポートしており、グローバルレベルでのシステム統合も可能。
主要業務プロセス(見積、受注、発注、生産計画、請求など)に起案・承認/否認を行うチェック機能が実装されているため、内部統制監査にも対応可能です。
まとめ
製造業における業務の効率化やDX(デジタルトランスフォーメーション)推進において、ERP(Enterprise Resource Planning)の導入は不可欠です。ERPは、生産管理、在庫管理、購買管理、販売管理、財務・会計管理などの基幹業務を一元化し、企業全体の業務プロセスを最適化する役割を担います。
製造業のDX化が求められる中、ERPは単なる業務管理ツールではなく、企業の成長戦略の基盤となるシステムです。今後の競争力向上のためにも、最適なERPシステムを選定し、効率的な業務プロセスの構築を目指しましょう。
製造業向けERPの導入を検討している企業の方は、ぜひ「intra-mart」の活用も視野に入れ、最適な業務システム構築を進めていってください。
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ローコード開発・業務プロセスのデジタル化で豊富な実績を持つintra-martが、お客様のビジネスにどのような効果をもたらすのか、特長や導入効果など製品コンセプトを詳しくご紹介しています。

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